巡訪戦記・後日談!

4.6

◆ランジット

結局、ランジットは誰とも仲間になれなかった。
だが、彼はまだ話したいことがあるようだ…


…「千年真珠の海駿王庭」に行く…

ランジット
二人とも、こないだは本当にお疲れ様。
最初の目的とは多少ズレてしまったが、色々と収穫のある良い旅だったよ。

①爽快な戦いができた。
②相手が強すぎた…

パイモン
「色々と収穫」っていうより、むしろ教訓になったんじゃないか?

ランジット
そうかもね。
絆を結ぶなんてこと、すぐにできるようなものじゃない。
それに今回のように色んな相手に挑むんじゃなく、どれか一つに絞って、そいつに集中すべきだった。
ナタだって、そういう過程を経てるしね。
古龍の国から今のように人と龍が互いに信じ合い、仲間になって共に暮らす状態になるまで、どれだけ長い時間を要したか…
はぁ、このせっかちな性格がいけなかったというわけか。
魔物なら、自分を負かした相手に多少なりとも敬意を持つと思って、今回のようなやり方を選んだんだけど。
最初からコツコツと時間をかけて――
例えば毎日エサをやって、少しずつ近づいていけば、成功率をもっと上げられたかもしれない。

パイモン
まぁ確かに、理屈的にはそうかもしれないな。
でも、そもそもおまえが選んだ相手たちは、そこら辺の猫とか犬じゃないんだぞ。

ランジット
そうだね。
でもあの魔物たちは、私から見るとナタの龍に似たところがあった。
だから、あいつらを選んだんだ。
だって、そうすればナタの友人たちに冒険譚を聞かせる時、私の成し遂げたことがいかにすごいか理解しやすいんじゃないかと思って。

パイモン
あいつらのどこがナタの龍に似てるんだ?
…う~ん、エンシェントヴィシャップは似てるかもしれないけど。

ランジット
何を言ってる?
他のやつらにも似てるところはあるだろ?
色とか…

パイモン
その理屈で行くなら、スライムもナタの龍に似てるって言えるだろ!

ランジット
ふむ、スライムは元素生物で、龍も元素生物だ…
確かに一理ある。
もしかしたら、スライムには龍になれる可能性が秘められてるのかもしれない…
ってことは、やはりスライムから絆を結ぶべきだったのか?

①計画の規模が一気に縮んだ。

パイモン
実現する難易度もだいぶ下がったな。

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②少なくともスライムのほうがリスクは低い。

パイモン
あくまで比較してって話だろ?
野外でスライムに囲まれただけで、手も足も出ない新米冒険者を散々見てきたじゃんか。

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ランジット
ははっ、とにかく何事も試してみないとね!
今回は二人のおかげで助かった。
いつかまた会った時には、冒険の仲間ができていて、それから物語の「主人公」を名乗れるようにもなっていたいと思うよ。
じゃ、君たちもどうか良い旅を!

《任務完了》