予期せぬ闘争

3.4 修正(吹出)

◆忠常
◆忠明
◆斑目百兵衛(社奉行代行)
◆宏達(社奉行代行)
◆柊千里
◆小野寺(「八重堂」編集)
◆水田(「八重堂」編集)

パイモンと共に白狐の野を歩き、滅多にない平和な雰囲気を楽しもうとしたが、結局予期せぬ争いに巻き込まれた…

…白狐の野の辺りに行く…

パイモン
あれ、あっちのほうで誰かが言い争ってる声がしたぞ。
なにかあったのかな?
見に行ってみようぜ。

忠常
先輩、俺たち長年の付き合いでもう本当の兄弟みたいなもんだろ。
俺は、真剣なんかで勝負したくない…

忠明
何を日和っている。
私と君、勝者はどちらか一人のみだ。
さあ来い、我が弟弟子、忠常よ。

パイモン
えっ、こいつらなんで急にこんな路上で戦おうとしてるんだ?

忠常
なんだ?
通行人か?
君たち、離れててくれ。

忠明
我ら「狐野一刀流」の直弟子は、ここで勝負しなければならないのだ。
剣術のことを知らない者は邪魔しないでもらおうか。

パイモン
うわ、理不尽だな。
道を塞いでるのはおまえたちのほうだろ。
それに剣術を知らないだって?
剣術のことなら、この旅人は超一流なんだぞ。

忠常
何?
そうか、また資格を奪いに来たやつだったんだな。
先輩、ここは一時休戦してまずはこいつを追い払わないか。

忠明
ああ、私も異論はない。

パイモン
えっ、どうなってんだ?
なんでこっちに向かって来るんだよ?
旅人、気を付けろ!

忠明
このたった一つの資格は、我ら「狐野一刀流」が手にする。

争いに巻き込まれてしまった今、剣を手に取り、挑戦を引き受けるしかない。

…迎え撃つ…

パイモン
ふぅ…
やっと大人しくなった。
おい、おまえたち誤解してるぞ。
オイラたちはただの通りすがりで、別に資格とやらを奪いに来たわけじゃないからな。

>資格って?

忠常と忠明
……

忠常
先輩…
今のはどういうことだ?
この若者、たった数手で俺たち二人をここまで追い込んだぞ!
今度こそ「狐野一刀流」の名を世に知らしめる機会だと思ったのに。
まさか、会場に足を踏み入れる前に頓挫するとは…

忠明
忠常よ、もうよい。
このような結果になったのは、私たちの力不足が故だ。
はぁ、師匠は常に「上には上がいる」とおっしゃっていたが、私たちはその言葉に耳を傾けてこなかった。
おそらく、このたった一つの「参加資格証」は、私たちどちらの手に渡っても同じ結果だっただろう。

パイモン
待て待て。
おまえたちなんの話をしてるんだよ?
それに、さっきまでケンカしようとしてたよな。

忠明
二人とも、誤解させてしまいすまない。
私たちは剣術流派「狐野一刀流」の弟子でな。
さっき戦おうとしていたのは、「演武伝心剣術大会」への参加資格を賭けてのことだったんだ。
この大会は剣を学ぶ者にとって特別な意味がある。
それに、この辺りは人通りが少ない、さっきはてっきり大会の参加資格を奪いに来た者だと思ってしまったんだ。
誠に申し訳ない。

①やっと誤解が解けた…
②じゃあ、これで失礼するよ。

忠明
待ってくれ!
もし君たちが目覚めさせてくれなかったら、私は自分の力不足に気づけなかっただろう。

忠常
ああ、確かにそうだな。
君と戦って、俺は初めて気づかされた。
剣も心もまだまだ精進する必要があるってことに。
先輩、一つ提案だが、この参加証を彼女に譲らないか?

忠明
ああ、私も異論はない。
真の剣術の使い手こそ、演武伝心の会場に立つ資格がある。
私たちはまだまだ鍛錬が足りないようだ。

パイモン
えっ、つまり、おまえたちの代わりに、旅人に大会に出てほしいってことか?

①急すぎない?
②その大会について何も知らないんだけど…

忠常
参加するかどうかは、君自身が決めてくれ。
この参加証は、今の俺たちには意味がない。
…じゃあな、いずれまた会おう。

パイモン
いつも行っちゃった…
えっと、残されたこのなんちゃら大会の参加証だけど、どうしたらいいんだ?
どれどれ…
「演武伝心剣術大会」、「社奉行主催」。
見たところ社奉行がやってる大会みたいだな。
神里屋敷に行って聞いてみようぜ。

「演武伝心」会場入場券
国籍や身分を問わず、武を以て友に相見え、刃を振って世間に示す。

…神里屋敷へ行き、斑目に尋ねる…

斑目百兵衛
旅人にパイモン、久しぶりだね。
あいにく、社奉行様もお嬢様も今日は公務があって、屋敷にいらっしゃらないんだ…

パイモン
いや、今日はあいつらに会いに来たわけじゃないぞ。
社奉行が開催する「演武伝心剣術大会」について聞きに来たんだ。

斑目百兵衛
おや、もしかして大会に申し込みたいのかい?
申し訳ないが、今回は希望者が多くてね。
参加資格証は先週のうちに配布が終わってしまったんだ。
ただ、最後の模擬試合の観戦券であれば、何とか入手できるかもしれない…

パイモン
いやいや、誤解だぞ。
実は今日、たまたま参加証を一つ手に入れたんだ。
けど、まだ参加するか迷ってて…
だから、ここに聞きに来たんだ。
でも今の話を聞く限り、この大会ってかなり人気みたいだな。

斑目百兵衛
ああ、「演武伝心」はもともと稲妻の歴史ある剣術大会でね。
参加することは武人にとって自身の実力を測る絶好の機会で、そして栄誉でもあるんだ。
しかも、将軍様はこれを機により多くの人に剣術の魅力を知ってもらおうと、今大会では新たな要素を取り入れた。
町民たちもみんな興味を持っている。
旅人、参加証を持っているのなら、大会に参加してみたらどうだい?
せっかくの機会だしね。

①分かった、考えておく。
②まだ他に用事が…

斑目百兵衛
おっと、そうだ。
今日初めて「演武伝心」のことを聞いたのならまだ知らないと思うけど、お嬢様は…

宏達
滅多にない機会だっていうのに、何を躊躇ってるんだ。
「演武伝心」に参加できることを誇りに思わないのなら、参加証を持ってる必要もないだろう。
それを欲しがってるやつは大勢いるっていうのにな。

斑目百兵衛
宏達、口を慎め。
客人に対する口の利き方じゃないぞ。
斑目さん、別に彼女たちを侮辱してるわけじゃない。
むしろ、この旅人のお手並みを拝見したいと思ってるんだ。
神里屋敷の者であれば、全員君の名を知ってる。
お嬢様も君のことを高く買っていてな。
さぞかし立派な英傑だと思っていたんだが…
見たところ、大したことなさそうじゃないか。
気迫も感じないし、剣の腕も…
おそらく平凡なもんだろう。
でなきゃ、とっくに参加を決めてるはずだ。

斑目百兵衛
言葉が過ぎるぞ、宏達。
旅人は武家の出身ではない、考え方も違うだろう。
それに気迫や剣術の腕は、必ずしも試合でしか見られないものじゃない…

パイモン
なんなんだ、今日出会ったやつらはどいつもこいつも口が悪いな、ふんっ!
お腹が空くこと以外でオイラが一番イヤなのは、知りもしないやつに旅人のことを軽く見られることだぞ。

①パイモン!
②もう慣れたから…

パイモン
でもおまえのことをよく知らないのに、気迫も腕もないだなんて、オイラさすがに頭に来るぞ!
こいつに嫌なあだ名をつけてやる。
…よし、おまえは「見る目なし野郎」だ!

宏達
ふん、減らず口を。
腕前は口先だけで証明できるもんじゃない。
この宏達は正真正銘の武人だ。
ホラを吹いて名声を得ようなんてことはせん。
じゃあな、俺はこれで失礼させてもらう。

斑目百兵衛
はぁ、旅人、本当に申し訳ない。
宏達は思ったことを何でも口にする人なんだ。

>大丈夫、実力で認めさせるまで。

パイモン
じゃあ、大会に参加するってことか?
おぉ、オイラ大賛成だぞ!
あの宏達ってやつにおまえの腕を見せてやろうぜ。

斑目百兵衛
開催は二日後で、会場は離島だ。
さっき伝えそびれたけど、今日お嬢様は離島へ向かい、柊千里様とこの大会について打ち合わせをする予定になっている。

パイモン
そうだったのか?
なら、離島へ行って綾華に会いに行こうぜ。
ちょうど「演武伝心」についてもっと聞きたかったからな。

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斑目百兵衛
お嬢様は今頃、離島で勘定奉行の柊千里様と「演武伝心」について打ち合わせをしているよ。
今回の大会でお嬢様は重要な役割を担っている。
会いに行くのなら、お嬢様に詳細を聞いてみるといい。

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宏達
本当に大会に参加する気か?
まあいい、試合会場でまた会おう。

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…離島で神里綾華を探す…

パイモン
綾華、千里――

神里綾華
旅人さんにパイモンさん、お久しぶりです。
最近は稲妻にいらしたのですね。

パイモン
おう、実は「演武伝心剣術大会」に参加することになったんだ。
綾華が離島で準備してるって聞いたから、様子を見に来たぜ。

柊千里
ちょうど「神使代行」のお仕事の話が終わって、旅人さんなら「演武伝心」に興味を持つんじゃないかと話していたんです。
そこにあなたが現れるなんて、なんとも奇遇ですね。

パイモン
「神使代行」?
なんだそれ?
えっ、知らないのですか?
綾華さんの手紙を読んで稲妻に戻られたのでは?

パイモン
ん?
手紙?
なんの手紙だ?

神里綾華
あっ、いいえ、気にしないでください。
パイモンさん、「神使代行」について知りたいのですよね?

パイモン
そうそう、それってなんなんだ?

神里綾華
「神使代行」は「演武伝心」の特殊な役割の一つです。
これについて説明するには、この大会の由来も話さなければなりません。
「演武伝心」は稲妻の古き伝説から始まりました。
伝説によると、遥か昔、稲妻で剣術を極めた武人は将軍様と謁見ができ、手合わせをする栄誉を得られたといいます。
しかし、将軍様の実力はあまりにも人間を凌駕したものです。
直接武人と勝負すれば、勝敗は一瞬で決してしまいます。
そこで、将軍様は自身の眷属を武人を導く使者として遣わせました。
その手合わせで、使者は武人を援護し、二人で将軍様と戦ったのです。
将軍様は演武という形で、自らの技と稲妻を守る意志を民に伝えたことから、この大会は「演武伝心」と呼ばれるようになりました。
その後、「演武伝心」の伝説は剣術大会へと姿を変えます。
神が技を授ける手合わせも、大会の最後に行われる「模擬試合」となりました。
これを通じて、後世の人々は「演武伝心」の由来や、武芸に込められた意義を理解するのです。

パイモン
大事な演目みたいだな。

そうですね。
模擬試合では、将軍様が自ら参加することはありません。
しかしながら、神の威厳を示すため、特別な使者を遣わし、自身に代わって参加させます。
「武人」役を演じるのは、もちろん大会の優勝者です。
「神の眷属」役は官僚出身の剣士が演じます。
そして、この役割を「神使代行」と呼ぶのです。
今回、私が「神使代行」を務めさせていただくことになりました。

パイモン
そうだったのか!
この大会が人気な理由がやっとわかったぞ!
綾華は稲妻の人たちの間で大人気だもんな。

柊千里
そうですね。
白鷺の姫君は祭事などの儀式に出席はしますが、その優れた剣術を間近で見る機会はそうありませんから。
大衆向けの大会を開催するには、影響力のある方に広報大使になっていただかないと、と将軍様はおっしゃいました。
ですから「神使代行」の役割が務まる人は綾華さん以外いません。
あっ、こちらは八重堂の小野寺さんです。
様々な催事の企画を担当していて、私たちの助っ人でもあります。
綾華さんに「神使代行」を担当してもらうのも彼の提案です。
他にも、「対象者の拡大」や「話題作り」の面で彼は様々な提案をしてくれました。
大会の人気を一気に高めてくれたのでとても助かっています。

パイモン
おおっ、これぞプロってやつだな!
でも、その案って具体的になにをしたんだ?
もう少し詳しく知りたいぞ。

小野寺
「対象者の拡大」というのは、より多くの人に大会に参加してもらうことです。
今まで演武伝心の参加者は、稲妻の剣術流派に属する人でなければいけませんでした。
しかし、今回は国籍や身分を問わず、武芸の心得さえあれば誰でも参加できます。
また、試合で使用する武器も片手剣だけではなく、近接武器で、長さと重さが大会の基準を満たしものであれば問題ありません。
それから「話題作り」について、私個人の経験で一番有効的な方法は――
投票を行うことです。

>投票?

小野寺
はい。
「神使代行」は模擬試合で華麗な服を身にまといます。
以前は将軍様が衣装を指定していましたが、今回は将軍様の許可を得て、選択権を観客に委ねました。
皆さんは「春櫻」や「秋葉」など、四季の風物詩をなぞらえた衣装の中から選んで投票します。
神里さんにはもっとも票を得た衣装で模擬試合に参加していただく予定です。

柊千里
投票は大会当日から始まりますが、うちの使用人たちは衣装がどういったものになるのかもう話し合っているんですよ。

小野寺
神里さんが「神使代行」を務めることに応じてくれたおかげで、これらの案は成立しました。
もちろん神里さんにとって、ここれはかなりの重圧であると理解してはいますが。

神里綾華
お気になさらないでください。
剣術の普及に役立てるのなら、私にとっても光栄なことです。
それに、小野寺さんが大会のために力を尽くしてくれていることは、誰もが認めていますから。

小野寺
そんな、褒めすぎですよ。
さて皆さん、私はこれから帰って投票の準備をしますので、お先に失礼します。

神里綾華
旅人さんにパイモンさん、せっかく来てくださったのですし、ここの環境に馴れていただくためにも、千里さんと一緒に会場までご案内しますね。

パイモン
やった!
さっそく行こうぜ。

…会場へ向かう…

パイモン
立派な会場だな…
遠国監察にこんなところがあるなんて、知らなかったぞ。

神里綾華
ここは勘定奉行の室内訓練場です。
今回は千里さんのおかげで、この会場を借りることができました。

柊千里
お気になさらないでください、綾華さん。
お役に立てて私も嬉しいです。

パイモン
千里、あれはなんだ?

柊千里
あっ、あれですか…

神里綾華
旅人さん、あの…
少しよろしいですか?

>もちろん。

神里綾華
ええと、どこから話せば良いのでしょう…

>「手紙」のこと?

神里綾華
はぁ…
やはり貴方の目はごまかせませんね。
実は、「神使代行」を担当してもらいたいという話をいただいた時、本当は少し不安だったのです。
小さい頃から公の場に顔を出してきたとはいえ、剣術大会の広報大使として、しかも華麗な衣装を着て演武に参加することは、これが初めてです。
過去に「神使代行」を担当してきた方は、どなたも稲妻の官僚で剣術に精通しているお方でした。
その方々と比べて、私はまだまだ未熟だと思っています。
この役割をちゃんと果たせるかが心配で…
だから手紙を書いて、貴方の意見を聞こうと思ったのです。

①友達だから、気を遣う必要はない。
②悩みごとならいつでも相談して。

神里綾華
はい、承知しております。
しかしだからこそ、あの手紙を出さなかったのかもしれません。
今まで何度も助けていただいて、悩みもたくさん聞いていただきました。
でもいつも貴方ばかりに頼っていたら、まるで「負けた」ような気がするのです。
ふふっ、友達なのにおかしな考え方でしょう?

①おかしくはない。
②気持ちは分かる。

神里綾華
ありがとうございます。
でも今日、貴方も大会に参加することを聞いて、とても嬉しく思っています…

パイモン
綾華…
ってあれ、二人ともなに話してたんだ?

神里綾華
旅人さんが大会に出ると聞いて嬉しい、と話していたのです。
彼女の稲妻での人望をもってすれば、大会の知名度もますます上がるでしょう。

パイモン
へへっ、こいつが出れば、絶対いい試合になると思うぞ。

柊千里
パイモンの言う通りですね。
私もあなたのご活躍を楽しみにしています。

周りをしばらく見渡した後、あなたたちは会場を離れた…

神里綾華
もう遅いので、私と千里さんはお先に失礼いたします。
お二人とも、ここ二日はゆっくり休んでください。
また大会当日にお会いしましょう。

パイモン
おう!
綾華、千里、また大会当日にな!

…2日後まで待つ…

パイモン
今日は「演武伝心剣術大会」の開催日だ。
さっ、会場へ行こうぜ。

…会場の外で神里綾華と会話する…

パイモン
見ろ、綾華と千里がいるぞ。

神里綾華
旅人さん、パイモンさん、来てくれましたか。
昨夜はゆっくり休めましたか?

①よく休んだ。

柊千里
さすが旅人さんです。
余裕のある表情ですね。

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②あまり眠れなかった。

柊千里
とは言え、いつもの余裕ある表情ですね。

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パイモン
へへっ、試合前に最善の状態を保つのは大事なことだからな。
今回の試合は絶対に勝つぞ。

小野寺
皆さん調子良さそうですね。
今日の開幕試合もきっとうまく行くでしょう…
うん。

パイモン
そういえば、この二つの箱には投票用紙が入ってるのか?

小野寺
はい、既に手配はしました。
左の箱にあるのが演武伝心の投票用紙で、右の箱はそのほか催事用のものです。
投票結果はあなたたちが三回目の試合に出る頃に発表されます。
旅人さんの実力をもってすれば、三回目の試合まで生き残るのも容易なことでしょう?

パイモン
もちろんだぜ!

水田
小野寺さん「演武伝心」用の投票箱を運びますね!

小野寺
はい、お願いします!

パイモン
そろそろ時間だ。
準備して入場しようぜ。

神里綾華
旅人さん、試合でいい成績を収められるように祈っています。

柊千里
では、私と綾華さんは会場の観戦席から試合を観ていますね。
また後でお会いしましょう。