◆イディア
◆レッシグ
◆ゾシモス
◆水形幻霊
いざ出発。
最後のパーツを探しに行こう!
最後のパーツを探しに行こう!
…翌日の午前中まで待つ(8時~12時)…
…イディアと会話する…
イディア
…本当ですか!?
そこまでしてくれるなんて、どう感謝すればいいのか…
…本当ですか!?
そこまでしてくれるなんて、どう感謝すればいいのか…
コレイ
そんなに気にしないでくれ。
あたしたちも蜃境のためにもっと役に立ちたいんだ。
レッシグ
何と言っても、これは私がやってしまったことだから…
何と言っても、これは私がやってしまったことだから…
パイモン
あれ、なにかあったのか?
オイラたち、なにを見逃したんだ?
あれ、なにかあったのか?
オイラたち、なにを見逃したんだ?
エウルア
二人とも、さっきになってようやく、レッシグが私たちにある事実を白状してくれたの。
レッシグ
…やはり自分で説明させてくれ。
――私が、蜃境の一連のトラブルを起こした張本人だ。
――私が、蜃境の一連のトラブルを起こした張本人だ。
イディア
…はぁ、レッシグさん…
…はぁ、レッシグさん…
レッシグ
事の始まりは、私が秘境の入口で精巧な水の球体を見かけたことだった。
七歳の時に祖父から貰った天象儀とすごく似ていて…
回せるのかと気になって、少しだけ触れてしまったんだ…
あ…あれが蜃境のコアだなんて、思いもしなかった。
つまり…
天地が回った時に、これはさすがにまずいことになったと気付いたんだ…
七歳の時に祖父から貰った天象儀とすごく似ていて…
回せるのかと気になって、少しだけ触れてしまったんだ…
あ…あれが蜃境のコアだなんて、思いもしなかった。
つまり…
天地が回った時に、これはさすがにまずいことになったと気付いたんだ…
イディア
全部をあなたのせいにするわけにはいきません。
私も管理不行き届きの責任がありますし…
はぁ、こんなことになるってもっと早く知ってたら…
コアをちゃんとしまっておくべきでした。
全部をあなたのせいにするわけにはいきません。
私も管理不行き届きの責任がありますし…
はぁ、こんなことになるってもっと早く知ってたら…
コアをちゃんとしまっておくべきでした。
パイモン
えっと、秘境の入口?
まさか、あの「大きな水の球体」のことか?
コレイ
…うん。
それでみんなで考えた後、蜃境のためにメンテナンスや補強作業をしたいってレッシグさんが言い出したんだ。
でも、彼一人だと手が回らないんじゃないかって心配だし、あたしとエウルアで手伝おうと思う。
…うん。
それでみんなで考えた後、蜃境のためにメンテナンスや補強作業をしたいってレッシグさんが言い出したんだ。
でも、彼一人だと手が回らないんじゃないかって心配だし、あたしとエウルアで手伝おうと思う。
エウルア
ふん、私はコレイみたいに優しい動機ってわけじゃないわ。
私の仕事はあくまで、彼がかえって迷惑をかけるなんてことにならないよう、見張って確保することだけよ。
ふん、私はコレイみたいに優しい動機ってわけじゃないわ。
私の仕事はあくまで、彼がかえって迷惑をかけるなんてことにならないよう、見張って確保することだけよ。
パイモン
えっと…おう…
コレイ
この期に及んで、みんながそんな言い方を信じてくれるってエウルアは思ってるのか…
こんな時は、ただ同意してあげるだけでいいってアンバーが言ってたけど…
エウルア
コホン!
コホン!
コレイ
ああっ、えっとその、レッシグさん!
今日はお仕事頑張ってくれ!
レッシグ
えっ…
ああ、約束する!
エウルア
…ふん、何にせよ、今日のランチはレッシグに作ってもらうから。
①手柄で過ちを償おう!
レッシグ
精一杯頑張るから、安心してくれ!
精一杯頑張るから、安心してくれ!
-------------------------
②お昼ご飯、美味しく作ってね!
レッシグ
えっ?
ああ、うん。
だが…
私の腕で大丈夫だろうか…
-------------------------
エウルア
何ですって?
レッシグ
あっいやいや。
みんなが私の過ちを不問にしてくれることに、心より感謝している。
この感謝の気持ちを力に、いや…
カロリー…
カロリーに変えて…?
イディア
結構結構、でも力をあんまり浪費しすぎないでくださいね。
蜃境の内部は至るところが長年メンテナンスされてませんから、事細かにチェックしてもらって…
パイモン
手伝ってくれる人が現れた途端、イディアのオーラが普段と違って見えるぜ…
イディア
こちらの三人以外のみんなで、今日は一緒に行動しましょう!
他の人も呼んで来ますね。
少し準備したら、すぐ出発です。
こちらの三人以外のみんなで、今日は一緒に行動しましょう!
他の人も呼んで来ますね。
少し準備したら、すぐ出発です。
パイモン
やる気満々で行っちゃったぞ…
めちゃくちゃ喜んでるみたいだな…
コレイ
初めて一番上に立って働く人って、こんな感じかもな。
初めて一番上に立って働く人って、こんな感じかもな。
しばらく待った後、イディアがクレー、ガイア、心海を呼んできたので、一緒に最後のパーツがある場所へと出発した…
クレー
これからどこに行くの?
最後の部品を取りに行くのですよ。
あくまで私の推測ですが、告知板に記載されている「監督」のところにあるのではないかと思います。
あくまで私の推測ですが、告知板に記載されている「監督」のところにあるのではないかと思います。
ガイア
「軍師」さんの観察眼はなかなかのものだな。
クレー
クレー
「監督」ってどういう意味…?
小珊瑚宮心海
小珊瑚宮心海
「監督」というのは職業の一つですよ。
確か「ゾシモス」という方です。
イディアさんが蜃境全体を管理しているとするなら、ゾシモスさんは舞台上のすべてを管理していると言えるでしょう。
珊瑚宮心海
確か「ゾシモス」という方です。
イディアさんが蜃境全体を管理しているとするなら、ゾシモスさんは舞台上のすべてを管理していると言えるでしょう。
クレー
だったら、やっぱりイディアお姉ちゃんのほうがもっとすごいね!
「もっとすごい」イディアさんは、どうして一言も発しないのですか?
イディア
進んで説明してくれる人がいるので、もちろん喜んでサボらせていただいてるんですよ。
イディア
彼は普段から出かけるのが嫌いで、ずっとツリーハウスに引きこもってるんです――
舞台に必要な道具を作ってるのでなければ、台本を書くのに夢中になってたりとか…
でも…
彼のツリーハウスは、どこにあるんでしたっけ…
彼のツリーハウスは、どこにあるんでしたっけ…
クレー
イディアお姉ちゃん、覚えてないの?
イディア
えっと、イディアお姉ちゃんはただの「マスコット」なので、あはは…
珊瑚宮心海
そちらにあるはずです。
イディア
ええ?
珊瑚宮心海
静かな場所が好きな人もいますが、その「監督」さんは道具を運ぶ必要があるわけですから、シアターから遠く離れたところに住むわけにはいかないでしょう。
シアターの全貌がいつでも見えるところに住むことは、舞台の流れを模擬実験することにも役立ちます。
私なら、そちらのツリーハウスを選ぶでしょう。
イディア
でも、シアターの方向はどうして分かったんです?
珊瑚宮心海
あっ、それは難しいことではないのです。
そちらに近ければ近いほど、周りの配置もより賑やかになりますので…
イディア
確かにその通りですね…!
何で思いつかなかったのかなぁ…
…「監督」のツリーハウスに行く…
…「監督」と会話する…
確かにその通りですね…!
何で思いつかなかったのかなぁ…
いざ、最後のパーツを探しに行こう!
パーツは自称「監督」が持っているらしい。
パーツは自称「監督」が持っているらしい。
…「監督」のツリーハウスに行く…
…「監督」と会話する…
???
自動装置は、どこに落ちたんだろう?
男の俳優の等身大パネルはまだあるけど、女優のほうは…
自動装置は、どこに落ちたんだろう?
男の俳優の等身大パネルはまだあるけど、女優のほうは…
ん?
そこにいるのは誰だい――
そこにいるのは誰だい――
イディア?
イディア
そう、私ですよ、ゾシモス。
これがドラマチックな登場ですよ――
ゾシモス
意外だな、てっきり…
意外だな、てっきり…
パイモン
「誰にも見つからない場所に隠れて、泣いてるんじゃないかと思ってた。」
「誰にも見つからない場所に隠れて、泣いてるんじゃないかと思ってた。」
ゾシモス
うっ…
不思議なおチビちゃんだな。
君は俺の心が読めるのかい?
うっ…
不思議なおチビちゃんだな。
君は俺の心が読めるのかい?
パイモン
オイラはパイモンだ。
そんな不思議な能力は持ってないぞ。
ただ何回も同じようなセリフを聞いただけだ。
ゾシモス
ハハ、どうやらみんなからの評価は一致してるみたいだな、イディア。
ハハ、どうやらみんなからの評価は一致してるみたいだな、イディア。
イディア
やっぱり最初から「マスコット」でいるべきでした…
こういうのが、「道を選び間違えて、人生を挫折しちゃった」って状況なのかなぁ…
はぁ…
やっぱり最初から「マスコット」でいるべきでした…
こういうのが、「道を選び間違えて、人生を挫折しちゃった」って状況なのかなぁ…
はぁ…
ゾシモス
「マスコット」…
君の新しいキャラかい?
そんなキャラ、俺は書いてないはずなんだけどな?
「マスコット」…
君の新しいキャラかい?
そんなキャラ、俺は書いてないはずなんだけどな?
イディア
もう、私のことはいいですから。
友達を紹介してあげますよ。
イディアはゾシモスに皆を一人ずつ紹介し、事情を説明した…
イディア
これで分かったでしょう!
それで、「コアホイール」のパーツを持ってるんですか?
これで分かったでしょう!
それで、「コアホイール」のパーツを持ってるんですか?
ゾシモス
一応持ってるけど…
あの事故で、舞台にある多くの装置に不具合が生じたんだ。
それで、本来の公演ができなくなって…
あの事故で、舞台にある多くの装置に不具合が生じたんだ。
それで、本来の公演ができなくなって…
パイモン
わかったぞ!
「パーツ」を人質に、オイラたちに装置の修理を手伝ってほしいって言うんだろ?
わかったぞ!
「パーツ」を人質に、オイラたちに装置の修理を手伝ってほしいって言うんだろ?
イディア
いや、舞台の修理のほうじゃないですか?
いや、舞台の修理のほうじゃないですか?
珊瑚宮心海
ゾシモスさんは等身大パネルが見つからないと仰っていたので…
道具の修理、ですよね?
道具の修理、ですよね?
クレー
きっとパーツの修理だ!
パーツが壊れちゃったんだよ――
ガイア
彼の日常業務から考えてみたらどうだ?
ゾシモスさんは台本を書く必要があるわけだから…
台本の修正だと思うぞ。
彼の日常業務から考えてみたらどうだ?
ゾシモスさんは台本を書く必要があるわけだから…
台本の修正だと思うぞ。
①誰がこの推理大会を始めたの?
②みんな、ゾシモスにも一言喋らせてあげて。
ゾシモス
…みんな一体何を経験してきたんだい?
何で俺をそんなに悪く思ってるのか知らないけど、パーツは無傷だから、欲しければ今渡してあげるよ。
ただ、その…
みんなに「公演の修復」を手伝ってほしいんだ。
見てくれ!
これだけ多くの人が集まれば、公演に空いてしまった穴を埋められるはずだ。
何で俺をそんなに悪く思ってるのか知らないけど、パーツは無傷だから、欲しければ今渡してあげるよ。
ただ、その…
みんなに「公演の修復」を手伝ってほしいんだ。
見てくれ!
これだけ多くの人が集まれば、公演に空いてしまった穴を埋められるはずだ。
クレー
公演!
すっごく面白そう!
クレー、手伝いたい!
みんなも一緒にやろう?
公演!
すっごく面白そう!
クレー、手伝いたい!
みんなも一緒にやろう?
>確かに悪くない…
ゾシモス
実を言うと、さっきは台本のストーリーをどう続けたらいいか、ずっと考えてたところだったんだ…
そんな時、みんなが俺の目の前に現れた。
まるでインスピレーションの光が突然差し込んだかのように、ああ…
どう言えばいいんだろう。
君たちを見たとたん、続きが書けそうだと感じたんだ!
イディア
え?
それってあなたがずっと行き詰まってたあのストーリーのことですか?
…本当に?
本当に続きを書けるんですか?
え?
それってあなたがずっと行き詰まってたあのストーリーのことですか?
…本当に?
本当に続きを書けるんですか?
ゾシモス
本当だとも!!
少し時間をくれ、すぐに台本を書き上げてくるから!
イディア、ここは君に任せるよ。
本当だとも!!
少し時間をくれ、すぐに台本を書き上げてくるから!
イディア、ここは君に任せるよ。
パイモン
あ、あいつ…
本当に書きに行っちゃったぞ…
イディア
はぁ、ゾシモスはずっと大盗賊とか、魔女とかが出てくるようなストーリーを書きたかったみたいです。
言い伝えをもとに物語を作ったみたいなんですが、頭の部分しか書けないまま、ずっと煮詰まってて…
みんな、少し休んでてください。
何か用意できるものがないか確認してみますから、監督が書き終わったらまた話し合いましょう。
どれくらい時間が経っただろうか。
ゾシモスは矢のように走って帰ってくると、頭上に掲げた台本をみんなに配った…
こんな短い時間で、本当に1つの作品を完成させてしまうなんて、信じられないほどだ…
ゾシモス
一人の監督として、一人の作家として――
一人の監督として、一人の作家として――
最も重要なのは、インスピレーションだ!
だから、「軍師」の珊瑚宮さんを見かけた瞬間に、新キャラクターのアイデアが浮かび上がった。
ヒロインが加わったことで、ストーリーは完全かつ美しい流れになった。
さあみんな、台本を読んでくれるかい。
これから一緒に公演を完成させよう!
だから、「軍師」の珊瑚宮さんを見かけた瞬間に、新キャラクターのアイデアが浮かび上がった。
ヒロインが加わったことで、ストーリーは完全かつ美しい流れになった。
さあみんな、台本を読んでくれるかい。
これから一緒に公演を完成させよう!
他に何か分からないことはあるかな?
クレー
ゾシモスお兄ちゃん、これってどう読むの?
身をなんとかせるってところ…
ゾシモスお兄ちゃん、これってどう読むの?
身をなんとかせるってところ…
ガイア
どれどれ…
身を「寄せる」だな。
住まわせてもらうという意味だ。
これを言う時は可愛らしく言ってくれよ。
どれどれ…
身を「寄せる」だな。
住まわせてもらうという意味だ。
これを言う時は可愛らしく言ってくれよ。
クレー
へえ。
うぅ…
クレー、この字も読めない…
へえ。
うぅ…
クレー、この字も読めない…
ガイア
大丈夫だ。
解散したら、一緒にセリフを練習しような。
大丈夫だ。
解散したら、一緒にセリフを練習しような。
ゾシモス
ガイアさん、手間をかけるね。
さっきから感じてたんだけど…
ガイアさんは「役を演じる」ということにかなり心得があるようだ。
もしかして、以前は役者でも?
ガイアさん、手間をかけるね。
さっきから感じてたんだけど…
ガイアさんは「役を演じる」ということにかなり心得があるようだ。
もしかして、以前は役者でも?
ガイア
ハハハ、褒めすぎだ。
ただセリフをスムーズに読めるだけさ。
ハハハ、褒めすぎだ。
ただセリフをスムーズに読めるだけさ。
ゾシモス
おっと、そうだったのか。
だったらガイアさんには本当に才能があるよ…!
正直、俺はそういう人を探し続けていたんだ。
もし今後、俺が有名な監督になったら…
ぜひガイアさんと長期的に仕事をしたい!
ああっ、そのためにはこれからも連絡を…
ガイア
はいはい、いいぞ。
はいはい、いいぞ。
ゾシモス
よかった。
じゃあみんな、もう少し台本を読んで、公演の細部をゆっくり味わっていてくれ。
俺は舞台を見に行かなければならないから、先に失礼するよ。
俺に用があれば、エリアの真ん中に来てくれ。
一番大きなシアターの中にいるから。
よかった。
じゃあみんな、もう少し台本を読んで、公演の細部をゆっくり味わっていてくれ。
俺は舞台を見に行かなければならないから、先に失礼するよ。
俺に用があれば、エリアの真ん中に来てくれ。
一番大きなシアターの中にいるから。
パイモン
うぅ…
蜃境のシアターか…
気になるぞ。
みんなは準備してるみたいだし、シアターがどんな感じか見に行こうぜ!
ゾシモス
…あれ?
ない…
ここに置いたはずなんだけど。
ない…
ここに置いたはずなんだけど。
パイモン
ゾシモス!
まだ忙しいのか?
ゾシモス!
まだ忙しいのか?
ゾシモス
ああ、君たちか。
さあ、二人とも、もっと近くに来て、この舞台をよく見てくれ!
俺が心を込めてデザインしたんだ。
①素敵だね!
②立派だね!
パイモン
「監督」の仕事って、舞台のデザインまで含むものなのか…?
「監督」の仕事って、舞台のデザインまで含むものなのか…?
ゾシモス
ははっ、俺を尊敬してくれていいぞ。
ここの監督や、脚本、舞台デザイン…
全部俺一人がやってる。
パイモン
大変そうだな。
イディアならきっと無理だろ。
イディアも大変だよな…
彼女は俺の唯一の観客なんだよ。
まあ、俺はよく彼女に責められてるんだけどな。
ははっ、俺を尊敬してくれていいぞ。
ここの監督や、脚本、舞台デザイン…
全部俺一人がやってる。
パイモン
大変そうだな。
イディアならきっと無理だろ。
イディアも大変だよな…
彼女は俺の唯一の観客なんだよ。
まあ、俺はよく彼女に責められてるんだけどな。
>あのイディアが人を責めるの?
ゾシモス
いっつも「何を描いてるのか全然分からない」とか、「意味が分からない」って感想ばかりくれるよ。
まあ、俺の「先成図」の使い方が彼女の初心に背いたからかもしれないけど。
でも、確かにイディアには色々と批判されてきたが、色々と助けてもらっても来たんだ。
彼女は…
シアターのマネージャーのような存在、かな。
彼女にはすごく感謝してる。
ここに入って初めて、俺は真の「監督」になるチャンスを手に入れたから。
いっつも「何を描いてるのか全然分からない」とか、「意味が分からない」って感想ばかりくれるよ。
まあ、俺の「先成図」の使い方が彼女の初心に背いたからかもしれないけど。
でも、確かにイディアには色々と批判されてきたが、色々と助けてもらっても来たんだ。
彼女は…
シアターのマネージャーのような存在、かな。
彼女にはすごく感謝してる。
ここに入って初めて、俺は真の「監督」になるチャンスを手に入れたから。
パイモン
その前は?
その前は?
ゾシモス
夢だけなら、子供の頃から持ってたさ。
公演を見て家に帰るときはいつも、頭の中でそのストーリーを何度も何度も繰り返してたんだ。
そのうちだんだん、自分の願いが芽生えてきた。
でも、俺は手先が器用なだけだ…
だから、ほとんどの時間は道具係と、舞台セット係の仕事に明け暮れてた。
自分の手でそうやって舞台を作り上げるのは確かに心躍ることだ。
でも、演出をしている時が一番、心満たされるんだ…
パイモン
だから告知板に「監督」っていう肩書きしか書かれてなかったんだな。
だから告知板に「監督」っていう肩書きしか書かれてなかったんだな。
ゾシモス
ハハッ…
君、やっぱり人の心を読めるんだろ?
そうだ、二人にもう一つお願いしてもいいかい?
この後使うはずのまとめ台本が見当たらないんだ。
パイモン
書き終えたばっかりじゃなかったのか?
ゾシモス
そうなんだけど、君たちの分を配った後、その台本を持ったままあちこちをチェックしに行ってたから…
どこかで失くしてしまったみたいだ。
そうなんだけど、君たちの分を配った後、その台本を持ったままあちこちをチェックしに行ってたから…
どこかで失くしてしまったみたいだ。
ここにないのなら、屋根裏かもしれない。
台本を書き終わった後は、こことそこにしか行ってないから。
台本を書き終わった後は、こことそこにしか行ってないから。
でも、その…
舞台のほうはもう少し準備が必要で、ちょっと手が離せないんだ。
二人にお願いしてもいいだろうか…
舞台のほうはもう少し準備が必要で、ちょっと手が離せないんだ。
二人にお願いしてもいいだろうか…
>分かった。
パイモン
おう、行ってくるぜ。
ゾシモス
いばらのパネル装置は、問題ないはずだ…
それから、ライトに集音機器…
いばらのパネル装置は、問題ないはずだ…
それから、ライトに集音機器…
パイモン
わぁ、ここってこんなにいっぱい本があるのか…
でも、あいつが今必要なまとめ台本はどこだろうな?
わぁ、ここってこんなにいっぱい本があるのか…
でも、あいつが今必要なまとめ台本はどこだろうな?
水形幻霊
プク?
パイモン
あっ、二階からシズクちゃんの声がしたぞ!
見に行こう…
あっ、二階からシズクちゃんの声がしたぞ!
見に行こう…
水形幻霊
プク!
パイモン
あ、ここ…
台本がいくつもあるぞ。
監督が書いた台本の管理をしてるのはシズクちゃんだったのか…
うぅ、半分しか書かれてないのも多いみたいだけど…
>公演の「まとめ台本」なら…
パイモン
きっと完成してる台本だよな!
厚さで絞って、エンディングのとこを見てみようぜ…
こんなにたくさんの台本があるけど、当てはまったのは一つだけだったな。
それに、この台本は比較的新しそうだから、きっと書かれたばかりだぞ。
ゾシモスのとこに持って行ってやろうぜ!
きっと完成してる台本だよな!
厚さで絞って、エンディングのとこを見てみようぜ…
こんなにたくさんの台本があるけど、当てはまったのは一つだけだったな。
それに、この台本は比較的新しそうだから、きっと書かれたばかりだぞ。
ゾシモスのとこに持って行ってやろうぜ!
パイモン
ゾシモス、台本を持って来たぞ!
ゾシモス
ありがとう、本当に助かったよ。
はぁ…
急いでたから、舞台は完璧には修復できなかった。
様子を見ながら進めていくしかないみたいだな。
でも、大事なのは舞台じゃなく、公演だ。
たとえ舞台に何か不具合が生じたとしても、公演が続けられれば大丈夫さ…
ありがとう、本当に助かったよ。
はぁ…
急いでたから、舞台は完璧には修復できなかった。
様子を見ながら進めていくしかないみたいだな。
でも、大事なのは舞台じゃなく、公演だ。
たとえ舞台に何か不具合が生じたとしても、公演が続けられれば大丈夫さ…
パイモン
なんだかあまり自信なさげだな…?
なんだかあまり自信なさげだな…?
ゾシモス
分かったぞ…!
公演は意外性そのものだ!
たとえ同じ演目でも、各公演には微妙な違いがある。
その違いこそが、その公演を他のものとは異なる存在にさせる特色なんだ!
①それって本当に分かったの?
②一理あるけど、納得はできない。
ゾシモス
はぁ…
最後にもう一つお願いがあるんだ。
旅人、君は「先成図」に入れるだろう?
実は、俺の舞台は「先成図」で作られてる…
素材で物を作って、それを「先成図」の一部にしてるんだ。
本来「先成図」は蜃境を作るために使われるものだから、俺のように、色んな物を「先成図」にしてしまうのは本末転倒なんだけど…
でも、イディアは言ってくれた――
もしこれが俺のやりたいことなら、気乗りはしないけど受け入れるって…
パイモン
「初心に背いた」って、そういうことだったのか。
で、オイラたちはなにをすればいいんだ?
「初心に背いた」って、そういうことだったのか。
で、オイラたちはなにをすればいいんだ?
ゾシモス
旅人には「先成図」の舞台に入って、公演で道具を操作してもらいたいんだ…
旅人には「先成図」の舞台に入って、公演で道具を操作してもらいたいんだ…
①つまり、私たちはスタッフになる…
②これっていわゆる「黒幕」…?
ゾシモス
えっと、その理由なんだけど…
>舞台上の公演を見届けたいんでしょ?
ゾシモス
……
パイモン
ああ、なるほどな!
ゾシモスは今まで監督を勤めながら、舞台上で道具と装置を操作しないといけなかったから…
手が全然回らなかったんだろ。
ああ、なるほどな!
ゾシモスは今まで監督を勤めながら、舞台上で道具と装置を操作しないといけなかったから…
手が全然回らなかったんだろ。
ゾシモス
ああ、俺の能力は一人前の脚本家には到底及ばないって分かってる。
ただ…
たとえ「何を描いてるのか全然分からない」、「意味が分からない」未熟な作品でも…
舞台の下から、自分の目で見てみたいんだ。
パイモン
ここまで言ってるんだし…
>喜んで手伝うよ!
ゾシモス
本当にありがとう…!
じゃあ俺は他の人に知らせに行くよ。
君たちの準備ができ次第、公演を始めよう!
本当にありがとう…!
じゃあ俺は他の人に知らせに行くよ。
君たちの準備ができ次第、公演を始めよう!
「先成図」の世界に入ります…
傍白
昔々…
光なき国にとある大盗賊がいた。
そこに生きる人々は暗闇に苦しめられていた…
大盗賊
世の人々は俺を…
そこに生きる人々は暗闇に苦しめられていた…
大盗賊
世の人々は俺を…
ゾシモス
待った、ガイアさん!
集音機器のほうを向いてくれ…
そうしないと声が拾えないんだ…
大盗賊
ああ…
世の人々は俺を「短刀の大盗賊」と呼ぶが、俺の善行は誰も知らない。
はぁ…
光のないこの国で――
闇の中で働くやつらはますます大手を振って生きている。
だが、手探りで進まないといけない人たちは、より惨めな生を強いられている…傍白
大盗賊が悩んでいたその時、世界に突然ある変化が起こった――
大盗賊が悩んでいたその時、世界に突然ある変化が起こった――
流れ星が一つ、空を駆けていったのだ…
ゾシモス
旅人、前の移動装置を踏んでくれ…
旅人、前の移動装置を踏んでくれ…
大盗賊
ほう?
悪くない。
ほんの一瞬だったが、光は空と大地を照らした…
もしもあの光を見つければ、俺は闇を照らすことができる。
そうすれば、人々も暗闇に苦しまずに済むだろう。
ほう?
悪くない。
ほんの一瞬だったが、光は空と大地を照らした…
もしもあの光を見つければ、俺は闇を照らすことができる。
そうすれば、人々も暗闇に苦しまずに済むだろう。
傍白
大盗賊はすぐに流れ星の軌跡を追った。
その星はどんどん進んでいき…
さらに進んでいき…
ゾシモス
あの、旅人、星がどんどん進んでいったんだけど…
大盗賊
まさか、この危険な砂漠にたどり着くとは…
大盗賊はすぐに流れ星の軌跡を追った。
その星はどんどん進んでいき…
さらに進んでいき…
ゾシモス
あの、旅人、星がどんどん進んでいったんだけど…
大盗賊
まさか、この危険な砂漠にたどり着くとは…
傍白
流れ星が降り立ったところの地形は一変して、大きな岩がごつごつと折り重なっている。
険しい道のりだが、彼の心は決まっていた。
流れ星が降り立ったところの地形は一変して、大きな岩がごつごつと折り重なっている。
険しい道のりだが、彼の心は決まっていた。
大盗賊
――ここまで来た以上、退くわけにはいかない。
――ここまで来た以上、退くわけにはいかない。
傍白
大盗賊は砂漠の奥深くへと足を踏み入れた。
そこに現れたのは流れ星ではなく、白い服を着た少女だった。
大盗賊は砂漠の奥深くへと足を踏み入れた。
そこに現れたのは流れ星ではなく、白い服を着た少女だった。
大盗賊
おかしい、俺は流れ星の軌跡を辿ってここに来たのに…
そこのお嬢さん、眩しい光がどこに行ったか、知らないか?
おかしい、俺は流れ星の軌跡を辿ってここに来たのに…
そこのお嬢さん、眩しい光がどこに行ったか、知らないか?
傍白
少女は言った――
少女は言った――
女の子
あなたが追い求めている光はただの、瓶の中の炎に過ぎません。
しかし今、光は遠ざかっていきました。
あなたが追い求めている光はただの、瓶の中の炎に過ぎません。
しかし今、光は遠ざかっていきました。
大盗賊
瓶の中の炎?
女の子
ええ、その瓶も人からもらったものですが…
傍白
そして、少女は大盗賊に瓶にまつわる物語を教えた…
傍白
少女はかつて滝の上の王国に住んでいた。
しかし王朝が転覆して政権が変わり、彼女とその一族は散り散りになって逃げていったのだ。
道中の密林は濃い霧に包まれており、生い茂ったいばらが彼女の進む道を阻んだ。
少女はかつて滝の上の王国に住んでいた。
しかし王朝が転覆して政権が変わり、彼女とその一族は散り散りになって逃げていったのだ。
道中の密林は濃い霧に包まれており、生い茂ったいばらが彼女の進む道を阻んだ。
ゾシモス
下に装置があるんだ。
起動した状態で押すと、いばらが舞台の下に収まる…
女の子
もし、灯を見つけることができれば、私はこの森を越えられる。
そしたら…
私は生きていられる…
もし、灯を見つけることができれば、私はこの森を越えられる。
そしたら…
私は生きていられる…
傍白
腕や足の裏は細かな傷だらけだった。
少女は痛みに耐えながらゆっくり前へと進んでいく。
険しい道のりだったが、彼女の心は決まっていた。
女の子腕や足の裏は細かな傷だらけだった。
少女は痛みに耐えながらゆっくり前へと進んでいく。
険しい道のりだったが、彼女の心は決まっていた。
――ここまで来た以上、退くわけにはいかない。
傍白
目的地は近い――
目的地は近い――
しかし突然、巨大ないばらが目の前に現れた。
少女の心を、重い絶望感が襲った。
少女の心を、重い絶望感が襲った。
女の子
もしここで私を助けてくれる人がいたなら、見返りにすべてを捧げてもいい…
傍白もしここで私を助けてくれる人がいたなら、見返りにすべてを捧げてもいい…
少女の心からの願いは届いた…
パイモン
ちょっと待てよ、最後のいばらを動かす装置がないぞ。
ちょっと待てよ、最後のいばらを動かす装置がないぞ。
ゾシモス
くっ…
そのいばらパネルのチェックは失念していた…
ガイア
ストーリーを見る限りだと、今はそのパネルを片付ければいいのか?
くっ…
そのいばらパネルのチェックは失念していた…
ガイア
ストーリーを見る限りだと、今はそのパネルを片付ければいいのか?
ゾシモス
そうなんだけど…
まさか見逃してしまうとは。
これは困ったな…
クレー
じゃあ、クレーが手伝ってあげる!
栄誉騎士のお姉ちゃん、ちゃんと受け取ってね!
パイモン
あっ、やっぱり「ボンボン爆弾」だ!
傍白
コホン…
少女の心からの願いは届いた。
通りかかった「ボンボン爆弾」が、彼女に道を開いてくれたのだ…
コホン…
少女の心からの願いは届いた。
通りかかった「ボンボン爆弾」が、彼女に道を開いてくれたのだ…
女の子
ありがとう…!
「ボンボン爆弾」。
ありがとう…!
「ボンボン爆弾」。
傍白
こうして、少女は森の奥へと進めるようになった。
灯はなかったが、そこでは炎のように赤い魔女が待っていた。
説明しておくと、元々のストーリーでは、この魔女がいばらを燃やしてくれるはずだったんだよ、はは…
こうして、少女は森の奥へと進めるようになった。
灯はなかったが、そこでは炎のように赤い魔女が待っていた。
説明しておくと、元々のストーリーでは、この魔女がいばらを燃やしてくれるはずだったんだよ、はは…
パイモン
そんなことは終わってからでいいって!
傍白
魔女は少女の境遇に同情し、懐に持っていた瓶を渡した。
そして、少女に瓶にまつわる物語を教えた。
炎のように赤い魔女は活発で、遠いところを旅するのが好きだ。
オアシスで休んでいた時、彼女は三日月のような湖の岸辺できれいな瓶を拾ったのだ。
オアシスで休んでいた時、彼女は三日月のような湖の岸辺できれいな瓶を拾ったのだ。
ガイア
クレー、こっちだ。
早くこの灯の前に…
来た来た…
傍白
炎のように赤い魔女は、人の願いを叶えてくれるすごい魔女だった。
彼女はその瓶もまた、同じようなすごい瓶に変えた。
しかし、瓶が願いを叶えられるのは、瓶の中でだけ――
炎のように赤い魔女は、人の願いを叶えてくれるすごい魔女だった。
彼女はその瓶もまた、同じようなすごい瓶に変えた。
しかし、瓶が願いを叶えられるのは、瓶の中でだけ――
クレー
「このビンはね!
おもちゃとしてはちょっと物足りないけど、身を寄せるところとしてはまあまあ合格ってところだわ!」
「このビンはね!
おもちゃとしてはちょっと物足りないけど、身を寄せるところとしてはまあまあ合格ってところだわ!」
傍白
炎のように赤い魔女は瓶の中に息を吹き込んで、瓶の外でも、一度だけ願いを叶えられるようにした。
炎のように赤い魔女は瓶の中に息を吹き込んで、瓶の外でも、一度だけ願いを叶えられるようにした。
クレー
息を吹き込むんだよね…
ふぅ――
わぁ、瓶が光った…
傍白
瓶の中に炎の光が灯り、それは魔女や炎のように赤い瓶へと化した。
炎のように赤い魔女は物語を語り終えると、炎のように赤い瓶を残して姿を消した。
女の子
これは願いを叶えてくれる瓶だったのね。
それじゃあ、私はここを出て、誰にも見つからない場所に行きたい…
傍白
「その後は?」
傍白
瓶の中に炎の光が灯り、それは魔女や炎のように赤い瓶へと化した。
炎のように赤い魔女は物語を語り終えると、炎のように赤い瓶を残して姿を消した。
女の子
これは願いを叶えてくれる瓶だったのね。
それじゃあ、私はここを出て、誰にも見つからない場所に行きたい…
傍白
「その後は?」
その瓶から、まるで小さな問いかけが聴こえたかのように、少女は答えた。
女の子
私にも分からない。
傍白
瓶の中の炎が消え、少女のたった一度の願いは叶えられた――
女の子
私にも分からない。
傍白
瓶の中の炎が消え、少女のたった一度の願いは叶えられた――
そうして彼女は、誰も近寄ることのできない砂漠に送られたのだった。
大盗賊はその物語を聞いて、少しがっかりした…
瓶は、「瓶の外で願いを叶える炎」をすでに失っているのだ。
大盗賊はその物語を聞いて、少しがっかりした…
瓶は、「瓶の外で願いを叶える炎」をすでに失っているのだ。
女の子
おかしい…
私の願いが叶っていたのなら、ここは誰にも見つからない場所だったはずなのに…
おかしい…
私の願いが叶っていたのなら、ここは誰にも見つからない場所だったはずなのに…
大盗賊
砂漠は確かにとても危険だが、俺は決意した。
だからこそ困難を乗り越え、ここまでたどり着いたんだ。
砂漠は確かにとても危険だが、俺は決意した。
だからこそ困難を乗り越え、ここまでたどり着いたんだ。
女の子
なら、この瓶を受け取ってください…
あなたの願いを叶えてくれるかもしれない。
残念ながら、願いは瓶の中に限られますが。
なら、この瓶を受け取ってください…
あなたの願いを叶えてくれるかもしれない。
残念ながら、願いは瓶の中に限られますが。
大盗賊
では、光をくれ。
傍白
少女は大盗賊の願いを聞き入れ、瓶の中に光を出現させた。
傍白
そして、二人は気付いた――
それは瓶の中のものではあったが、瓶のガラスを通して世界中のどこまでも届く光だったのだ。
大盗賊
あの炎の光とは違って、さほど眩しくはないが…
これも大した光じゃないか。
俺が瓶を受け取った後、お前はどうするんだ?
女の子
私にも分かりません。
大盗賊
あの炎の光とは違って、さほど眩しくはないが…
これも大した光じゃないか。
俺が瓶を受け取った後、お前はどうするんだ?
女の子
私にも分かりません。
大盗賊
それじゃ、俺と一緒に帰ろうか。
それじゃ、俺と一緒に帰ろうか。
傍白
少女に断る理由はなかった。
彼女は大盗賊と共に、光のない国へ帰った。
彼らはそこに光をもたらし…
暗闇は振り払われた。
そうしてその後も、幸せに暮らしたのだった――
少女に断る理由はなかった。
彼女は大盗賊と共に、光のない国へ帰った。
彼らはそこに光をもたらし…
暗闇は振り払われた。
そうしてその後も、幸せに暮らしたのだった――
パイモン
これで、公演は無事に終わりだな。
クレー
栄誉騎士のお姉ちゃん!
クレーのさっきの演技、どうだった?
「炎のように赤い魔女」っぽかった?
栄誉騎士のお姉ちゃん!
クレーのさっきの演技、どうだった?
「炎のように赤い魔女」っぽかった?
パイモン
わぁ、クレー、「魔女」の衣装だったのか!
さっき影を見たとき、帽子のつばが広くてすごくかわいいって思ってたぞ!
①その名の通りだね!
②よく似合ってるね!
②よく似合ってるね!
クレー
クレーも気に入ったよ!
ありがとう、ゾシモスお兄ちゃん!
あっ、違う違う…
監督のお兄ちゃん!
クレーも気に入ったよ!
ありがとう、ゾシモスお兄ちゃん!
あっ、違う違う…
監督のお兄ちゃん!
ゾシモス
監督のお兄ちゃん…!?
ああ…!
そんな風に呼ばれるのは初めてだ!
ありがとう…
本当にありがとう、親愛なる小さな魔女さん…!
すごく嬉しいよ!
クレー
イディアお姉ちゃんが言ってたよ、デザインを描いて、服を作ったのはお兄ちゃんなんだってね。
イディアお姉ちゃんがお直ししてくれて、クレーも着られるようになったの。
だから、監督のお兄ちゃんはすごいよ!
パイモン
それは確かにすごいな!
イディアも偉いぞ!
イディア
大したことじゃないですよ…
「あっ、どうしよう。
王子様の舞踏会に行くのに、きれいな服がない!」みたいな状況でしか使えない技ですし。
珊瑚宮心海
仕立ても一つの技術です。
イディアさんはご自分が思っているよりもすごいですよ。
イディアさんはご自分が思っているよりもすごいですよ。
イディア
ほんとですか?
え…えっと、ちょっとお先に失礼します。
みんなは話を続けてくださいね…
ほんとですか?
え…えっと、ちょっとお先に失礼します。
みんなは話を続けてくださいね…
パイモン
イディア、すごく緊張してたな。
恥ずかしそうに逃げてったぞ…
本当に照れ屋さんだな…
ゾシモス
イディアは繊細で、自信が足りないやつなんだよ…
あいつ、感情が高ぶり過ぎて、どこかに隠れて泣いたりなんかしてないだろうな…?
うーん…
ちょっと心配だ…
珊瑚宮心海
心配ありません、私がイディアさんのお相手をしてきますね。
それでは皆さん、少しの間失礼いたします。
ゾシモス
そうだ、今回の公演はどうだった?
何か感想とかないか?
そうだ、今回の公演はどうだった?
何か感想とかないか?
パイモン
おっ?
来たぞ来たぞ!
なあ、本当にオイラたちの感想を聞きたいのか?
おっ?
来たぞ来たぞ!
なあ、本当にオイラたちの感想を聞きたいのか?
ゾシモス
もちろん!
俺は自信を持って聞いてるんだ!
思ってることを率直に言ってくれ!
どんな批判でも受け入れてみせるさ!
>だったら…
パイモン
じゃあオイラから!
最初のセリフはどれも悪くなかったけど、ストーリーが進めば進むほどどんどんありきたりになってきて…
なんか、ネタ切れかなって感じだったぞ。
それに、登場人物もちょっと意味不明で、なんでこういう編成になったのか分からなかった。
やっとその深みが少し見えてきたってところで、いきなりぶっつり終わっちゃうんだもんな!
イディア
そうそう。
パイモンさん、よくぞ言ってくれました。
『千夜物語』の構成に敬意を払いたいがために、かえって叙述が乱れてしまっていたのも、道具の処理を忘れていたのも減点対象ですよ。
クレー
イディアお姉ちゃん。
他のところに行ったんじゃなかったの?
イディアお姉ちゃん。
他のところに行ったんじゃなかったの?
イディア
大事な話題になったのを聞きつけて、潮の満ち引きのように戻ってきたんです!
ゾシモス
わざわざ批評しに来てくれるとは、本当にご苦労様だね!
わざわざ批評しに来てくれるとは、本当にご苦労様だね!
イディア
はい!
でもストーリーの結末は良かったです。
それだけはとても気に入りましたよ。
それだけですけど。
はい!
でもストーリーの結末は良かったです。
それだけはとても気に入りましたよ。
それだけですけど。
>イディアはパイモンよりも厳しい。
イディア
…そうですか?
この程度、優しすぎると思いますけど。
…そうですか?
この程度、優しすぎると思いますけど。
珊瑚宮心海
イディアさん、ちょっといいですか。
イディア
あっ、はい!
すみません、ちょっと失礼します。
みんな、批評を続けてくれていいですよ。
後はパイモンさんに任せますね!
パイモン
おう!
そ、それじゃ、もう一つアドバイスをしてもいいか?
ゾシモス
どうぞ!
監督たるもの、こういうことも経験しないとね。
パイモン
オイラ、あの結末にはやっぱり違和感を覚えるぞ!
物語の中で、少女の考え方が単純すぎるんだ!
あんな状況じゃ、どう考えても「私にも分かりません」なんていえないだろ!
よく考えてみろよ。
彼女の一族はまだ放浪してるのに…
自分一人の幸せを追い求めるなんて、おかしすぎるだろ。
①これで結末すら否定されちゃったね。
②大丈夫?ゾシモス。
ゾシモス
大丈夫さ。
批判を集めてこそ上達できるんだ。
今回は舞台の下から見ることができてすごく勉強になった。
本当に夢が叶ったよ。
パイモン
おまえは本当に前向きだな。
まったくショックを受けてないように見えるけど。
ゾシモス
まったくショックを受けてないわけでもないさ。
でも、君たちの言ってることは本当のことだし、俺も問題に気付かせてもらった。
パイモン
オイラ、ふと思い出したけど…
この台本って急いで完成させたんだよな。
うぅ…
やっぱりオイラとイディアが厳しすぎだったか?
オイラ、ふと思い出したけど…
この台本って急いで完成させたんだよな。
うぅ…
やっぱりオイラとイディアが厳しすぎだったか?
>確かにちょっと厳しすぎ。
ゾシモス
ハハハ、大丈夫だよ。
俺にとって、舞台上での「過程」は何よりも大事なことなんだ。
おとぎ話を夢見る子供時代っていうのは、誰にでもあるものだろ?
オイルランプと向かい合って、人形を手に…
自分で作った紙人形と戦わせるんだ。
影が壁に揺らめいて、いくら遊んでも飽きなかった。
昔ベッドに横になりながら「ガオーッ」なんてオノマトペを口にしてた男の子と、今の俺――
いや、俺たちは同じ人間で…
得る喜びも本質的には同じなんだ。
…もちろん、公演が無事に終わったのはみんなのおかげだ。
「監督」として、みんなにちゃんとお礼を言わないとね。
得る喜びも本質的には同じなんだ。
…もちろん、公演が無事に終わったのはみんなのおかげだ。
「監督」として、みんなにちゃんとお礼を言わないとね。
パイモン
気にするな。
オイラたちも楽しかったしな!
気にするな。
オイラたちも楽しかったしな!
ゾシモス
…これを受け取ってくれ。
みんなに約束した「パーツ」だよ。
クレー
さっき公演で使った「瓶」だ!
クレーが息を吹き込んだら光ったんだよ!
ゾシモス
そうとも。
光る秘密を当ててみないかい?
そうとも。
光る秘密を当ててみないかい?
クレー
中に、見えない小さな精霊さんが住んでるの!
息を吹き込むと精霊が目を開けるんだよ。
ゾシモス
……
……
そう、その通りさ。
イディア
これならどうかな?
えっと、ここはもうちょっと締めないと…
ちょっと待ってくださいね、すぐできますから。
>(ん?なんだか急にそっちのほうがざわざわしてきたな…)
ガイア
へえ…
この服、思ってたよりずっと洒落てるじゃないか…
へえ…
この服、思ってたよりずっと洒落てるじゃないか…
珊瑚宮心海
皆さん、ちょっといいですか?
特にゾシモスさん…
あなたの夢を一時的に叶えてあげると、イディアさんが。
皆さん、ちょっといいですか?
特にゾシモスさん…
あなたの夢を一時的に叶えてあげると、イディアさんが。
ゾシモス
夢を…?
夢を…?
珊瑚宮心海
あなたの監督への夢を一番最初に聞いた人として、イディアさんは――
役立たたずの私でも、何かできるかもしれません、と仰ったんです。
…まあ、これにはあまり同意できませんが。
私は最初から、イディアさんが役立たずだなんて思っていませんでしたから。
…まあ、これにはあまり同意できませんが。
私は最初から、イディアさんが役立たずだなんて思っていませんでしたから。
イディア
なんで私のことを話し始めるんです…?
さてさてみんな、準備はいいですか?
それでは早速、今日の舞台のヒーローの登場です!
ジャジャーン!
なんで私のことを話し始めるんです…?
さてさてみんな、準備はいいですか?
それでは早速、今日の舞台のヒーローの登場です!
ジャジャーン!
パイモン
わぁ!
クレー
わぁ!
ガイアお兄ちゃん…
本当に大盗賊だ!
ガイア
衣装に着替えた主役を見るだけで、本当に監督が喜んでくれるのか?
ただのサンプル衣装だぞ…
喜びって言うのは、そう簡単なもんじゃないぜ?
珊瑚宮心海
そんなことを仰らないでください。
きっと監督も喜んでくれますよ。
自分の作品にふさわしい役者が現れて、作品を本物にしてくれるんです。
とてもいいことではありませんか。
ガイア
ハハッ、ヒロインがここまで言うなら、ヒーローの俺も些細なことは気にしていられないな。
ハハッ、ヒロインがここまで言うなら、ヒーローの俺も些細なことは気にしていられないな。
イディア
ゾシモスは衣装を沢山デザインして、いくつかサンプルを作りました。
ただ、サイズがちょっと合ってなかったんで、私が直してみたんです…
みんなが心に思うヒーローのイメージに合ってるといいんですけど。
ゾシモス
…すごく合ってるよ…
イディア、お、俺…
…俺は…うぅ…
本当に幸せ者だ…
みんな、ありがとう…
監督になるのってこんなに幸福なことだったんだね…
イディア、お、俺…
…俺は…うぅ…
本当に幸せ者だ…
みんな、ありがとう…
監督になるのってこんなに幸福なことだったんだね…
自分の書いた演劇を初めて観たゾシモスは、顔を覆って咽び泣いた。
彼の瞳は、夢を叶えた喜びに潤んでいるようだった。
ガイア
どうだ、監督。
落ち着いたか?
ゾシモス
ああ。
――本当にありがとう、イディア。
イディア
もう…
社交辞令はいいですから。
パーツも揃ったことですし、監督とはそろそろお別れです。
「ヴェルーリヤ・ミラージュ」のコアがあるところへ行って、蜃境を再び運行させましょう。
もう…
社交辞令はいいですから。
パーツも揃ったことですし、監督とはそろそろお別れです。
「ヴェルーリヤ・ミラージュ」のコアがあるところへ行って、蜃境を再び運行させましょう。
クレー
クレー、この服を着たまま行っていい?
ゾシモス
もちろん!
この二着の舞台衣装は二人に預けるのが一番いい。
クレー
よかった!
じゃあガイアお兄ちゃんも着てて!
すっごく素敵だから!
よかった!
じゃあガイアお兄ちゃんも着てて!
すっごく素敵だから!
珊瑚宮心海
私も魔女さんに賛成です。
ここで一風変わったヒーローを演じてみるのも、とても貴重な夏の思い出になると思いますよ。
ガイア
確かにな。
それじゃしばらくは大盗賊として活動するとしよう。
クレー
監督のゾシモスお兄ちゃん、またね!
監督のゾシモスお兄ちゃん、またね!
ゾシモス
愛する友人たちよ、気を付けて!
旅のランプ
青年が夜に読書する時、よく使っていたランプ。
ちょっとした仕組みでランプの炎を調節できるようになっているが、この類のランプを見たことがない子供にとっては、不思議な魔法のように見えるだろう。
このランプの明かりを見つめるたび、彼はオイルランプの前でいろんなキャラクターや動物の形を手で作って遊んでいた昔のことを思い出す。
このランプは最終的に置き土産としてここに残された。
彼にとってそれは、身軽に旅に出るための手段でもあったのだろう。
ちょっとした仕組みでランプの炎を調節できるようになっているが、この類のランプを見たことがない子供にとっては、不思議な魔法のように見えるだろう。
このランプの明かりを見つめるたび、彼はオイルランプの前でいろんなキャラクターや動物の形を手で作って遊んでいた昔のことを思い出す。
このランプは最終的に置き土産としてここに残された。
彼にとってそれは、身軽に旅に出るための手段でもあったのだろう。
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ゾシモス
これから君たちは蜃境のコアを元通りにするんだろう…
健闘を祈ってるよ。
ここでみんなに出会えたことを、本当に光栄に思ってる。
君たちは俺の最初の「劇団メンバー」だ!
本当にありがとう…
君たちがくれたすべてに感謝してるよ…!
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