(やっぱり若竹が必要だな…)

若竹で作った棹のほうが手に馴染むな…
お客さん、翹英荘までいかだに乗って行くかい?

①いかだに乗って翹英荘に向かう

了解。
どうぞ席についてくれ、すぐ出発する。

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②竹?棹?

棹を作る竹には若竹か老竹かの違いがあってな、船頭の慣れにも関係しているんだ。
厳密に言えば、軽策荘の老竹と若竹は、通常の時期に伐採し、通常の工程処理を経ていれば、強度は大して変わらない。
とはいえ、船頭の手は一人ひとり違うんだから、自然と選ぶものも違ってくる。
俺に民謡を教えてくれた船頭さんは、同じ茶葉でも違う茶職人が加工すれば、違う風味を放つようなものだと言ってたな。
使い慣れているのが若竹の棹か老竹の棹かで、船頭が舟を漕ぐ時のリズム、口ずさむ民謡の節回しにも、それぞれ自分だけの特徴がある…

 >民謡?

沈玉の谷の船頭はみないかだを漕ぎながら民謡を口ずさむんだ。
その唄は老人から若者に受け継がれてきたものさ。
誰がどのくらい前に作ったのか誰も知らないが、この民謡は知らず知らずのうちに沈玉の谷の多くの住民の記憶に刻み込まれているんだ…
俺が一番感銘を受けたくだりは――
「…乾陽と臨坤は自ずと隔たりて、長き流れの渦は止まり、美玉はそこに潜む…」

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③今は結構。また今度!

いいよ、沈玉の谷の川筋にはいつも船頭が待っているからな。

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■『翹英荘』に到着

お客さん、翹英荘に着いたぞ。
縁があれば、また今度で。