赤砂遊記/ストーリー

3.4



ディシア
おはよう、お嬢様。
昨夜はよく眠れましたか?
今日は長旅になりますよ。

ドニアザード
ええ、もう準備できたわ。
出発しましょう!

ドニアザード
砂漠の景色がこんなに綺麗だなんて。
こんな環境で育った人はきっと、自由な一粒の砂になって…
砂漠の熱風に乗って、はるか遠くへ旅したいって夢みることでしょうね。

ディシア
だろう?
あたしはどう考えたって、教令院の執務室に引きこもっていられるような人間じゃないんだ。

ドニアザード
これは?
砂漠の虫なの?

ディシア
ああ、こいつは聖金虫だ。
まったく忙しいやつらで、砂風に吹かれて高い坂の上から落とされちまったとしても、何度だって土の球を砂丘の上まで登っていく。

ドニアザード
あら、根性のある虫さんね。

聖金虫
広大な砂海に生息している頑丈な甲虫。


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ドニアザード
砂山の下にいたのは草晶蝶だったのね。
でも、どうしてこんなところにいたのかしら?

ディシア
砂漠の環境は過酷だから、ここの生物も自分なりの生存法ってやつを身につけてるんだ。
砂山の下には晶蝶だけじゃなく、キノコンやサソリだって隠れてるかもしれないぜ。
危ないから、好奇心をそそられたからって全部の砂山を確かめるような真似はしないほうがいいですよ。

ドニアザード
サソリまで…
えっと、も、もしサソリが出たら、ディシア、あなたに任せるわ!

草晶蝶
草晶蝶は生命の種だという伝説がある。


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ディシア
お嬢様、疲れてませんか?
駄獣に乗ってこの風景を堪能してみるのはいかがです。

ドニアザード
ディシア、交代しましょ?
あなたも駄獣に乗って休憩して。

ディシア
あたしのことなら心配ご無用。
砂の上を散歩する感覚を楽しんでる最中だからさ。

ラクラク駄獣
駄獣は人類の友達。


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ドニアザード
砂漠にこれほど美しいオアシスがあるなんて。
野営にぴったりって感じがするわね。

ディシア
じゃ、まずは焚き火を起こすとしましょう。

ドニアザード
まさか、絵本に描かれていたシーンを自分自身で体験できる日が来るなんて思わなかったわ。

ディシア
実際の風景には、絵本じゃ必ず描き切れない部分があると思うぜ。
さ、もう夜も遅い。
ここらで休みましょう。

サムードオアシス
砂海の上を宝石のように飾るオアシス。


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ディシア
おはよう、お嬢様。
荷物は大体片付けたから、アアル村に戻ろうか。

ドニアザード
ありがとう、ディシア。
今回の砂漠旅行は本当に忘れられない旅になったわ。

ディシア
ハハッ、礼なんていいよ、お嬢様。
機会があれば、今度は他のところの風景も一緒に見に行こうぜ!

ディシア
さて、あたしはこれから用事のためにスメールシティに行くつもりですが…
お嬢様も一緒に帰りますか?
でも、この砂漠の旅で、お嬢様もさぞ疲れただろうし――

ドニアザード
私のことなら心配しないで、とりあえずここに残るから。
家を失った子供たちを、陰でずっと支援してるって聞いたことあるわ。
用事ってそのことなんじゃない?
ささやかだけど、力になりたいの。
これも、その子たちへのプレゼントとして…
一緒に持って行ってくれないかしら?

ディシア
お、お嬢様…
いただくよ。
本当にありがとう!
あいつら、大喜びするに違いないぜ!

ドニアザード
さあ、早く行ってあげて。
気をつけていってらっしゃい!


ディシア
ふう…
本当に充実した旅だったな。