ファニーヤ(調査小隊信号官)

4.1 修正(吹出)

ファニーヤ
栄誉騎士に白い助手さん、ごきげんよう。
あたしは調査小隊のファニーヤ。
「侵入者コオニフグ殲滅作戦」という重要な任務で、音響偵察を担当してる。
質問があるなら、湖のほとりでエマートっていう騎士を捜して。
あたしよりあの子の方が人付き合いが上手いから、詳しく説明してくれる。

①こっちはまだ何も聞いてないけど…

パイモン
そ、そうだぞ!
オイラたちは挨拶しただけなのに、おまえはペラペラとよく喋るな…
(こいつ、めんどくさそうにしてるぞ…)

ファニーヤ
何か文句でも?
お互い騎士団の仲間なんだし、今は仕事中だよ。
余計なオシャベリは省いて、有益な情報だけを伝えて何が悪いっての…
おまけにあたしはごく普通の「部品」にすぎない。
モンドを救った輝かしい戦績を持つあなたたちが部品の相手をするなんして、時間のムダよね?

パイモン
その言い方はあんまりだ!
オイラたちはそんな…
他人を利用したり、他人をモノ扱いしたりするような悪人じゃないぞ!

 ❶しかもあなたが思う自惚れ屋でもない。
 ❷それに私たちは横暴でもない。

ファニーヤ
ああ、誤解させて悪かったね。
「部品」ってのは自分で自分を定義しているだけだから――
あたしは何の才能もない凡人で、リーダーシップを発揮するほどの能力も決断力もない。
ただ、騎士団という「マシン」における「部品」を演じるしかないんだ。
言い換えれば「駒」あるいは「歯車」だね。
どっちでも構わないよ。

パイモン
えっ!
自分をひどく扱いすぎじゃないか?

ファニーヤ
ひどい?
別にこれでいいと思ってるよ。
考え込んだり、自分の意志を貫いたりする必要がない。
上官の言葉に従い、時間通りに出勤して退勤する。
シンプルな毎日だよ。
「栄誉騎士は緊急時に隊長と同等の前線指揮権を持つ」って聞くけど…
今後、あたしもあなたの部下として作戦に加わることがあるかもね。
もちろん物事には重要度、任務には優先度ってものがある。
今は平常時だから「侵入者コオニフグ殲滅作戦」に心置きなく従事させてもらうよ。
つまり、あたしとあたしの装備が静かに仕事できるように、距離を置いてくれってこと。
「部品」の動作不良のせいで「マシン」全体がおかしくなったら困るでしょ?

  ❶つまり、あっちへ行けってこと…
  ❷冷たいやつ…

パイモン
フン!
ここまで付き合いにくい騎士は初めてだぜ。
言わばこいつは…
「無情な仕事中毒者」だ!
蛍、行こうぜ!
こいつにはここで孤独に働かせてればいいだろ!

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②あなたは…

ファニーヤ
一番重要な情報はさっき話したとおりだけど、物足りない様子だから補足してあげる。
あたしはファニーヤ。
調査小隊の総合情報班に所属してる。
騎士団に入って六年になるけど、フィールド支援任務に就いたのはたったの六十七回で、作戦に直接関わったのは三十一回だ。
最も優れた戦績といっても、エマートと組んだ即席爆発装置の件くらいだね。
ヒルチャールの暴徒一体、シャーマン二体、射手何体かを撃破し、森林地帯を一掃しただけ…
だからあたしと栄誉騎士の戦闘力の差は、イノシシと風魔龍のそれよりもはるかに大きい。
二日も経てばあたしのような取るに足らない平凡な騎士のことは忘れてるかもね。

パイモン
なんだ?
急に仕事の報告でも始まったか?
真面目だな!

 ❶そう気を張りつめなくても…
 ❷新しい友人ができたと思って…

パイモン
そうだぞ。
蛍は栄誉騎士だけど、今は仕事してないし、肩の力を抜けよ。
外じゃよくいろんな人に出会うけど、お喋りするうちに仲良くなれるってすっごくうれしいことなんだぞ!

ファニーヤ
分かったよ。
あなたたちの言うオシャベリは個人的な話をするってことだよね。
それなら…
あたしはファニーヤ。
二十六歳で未婚。
今は城門の右手にある第三マンション三階三号室に住んでる。
ルームメイト兼借主のエマートがいて、毎月の家賃は…
忘れた…
けど別に重要じゃない。
趣味は寝ることで、仕事が終わったら家に帰って寝るんだ。
外がやかましいなら酒を引っ掛けて眠気を誘う。
今までに飲んだ酒のことは覚えてないけど別にいい。
酔えれば酒はなんでもいいんだ。
アルベド隊長の命令でドラゴンスパイン付近の隠された拠点に寝泊まりすることもある。
あそこ、好きなんだよね。
静かでぐっすり眠れるし、ドアを叩いて邪魔しにくるようなヤツもいない。

  ❶つまり好きなものは「静けさ」?

ファニーヤ
それは間違ってない。
静かな環境と良質な睡眠は仕事にいい影響をもたらすんだ。
なんせこの並外れて鋭敏な聴覚が、あたしにとって何よりも利用価値のあるスキルだからね。

  ❷プライベートもまるでマシンみたいだね…

ファニーヤ
ふーん…
あたしの生活をマシンみたいだと言ったのはあなたが初めてだよ。
いいじゃない、毎日規則正しく過ごせば余計な悩みも持たずに済むし。

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パイモン
(この騎士…
会話を続けるのが下手くそだな!
どう返せばいいかわからないぞ…)
(それに趣味や関心も結局は仕事に関係してるし…
ニックネームをつけるなら「静かなる仕事中毒者」だな!)

ファニーヤ
そのニックネーム、結構いいね。
ありがと。
小隊で「コードネーム」が必要になったら使わせてもらうよ。

   >!

パイモン

ファニーヤ
栄誉騎士と白い助手さん。
これ以上あたしから情報を得る必要がないなら…
「静かなる仕事中毒者」を音響偵察の任務に戻らせてくれる?

パイモン
そ、そうだな…
戻っていいぞ、邪魔はしないからな!

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③「音響偵察」って?

パイモン
なんだかすごそうだな…
でも湖のほとりに立ってじっとしてるだけじゃないか?
おまえの周りには何の装置も見当たらないぞ。

ファニーヤ
いいとこ突くね。
栄誉騎士と白い助手さんの目は鋭い。
アルベド隊長の作った偵察装置がどれほどコンパクトか分かったよね。
将来、敵軍に使ってもきっと怪しまれない。
偵察装置のアクティブユニットはすでに水中に設置してある。
特殊な波動…
要は水元素の力を利用して、付近を探査するんだ。
耳に装着してるのがレシーバーで、その大きさは一般的な耳栓と同じくらい。
アクティブユニットが探知した特殊な音響信号があたしの耳へ送られてくるんだ。
そして信号を頼りにコオニフグの位置を分析してから、航跡予測といったマップ上の作業を通じてヤツらの巣穴を特定する。
そしたらエマートが根こそぎ取り除いてくれる。

 >そんなにすごいの?

パイモン
魔法みたいだな!

ファニーヤ
ハイレベルな錬金術の産物は、素人からしたら確かに魔法も同然だね。
他の技術がある程度まで発達すれば、同等の発明品が出てくるだろうな。
たとえば、フォンテーヌには技術開発により大量製造された…
人型の機械があって、都市の防衛を任されてるらしい。
あたしからすれば、あれも魔法と同じくらい強力に見える。
話が逸れた、悪かった…
とにかくアルベド隊長の話では、ジン団長と数名の隊長たちが会議を重ねて合意に達したらしい。
それは――
「最低限の予算で騎士団の戦闘力を着実に高める必要がある」というもの。

  ❶戦闘力を高める?

ファニーヤ
そう。
遠征隊が断続的に情報を送ってくれるお陰で、遠方の敵についてより明瞭に認識できる。
その中には、あまりに強すぎて今の騎士のレベルでは対抗できない敵もいる。
西風騎士団は絶えず進歩し、死傷者を出さず、物資の消耗を抑え、モンドに侵入する恐れのある敵を滅ぼし、すべての民を守らなくてはならない。
そのためには、より高い目標を目指すのは当然なんだ。

  ❷最低限の予算で?

ファニーヤ
そう。
ましてやこの平和な時代において、騎士団は国民の生活への影響を考慮した上で、軍事関連の予算を採択する必要がある。
国民の生活が第一であり、余ったモラで戦力増強のためにやりくりするんだ。
こんな条件下でお金を有効に使う必要があるから、どうやって騎士たちの能力を上げれば戦力全体に最大限の利益をもたらせるのか、きちんと検証しなければならないんだよ。

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パイモン
でも、それが今おまえのやってること…
シードル湖の「侵入者コオニフグ殲滅作戦」と…
どんな関係があるんだ?

ファニーヤ
いい質問だね、白い助手さん。
簡単に言うと、会議では「情報」という結論に達したんだ。
騎士たちの情報収集能力を上げて戦場で主導権を握れるようにし、位置と時間の面で優位に立った上で敵と交戦する。
これが何よりもコスパよく全体のレベルを上げる方法なんだ。

   ❶分かった!新しい装備を試してるんだね!

ファニーヤ
さすがは栄誉騎士。
話が早くて気が楽だよ。

   ❷どんな関係があるのか、やっぱ分からない。

ファニーヤ
本質的な話をしたつもりだけど、却ってざっくりしすぎてたかな…
つまるところ、今は新しい装備をテストしてるんだ。

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ファニーヤ
あたしの調査小隊における役職は「信号官」。
今使用している装備は、騎士団の戦力向上計画のための試作品第一弾なんだ。
この装置は、アルベド隊長がミカ長官に供給した測量装置と原理が似ている。
そこへ航続力、小目標探知の精度、操作性に改良を加えたものなんだ。
あたしが最初の「信号官」として装備を使いこなせるようになれば、次は教官となる。
そして前線に派遣される大勢の「信号官」を養成するんだ。
小隊ごとに若干名の「信号官」を配属できれば一番理想的だね。
偵察装置を使って遠方の敵情を把握できれば、情報面で優位に立ち、ベストな戦法を後押しできる。

パイモン
全然理解できなかったぞ…
ちょっとしたケンカがここまで複雑な話になるとは思わなかったな。
オイラと蛍が敵を見かけたら、そのまま二発ほど殴って一丁上がり~!だぞ…

    ❶殴って勝てれば一番いい。
    ❷殴って勝てないなら逃げる。

ファニーヤ
あなたたちは強者で、あたしらは雑魚だからね。
話が違うんだ。
あなたたちみたいな強者に軽く殴られただけで犬死にしないように、あたしたちみたいな平凡な騎士は知恵を働かせて当然なんだ。
少なくとも…
強者が攻めてくる前に十分な距離を取るのが肝だよ。
簡単に他人に踏みにじられはしない。
ましてや、あたしたち騎士は盾となりモンド城を守るのが仕事だよ。
感情に左右されることは許されない。

パイモン
おい!
弱気なことをよく顔色一つ変えず言えたもんだな!
でも確かに筋は通ってるよな!
今まで気にしてなかったけど…
オイラたちが倒してきた相手も、長い間修練を続けて密かに努力してきた戦士…
かもしれないぜ?

     ❶戦士には戦士の尊厳ってものがなくちゃね!
     ❷応援してるよ、テスト中の信号官!

ファニーヤ
ありがと。
平凡な騎士に目を向けてくれて感謝してる。
あなたたちと肩を並べて戦える日が来ればいいけど。

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④それじゃ、さようなら!

ファニーヤ
気を付けて。
付近で他の人に会ったら、あんまり大きな物音は立てないようにお願いしといてくれる?
よろしく。