春立つ風を梳かす彩鳶・其の三/古き燕、風とともに旧居へ

4.4 修正(吹出)

閑雲は嘉明のために、良い策を一つ考えた。
そろそろ計画を実行に移す時だ…

◆隴舟(「和記庁」の職員)
◆葉徳
◆候章(覆面の強盗)
◆接笏(覆面の強盗二号)
◆枕鳶(凧屋台の店主)

…約束の日時まで待つ(2日後の8時~12時)…

パイモン
いよいよ計画を実行する日だな!
さっそく嘉明のところに行こうぜ。
うまくいくといいな。

…嘉明と合流する…

パイモン
嘉明、朝っぱらから遊んでんのかよ!
そんで、どっちが勝ったんだ?
おまえ、また早茶をおごる羽目になったんじゃないか?

嘉明
おいおい、パイモン、オレを見くびりすぎじゃないか?

隴舟
おっ!
皆さんお揃いのようですね!
ちょうどよかった。
お三方に重要な依頼があるんです。

嘉明
おう、なんだ!
すぐに動けるぜ。
モノはどこだ?

隴舟
護送の依頼です。
翹英荘の茶商品を持って璃月港へ向かいますので、護送してあげてください。
大口のお得意さんがその商人を指名したそうです。

嘉明
リョーカイ。
住所は?

隴舟
こちらです。

嘉明
なっ…!

パイモン
こんな大掛かりな依頼ってことは、きっとすごく重要で急を要してるんだと思うぜ!

隴舟
ええ…
早く遂行するに越したことはないでしょう。
早めに出発したほうがよいかと。

>こっちはいつでも出発できる。

嘉明
…ふぅ。
分かった。
隴舟の兄ちゃんも無理すんなよ。
じゃ行ってくる。

…依頼の場所に行く…

パイモン
嘉明、今日はなんか口数が少ないな。
なんか物語でも聞かせてくれよ?

嘉明
もうすぐ到着だ…
物語はまた今度な。

…お客さんと会話する…

パイモン
こんにちは!
おまえが依頼を出した茶商だよな?
護衛はオイラたちに任せてくれ。

葉徳
……

嘉明
…親父。

葉徳
……

パイモン
えっ!
嘉明のお父さんだったのか。
これはどうもどうも!
今回は嘉明が護送してやるから、な~んにも心配はいらないぜ。
こいつはすごいやつだからな!
なにせ鏢局はもちろん、璃月港の総務司まで、み~んなこいつのことをべた褒めなんだから。

葉徳
半人前くらいにはなったようだな?

嘉明
……
これで全部か、品は。

葉徳
ああ、すべて揃ってる。

嘉明
じゃ、出発していいか?

葉徳
……

パイモン
大口顧客の指名だから、おまえも行かなきゃいけないんだぞ。
じゃないと、オイラたちは責任を追及されるし、おまえだって大儲けのチャンスを逃しちゃうぜ。

葉徳
…分かっている。
では世話になる。
出発しよう。

…嘉明と一緒に護送する…

パイモン
だいぶ歩いたな。
そろそろ疲れてきただろ?
ちょっと休んでいかないか?

葉徳
私は問題ない。

パイモン
嘉明、おまえいつもおやつを持ち歩いてるよな?
ちょっと分けてやったらどうだ?

葉徳
私はいい。

パイモン
えっ?
冬蓉酥って、すごくうまいんだぞ!
葉おじさんは食べたことないだろ?

嘉明
パイモン…

…休憩場所を探す…

嘉明
ま、開けた場所もあるし、ここで一息つくとすっか。

パイモン
嘉明は一緒に座らないのか?

嘉明
オレは平気だ。
見張りでもしてるさ。

パイモン
え?
でも…

葉徳
放っとけ。

パイモン
しょうがないな。
じゃ先にいただくぜ。
知ってるか?
この冬蓉酥って店によって味が…

嘉明
待て!
何者だ!

候章
…我の動きが少々大きすぎたか?

接笏
そんなことより…
役目を果たすことに集中しよう。
金品などは持っておるか?

候章
大人しく差し出すがよい。

葉徳
えっ!?
ど…どうしたら…

嘉明
(人数は二人…
他に仲間はいないみたいだな。)
(こいつらを追っ払うのはラクショーだが、もし親父を狙って罠でも仕掛けてたらまずい。
ここは慎重にいこう…)
ここはオレに任せろ。
旅人、パイモン――
親父と品は任せた。
先に行っててくれ!

葉徳
嘉明、危険だ!

嘉明
オレの仕事さ――
これがな!

接笏
…なんと手強い相手だ!
ここは引くべきだな。
もっと軟弱な者を狙うとしよう!

嘉明
逃がすかよ、そう簡単に!

候章
ではな、失敬させてもらうぞ!

葉徳
嘉明!

パイモン
心配すんなって!
嘉明はすごく強いんだから!
この前だって、あいつ一人で十人を超える宝盗団をやっつけたんだぞ。

葉徳
そうは言っても、嘉明が…
…はぁ。
もし最初から私のもとで商売を学んでいたら、こんな危険な目に遭わずに済んだのに。

パイモン
嘉明に言われた通り、オイラたちは先に進もう。
ここで待ち伏せにでも遭ったら大変だ。

留雲借風真君
(今のところ順調なようだ…)

パイモン
ここまで来たらもう大丈夫だな。
…って、鍾離!?
なんでここにいるんだよ?

葉徳
若者よ、早く凧を降ろしてここを去ったほうがいい!
近くに強盗がいるぞ。

鍾離
強盗?
なんと真っ昼間から…

パイモン
んん、コホンッ…!

鍾離
ん?

パイモン
コホン、コホン!

鍾離
ふむ、なるほど。
最近風邪が流行っていると聞く。
パイモン、喉の調子が悪いのなら座ってお茶でもどうだ?

パイモン
うっ、えっ…
そうじゃなくて…
これは…
お菓子を食べ過ぎたせいだぞ…

>(気づいてるのに知らんぷりしてる…?)

鍾離
強盗がいるのなら、近くの千岩軍に知らせればいい。

>一緒にいた鏢師が追ってる。

鍾離
そうか?
ならば…
人にはそれぞれ得意分野がある。
ここは専門家に任せてはどうだろうか?

葉徳
はぁ、そうだな…
私たち一般人が首を突っ込んだところで、足手まといになるだけだろう。
言う通りだ。

鍾離
せっかくの好い天気だ。
手持ち無沙汰でいるより、静かな場所で茶でも飲みながら心を落ち着かせ、朗報を待つのも悪くない。

葉徳
では…
そうするとしよう。

…茶屋に行って休憩する…

パイモン
実は、葉おじさんがこんなに心配してるのには理由があってだな…
鏢師の嘉明はこいつの息子なんだ。

鍾離
嘉明…
聞いたことのある名だ。
最近、街で獣舞劇を披露している者のことか?

パイモン
ん?
おまえも獣舞劇を観たことあるのか?

鍾離
ああ、あの若者はしっかりとした基礎と熟練の技を身につけていた。
猊獣と渾然一体となった舞は実に見事なものだ。
近頃、獣舞劇は璃月港で少しずつ人気を博しつつある…
だが、彼らが抱えているであろう様々な困難は、我々観衆からは想像できないものかもしれない。
しかし、困難に立ち向かうその精神こそ、最も貴重な資質だと俺は思っている。
俺の茶飲み仲間たちも、嘉明殿のことを思いやりと正義感のある者だと口を揃えて言っている…
才徳兼備な息子さんで、葉おじさんもさぞ誇り高いだろう。

>(葉おじさん…)

パイモン
(オイラたちに合わせて、葉おじさん呼びしちゃってるぞ…)

葉徳
あ、ええ…
あいつは…
まぁ確かに頑張り屋ではあるな。

パイモン
嘉明が戻ってきたら、本人の前で褒めてやれよ!

葉徳
そ、それは…

鍾離
嘉明殿はまだ年も若いゆえ、衝動に駆られやすいのだろう…
若者にはよくあることだ。
葉おじさんから伝えづらいというのなら、俺たちが代わりに伝えてもいいが…

葉徳
いやいや、そんな迷惑をかけるわけには…
はぁ、もう昔のことなんだが…
嘉明と私の間には溝ができてしまってね…
私は生涯をお茶の商売に捧げてきた。
だから、子供にもそのイロハを学ばせたかったんだ。
でなければ、あいつ一人でどうやって生きていく?
しかし、あいつの鏢師の仕事は軌道に乗り、護送する距離もどんどん伸びていった。
それに獣舞劇を諦める気もさらさらないようで…
私は嬉しい反面、心配でな。
若者は身体が丈夫で、力もみなぎってる。
だが、年老いたらどうなる?
そう考えるたび、自分の判断は間違っていないのだと…
あいつのわがままを聞いてやるわけにはいかないと思い直すんだ。
こうなることを知っていたら、あいつが幼かった頃、獣舞劇なんかに連れていかなかったというのに!

鍾離
子供に平坦な道を歩んでほしいと願う親の気持ちは、理解に難くないもの。
葉おじさんもあまり思い詰めないほうがいい。

葉徳
鍾離さんは見たところお若いのに、相当な見識をお持ちのようだ…
もしや、私が思う年齢とはだいぶかけ離れているのだろうか?

鍾離
ハハハッ、考えすぎだ。
実は古い友人の中に、数人の娘を持つ者がいてな。
その娘たちは皆、独り立ちをしている。
彼女は、子供を心配して思い悩むのではなく、その子供たちに夢を追いかける自由を与えることを選んだ。

葉徳
そのご友人は思い切ったものだ。
私には…
そんな度量ないかもしれん。
あっ、それから鍾離さんさえよければ、私のことは名前で普通に呼んでくれたらいい。

鍾離
ではそうさせてもらおう。

葉徳
鍾離さんから見ても、私は心配しすぎなのだろうか?

鍾離
いや、その言い方は少々偏りがすぎる。
親が子供を心配するのは当然のことだ。
とはいえ、空を飛ぶ凧同様、糸をきつく引っ張りすぎては逆効果になりかねない。
先ほどの古い友人はこう言っていた。
もし子供が夢に向かって外の世界を歩みたがっているのなら…
糸を引っ張りつづけては、凧が落下してしまうだろう、と。

葉徳
…はぁ…
やはり私の考えが古すぎたということか!

鍾離
家族を想う気持ちを古いという言葉で評すべきではない。
ただ、少しだけ寛容な心で息子さんを見守ってあげてはどうだろうか。
葉徳殿はきっと情を重んじる方なのだろう。
嘉明殿の心配はしばし置いておき、色々な場所を巡りながら茶を飲み、景色を堪能するのも悪くないのではないか?
すぐそこに思いもよらぬ吉報が待っているかもしれない。

葉徳
ハハッ、すぐそこ、か。
そんなわけないだろう。

鍾離
日々が積み重なり、瞬く間に一年が過ぎる。
気づけば子供が成人しているという感覚を、父親である葉徳殿はよく分かっているだろう。

葉徳
嘉明は…
ハハッ、そうだな。
気づけばもう羽が生え揃っていた。

パイモン
鍾離のやつ、話がうまいな…
あっ!
嘉明が戻ってきたぞ!
嘉明――
こっちだ!

嘉明
親父…
みんな…
それに往生堂の鍾離先生も!

鍾離
ハハッ、こうして出会ったのも何かの縁だと思い、少し閑談をしていた。

葉徳
……
無事、解決したのか?

嘉明
まあ…

葉徳
なんだ、その返事は?

嘉明
旅人、パイモン、ちょっといいか?
聞きたいことがあるんだ。

葉徳
……

パイモン
ん?
どうしたんだよ…

嘉明
単刀直入に聞くぞ。
さっきの二人組の強盗って…
オマエらの知り合いか?

パイモン
えっ!
――な、な、なんで急にそんなこと聞くんだよ?

嘉明
アタリみたいだな、パイモンがオレと目も合わせらんないってことは。

パイモン
まいったな…
でも、なんでわかったんだ?

嘉明
あの二人、最初から振る舞いが大げさだったし、それになんか不自然だったろ?
あと追っかけてる最中に、ただもんじゃないって気づいたんだ。
もうちょっとで追いつきそうなのに、一向に距離が縮まんなくてさ…
それほどの実力の持ち主なら、他にも方法があったはずだ――
オレらが警戒を緩めた隙を狙ってくるとかな。
でもそうしなかった。
つまり、オレを引き離すのが狙いだったってことだ。

パイモン
おまえ、意外と頭の回転が速いんだな…

嘉明
ま、これに関しちゃ経験によるとこが大きい。
悪質な強盗とは何度も手合わせしたことがあるからな。
けど、今回みたいのは初めてだった。
やつらにこう言っといてやったぜ。
「足を洗って改心」したくなったら、鏢師になるのがオススメだ。
璃月港に来たらオレを訪ねろ、ってな。

パイモン
お、おお…
さすがだな。
友達をつくるのがうますぎるぞ…

嘉明
オレと親父の関係をなんとかしたい、って思ったんだろ?

>アタリ。

嘉明
はぁ…
気持ちはありがたいぜ。
けど、これはずっと前から親父との間にあった問題だ。
さっきの強盗騒ぎが演技じゃなく本当だったとして、オレがやつらを捕まえて差し出したところで、何も変わりゃしない…
オレに対する親父の態度、オマエらも見たろ?

パイモン
違うぞ!
本当は葉おじさんは嘉明のことをすごく心配してるんだ。
オイラたちには正直に言ってくれたぞ!
さっきの鍾離の説得で、あと一歩ってところだったのに…

嘉明
はぁ…

パイモン
信じないのか?

嘉明
絶対に変わんないさ、親父は。
他人にはそう言っても、オレには絶対に言わない。
その点はオレが一番よく知ってる。

>嘉明もそういう性格?

嘉明
……

パイモン
そうだぞ。
結果を出したいって、オイラたちに言ったよな?
これまで必死にがんばってきたことを葉おじさんに伝えたらどうだ?

嘉明
「伝える」っつっても、無駄に決まってんじゃんか、そんなの…

パイモン
無駄かどうかはやってみないとわかんないだろ!
食べてもないのに、うまいかどうかわかんないのとおんなじだ。
オイラたちの言うことを信じろ。
人とすぐ仲良くなれるおまえの性格で葉おじさんとも接するんだ。
おまえを理解する味方になってくれるかもしれないぞ。

①がんばって!嘉明ならきっとできる。
②ダメもとで試してみて。

嘉明
ははっ…
やってみるよ、できる限り。

葉徳
…鍾離さんは実に博識であられる。
本当に感心させられることばかりだ!
何十年と茶商をやってきたが、こうして鍾離さんからお茶の心得について色々と教わるとはね。

鍾離
過分な言葉だ。
個人的な見解を述べたにすぎない。

パイモン
オイラたちがいない間に、どんだけ飲んだんだよ?

>酒じゃあるまいし…

鍾離
ハハッ、葉徳殿との話は実に愉快だ。
茶と同じように、この友誼は味わい深いものとなった。

葉徳
ああ、まさしくその通りだ。
嘉明、鍾離さんはとても博識な方だ。
璃月港で鍾離さんのような有識者に会ったら、色々と相談に乗ってもらえ。

嘉明
え?
あ…ああ。

パイモン
コホン…
鍾離…

鍾離
葉徳殿、歓談を続けたい気持ちは山々だが、残念ながら堂主に頼まれた仕事がまだ残っていてな…

葉徳
そうだったのか!
もっと早く言ってくれたらよかったのに。
仕事の邪魔をしてしまって申し訳ない。
またご都合のいいときにでも、早茶をご馳走させてもらえたら嬉しい。

鍾離
ああ、必ず。

パイモン
そこまで送ってやるぞ!
お、おまえたちはここで話しててくれ!

-------------------------

葉徳
座ったらどうだ?

嘉明
…ああ。

-------------------------

…茶屋を出て、鍾離と会話する…

パイモン
さっきは葉おじさんを説得してくれてありがとな!
オイラたちが送ったサインに気づいてくれて助かったぜ。

鍾離
二人とはそれなりに長く付き合っているからな。
その経験のおかげだ。
それに大したことではない、気にしないでくれ。

パイモン
へへっ、おまえの性格はあいかわらずだな。
でも鍾離、見送るとは言ったけど、なんでこんな遠くまで来たんだ。
あいつらに聞こえない距離まで来れば十分だったろ?

鍾離
もう一人の友人が来ているからだ。


旅人、パイモン。

パイモン
魈、なんでおまえが!

我はずっといた。


(幽霊の…凧?
もしやあの神出鬼没の堂主がまた望舒旅館に来ているのか…)
(此度はまた如何なる用が?
まぁいい。
堂主と帝君…
いや、鍾離様との間柄を考え、一言挨拶でもしておこう。)
(……!)
鍾離様?
てっきり胡堂主かと。

鍾離
ああ、いいところに来てくれた。
お前もこの新しい代物を試してみないか?
動力装置を取り付けたことで、凧を揚げる際により安定するのだが…


(相当熱心に研究をされているようだ。)

鍾離
安定しすぎることで、凧が上空でゆらゆらと揺れる様を見られなくなったのは少々残念だ。
実は今回、海灯祭に必要なものを購入するよう堂主に言いつけられている。

はい、毎年のことですね。
恐らく来年も変わらないでしょう。

鍾離
……

……
違いましたでしょうか?
その…
ごま油を頼まれたこともありましたし。

鍾離
いや、なぜ堂主は海灯祭の期間中に、野菜のごま油和えにこだわるのだろうかと考えていた…
香菱の助言なのだろうか?
魈、お前はどう思う?


胡堂主とはあまり深く関わったことがなく、なんとも…

鍾離
そうか。
往生堂の者と関わる機会を増やしてみるのはどうだ?
暇があれば、気軽に寄ってみるといい。
こっちは装置を取り付けていない伝統様式の凧だ。
この二種類の凧の違いを見定め、より娯楽性に優れたほうを選ぶようにと堂主に頼まれている。
ちょうど手がほしいところでな。
もう一つの凧を揚げてもらえないか?

…はい。


比較してみましたが…
速度を求めるのなら、装置を取り付けたほうのがいいでしょう。

鍾離
なるほど。
代わりに堂主に伝えるとしよう。
この二つの凧はお前のところに預けておこう。
普段友人とともに凧を揚げるのも、また一興かもしれない。

っ…はい…
しかし、凧揚げを好む者など周りにおらぬゆえ…

鍾離
なら、お前の才知を活かし、探してみるのもいいだろう。

パイモン
なーんだ、ただ魈に凧揚げを手伝わせてただけか。
なんか聞いちゃいけないことなのかと思ったぞ。
胡桃に頼まれた実験だったんだな…

鍾離
手伝わせていた、というより流行りの代物がどれほどの飛行性能を持つか比べるため誘った、と言うべきだろう。

パイモン
うぅ…
つまり、大会のライバルがまた一人増えたってことか…

①もう大会のことなんて気にしてない…
②関係ない。必ず勝ってみせる。

パイモン
魈は凧揚げが好きか?


好き嫌いなどという言葉で考えたことはない。
ただ、空へゆっくり昇る姿を見ていると不思議と心が落ち着いてくる。
…いくらか霄灯に似ているのかもしれない。

鍾離
どちらも心に安らぎを与えてくれる。
結構なことだ。

パイモン
じゃあ、魈は凧を作ってみたいと思ったことないか?
オイラたち、留雲真君に作り方を教えてもらったんだ。
もし魈が習いたいなら教えてやるぞ。

せっかくだが、今回は遠慮させてもらおう。
我々の中で、模様や装飾の創作に興じる者は弥怒だけだった。
海灯祭の後、もし暇があれば銅雀の寺の近くで我を探すといい。

①分かった。
②約束だね。

ああ。

鍾離
そろそろ日が暮れる。
俺も帰って堂主に比較の結果を報告しなければならない。

パイモン
胡桃は元気にしてるか?
よろしく伝えといてくれ!

鍾離
ああ。
それと先日堂主から聞いたのだが…
数日後に翹英荘を訪れる予定らしい。
二人に時間があるのなら、頃合いを見て行ってみるといいだろう。
もし荘内で会えたら、共に閑談のひと時を過ごすのも悪くないはずだ。

パイモン
おう!
覚えとくぜ!
じゃあまたな、鍾離!

鍾離
ああ、また会おう。

嘉明
……

葉徳
……

嘉明&葉徳
親父。
嘉明。

葉徳
……

嘉明
コホン…
親父から先に言ってくれ。

葉徳
あ、いや…
何でもないんだ…

嘉明
なら、オレから。
…オレ、やっぱり璃月港に残りたい。

葉徳
ああ。
賛成はできんが…

嘉明
……

葉徳
まったく、最後まで話を聞け。

嘉明
……

閑雲
さぁさぁ申鶴ちゃん、ほら早く座って。
長旅で疲れたでしょ?
お茶を飲む?
何か飲みたいものはない?

申鶴
我は大丈夫だ。
お気遣いなく。

申鶴
師匠、彼女たちはもう遠くまで行った。

閑雲
うむ、ちょうどいい頃合いだ。
我々の出番だぞ。
事前に伝えた計画は覚えておるな?

申鶴
無論。
師匠と我の役目は、家族の幸せな場面を演じて見せること。

申鶴
おばちゃんと同じ飲み物でいい。

閑雲
分かったわ。

嘉明
(閑雲おばちゃんと申鶴まで?
一体どんだけの人に手伝ってもらってんだ?
…ここはとりあえず…
座っとこう。)

閑雲
ちょうど「松蘿仙芽」が手に入ったの。
きれいな名前だけに味もいいわ。
(買い溜めた分を消費するため、最近毎日飲んでおる…
さすがに飽きてきたな。)
(いかん、今は語り合いに集中せねば。)
お祭りの間は仕事も忙しいんでしょう?
力になれることがあったら、おばちゃんに何でも言ってちょうだい。

申鶴
酒を飲んで暴れる者がいたが、おばちゃんに教わった通り、やつらの頭を卓に押さえつけてやった。

葉徳
なっ!?

嘉明
(閑雲おばちゃんと申鶴…
マジかよ、今の話って。)

閑雲
ゴホッゴホッ…
(参った。
演技に気を取られておったばかりに、申鶴が変わった子であることを失念しておった。)
えーと…
あ、そうそう、新しい友人はできたかしら?
ほら、おばちゃんは近くにいてあげられないから、申鶴ちゃんに友人がいてくれれば少しは安心だわ…

申鶴
最近の状況はおばちゃんも知っての通りだ。
夜、厨房に行ってグゥオパァーと語り合うようになった。
グゥオパァーは話こそできないが、一緒にいると安心する。

葉徳
(はぁ、語り合える友人が一人もいないとは、可哀想な子だ。)
(こうして考えてみると、嘉明は手のかからない子だな。
私は厳しすぎたのかもしれん…)

閑雲
コホン、その話はこの辺にして…
申鶴ちゃん、これから時間あるかしら?
おばちゃんと遊びに行かない?

葉徳
(そうそう…
温かい言葉をかけてやるんだ。
その子もほっとするだろう…)

申鶴
前と同じように、朝から晩まで岩を背負って山を登り下りし、道沿いの草花を摘んで夕食とすることか?
おばちゃんが望むなら、喜んで。

葉徳
ぶはッ…!
ゲホッゲホッ…

嘉明
親父…
お茶を!
いや、お茶は飲まないほうがいいか…

葉徳
ゲホッ…ゲホッ…
はぁ、もうこれ以上は…
聞いてられない。
嘉明、先ほどの話を続けよう。
私はお前が璃月港に残ることに反対だ。
苦労するに決まっている。
お前が家に帰ってきてくれたら…
まぁお前は私と性格がそっくりだからそりが合わないのは知ってる…
ただ私のことはさておき、他の家族のことを考えてみろ!
叔母や叔父たちは喜んでお前の力になってくれるはずだ…
少し楽な仕事に就いて…
時間があるときに、一緒に早茶をいただくのもいいんじゃないか?

申鶴
師匠、早茶とは大事なものか?

閑雲
しーっ!

葉徳
…もう一度考えてはくれないか?
すぐに答えなくてもいい。
心が決まったら聞かせてくれ。

嘉明
(親父…
本当に変わったな。
昔の親父だったら、こんなこと絶対言うはずないのに…)
(でも…
オレは…)
親父、ありがとう。

葉徳
はぁ…

パイモン
結構時間も経ったし、そろそろいいんじゃないか?
二人が仲直りしてくれてたらいいな。
…うーん、二人とも黙ってお茶ばっか飲んでるぞ。
なんか嫌な予感が…
まさか閑雲の計画が失敗したのか?
戻ったぞ。
見送るついでに色々しゃべってたら、つい時間が経っちゃって。

葉徳
ちょうど私たちもお茶を飲み終わったところだ。

嘉明
じゃ、出発すっか。
荷物を持ってくる。

葉徳
…嘉明、いつの間にこんなに背が伸びたんだ。

-------------------------

申鶴
師匠、先ほど我は何か不適切なことでも言ったのだろうか?
師匠の質問に正直に答えたつもりだったが…
師匠と嘉明の父親の反応が少し妙な気がした。

閑雲
心配無用だ。
少々問題は生じたが…
結果からすれば、計画は成功だ。

申鶴
我も役に立ったか?

閑雲
無論だ。
俗世に染まらぬこともお前の個性だ。
自分らしく生きていけばよい。

-------------------------

…璃月港に行き、荷物を届ける…

シャルロット
葉徳さんですよね?
遠路遥々お越しいただき、ありがとうございます。
『スチームバード新聞』の記者、シャルロットと申します。
今回お茶を購入するついでに、差し支えなければ取材もさせていただきたいのですが。

葉徳
取材?
お茶の宣伝だろうか?

シャルロット
はい、そう捉えていただいて問題ありません。
フォンテーヌ人もお茶が大好きなんです。

葉徳
フォンテーヌへの販路開拓か…
なら、準備する時間がほしいのだが、取材の内容について事前に話を聞かせてもらえないだろうか?

シャルロット
もちろんです!
こちらへどうぞ。

嘉明
彼女もオマエらの助っ人の一人か?

①嘉明はどう思う?
②「大口顧客」だよ。

嘉明
自分も顔が広いほうだと思ってたんだが、上には上がいるな。
参ったぜ、オマエらには。

閑雲
コホン…
こっちだ…!

嘉明
ん?
閑雲おばちゃん?

パイモン
きっと次の計画の話だ!
葉おじさんに気づかれないうちに、早く行こうぜ!

-------------------------

シャルロット
…ミルクとの相性はどうでしょうか?
お砂糖は?

葉徳
えーと…
その質問は控えていただけたらありがたいのだが。

シャルロット
分かりました。
ストレートでの飲み方がお薦めなのですね?
でしたら、取材ではお茶の味について詳しく教えていただけますか?

葉徳
もちろんだとも。

シャルロット
ありがとうございます。
続いてはお茶の包装についてお伺いしますね。
私も最近、璃月の伝統的な模様の意味や組み合わせについて、色々と勉強しました。
それらの要素をお茶の包装にも取り入れたらどうかなと思っておりまして…

葉徳
確かにいい考えだ…

-------------------------

…閑雲と会話する…

閑雲
…すべて順調か?

パイモン
心配すんなって。
すべて計画通り、うまくいってるぜ!

嘉明
(ってことは…
さっきのは演技だったんだ!
やっぱただもんじゃないな、閑雲おばちゃんは!)
(オレのために…
自分自身と弟子たちの総力を挙げて手を貸してくれてるんだ。
これが人のために尽くすってやつか!
オレも見習わないと。)

閑雲
次の段階では…

嘉明
あっ…!

パイモン
どうしたんだ、嘉明?

嘉明
今回のお茶代だけど…
もしかしてオマエらが払ったのか?
さすがにそういうわけには…

閑雲
そう慌てるな、立て替えただけだ。

パイモン
そうそう、凝光の言葉を借りると「投資」ってやつだな。
オイラたちの出し合ったモラでシャルロットがお茶を買って、それをお土産としてスチームバード新聞社に持ち帰ることにしたんだ。
シャルロットの記事が新聞に載れば、販路拡大の効果も期待できるだろ!
そしたら、投資分なんかすぐに回収できるはずだぜ!

嘉明
そ、そっか…
商売のことはさっぱりだけど、とにかくオマエらに損をさせるわけには絶対にいかない!
やっぱ帰ったらちゃんとモラを渡すな。

閑雲
その話はまた後でよい。
お前はもっと大事なことを考えるべきではないか?

嘉明
…ああ。
護送中、オレはずっと考えてた。
で、一つ案を思いついたんだ…
ただ、みんなにまた迷惑をかけちまう…

閑雲
話してみろ。

パイモン
そうそう!
オイラたちみんな、おまえの友達なんだぞ。
おまえの力になりたくて、こうやって集まってるんだ。
遠慮なんていらないからな。

嘉明
分かった!
ふぅ…
オレの考えはこうだ――

パイモン
――おう!
よ~くわかったぜ!
任せとけ!
じゃあ、手分けして行動しよう。
あっ、それと計画の実行も大事だけど、凧揚げ大会も気になるよな。
せっかく魈が比較してくれたんだし…
例のあの難しい名前の装置を買って、パイモン凧に取り付けてみようぜ!

…凧の屋台に行く…

パイモン
店主、また来たぞー!

枕鳶
いらっしゃいませ!
配達から帰ってきたのですね?
先日はどうもありがとうございました!
あの日、うちの子供がさっそくおばあちゃんと一緒に凧を作ったそうで、すごく喜んでいました。
私に長い手紙まで書いてくれたんですよ。

パイモン
へへっ、お礼なら嘉明に言ってくれ!

枕鳶
ええ、彼にもお礼を言っておきます。
ところで、今回は凧をお求めで?
どうぞご自由にご覧ください。

パイモン
凧ならあるぞ。
今回はあの…
フォンテーヌ製の装置を買いに来たんだ。
それだけを単品で買えるか?

枕鳶
あ、それならどうぞお受け取りください。
説明書は箱の中にあります。
簡単に取り付けられますよ。

パイモン
でも、タダでもらうわけには…

枕鳶
どうかお気になさらないでください…
ふふっ、凧揚げ大会での健闘を祈っています。

パイモン
そっか。
じゃ、ありがたくもらっとくぜ。
へへっ、取り付け完了だ!
次は、例の計画の実行に取り掛かろうぜ!

…海灯祭の開始を待つ…

パイモン
これでばっちりだな。
見晴らしのいい場所を見つけようぜ!

彩鳶、風に問ふ
流れる季節の中、これほど喜びに満ちる時は幾度あろうか?
祭りの華が散りゆく頃、ふと思う――
来年の再会は、また何時になるのだろうかと…
春よりも一足先に訪れる風に尋ねてみよう――
遊子幾時帰るや、共に月明り浴びて語らん。

ヨォーヨ
七七 もうすぐだよ!

七七
…うん

甘雨
…少しじゃがんでください

パイモン
今年の海灯祭も相変わらず賑やかだな!

えっ?
何があったの?
何か故障したのか?
どうしたもんか…
(そんな…)
誰か 千岩軍に連絡してくれないか?
あれなに?

シャルロット
さっきそんなに撮ったっけ?
…早くフィルムを換えないと!

パイモン
いけっ 頑張れ 頑張れー!

嘉明
そんな風が…

あれ 見て
あれは…
ママ ぼくもあのデカい凧が欲しい!
一番高く飛んでる凧見た?
すっごくキレイよ!

刻晴
…海灯祭を祝して!

シャルロット
海灯祭を祝して!


パイモン
さっきの嘉明、格好よかったな!
オイラまで興奮しちゃったぞ。
おまえも見ただろ?
あいつを探してみようぜ!
おっ…
あっちだ。
あそこでお父さんと話してるみたいだぞ!

…嘉明と会話する…

漱玉
…あたし、先に帰るね?

葉徳
ああ、感謝するよ、お嬢ちゃん。
送っていこうか?

漱玉
ううん、大丈夫!
師匠がすぐ近くにいるから。

嘉明
……

葉徳
……

嘉明&葉徳
親父。
嘉明。

葉徳
…はは…
…今回は私から言おう。

嘉明
ああ。

葉徳
素晴らしかった。
ずっと長く獣舞劇を見てきた私でも…
素晴らしかったと言わざるを得ない。

嘉明
…ふぅ。
親父も態度がやわらかくなるときがあるんだな。

葉徳
お前…
本気でこれを生業にするつもりか?

嘉明
ああ!
分かってるさ、難しいことは。
でも…

葉徳
重要なのはそこではない。
私が言いたいのはだな…
「難しい」というのは客観的な事実に過ぎないということだ…
重要なのはお前の決断、お前の夢、そしてお前の行動だ。
私が若かった頃は…
おっと…
昔話はまた今度にしよう。
とにかく、考えが変わったのだ…
この凧も、もっと高い所へ飛んでいくべきだ。

嘉明
親父…

葉徳
…息子よ。

嘉明
な、なんだよ、急に「息子」なんて呼んで…

葉徳
「親父らしくない」、「まさかこんなことを言うなんて」とか、思ってるんじゃないか?

嘉明
うっ…
えっと…
ちょ、ちょっとだけ。

葉徳
なかなかこういったことを言う機会がなくてだな…
そのなんだ、本当は…
コホンッ!
私にとって、お前は本当にいい子だ。

嘉明
……

葉徳
さあ、言いたいことは以上だ。
それにお前もさっきから何か言いたそうじゃないか…

嘉明
……

葉徳
……!

パイモン
あいつら、ちゃんと話せてるっぽいな。
うまくいったみたいで、オイラもほっとしたぞ。

①そうだね。
②パイモンも頑張った。

葉徳
…さて、私は行こう。
ほら、あそこで友達が待っているんだろう?

嘉明
えっ?
でも親父、せっかく璃月港に来たのに…

葉徳
璃月港にはもうしばらく滞在するつもりだ。
早茶は、お前が奢ってくれるな?

嘉明
親父…
ったく!

葉徳
ハハハッ、行ってこい。

嘉明
ああ…
また後でな。
行ってくるぜ。

パイモン
嘉明!
へへっ、嬉しそうに笑ってるな。

嘉明
そ、そうか…?

パイモン
別に照れることないぞ。

>これからやりたいことは?

嘉明
うーん…
ちゃんとみんなに礼を言いたい、閑雲おばちゃんや手伝ってくれたダチにな。
で、もし時間があったらみんなで…
凧揚げしようぜ。

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葉徳
今でも冬蓉酥が好きなのか?

嘉明
嘘だろ?
ずっと覚えてたのか、
パイモンが言ってたことを?

葉徳
ハハッ…
もちろんだ。
父が子のことに関心を持たないわけがないだろう?
小さい頃、お前は私の肩に乗って獣舞劇を観に行くのが大好きだった。
毎回帰り道に腹が減ったとか、焼き菓子が食べたいと騒いでいたな。
屋台ごとに二つずつしか買っていなかったというのに、いつの間にか街中の屋台を全部回っていた。
一回、奢ってくれたことがあっただろう?
お前のお小遣いでな、覚えてるか?

嘉明
ああ…
覚えてるぜ。

葉徳
あれが人生で食べた一番美味い冬蓉酥だった…

嘉明
また食べに行こうぜ。
その店ならまだあるし、道も覚えてる。
今回もオレの奢りだ。

葉徳
…いいのか?

嘉明
おう!

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申鶴
解せぬ…

甘雨
何か困ったことでもありましたか?
相談に乗りますよ?

申鶴
黒は汚れにくいのに、この服を着て万民堂で働くのを香菱が認めてくれなかった。
適切ではないと言ってな。
適切ではないとは…
いったいどこがだ?

甘雨
…状況と見た目が不釣り合いということかと。
もし今日みたいに友人たちと海灯祭を楽しんだり、夜景を眺めたり、重要な宴に出席したりするときなら…
とても適切だと思いますよ。

申鶴
つまり大事な人にしか着た姿を見せない…
そういうことだろうか?

甘雨
えっと…
そうとも取れますかね。

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閑雲
玉衡、この凧揚げ大会の優勝賞品は他の者に譲るといい。

刻晴
真君、どうか遠慮なさらないでください。
数多とあった凧の中であなたが飛ばしたものは実に精巧で、右に出る者はいませんでした。
賞品は真君に受け取っていただくのが相応しいでしょう。
それに真君の助けがなければ、今年の海灯祭がここまで円満になることもありませんでした。

閑雲
…フッ、それではその言葉に甘えて受け取るとしよう。
だが玉衡、一つ頼みたいことがある。

刻晴
どうぞ何なりと。

閑雲
この箱に入っておる「松蘿仙芽」を、勤務中の千岩軍たちに配っておいてくれ。
楽しい佳節を過ごせたのは、彼らが責務を果たして全力で守ってくれたおかげだからな。

刻晴
(さすがは留雲借風真君!
思慮深く、そのうえ用意周到だわ。)
かしこまりました。
あとで順次送り届けます。

閑雲
(ふぅ…
一石二鳥の策を思いついて助かった。)

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シャルロット
海灯祭、本当に最高だったわ!
今夜は眠れないかも!

①マシナリー式フローティング装置について…

シャルロット
あっ、それね。
あの装置の発明者は、ヒルデソンスというフォンテーヌ人よ。
彼はいつもマイナーなマシナリーをいじってるの。
うちの新聞社にも何度か来て、発明品を取り上げてほしいと言ってきたわ。
えーと…
彼が言ってたのは…
あっ、これね!
「この装置は機械動力のみで駆動しており、外部のエネルギーを一切必要としない」…
つまり手動でゼンマイを回すってことね。
この装置でどれだけ高く飛ばせるかは、操作者の人力で決まるってわけ…
それを凧と結びつけるなんて、ほんと奇抜なナイスアイデアよね。

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②お茶の記事と協力について…

シャルロット
葉徳さんの取材は順調に終わったわ。
原稿ももうフォンテーヌに送ったわよ。
これこそ「真実味」と「物語性」を兼ね備えた独占取材ね。
自分でも結構気に入ってるの。
そうだ、この機会を作ってくれたみんなにも感謝しないと!
特にあの喋り方が独特な閑雲さんにね。
君たちの人脈とアイデアのおかげで、私はこの予想外の「手土産」を得られたんだもの。

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③「海灯祭」について…

シャルロット
他の国のお祭りを実際に体験するのって初めてなのよね。
感想は…
とてもワクワクして楽しかったわ!
華やかな飾り付けが醸しだす祭りの雰囲気、「祭日」がもたらす感動、重厚であり綿々と綴られてきた詩的な伝統と文化…
そういえば刻晴さんが贈ってくれた凧に、自作の詩が添えてあったのよね!
「風立ちぬなか紙片折りて、亭の欄干にもたる。
幾重の夢のなか紙鳶贈りて、絶雲の峰で出づる抱負。
清き汀で荻花眺むること、今ここに願わん。」
この詩も私の海灯祭特集記事に入れようと思うの。
きっとみんな気に入ってくれるはずだわ。

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④またね、シャルロット。

シャルロット
ええ!
あなたたちも楽しいお祭りを過ごしてね!

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七七
凧が、高く飛んでる。
ヨォーヨ、ありがとう。
好き。

ヨォーヨ
ヨォーヨも楽しかったよ!
今日だけじゃなくて、これからも一緒に凧揚げしようね。

七七
いいの?

ヨォーヨ
うん、今度はお昼に揚げよっか?
お昼だったら絵柄もはっきり見えるよ!
高く飛んでるとヤマガラそっくりなんだぁ。

七七
うん。
凧…
夜寝るとき、抱きしめてもいい?

ヨォーヨ
えへへっ、もちろんいいよ。

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接笏
その様子、また旧友のことを思い出しておるのか?

候章
物を見て故人を偲ぶ、これも仕方のないことだ…

接笏
…話すといい。
話したら心も軽くなる。

候章
もし弥怒がまだいたのなら、この平和な盛世を共に眺めることができただろうと思ってな…
あやつは手先が器用で、凧作りなど造作もない。
この時代にもし屋台でも開き、凧の商売をしていたら、きっと千客万来であっただろう。
もしあやつが昔のように俗世に近づく機会に恵まれないのであれば、我らに凧を託せばいい。
商いが終わったら、酒を持ってあやつと酔うまで飲むのだ。

接笏
削月、あやつはもうおらん。

候章
…そうだな。
もうおらぬ…
あやつの分まで、もう少し眺めておこう。

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旅人。

>やっぱり街には入らないんだ。

海灯祭の灯りと風景を見たのか聞くつもりなら…
見ろ、この山の裏に璃月港がある。

高い所に登り遠くを眺めれば、夜の帳の下、徐々に舞い上がっていく凧の数々を目に収めることができる。
…これでいい。

>そっか。

先日、お前をここに呼んだのはやりたいことがあったからだ。
…共に、霄灯を飛ばしてくれないか。

>魈が作ったの?

ああ。
作りが拙いところは…
目をつぶってくれ。

>そんなことない。すごい。

…うむ、お前ならそう言うと思っていた。

では、手を放すぞ。
……

>(霄灯は徐々に視界から消えていった。
周りは穏やかな雰囲気に包まれ、魈は少し表情を緩めた。)

旅人。
…礼を言う。

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