本が消えてしまったことを、本当に彼に隠しておくのだろうか?
離島の波止場に行こう。
オイラたちが迎えなきゃいけない璃月の船が、もうそろそろ来るみたいだな。
波止場に行こうぜ。
行秋も船に乗ってるのを忘れるなよ?
小説を失くしたこと、うっかり言わないように気をつけるんだぞ。
みんな、璃月から稲妻の容彩祭に参加しに来たんだよな?
オイラたちは容彩祭のガイドなんだ、島まで案内するぜ。
あれ、オイラの気のせいか?
おまえのこと、どこかで見たよう…
この船には書道家以外にも、画家や機関棋課の棋士も乗っているんですよ。
以前、機関棋議の発明者が飛雲商会まで投資の話を持ちかけてきたんです。
旦那様は興味を示さなかったのですが、坊ちゃま
のほうは支援したいと仰っていました。
聞いたところによると、容彩祭でも機関棋源の展示とお試しがあるそうで。
旦那様から、坊ちゃまと一緒に稲妻でこの製品の将来性を確認して来てほしいと頼まれたのです。
坊ちゃまは…
おや、旅人にパイモン。
君たちも稲妻を訪れて来たのかい?
とうやら僕たち、本当に縁があるようだね。
>なんだか元気がないみたいだけど。
問題ないよ。
船の上で小説を読むのに夢中になってしまってね、気がついたら夜が明けていただけだ。
そうだ、島に上陸したら、勘定奉行に招待状を見せなければならないんだろう?
先に招待状を取り出しておこう。
僕の荷物の下に紙がある…
おかしいな、さっきまではなかったはずだけど。
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彼が居眠りをしていた間に、誰かが置いたようだ。
紙には、『五歌仙容彩・葵の翁編』という詩が書かれている。
五歌仙容彩・葵の翁編
年老いて 冠掛けし かたはらは
松影霞む 月ばかりなり
敢へ無くも からき命を 守りたり
逆ふることは ほいなきにこそ
しぶしぶに せいて探りて 見つけたるを
衣の中に もて隠したり
脅しつるは 何人ならむ 如何にぞや
恐らくかのもの たぶれたるべし
赤人を想ひて 詠んだ歌ゆゑに
友は何処や あな口惜し
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問違いない、この前手に入れた物語のシリーズだ。
文字の筆跡までまったく同じだぞ!
この前手に入れた物語?
港口の倉…
>コホンッ——!
倉…倉…「捜索大作戦」!
えっと、オイラたちの友達が、離島で容彩祭のために五歌仙の肖像画を描くんだけど…肝心な五歌仙の物語が、色んな場所に隠されちゃってるんだ!
その物語を見つけてそいつに渡せば、モデルとして絵の中に描いてもらえるかもしれない!
待てよ、それって…
>まずい、疑ってる!
>パイモン、さすがに無理がある!
で、でもこの一瞬で、他に思いつかなかったんだ!
それってまさか…白亜先生に会えるということかい!
えっ?えっと、おう…
本当かい?
それはよかった!
実は以前から、白亜先生が容客彩祭に参加することを知っていてね。
機関棋譚の投資価値を見極めるという名目で、なんとか父上に稲妻へ来ることを承諾させたのさ。
だけどそれからすぐに、白亜先生が祭り期間中に五歌仙の肖像画を描かなければならないと聞いた。
せっかく白亜先生と稲妻へ来ることができたのに、会う機会すらないなんて…
そう思って、しばらくの間ずっと落ち込んでいたんだ。
安心しろ、行秋。
確かに白亜先生には仕事があるけど、友達にすら会えないほど時間がないわけじゃない。
今から、あいつのところに連れて行ってやるぜ。
それに、もうオイラたちも聞いてるぞ。
白亜先生はおまえの小説『枕秋拾剣録』の挿し絵を担当してるんだってな。
君たちも知っていたのか。
正直なところ、璃月ではまったく人気が出なかった僕の小説が、稲妻で売れている理由…
その半分は、白亜先生の美しい挿し絵のおかげなんだ。
白亜先生は絵の腕もさることながら、完成させる速度も凄まじい。
最新章の挿し絵は、わずか数時間で描いたそうだよ。
僕の見解だが、あの挿し絵には迷いが一切なく、実に精巧なものだった…
おっと、話に夢中で時間を忘れてしまったね。
早く行こう。
ふぅ…アルベドのおかげで行秋の注意をそらせたな。
気づかれなくて済んだぜ…
アルベドに会っても、ボロが出ないといいんだけど。
五歌仙広場でアルベドを探し、彼と相談しよう。
ん?隣の方は…?
お会いできて光栄です。
僕は『沈秋捨剣録』の作者――枕…
いえ…お会いできたのに筆名で呼ばせるのは失礼でしたね。
僕のことは行秋と呼んでください。
お互い旅人の友達なんだし、本名で呼び合う方が手間も省けるはずだ。
それに、ボクたちはこれまでにも交流があっただろう。
そこまで畏まられると、かえって慣れないよ。
オイラたちもこんなに慌てた行秋を見たのは初めてだ。
>見識が広まった。
コホンッ…
まったく、君たち二人まで機会とばかりに僕をからかわないでくれ。
そうだ、先ほど埠頭で「捜索大作戦」の物語を見つけたんだ。
聞けば、君はそれを収集しているんだってね。
五歌仙物語が書かれた紙切れを探すあのイベントのことだ!
前に吟遊野郎が一枚見つけて、モデルとしておまえの絵に採用されただろ…
そう、そうだったね。
ありがとう、大助かりだ。
だけどこの物語、まったく筋が通っていないように見える。
どういうことなのか詳しく教えてくれないか?
食事といえば、志村屋のうな茶漬けがとても美味しいんだ、そこへ行くのはどうだい?
志村屋か。
だけど今日は風が強いからね、烏有亭でもいいかい?
僕は荷物を置いてくるから、後で烏有亭で会おう。
オイラけっこう上手くやれたと思ったんだけど…
もしかしてどこかでポロが出てたか?
旅人、どう思う?
おいおい、二人ともなに言ってるんだよ?
行秋からすれば筋の通っていないものだけど、前のものと合わせて読んだならどうだい?
どれどれ…
翠光は酔っぱらって眠ったせいで、葵の翁の歌を失くした…
葵の翁は自身のその歌を、謎の人物に渡した…
これってまさか、今日の物語は…
『沈秋拾剣録』の新刊を盗んだ犯人が…
行枚本人だって言ってるのか!?
そんなはずないだろ…
だって行秋は今朝稲妻に着いたばかりなんだよな?
行秋がついさっき稲妻に到着したのなら、なぜ志村屋のお茶漬けの味を知っていたんだい?
それに、ボクが風が強いことを理由に場所を変えた時、彼は何の疑問も抱かなかった。
まるで志村屋が、屋台であることを知っていたかのようにね…
本当はもっと前に行秋は稲妻に到着してたのに、着いたばかりのフリをしてたってことか?
行秋の夢は「義侠心」ある人になることなんだ。
人助けはしても、仁義に背くことは絶対にやらないはずだぞ!
ボクは行秋と初めて会ったが、以前から手紙で交流していたからね。
彼の人柄についても、理解しているつもりだよ。
きっと事情があるんだろう。
この物語にもあったが、葵の翁が歌を持っていったのは、誰かに脅されたかららしい。
もしかして危険な目に遭ったんじゃ…?
だけど烏有亭は屋内席のみの料亭だから、怪しい者の尾行や盗み聞きは、すぐに見つけられるはずだ。
あそこで話をしたほうが安全だろう。
真相を明らかにするためにも、店ではボクの話に合わせてくれ。
とりあえず、烏有亭へ向かおう。
周囲に怪しい人物は見当たらないね。
店の中で行秋を待とうか。
オイラすっごく緊張してきたぞ!
行秋とどう話せばいいんだ…
もし彼が嘘をついている確たる証拠が見つかれば、それを突破口に真実を言わぜられるだろう。
彼が来ないうちに、まずは店にいる客と話してみるのはどうかな。
何かに気付けるかもしれない。
店主とお客さんたち、そしてアルベドと少し相談しよう。
もし彼が本当に何かを隠しているなら、きっとボクたちよりも緊張しているはずだ。
創作について話せば、彼の警戒を解くことができるかもしれない。
行秋が、短い時間でまったく迷いのない挿し絵を完成させてくれたおまえに感謝したいって言ってたぞ。
ふむ、それはまた、とても価値のある情報だね。
容彩祭の最終段階で行われる新刊即売会、僕が一番楽しみなのは『沈秋拾剣録』さ!
ああ、なんと言っても先行販売限定のサイン本は、実に収集価値がある!
絶対手に入れないと!
以前も枕玉先生のサインを見たことがあるけど、とても整った字で、真面目なお人柄が垣間見えたよ。
即売会当日は、先生も現地にいらっしゃるみたいだから、その時にお姿を拝見できるはずだ。
噂によると、凄く若いらしいぞ。
オイラの聞き同違いじゃないよな…?
行秋が新刊にサインする上に、字が「とても整ってる」だって…?
岡崎陸斗(「烏有亭」店主)
ずっと海じゃ大雨が降ってたから、漁船もほとんど出てなかった。
だから今日のは全部、天気が好転した今日捕ったばかりのもんだ。
寝ること以外何もできなかったそうだ。
少し経った頃、行秋が烏有亭に来た。
そして食事が終わり…
稲妻の料理は新鮮な海の幸が中心で、とても好みだ。
オイラたち、おまえがあまり眠れてないなら食欲もないんじゃないかって心配してたんだ。
蛍、この機会になにか聞き出せないか、行秋と話をしてみようぜ!
そうだな…
旅の道中について聞いてみたらどうだ。
初めはワクワクしていたけど、海上にずっといるのはやはりつまらないね。
道中なにか印象深かったこととかないのか?
ところで行秋、旅の途中なんの本を読んでたんだ?
担当から送られてきたんだ。
ははっ、僕は古華派の技を会得しているから平気さ。
でも確か船酔いしていた人は少なくなかったね。
特に疑わしいところはなかったな。
実を言うと、海では毎日が同じ景色なんだ。
これといった風景もないせいか、みんな到着を待ちくたびれていた。
だから稲妻の近くまで来た時は、遠くにある影向山の頂上を見て、みんな一斉に甲板に出ていたよ。
ただ船が進むのがあまりにも遅いせいで、山頂が見えてから岸に着くまで、丸一日かかったな。
この話も、疑わしくはないような…
あっ…そっか…
岸に着くまで丸一日かかったんなら、山頂が見えたとき、海は大雨だったはずだよな!
行秋と創作について話してみよう。
小説を読むのは面白いが、書くとなるとそれはまた別の話だ。
物語の構成、文章のテンポ、すべてがある種の学問だからね。
それに、興味のあるものを創作するとは言え、必ずしも満足のいくものを表現できるとは限らない。
著作、描画、錬金術の研究…
どんな分野においても、真剣に打ち込めば打ち込むほど、本当に満ち足りていると思える瞬間はわずかになるものだ。
ところでアルベド、僕の小説の挿し絵を書いてくれた君に、ずっと前から感謝したかったんだ。
僕の小説は、璃月ではあまり売れていなくてね。
だから実を言うと、あまり自信がなかったんだ。
でも君の挿し絵は、いつもその章で一番重要な場面を選んでくれている。
僕の表現したかったことが、理解されているのを感じたよ。
実を言うと、ボクも少し不安なんだ。
娯楽小説の挿し絵はキャラクターを描くのが主流だけど、今回の最終章では他のものを描いたんだ。
背景だけを描くと言うのは、とても合っていたと思うよ。
ボクの挿し絵は稲妻に届いてすぐに印刷されたはずたから、行秋は本当なら見たことがないはずだ。
行秋、ボクたちから一つても重要なことを聞いてもいいかい。
ん?それは一体、何のことだい?
昨日までは海の天気がよくなかったみたいなんだ。
だからおまえがさっき言った、影向山を見たらみんな甲板に出たって話は、ありえないんだ…
作者であるボクたちですら、まだサンプルをもらっていないのに、一体どうして、挿し絵の詳細を知っていたんだい?
本当は今日よりも前から、稲妻に来てたんだろ?
なにか危ないことに遭遇して、本当のことが言えないのか?
それなら安心しろ、旅人もアルベドもすごいんだからな!
はぁ…やはりここ数日の睡眠不足のせいで、頭が鈍ってしまっていたみたいだ。
君たちが僕を探っていることに気付けないとは…
少し用事があって、確かに復は稲妻に早めに来ていた。
どう君たちに説明しようか…
少し考えさせてくれ。
はぁ…本当に話しにくいことなんだ…
君たちもここにいたのかい。
どうしてここに?
実は、君たちに良い知らせがあるんだ。
さっき九条裟羅に会ったんだけど、『沈秋拾剣録』を盗んだ犯人を天領奉行が捕まえたから、もう心配しなくていいって言ってたよ。
天領奉行が捕まえた犯人というのは、もしかして小野寺さんという編集者かい?
早く小野寺さんを救出しに行かないと!
早く彼と一緒に編生者の家まで行って、「人助け」しよう。
小野寺さんは無実だ!
他の者まで一緒に来るとは思わなかったが。
まずは話を聞いて…
実はさっき、九条様にすべての事情を話しました。
黒田も証言してくれたんです。
ちょうどここを去るところだった。
いやよくない!
それって…ここにいる者は、みんな知ってしまったということか…?
プッ…!
正確に言えば、犯人逃亡を防ぐために配備していた、もう二小隊の人員もな。
実際、この件が僕の責任であることに変わりはない。
いえ、枕玉先生。
この件はすべて私の責任です。
皆さん、私から説明いたしましょう。
今回の容彩祭で、私は「作者のサイン入り新刊」を売り出すアイデアを考えました。
これは私が八重堂に入ってから、初めて任せられた大型企画です。
それに、八重様からも絶大な支持を受けていました。
ですが、作者の先生方と相談する前に、企画内容を提案してしまい…
枕玉先生には多大なご迷惑をかけてしまいました…
僕は書道が得意でなく、サイン関連の企画には向いていないということだ…
共にこの難問を突破するために…
ここ数日、先生はひたすら字を書く練習をされていました。
ですが一冊のサインにかかる時間は長く、確保していたサインの時間では足りませんでした。
そこで考えたんです…
新刊を倉庫から私の家に運べば、発売までの期間を使って、先生にサインしていただけると。
完璧な計画だと思ったのですが、まさかこんなすぐに気付かれてしまうとは…
思いもしませんでした。
それに加えて、私もここ数日ちょうど休みを頂いていたので、先生と一緒に家にいたんです。
そのせいで現場の状況にいち早く気付くことができず、こんな大騒動に…
はぁ…私はこの企画を通して、自分の実力を証明したいと思っていましたが…
その気持ちが強すぎたせいで、こんな結果を招いてしまったのでしょう…
読者に字が汚いことを知られたくないという理由から、その提案を受けたんだから。
それにそもそも、小野寺さんは僕の以前のサインに惑わされてしまったんだ。
以前、八重堂でのイベントで、契約作者の直筆サインが展示されたことがあってね。
当時の僕は、丸一日かけて、ようやく形と流れが整った美しいサインを出すことができた。
けど…今考えてみると、見栄を張って建て前のためのサインを書いたことは、自分で自分の首を絞めたことと同義だった。
まあまあ、二人ともそんなしょんぼりしないで。
窃盗事件が誤解だって分かってよかったじゃないか。
それに、誰しも人に見られたくない一面はあるはずだよ。
そうだぞ、行秋と小説が無事だってわかっただけで、十分だ。
黒田
小野寺さん、小説紛失の件の真相については、やはり離島にいる他の皆さんにも説明したほうがいいでしょう。
小野寺
分かりました。
私から皆さんに謝罪してまいります。
じゃあ、オイラたちも離島に戻ろう。
小野寺、行秋一行と共に遠国監察会場に行き、他の編集者たちに事情を説明する。
…遠国監察会場に行く…
平山
おや、小野寺さん、どうしてここへ?
ここ最近はお休みたのでは?
編集たちに事の経緯を説明した。
小野寺
本当にすみません!
皆さんにご迷惑をおかけしてしまいました!
平山
はぁ…まったくあなたは…
どうしてもっと早く、それを言わなかったのですか?
みんな知っていれば、一緒に方法を考えてあげられたはずです。
村田
そうよ、みんなで一つのチームなんだから、困った時はお互い様でしょ。
平山
まあ…今はそれよりも、枕玉先生のサインについて解決するほうが重要です。
先生、そちらの進捗はどのような状況でしょう?
行秋
実はあまり楽観的ではいられない。
ここ数日夜通しで作業して、約十分の一しか出来ていないんだ…
どうりでずっと、行秋は眠たそうにしてたんだな。
平山
分かりました。
村田さん、後で八重堂に戻って荒谷さんを呼び、烏有亭二階の部屋を貸し切ってください。
枕玉先生の書道特訓用に使います!
村田
はい!主任、実は私の兄が書道家なんですが、兄を呼んてきてご指導を手伝わせましょうか?
平山
それは願ったり叶ったりです。
それを聞いて私も一つ思い出しました。
今日は璃月から、書道家の先生が二人いらっしゃる予定です。
我々も仕事をご一緒したことがあるので、彼らにも頼んでみます。
行秋
何だか…大変なことになりそうな予感が…
小野寺
枕玉先生、ご心配なく。
先生ならきっとできます!
以前も、一週間だけで小説の最終章を書いたじゃないですか。
小説と書道はまったく別物だ!
結局、行秋は暫くサインから逃げられなさそうだけど、なんだかオイラすごく安心したぞ。
以前はボクも一人で研究拠点にいるのが好きだった。
だけど今は、他の人も一緒になって問題を解決するのも悪くないと思う。
重要な情報を提供してくれた謎の人物にも感謝しないとね。
それって、五歌仙物語を残したやつのことか?
君たち、何の話だい?
そっか、行秋にはまだこのことを話してなかったな…
行秋にここ数日起きたことを話した…
なるほど…
となると、僕と小野寺さんが小説を運んでいたところを誰かに見られていたことになるね。
アルベド、君に一つ頼みたいんだが、僕も君の絵に入れてくれないか?
今日の件が何とか解決できたのは、あの物語のおかげだ。
それに、この教訓をより深く覚えておきたいんだ。
ああ、いいよ。
肖像画の統一性を考えても、それがー番道理にかなっているからね。
その影こそ 葵の翁
すべては素性の知れぬ者の目論見
脅されし葵の翁は やむなく歌の一枚を奪ひぬ
如何にぞや奪はせしむか?
ただ知るはその歌が 友の「赤人」を詠むることのみ
アルベドって本当にすごいよな。
葵の翁の肖像画をもう完成させるなんて。
行秋は烏有亭で特訓してるみたいだけど、一体どうなったんだろうな…
なあ、あの物語を残したやつって、もしかして近くに潜んでるんじゃないか?
>その可能性はある。
おーい――物語を書いた人!
近くにいるのか?
行秋のためになにか方法を考えてくれよ!
行秋はオイラたちの友達で、今回の新刊即売会は行秋にとってすごく大事なことなんだ!
ん?なんの音だ?
うぅ、猫か…
うーん、やっぱり簡単には現れてくれないよな。
もう遅くなってきたし、オイラたちも帰って休もうぜ。
明日の朝、また港口で船を迎えなきゃいけないしな。