うとまれた木彫り

3.0 修正(画像/書体/吹出)

◆マムド
◆ファイズ
◆キャシト
◆アリア
◆ルシ
◆ラーズィー
◆タンジェ

オルモス港の市場にて、二人の作業員が変わった形の木彫りに向かってため息をついている。
一体なにがあったんだろう…

…悩んでいる職人と会話する…

パイモン
オルモス港って、いいところだよな。
見たことないものがいっぱいあるし、美味しい食べ物もある。
それに、さすがスメール最大の商港!
商売人の数が半端ないぜ。
みんなすごく元気だしな。

>落ち込んでる人だっているかも。
>パイモンが元気すぎるだけ。

マムド
はぁ、どうしてこうなってしまったんでしょう。

ファイズ
お前が好き勝手やったから、こうなっちまったんだろうが。
ハァ…
やっぱりお前を何としてでも説き伏せて、タンジェさんからのアドバイスを待てばよかったぜ。

マムド
でも昨日は、この「試作アランナラ」を彫り終えたら、子供たちも気に入ってくれるはずだってあなたも思ってたでしょう。
だから実際に子供たちが受け入れてくれるかどうかを試してみたのに。

ファイズ
だってこんなに子供たちに好かれないとは思わねぇじゃねえか。

マムド
はぁ…
どうしましょう。

>悩んでる人だ。

パイモン
わぁ、確かに他の人よりも落ち込んでるみたいだな。
なにがあったか聞いてみようぜ。
こんにちは、オイラはパイモン、コイツは通りかかった旅人だ。
おまえたち、なにか悩んでることでもあるのか?

マムド
あっ…!
いらっしゃるのに気が付かず申し訳ございません。
アジャンタ彫刻店へいらっしゃいませ。
本店はオルモス港で随一のおもちゃショップです…
少なくとも今のところは…
私たちが悩んでいるのは、この「試作アランナラ」のことなんです…
あの、お二人の貴重なコメントを伺ってもよろしいでしょうか。

パイモン
「試作アランナラ」って、この木彫りのことか?
うーん、見た目はキノコが魔物になったみたいな感じだけど。

>何だか武器の名前みたい。

マムド
い、いえ、「試作アランナラ」は子供たちを笑顔に出来るものなんです。
少なくとも理論上は…

-------------------------

>アランナラは嬉しそうに見えないけど。

マムド
あっ…
やっぱりそういうご感想ですか。
うぅ、困りましたね…

-------------------------

ファイズ
やはり、プラスの評価を貰うのは難しいか。

パイモン
で、この「試作アランナラ」って、一体なんなんだ?

ファイズ
実は「アランナラ」というのは、スメールの童話に登場する森に住む精霊のことなんだ。
元々、本店は創業二十周年を機に、子供たちが大好きなアランナラ童話をテーマにしたアランナラおもちゃシリーズを発売する予定だったんだ。
今見てもらってるこの木彫りは、子供たちの反応を確かめるために俺たちが作ってみたプロトタイプだ。
ただ、プロトタイプを展示した後…
その反響は、想定してたものとはちょっとな…
違ってたんだ。

パイモン
子供たちも、この「試作アランナラ」がキノコに似てるって思ったのか?

ファイズ
いや、もっと過激だったかもしれん…
俺は子供の言葉を伝えるのが苦手で、うまく説明できないんだ。
共通の話題もなけりゃ、話も通じないしな。
だから、お前たちが聞いてきてくれないか。

キャシト
こんなのアランナラじゃない!
認めないかんな!

ファイズ
キャシト
タンジェのおじさんが書いた、『病みキノコンとアランナラ』の本を読んだことあるんだ。
アランナラはみんなふっくらしてて、プルプルしてる感じだって本に書いてあったぞ。
この木彫りは全然違うじゃんか!

パイモン
そうだよな、おもちゃは丸々してたほうがかわいいよな。

アリア
うぅ…
タンジェのおじさんは『アランナラの誓い』って本で言ってたわ。
「目は惑わされても、心は惑わされない」って。
この木彫りを見てると、なんだか心が落ち着かないの…
作者は心を込めてないような気がする。
あたしの心は、これをアランナラだって認めないもの。

パイモン
心がこもってない…
みんなけっこう使う言葉だけど、あんまり具体的じゃないよな。

ルシ
キャシトもアリアもこの木彫りを嫌ってるけど、ぼくは別に大丈夫だと思うよ。
確かにあんまり嬉しくなさそうな顔をしてる。
でも、これはこれでちょっと可哀そうな感じで、愛しく思えない?

パイモン
おお!
プラス評価だ!

ルシ
うん!
もしこれがアランナラじゃなかったら、きっとパパに買ってもらったな。

パイモン
えっ…
いきなりマイナス評価に変わっちゃったぞ…
子供たちの意見を聞いてきたぞ。

マムド
いかがでしたか?
長く見ているうちに…
この木彫りを好きになってくれましたか?

>残念ながら、それはなかった。
>あなたたちの気持ちが分かった。

マムド
ああ――
悲しい。
タンジェさんはまだガンダルヴァ村から帰ってこないんでしょう?

パイモン
さっき、子供たちからよく「タンジェのおじさん」って名前を聞いたんだけど、一体誰のことだ?

マムド
ああ、タンジェさんはオルモス港で少々名の知れた童話作家なんですよ。
彼は数十冊の童話を書いているんですが、どれも当初は、子供にあまり人気がありませんでした…
「試作アランナラ」のように。
ところがです。
一、二年前から突然、彼のインスピレーションはオアシスの泉のように湧き出し、作った物語に多くの子供たちが集まってくるようになったのです。

ファイズ
ああ、うちのガファリちゃんも彼の物語が大好きなんだ。
アランナラの木彫りを発売しようと思ったのも、子供たちの間でアランナラが流行っていると分かったからだ。
本当はタンジェさんにアドバイスしてもらいたかったんだが…
そのことを承諾してくれてすぐ、息子を連れてガンダルヴァ村の近くに取材に行ってしまってな。
そのまま帰ってこないときた。
予定していた発売日がどんどん迫っているから、仕方なく、想像に任せてこの木彫りを彫り上げたんだ。
結果はご存じの通りさ。
ハァ…

マムド
はぁ…
何とかしないと…
ところで、あなたは色々なところを旅してるんですよね。
ガンダルヴァ村に行ってタンジェさんを探していただけないでしょうか?
タンジェさんがお忙しいようでしたら、直接連れて来てくださらなくても、アドバイスを書いたメモを持って帰っていただければいいんです。
どうか、子供たちの笑顔のために助けていただけませんか。
もちろん、こちらもしっかり報酬を用意しますので!

パイモン
ほんとに急いでるみたいだし、子供たちの笑顔と報酬のためにも、助けてあげようぜ。

>じゃあ、子供たちの笑顔のために。

パイモン
ああ、そうだ!

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>じゃあ、パイモンが期待してる報酬のために。

パイモン
へへっ、報酬だぜ!

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マムド
うちのアジャンタ彫刻店はこれまで新しいおもちゃを発売する度、全オルモス港の子供たちを釘付けにしてきたんです。
今回のアランナラ木彫りだってきっと歓迎されると思ってたのに、まさかこんなことに…

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ファイズ
タンジェさんはどこへ行くときも息子さんを連れていくんだ。
二人の仲はとても良くてな。
だからあの人は、こんなに素晴らしい童話を書けたのかもしれねぇな。
とにかく頼むよ。
絶対にタンジェさんを見つけてくれ。

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…ガンダルヴァ村でタンジェを探す…

パイモン
タンジェさんがガンダルヴァ村に取材に来ていると言われたけど、どうやって探せばいいんだろう。
まさか、大声で彼に呼びかけるとか?

>いい案とは思わない。
>レンジャーを引きつけるかも。

???
こんにちは、ぼく。
名前は?
一人で何してるんだ?
ガンダルヴ村の住民じゃないよな?
…心配するな。
見習いレンジャーのあたしが、精一杯お前を助ける。

ラーズィー
こんにちは、レンジャーのお姉さん。
僕はラーズィーと言います。
僕のことなら気にしないでください。
ガンダルヴァ村までの帰り道は分かりますから。

???
それじゃなおさらお前をこのまま帰せない。
「気にしないで」っていうのは、「心配しないで」と同じ意味だろ。

ラーズィー
……
うう…

???
わっ、泣くなよ…
何があった?
ゆっくりでいいから、お姉さんくに話してくれ。

パイモン
この声…
どこかで聞いたことあるような…

>ガンダルヴァ村で聞いた。
>コレイだ。

パイモン
そうだ、コレイの声だ。
それに、悲しんでいる子供もいるみたいだぜ。
行ってみよう。

よう、コレイ!
最近、体のほうは大丈夫か?

コレイ
あっ、パイモンに蛍!
あたしのことを気にかけてくれてありがとう。
最近はかなり調子が良くて、師匠の森林パトロールを手伝ったりもしてるよ。
お前たちはどうして戻って来たんだ?

パイモン
ここにちょっと用事があったんだ。
そしたら遠くからおまえの声が聞こえたから、おまえに頼もうと思ったんだけど…
でもまあ、なんだか取り込み中みたいだし…

ラーズィー
あっ…
僕なら大丈夫です。
レンジャーのお姉さん、その二人を助けて差し上げてください。
さっきはちょっと砂が目に入っただけで、ぜんぜん平気ですから!

パイモン
(すっごく礼儀正しいな。)

>(この子を放っておくわけにはいかない。)

コレイ
けど…
ここは森林だし、砂なんてあるはずない。
ずっと大丈夫だってかっこつけているのは、他人に悲しんでる理由を知られたくないからなんだろ?

ラーズィー
……

コレイ
こういうときこそ、ちゃんと言わないと。
あっ、お姉さんが一つ方法を教えてやるよ。
他人に知られちゃいけないことがあるときは、ぜーんぶ木のうろに話せばいいんだ。

ラーズィー
木のうろ?

コレイ
そう、木のうろ!
タンジェさんの童話、聞いたことないか?
森に住むアランナラたちは、子供たちの話を優しく聞いてくれるんだ。
もしかしたら、木のうろには本当にアランナラが住んでいて、お前の悩み事に耳を傾けてくれるかも。

ラーズィー
コレイお姉さんも、アランナラの童話が好きなんですか?

コレイ
うん、あたしはアランナラの童話が大好きだよ。

ラーズィー
アランナラが好きな人は、みんないい人です!
木のうろに秘密を吐くんですね…
やってみます!
ありがとう。
コレイお姉さんは、物知りなんですね!

コレイ
へへっ…
そんな大したことじゃないよ。
ただ、友達に影響されて、落ち込んでいるやつを見ると思わず元気づけたくなっちゃうんだ。
どうだ、気分はよくなったか?
森は危ないから、一緒に行こう。

ラーズィー
はい!

パイモン
へぇ、コレイが子供を落ち着かせるコツを知ってたなんてな。

>責任感のあるレンジャーさんだね。
>こんな場面にうまく対応できるなんてね。

コレイ
ああ、雨林で迷ってしまった子供たちを助けるのも、レンジャ一の仕事の一つなんだ。
それで、さっき言ってたあたしに助けてもらいたいことって?
もしかして、お前たちも迷子なのか?

>いやいや。
>森の奥まで行くつもりだった。

アジャンタ彫刻店の人たちが直面している問題をコレイに伝えた。

コレイ
うーん…
取材のためにはるばるオルモス港からガンダルヴァ村までやってきた、童話作家のタンジェさん…
待って、このタンジェさんって、あのタンジェさんか?

パイモン
そうだぞ、あのタンジェさんだ!

コレイ
彼が近くにいるってこと?
新しい童話の取材のために?
すごいね、少し待ってくれる?
ラーズィーをガンダルヴァ村に送り届けたら、すぐ戻ってお前たちを助けるから。
ずっと気になってたんだ。
一体どんな才能を持ってる人が、あんなに面白い童話を作ってるのかって。

>騎士団反省室の常連だったりして。
>大商会のお坊ちゃまかも。
>クラクサナリデビの眷属かも。

ラーズィー
タンジェは…
ごく普通の人ですよ。

コレイ
普通の人だとしても、絶対に面白い人だよな。
て、えっ!?
ちょっと待った。
ラーズィー、お前はタンジェさんと会ったことがあるのか?

ラーズィー
うん…
僕の父なんです。

パイモン
父ちゃん!?
待てよ…
つまり、そいつはおまえの父ちゃんで、おまえはそいつの息子ってことか?

ラーズィー
その通りです。

パイモン
でも、確かにアジャンタ彫刻店の人が「タンジェさんは息子を連れて取材しに行った」って言ってたぞ…
なるほどな、それがラーズィーのことだったのか。
けど、なんでラーズィーはここにいるんだ?
もしかして、タンジェさんとはぐれちゃったのか?

ラーズィー
僕…僕、父とケンカして…
悲しくなって、一人でここまで逃げて来たんです…

コレイ
えっと、まずはお前をガンダルヴァ村に戻した方がいいよな?
あたしたちがお前の父親を探し出して、お前の居場所を伝えてやるよ。

ラーズィー
もう大丈夫です。
コレイお姉さんの話を聞いたら、悲しくなくなりましたから。
ついてきてください。
父のところへ案内します。

パイモン
やった!
ずっと森にこもって探すのかと思ったら、まさかこんなに早く手がかりが見つかるなんて思ってもみなかったぜ。

>やった!

コレイ
ああ…
本当にタンジェさんに会えるなんてな!

ラーズィー
……

コレイ
タンジェさんがいるのはこっちの方向か?
あたしはここに慣れてるからついてきてくれ!

…ラーズィーについて行ってタンジェを探す…

タンジェ
ラーズィー!
どこにいるんだ?

パイモン
あっちから、ラーズィーを呼んでる声が聞こえるぞ。

…タンジェと会話する…

タンジェ
あっ、ラーズィー!
やっと見つけた。
君がいなくちゃ、私はどうすればいいんだ…
危険な目に遭ってないかい?
野獣のせいでパニックになったりは?
星が道を示してくれたのかい?

ラーズィー
僕は平気…
彼女たちが助けてくれたから。

タンジェ
そうか、なるほど。
君たち、本当にありがとう!
この世で最も冷徹なスピノクロコも、その熱意に涙することでしょう。

コレイ
いや、見習いレンジャーとして当然のことをしただけだ。
それに、スメールの子供たちにたくさんの童話を作ってくれて、本当にありがとう。
あ…あたしも、お前の童話が大好きなんだ!

タンジェ
おや?
子供以外にも、私の童話を好きになってくれる人がいるなんてね。
どうやら君も、ピュアな子供心を持っているらしい。
ふむ…
次の童話のインスピレーションがきた!
じゃじゃ〜ん――
童心を忘れない、アランナラのおばあちゃん!

コレイ
……!
イ…インスピレーションのもとになれて、光栄だ!

パイモン
わぁ!
コレイ、今にも気絶しそうだぞ…
具合でも悪いのか?

コレイ
あっ、いや、大丈夫。
ごめん、ちょっと興奮しすぎたみたい。

タンジェ
そちらの二人も私の読者かい?
ふむ…
君たちを見ていると、ランギガントとランヤマガラが共に旅に出るシーンが頭の中に浮かぶよ。

>依頼を受けて、手伝ってくれる?

タンジェ
おや?
誰からのだい?
私の読者はスメールに点在している。
ただ、記憶には限界があるからね。
広大な砂の海から見分けのつかない一握りを探し出すのは難しいことを許したまえ。

-------------------------

>私たちはランギガントとランヤマガラだ!

タンジェ
おお、インプロビゼーションだ!
想像という馬に乗り、テキストの荒野を駆け抜けるんだ!
君たちも童話作家になれる素質を持っている!

-------------------------

パイモン
うぅ…
タンジェさんの話を聞いてると、童話がバカにされてるような感じがするぞ…
それに、人をヤマガラに見立てることって、そこまでワクワクするようなことじゃないだろ!

>冗談はさておき、本題に戻ろう。

アジャンタ彫刻店の人たちが直面している問題をタンジェさんに伝えた。

タンジェ
アジャンタ彫刻店…アジャンタ彫刻店…
おお、そうだ、思い出した!
そういえばかつて、ある小舟が私の記憶の海に侵入してきたことがあったが、そちらに意識の向かないうちに出航していった。
何しろ、タンジェという名の港は、さらなる猛烈な嵐に見舞われてしまったからね。

パイモン
うーん…
えっと、なに言ってるのかさっぱりだぜ…

>同じく…

パイモン
うぅ、どうしよう。
ティナリのところに連れて行って治療するか?

ラーズィー
父が言いたいのは、アジャンタ彫刻店の人たちを手伝ってアランナラへの理解を深めてもらうことを忘れてしまっていた。
けれど今はもっと大事なことをやらないといけない、ってことです。

パイモン
なるほど…
おまえ、さすがタンジェさんの息子だな。
こんなにくどくて、わかりにくい言葉がわかるなんて。
って、今は感心してる場合じゃない。
タンジェさん、この件はあの二人の職人にとってすごく大事なんだ。
あいつらを助けてやってくれよ。

タンジェ
しかし、私の前に広がる、青々と茂ったガーデンのほうが更に大事なんだ。
これは全スメールの子供たちが夢見る、美しいパティサラと関わっている――
私――
このタンジェは、アビディアの森でアランナラが残した痕跡を見つけたんだ!
これはアランナラが童話に限って実在するのではなく、私たちの身近にも必ず存在すると証明してくれた!
もしアランナラの姿を記録できたら?
アジャンタ彫刻店の直面している小さな結び目なんて、簡単に解けてしまうだろう。
そしてこれを機に私は教令院の高位に昇格し、そのことは偉大なるタンジェが小さなオルモス港に住んでいるということを全スメール人に知らしめるかもしれない!

>……

パイモン
……

ラーズィー
…はぁ。

コレイ
えっと…その…
書いたことはないけど、知ってるよ。
教令院に入りたいのなら、審査機関に承認された十分な数の論文と、詳細で客観的な実験記録が必要だ。
さっき、タンジェさんが言ってた「アランナラが残した痕跡を見つけた」って、何なんだ?

タンジェ
物語を作るには、釣り針を残すことがポイントなんだ。
餌を直接与えるのは、童話作家である私のやり方ではないからね。
さあ、ついてきて!

コレイ
あっ!
その方向は…

パイモン
コレイ、どうしたの?

コレイ
いや、その方向はアビディアの森の奥だからさ…
タンジェさんが危険な目に遭わないか心配で。

コレイ
あと、ラーズィーが何でタンジェさんとケンカしたのかもわかった気がする…

>(何か事情があるのかも。)
>(これがラーズィーが隠してた秘密だね…)

…タンジェについて行く…

タンジェ
やはり、君たちも童話果実への欲望に駆られて着いてきたんだな。

パイモン
普通の木のうろにしか見えないけど。
アランナラの痕跡なんかどこにもないぞ。

タンジェ
いいや、「目は惑わされても、心は惑わされない」。
心を込めて見たまえ、さすれば君たちも収穫を得られるはずだ。

パイモン
うぅ…
「心を込めて見る」の意味はわかんないけど、とりあえず木のうろの周りを調べてみようぜ。

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タンジェ
「目は惑わされても、心は惑わされない」は『アランナラの誓い』の始まりであり、終わりでもある。
この言葉は、数百年後にはスメールに伝わる名言になると思うんだが、どう思う?

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ラーズィー
父さん、昔はこうじゃなかったのに…
悔しい…

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コレイ
……
あっ、あたしなら大丈夫だ、元気だから。
お前たち、先に調べに行ってくれ。
ちょっと疲れただけだ。

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…「アランナラの痕跡」を探す…

パイモン
あっ、紙切れがあったぞ。
タンジェさんの言ってた「アランナラの痕跡」だったりして?
うーん、読みにくい字だな。
どれどれ、「こんなにたくさんの種類のキノコ、覚えるのはむずかしい」って書いてあるけど…
アランナラもキノコの見分け方を覚えなくちゃいけないのか?

また紙切れを見つけたぞ。
こっちには、「この木のうろはあたしの城」って書いてある。
確かに、童話のアランナラが言いそうな言葉だな。

ここにもあるぞ!
えっと…
「もしあたしが、頭の切れるアランナラだったらよかったのに」だって。
「頭の切れるアランナラ」って…
どっちがポイントなんだ?
「頭の切れる」か?
それとも「アランナラ」?

…タンジェと会話する…

タンジェ
画期的な発見を目の当たりにする感じはどうだい?
素敵だろう?

>画期的な発見ってどこ?
>子供たちが残したメモっぽいけど。

タンジェ
確かに子供のような字だが、ここは雨林の真ん中だということを忘れてくれるなよ。
これほど奥深くひっそりとした森に辿り着ける子供はいないし、ましてやこの質素な木のうろを難攻不落の城とは思わないだろう。
だから、ここはアランナラの教令院であり、これらの紙切れは間違いなくアランナラの筆跡であると、私は推測したんだ。
頭のよくないアランナラが、「頭の切れるアランナラ」になりたいという願い事をして、その願いをここに残した。
このアランナラに新たな童話を作ってあげよう。
その名も――
「木のうろのアランナラ」だ!
どうだ?
君たちの目の前にも、まるでアランナラが現れるようじゃないか?

パイモン
いや、なにも…

>全然見えない…

タンジェ
そうか…
多くの冒険者の後ろには、見える風の翼しかなく、見えざる想像の翼が欠けている。
だから、彼らは私の考えについてこれないんだ。
それで、こちらのレンジャーさんの背中には、想像の翼はあるかね?

コレイ
えっ!?
あたし?
いや、あたしにはあるような、ないような…
とにかく…
あたしとは関係ないから…

>コレイ、どうかしたの?
>体は本当に大丈夫?

コレイ
いや、あたしは大丈夫。
タンジェさんの創作過程を目の当たりにして、ちょっと…
少し…

タンジェ
心が震えた?

コレイ
そうそう!
心が震えた。

タンジェ
とにかく、私は決意した。
ラーズィーと一緒にここでアランナラの出現を待ち、木のうろにある奇跡を見届ける。
安心してくれ、アジャンタ彫刻店の依頼も達成して見せるよ。
本物のアランナラが出てきてさえくれれば、これしきのこと朝飯前さ。

パイモン
うう、なんて頑固なやつなんだ。
どうやら、ここで待つしかないみたいだな。

コレイ
いや、さっきの拠点に戻ったほうがいいと思う。
タンジェさん、『病みキノコンとアランナラ』に、アランナラはすごく敏感な生き物だって書いてあった。
もしあたしたちがここにいたら、きっと寄って来ないだろ?

タンジェ
あれ?
そんな一文あったかな?
ああっ、そういえば…
確かにあったね。
さすがレンジャーさん、的を射た意見だ!
それじゃ、まずは拠点に戻って体を休めて、朝日が昇ったらまた証拠を探そう。

…夜中に拠点へ向かう(翌日0時~4時)…

…パイモンと会話する…

パイモン
蛍、早く起きろ。

>どうしたの?
>アランナラが出た?

パイモン
アランナラじゃなくて、コレイが…
コレイが拠点にいないんだよ!
オイラ、昨日の夜からあいつのことは心配してたんだ。
元気だって本人は言ってたけど、木のうろにある「アランナラの痕跡」を見た後、明らかに様子がおかしかっただろ。

>私も気付いた。
>タンジェさんにびっくりしたのかな。

パイモン
とにかく、あいつを探そうぜ。
見ろ、ここにコレイの足跡があるぞ。
けど…
これ、あの木のうろに向かってないか?

…コレイを探す…

パイモン
コレイがまた一人で戻ってきたぞ。
まさか、ここでアランナラが出てくるのを待つつもりなのか?

コレイ
うぅ、誰もこの場所には気づかないと思ってたのに、よりによってタンジェ
さんに見つかっちゃって、そのうえ蛍とパイモンにまでバレるなんて…
はぁ…
こうなるって分かってたら…
書いたりなんかしないで、声にしてればよかった!
字の練習なら、きっと他にもいい素材があったはずだ…
おかげで、新しい悩みが増えちゃった。
いっそ、本物のアランナラの真似をするか…
違う違う、今やるべきことは、アランナラとして扱われないようなことを書くことだ。
そしたら、タンジェさんの誤解も解ける…
何を書こうかな…
うーん、どうしよう…
そうだ!
これなら、絶対アランナラに誤解されないはずだ。

パイモン
なるほど!
昼間見たあの「アランナラの痕跡」たちは、実は「コレイの痕跡」だったんだな。
けど、なんで黙ってるんだ?
タンジェさんに言えばよくないか?

>これは彼女にとって秘密なのかも。

パイモン
そうだ、思い出したぞ。
秘密があれば木のうろに話せばいいんだって、コレイがラーズィーに教えたんだったよな。
きっとコレイ自身も、紙に書くことでそれをやってきたんだ。

>コレイにはそうする理由があるはず。

パイモン
よ…よし、とりあえず、コレイの秘密は守ろうぜ。
あいつ、もうすぐ書き終わりそうだ。
オイラたちも戻ろうぜ。

次の日の朝、タンジェはいそいそと皆を木のうろまで連れて行った。

…タンジェと会話する…


タンジェ
あはっ!
私の予測していた通りだ。
新たな紙切れが出たぞ。
えーっと、どれどれ!
筆跡から見れば、恐らく同じアランナラが残したものだな。
何が書いてあるのかな?

パイモン
なんて書いたんだろう?

>すごく気になる!

タンジェ
……!?
「もう一度、モンドのバドルドー祭に参加したいな」だと?
いや、バカな!
こ、これはいたずらに決まってる!
アランナラが、モンドのバドルドー祭になんて参加できるはずがない。
そんなエピソードは、童話にも出てこないぞ!

パイモン
つまり、これらの紙切れは、実はアランナラが残したものじゃないんだ。

コレイ
そう、あたしもそう思う!
アランナラじゃなく、通りがかった。
モンド商人が残した可能性が高いよ。

タンジェ
いや、私は認めないぞ!

認めないと言いながら、現実を目の前にして、タンジェは長い間無口になってしまった。

タンジェ
……

>アジャンタ彫刻店を助けて。

タンジェ
もう無理だ…

パイモン
無理ってなんだよ!
ちょっと時間を割いてくれればいいだろ?

コレイ
そうだよ、タンジェさんは子供たちに大人気の童話を作れるんだから、きっと同じように人気の木彫りを作れるはずだ。

>私もタンジェさんを信じる。

タンジェ
無理なものは無理なんだ!
本当にアランナラを見つけることができたら、アジャンタ彫刻店も助けられると思ったのに…
結局…
結局、それはただのモンド人だった。

コレイ
でも、今まで童話を作る時だって、本物のアランナラは見てなかったわけだろ?
どうして今回に限って出来ないんだよ?

タンジェ
わ…私は…
はぁ、もういい。
ラーズィー、皆に本当のことを打ち明けよう。

ラーズィー
えっ?
本当にいいの?

タンジェ
ああ、話して大丈夫だ。
この時をずっと待っていたんだろう?

ラーズィー
分かった。
コレイお姉さん、旅人のお姉さん、それからパイモン。
覚えていますか?
僕には他人に知られたくない秘密があることを。

>覚えてる。

ラーズィー
本当は、この秘密のことは言いたくなかったのですが、僕はこの秘密に苦しみ、父もこのせいで別人のようになってしまいました。
ですから、そろそろ話す頃合いだと思います。
実は僕の父は、アランナラの童話を作った作者じゃないんです。

コレイ
えっ?
だけど、タンジェさんじゃないなら…
一体誰があの物語を作ったんだ?
もしかして…

ラーズィー
僕です。
僕がまだ小さい頃から、父はすでにオルモス港で物語を語っていました。
いつも父から、新しい物語を聞きました。
毎晩、父は僕の手のひらにザイトゥン桃を渡してくれて、僕はそれを食べながら物語を聞いていたんです。
ザイトゥン桃は甘くて美味しかったけど、父の物語はまずかったです。
父は難しい言い回しや、それから、えっと…
比喩を使うのが好きですから。
でも、父は何度も何度も童話を聞かせてくれましたし、時にはサングマハベイ様のショップで写真機を借りて、僕に童話を語る姿を撮らせてくれることもありました。
父は写真を指差して、僕にこう言いました――
「これが未来のスメールにおける、偉大な童話作家の貴重な記録だよ」と。
あの頃は毎日ザイトゥン桃しか食べられなかったし、退屈な物語ばかり聞いていました。
でも、それはそれで楽しかった。
だけどある日、僕は自分で考えた物語を父に話してみました。
父はその物語の初めを聞いて、すごくワクワクしたみたいでした。
嬉しそうに僕を両手で高く抱き上げると、続きを聞きたいと言ってくれました。
僕は抱き上げられたまま、物語を語り続けました。
すると、影になった父の僕を見る目は、段々と変わっていきました。
そして、僕が一番力を入れた場面を語った時、父は泣いたんです。
多分、僕の物語に感動したんでしょう。
父が僕を降ろした時、僕の物語もちょうど終わりました。
僕が顔を上げたとき、父の目は少し怖かった…

パイモン
よく覚えてるよな…

タンジェ
ラーズィーだけじゃない、私もあの日の出来事をよく覚えている。
あの日から私の夢は叶い、スメール随一の童話作家になった。
名声とお金も少しばかり得られるようになった。
毎晩の夕食もザイトゥン桃一つだけじゃなくなった…
ラーズィーには喜んでもらえると思ったんだが…

ラーズィー
最初は嬉しかったですけど、段々みんなは僕のことをラーズィーではなく、「タンジェさんの息子」とばかり呼ぶようになってしまいました。
その理由には薄々気付いていたけど、やっぱり信じたくなかった。
それから父も忙しくなり、童話以外のこと…
例えばアジャンタ彫刻店の依頼にも手を出しました。
だから、僕は決めたんです。
少なくとも今回は、「ラーズィー」でいたいって。
父にも、以前の父に戻ってほしいです。
すべての物語を「親愛なるラーズィーに」で始める今の父よりも…
どもりながら話を伝え、物語の良い終わり方を知らない父のほうが僕は好きです。
ですので、僕の思うアランナラがどんな姿をしているか、僕は父に教えないことにしました。

パイモン
えっと、待てよ。
ようやくわかったぜ。
つまり、タンジェさんが作った童話は、ほんとはすべてラーズティーが考えた物語で。
ラーズィーはタンジェさんが…
嘘をどんどん重ねていくのが嫌で、アジャンタ彫刻店の依頼についてはタンジェ
さんを助けるのを断った、そうだよな?

タンジェ
…ああ、そうだ。
だからこの近くでアランナラの痕跡を探していたんだが――
以前のように、面白くもない笑いぐさになってしまったらしい。
私は、父親失格だ。
すまない、ラーズィー、すまない…
君たちにも謝らないと。
君たちの時間を無駄にしてすまなかった。
アジャンタ彫刻店を助けられるのはラーズィーだ。
彼を説得するといい。
今はただ、静かな木のうろに引きこもりたい。

パイモン
えっ…
それでいいのか?

>ラーズィーに決めてもらおう。

ラーズィー
僕が、アジャンタ彫刻店を助ける?
物語には確かにアランナラの姿に関する記述がありますが、それを木彫りにするには、もっと詳しい説明が必要です。
ラーズィー
コレイお姉さん、旅人のお姉さん、それからパイモン。
あなたたちの助けが必要なんですが、手伝ってくれますか?
僕は今までずっとオルモス港に住んでいて、ここをほとんど離れたことがありません。
今回、父に連れられてガンダルヴァ村まで取材に来たのは、僕にとって初めての遠出でした。
スメールが思っていたよりも大きいことに気付きましたし、さらに多くのアランナラの童話を思いつきました。
ですので、子供たちに愛されるアランナラの木彫りを作りあげるためには、スメールの他の場所も回ってみたいんです。
それにまた機会があるなら、色んな場所で父の写真をたくさん撮ってあげたくて。

タンジェ
ん?
それって一緒に居ていいってことかい?
これまで…
君にこんなひどいことをしたのに?

ラーズィー
もちろん!
だって、父さんは僕の一番好きな父さんでしょ。

コレイ
ラーズィー、今までで一番楽しそうに話したな。

ラーズィー
コレイお姉さんにも、お礼を言いたいです。

コレイ
えっ?
あたし?
あたしは…
何も役に立ってないけど。

ラーズィー
だって、あなたが教えてくれたでしょう。
知られたくない秘密があったら、木のうろに話せばいいって。
木のうろを探す余裕はありませんでしたが、秘密を話したら何だかスッキリしました。

コレイ
うん…
そうだ、一人の人間が背負える秘密の数なんて、たかが知れてる。
それに、犯した過ちを永遠に隠す必要もないんだ。
昔モンドにいた頃、あたしも悪いことをした。
でも、今思えばあれはあたしにとっての新たなスタートみたいなもんだったよ。
タンジェさんにとっては今回経験したことも同じようなものだと、あたしはそう思ってる。

タンジェ
ああ、いい父親になってみせるよ。
ってちょっと待った。
今、モンドに行ったって言わなかったか…?

コレイ
あああっ、それは、たまたま通りかかっただけだ!
そんなことよりも、アジャンタ彫刻店の人たちが待ってるよ。

コレイ
さあ、ラーズィー!
写真機を持って、スメールの隅々に隠されているインスピレーションを探しに行こう!
出発!

ラーズィー
はい、行きましょう!
父さんも早くついてきて!

タンジェ
ラーズィー、あまり早く走るんじゃない。
足元に気を付けろよ。

>みんな元気だね。
>私たちも出発しよう!

パイモン
よっしゃー!