(凡俗なことばかり話るくらいなら、黙っておった方がまだマシじゃぞ…)
曰く――
「世間の興亡 幾多のこと、清泉旧によりて独り流る」。
文人はその心を堅く守り、風流を語るべきである。
俗な話ばかりするのなら、黙っておったほうがマシじゃ…
俗な話ばかりするのなら、黙っておったほうがマシじゃ…
①あなたは…?
やつがれは一応玉匠だが、半分は詩人じゃ。
これまでもたまに遺瓏埠の茶館で講談や故事を読んでおった。
これまでもたまに遺瓏埠の茶館で講談や故事を読んでおった。
❶玉匠?
はは、やつがれも若い頃は、沈玉の谷に数多ある玉匠の中で抜きん出ておったのじゃ。
美玉と玄妙な故事の間には、複雑に絡み合った繋がりがあるものじゃ。
美玉と玄妙な故事の間には、複雑に絡み合った繋がりがあるものじゃ。
そのため、やつがれは美玉を彫っているとき耳にした故事を隣近所の人たちに話して聞かせ、いくらか有名になった。
今でもたまに玉器を弟子のところに預けて売っておる。
もし遺瓏埠に行ったら、やつがれの弟子のところに行ってみるとよい。
気に入った玉器が買えるかもしれんぞ。
もし遺瓏埠に行ったら、やつがれの弟子のところに行ってみるとよい。
気に入った玉器が買えるかもしれんぞ。
最近茶館にやって来た若者は、巷の俗事ばかり話して、人気を集めておる。
例えばフォンテーヌ人が茶の席でやらかした笑い話や、モンド人が当地の酒に呑まれて、三杯で倒れたなど…
外国人は確かに当地の伝統を知らんから、おかしなことをたくさんしているが、そんな話はお茶の後にでもすればよい。
本当に舞台に上がりたいなら、やはり風流な話をするほうがいい。
>みんなが楽しければいい。落ち着いて。
別に怒っているわけではないが、ただ少し残念でな。
遺瓏埠はこの翹英荘よりはるかに俗っぽく、行き交う旅の客は落ち着かず、ただ愉快な話を聞きたがるというのは、わしもよく理解できる。
遺瓏埠はこの翹英荘よりはるかに俗っぽく、行き交う旅の客は落ち着かず、ただ愉快な話を聞きたがるというのは、わしもよく理解できる。
だがなにしろ、沈玉の谷には仙人浮錦がおり、苦労して新しい道を開拓した何百何千という先人がいるのだから、語るべき故事は尽きない。
俗事と風流な昔話は、もちろん織り交ぜてもいい。
あの若者がいつ悟ってくれるか分からんが…
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②さようなら。
また会おう。