往き交う人々

4.4 修正(吹出)

この頃、暇を持て余していたあなたとパイモンは、翹英荘へ行ってみることにした…

…2日後まで待つ(12時~16時)…

パイモン
そうだ!
覚えてるか、胡桃が近々翹英荘へ遊びに行くって、鍾離が言ってたよな?
今日は特に用事もないだろ?
翹英荘に行ってみないか?
もしかしたら会えるかもしれないぞ!

…翹英荘に向かう…

パイモン
山の空気は美味しいな。
このままずっと歩いてても、ちっとも疲れない気がするぜ。

???
…クリーム――キャンディ――
バブルオレンジ――!

パイモン
んん?
なんか聞こえないか…

???
…山――水――
最っ高っ――!

①私も聞こえた。
②バブルオレンジと最高って。

パイモン
だろ?
オイラの気のせいじゃないよな?
それになんだか聞き覚えのある声だし…
今日は時間がたっぷりあるし、見に行ってみるか?

>行こう、見聞を広めるために。

叫び声を辿って、あなたとパイモンは山を登った。
叫んでいるのはほとんど「杏仁」や「ココアバター」といった食材のことで、聞いているだけでお腹が空いてくる。
声はとても愉快そうで、あなたとパイモンの歩みもつい軽やかになる。
気が付くと、高い所までたどり着いていた。

パイモン
あれ!
あいつらって…!
ナヴィアにクロリンデ!?

ナヴィア
あら!
相棒とその仲間じゃない!
ね?
今日旅に出たら絶対いいことが起こるって言ったでしょ?
『スチームバード新聞』の占いコラムって、たまにすごく当たるのよね。

クロリンデ
ナヴィアの運がいいのだろう。

ナヴィア
あんたたちも璃月のお祭りを機に旅行へ来たの?
海灯祭を祝して!

クロリンデ
海灯祭、いい佳節だな。

>海灯祭を祝して!

パイモン
へへっ、海灯祭を祝して!
でも旅行っていっても、なんで山の中にいるんだ?
ここには誰もいないぞ?
それに、さっきオイラたちが下で聞いたあの大声…
もしかして…
あれってナヴィアだったのか?

ナヴィア
おぉ~、あんたたちさすがね。
だいぶ遠くにいたみたいなのにちゃんと聞こえるなんて!

パイモン
いやいや、オイラたちの耳がいいっていうより、ナヴィアの声がデカかったんだぞ…

ナヴィア
まぁね!
なんたってあたしはボスだから!

クロリンデ
確かに、メリットと言えなくもない。

パイモン
そうだな。
声がデカけりゃコミュニケーションも取りやすいだろうし!
…って違ーう!
気にしてたのはそこじゃないぞ!?
オイラが聞きたかったのは、なんで誰もいない山の中で大声を出してたのかってことだ。
「杏仁」とか…
「バブルオレンジ」とか…
まさかなにかの暗号か?

クロリンデ
いや、暗号ではない。
ただの無意味な言葉だ。

ナヴィア
…であると同時に有意義な叫びよ!
山を登る人ってよくこうするじゃない?
困難を乗り越えてやっと頂上にたどり着き、目の前に広がる美しい景色を眺める。
で、大声を出して発散したくなる衝動を抑えきれず…

①なるほど、確かに有意義な発散。
②であると同時に無意味な内容。

ナヴィア
そうそう、さすが相棒!
分かってるじゃん。
それに迷惑にならないか翹英荘の人たちに聞いたら、みんな大丈夫だって言ってくれたの。
登山客は誰しも頂上で叫ぶのが好きだから、みんな慣れてるんだって。
あとほら、人生で何度かは山の頂上で叫ばなきゃ、でしょ?

クロリンデ
人によるんじゃないか。
私はそう思わない。

ナヴィア
ストレスを発散するために、無性に何かしたくなることってないの?

クロリンデ
いや、私は大丈夫だ。
万が一ストレスが溜まったら、狩りに行けばいい。

パイモン
へへっ、おまえ狩りに行ったりするんだな!
たしかにいい方法っぽいぞ。

ナヴィア
ああ…

クロリンデ
何を狩るかは気分次第だがな。

パイモン
…え?

ナヴィア
コホン…
ところで、あんたたちも叫んでみない?
内容は何でもオッケー、適当で大丈夫。
ストレス発散になるから!

パイモン
うーん…
オイラは…
別に毎日食べ物にも寝るところにも困ってないし、発散するようなストレスがないぞ。

>私は忍耐強いのが長所だから。

ナヴィア
ふふふっ、それって恥ずかしいから理由を作って逃げようとしてるだけじゃない?
ほら、そんなに気張らなくていいって!
さっきフリーナもやってたんだから。

>ん?誰だって?

パイモン
はっ?
…えええっ?
今の聞き間違いじゃないよな?
フリーナも翹英荘に来てるのか?

クロリンデ
自分の耳を信じていい。
聞き間違いではない。
実を言うと、この山に登ったのは誰かの叫び声を聞いたからなんだ。

ナヴィア
そう。
誰かが「助けてくれぇ」とか、「どうすればいいんだぁ」って叫んでてね。
それがぼんやりと聞こえてきたもんだから、あたしたちも急いで山に登ったの。
そしたら、顔を真っ赤にしたフリーナとばったり会ったのよ。
あたしたちを見るなり、一目散に山を下りてったけど…

クロリンデ
ああ…
思い出した。
あの時、フリーナ様が叫んでいたのは「助けてくれぇ、台本はどうすればいいんだぁ」だったな。

ナヴィア
なんて叫んでたかはっきり聞こえてたの?
どうして早く言ってくれなかったのよ。
本当に誰かが遭難したのかと思ったじゃない!

クロリンデ
どちらにせよ、ここまで来て状況を確認する必要はあったろう。
それとあの方の面子のことも考え、あえて言わなかった。

パイモン
えっと…
どうやらストレスを発散してたら、おまえたちに見られちゃったみたいだな…
異国で知り合いにばったり会うなんて、フリーナはおそらく…
いや、まったく予想もしてなかっただろうな…

>フリーナは一人で?

ナヴィア
たぶんそうでしょ?
来る途中、ヌヴィレットさんに会ったけど、その時はもう帰ろうとしてたし。
一緒に行動してるわけじゃないと思う。

パイモン
ええっ!?
ヌヴィレットまで翹英荘に来てたのか?

>フォンテーヌ人がたくさん来てるんだね。

パイモン
ヌヴィレットはなにしに来てたんだ?
まさか旅行ってわけじゃないよな?

ナヴィア
ん~、旅行なんじゃない?
たった半日で急いで戻ったって聞いたけど。
ほんと忙しい人よね。

クロリンデ
あの方はほとんど休暇を取ったことがない。
半日空けただけでも賞賛すべき大進歩だろう。

ナヴィア
この間、シャルロットが璃月の茶葉に関する記事を新聞に載せたでしょ?
ヌヴィレットさんもクロリンデと同じで、あれを見て茶葉を買いに来たんじゃないかしら?

クロリンデ
私はそういう理由で来たわけではない…
ナヴィアに誘われたからその付き添いだ。
茶葉を買うのはついでに過ぎない。

パイモン
フォンテーヌ人は本当にお茶が大好きなんだな…

クロリンデ
いや、私が飲みたいわけではない。
この間、公爵との賭けで負けてな。
その景品として何か贈る必要があるんだ。

①そんなことがあったの?
②ちょうどいい景品だね。

クロリンデ
ただの口頭での賭け事に過ぎないがな。
公爵は気分で賭け事に興じるところがある。
具体的に何を勝ち取ったかなどほとんど気にしない。
道端のミントを摘んで、それを渡しても構わないだろう。
だから適当に何か買ってあげればいい。

ナヴィア
はぁ、取引に対してもそのくらい適当だったらよかったんだけど…
そういえばあんたが買ったあの茶葉、ここの特産品なんでしょ?
名前はたしか…
ヌヴィレットさんが教えてくれたんだけど、なんだったっけ…

①「松蘿仙芽」…
②…十缶で半額のやつ?

ナヴィア
そうそう、それ!

パイモン
まさか十缶買ってたりしないよな…?

クロリンデ
そんな罠にかかるように見えるか?

ナヴィア
あっ、そういえばあたしの声を聞いて登ってきたんだよね?
あんたたちのスケジュールを狂わせちゃったりしてない?

パイモン
そうだ、胡桃!
実は友達が翹英荘に来るって聞いて、オイラたち今日はその様子を見に来たんだ。
もしかしたら会えないかなって思って。

ナヴィア
あら、つい話しこんじゃった。
あんたたちの時間を奪っちゃってごめんね。

>水臭いこと言わないで、相棒。

ナヴィア
へへっ、ならよかった。

パイモン
じゃ、そろそろ胡桃を探しに行くか?

クロリンデ
ああ、私たちのことは気にしないでくれ。
まだ登ったばかりだから、もうしばらくここにいる。

ナヴィア
先に友達に会ってきたら?
あとでまた機会があれば、翹英荘で集まりましょ!

>うん、いいね。

パイモン
おう、それじゃオイラたちは先に下りるな!
また後で!

-------------------------

ナヴィア
ねえ、どうしたらここで叫んでくれるの?

クロリンデ
そうまでして聞きたいのか?

ナヴィア
だって気になるじゃない。
なんだかヤバそうな言葉を叫びそうだし。

クロリンデ
うむ…
いや、やはりやめておこう。
言葉にするより、私は直接手を下すほうが好きだからな。

-------------------------

…麓の村に行く…

パイモン
翹英荘と言えばお茶、お茶と言えば早茶だよなぁ…
へへっ、早茶の時間は長いって嘉明が言ってたし…
この時間でも、まだ点心って食べられるかな?

>もう午後の飲茶の時間だと思うけど。

パイモン
午後だろうと午前だろうと関係ないぜ。
どうせ点心を食べることに変わりないんだからな!
このあたりになんかうまそうなもんはないかなぁ~…
えっ!
み、見間違いじゃないよな?
胡桃と鍾離の間にいるのって、フリーナじゃないか?

①えっ!?
②あの帽子、間違いない。

パイモン
あの三人、いったいなんの話をしてるんだ?
鍾離は博識だから、フリーナに翹英荘のことを紹介してたり?
…あっ!
もしかすると胡桃がフリーナを呼び止めて、往生堂の営業をしてるのかも!

>賭けてみる?

パイモン
なんでおまえまで「賭け事」をはじめるんだよ!
まぁでも、おまえが海鮮粥大盛りを三杯賭けてくれるなら、付き合ってやってもいいぜ!
鍾離がいるなら、話をヘンな方向に進めないはず…
決めた。
オイラは「鍾離のガイド」にするぜ!

>じゃあ、私は「胡桃のセールス」。

パイモン
よし!
善は急げだ。
さっそく答えを聞きに行こうぜ!
胡桃――!鍾離――!
フリーナ――!
おーい!
(あれ、なんでオイラまで大声を出すようになってんだ…?)

胡桃
おや~、吉辰良日、大慶至極。
なんとまあ、次から次へと!

鍾離
事前に約束をしていないというのに、こうして二人に会えるとは実に縁がある。

フリーナ
えっ?
まさか鍾離先生と胡桃も旅人と知り合いなのかい?

①「久しいな、息災であったか。」

胡桃
ほほう、鍾離さんのマネが上手だね、親友。

-------------------------

②「やあ、また会ったね、親愛なる友よ。」

フリーナ
な、なんだい、その口調は。

-------------------------

フリーナ
コホンッ、ここで旅人に会ったのは確かにちょっと驚いたけど…
キミたちは国々を旅する英雄だから、その足跡を残す範囲が多いのも十分頷ける。
では水の潤沢なこの地で、僕からの祝福をキミたちに捧げよう。
海灯祭を祝して!

>海灯祭を祝して!

鍾離
つまり、お前たちはフォンテーヌの地に足を踏み入れたのか。
旅人は数々の縁を結んできた。
フリーナ殿のような名高く輝かしい大スターと知り合いであるのも不思議ではないな。

フリーナ
そ、そんな大げさな…
まぁでも褒めてくれてありがとう、鍾離先生。
ただ、フォンテーヌでいささか人気を集めていようと、名声など取るに足らぬものだ。
今の僕は美しい景色をいくつも眺め、アイデア探しの旅に出ている、ただの旅客に過ぎない。
(さっき話してたときに思ったけど、この往生堂の客卿…
絶対に一般人じゃないぞ。)
(あれほど物知りで見聞も広いのに、フォンテーヌで起きたことを知らないわけがない…)
(もしかして僕の面子を立てるために、知らないフリをしてくれてる?)

胡桃
このこの~、なに言ってんの。
ただの旅客だなんて、この堂主はそんな自己紹介認めないからね。

フリーナ
(えっ!?
まさか胡桃まで…!)

胡桃
ねえ、親友、聞いてよ――

フリーナ
うっ、その、胡桃…

胡桃
――フリーナは私のお客さんになったんだよ!

フリーナ
…そ、そう!
そうなんだ!

パイモン
ええっ――!?

①パイモン、今の聞いた?
②「お客さん」だって。

パイモン
はいはい、わかった。
おまえの勝ちだぞ…
ううぅ、靴底に隠しといたヘソクリを出すしかないか…

フリーナ
ん?
勝ちって何が?

胡桃
あなたたち…
まさか私で賭けをしてたわけじゃないよね?

>パイモンが提案した。

パイモン
違うだろ!
実はさっき、おまえたち三人が立ってるのを見て、なんの話をしてるのか当ててみようぜってなったんだ。

胡桃
ほほう、なるほど。
つまり、私がフリーナに往生堂の営業をしてたことを親友は見抜いてたってわけね。

>堂主、ご名答。

胡桃
そりゃそうだ、私たちの仲だもん。
それで、パイモンはどう思ってたの?

パイモン
鍾離がここに来たばかりの人のために、ガイドをしてるのかなって…

フリーナ
えっ、来たばかりの人って僕のことかい?

鍾離
それなら、パイモンの推測もあながち間違いではないな。

フリーナ
ああ、そうだね!
鍾離先生は確かに、翹英荘一帯で眺めのいい場所を紹介してくれた!

パイモン
ほら見ろ、オイラの予想も当たってたぞ!
どっちも正しかったんだから、勝ち負けなんてないよな!

>あーあ…パイモンのヘソクリが…

パイモン
おいおい、そうしょぼくれるなって…
じゃあ、こうしようぜ。
お互いに海鮮粥をおごるってのはどうだ。
オイラがおまえに一杯おごって、おまえがオイラに一杯おごるんだ…
えっと…
賭けは三杯だったから、あと一杯は…

胡桃
この堂主に関係する賭けなら、私にくれない?
大きな商売が成立したお祝いにね。

>堂主が食べたいならいつでも奢ってあげる。

胡桃
ふふっ、ジョーダンジョーダン。
往生堂はちゃんと利益が出てるし、むしろ私が吉日を選んでみんなに奢ってあげないと。

パイモン
あっ!
あれこれ話してて、肝心な部分を聞き忘れるところだったぞ!
フリーナ…
おまえ…
なんかあったのか?

フリーナ
ん?
何のことだい?

パイモン
えっと…
つまり…
往生堂が必要ってことはさ、つまり…

フリーナ
ああ、そうだよ。

パイモン
えっ!?
嘘だろ…
誰のことか知らないけど…
その、ご愁傷様…

フリーナ
えっ、何だい!?
何を考えてるんだよ?

パイモン
えっ、違うのか?
普通、往生堂って言えばあれのことだろ!

フリーナ
まったくもう、僕の状況はキミたちも知っているだろう?
周りに葬儀を手配する必要のある人がいたかい?
胡桃に頼んだのは、映影で使う道具の用意さ。
この間、璃月で出版されたホラー小説を読んだんだけど、その内容が実に素晴らしいものだったんだ。
今でも毎晩、明かりをつけないと寝られ…
…あ、いや、重要なのはそこじゃなくてだ!
とにかく、大スターのフリーナが再び舞台に戻ったからには、必ずやフォンテーヌの劇と映影業界に新たな清泉をもたらすだろう!

>あるいは「最恐のビッグウェーブ」を!

フリーナ
ほう、なかなかいいキャッチコピーだ!
メモしておこう。
宣伝用のポスターに使えるかもしれない。

パイモン
へぇ、そういうことだったんだな!
じゃあ、今回フリーナが璃月に来たのは、わざわざ往生堂を訪ねるためだったのか?

フリーナ
それはちょっと違うね…
もともと僕は、外国の景色でも眺めて気分転換をしようと思ってたんだ。
けど、そこで運よく胡桃と鍾離先生に出会ってね。
これぞまさに運命の導きと言えるだろう。

鍾離
ああ、確かに良い縁だ。

胡桃
鍾離さん、はぐらかさないの。
私に言わせれば、道を尋ねてきたあの人に感謝しないと。

パイモン
ん?
誰のことだ?

フリーナ
キミたちも知っている人だから、当ててみるといい。

①これまでの流れで考えると…
②…ヌヴィレット?

フリーナ
えっ!
一発で当てるなんて!?

胡桃
さすが親友!
今日の推理力は神がかってるね!

先ほど、山でクロリンデとナヴィアに会ったことをみんなに伝えた…
もちろん、フリーナのプルプルと震える瞳に見つめられ、「大声で叫んでいた」くだりには触れなかった。

パイモン
まさか、ヌヴィレットが道に迷うなんて思わなかったぞ…

フリーナ
意外だね、僕だって一人で来れたのに。
僕が来た頃には、彼はもう帰ろうとしていたよ。
フォンテーヌー廷へのに最短のルートを聞いていた。

胡桃
うん、そうそう。
まあ、この付近の山道は入り組んでるし、遠回りしたくないのも分かるよ。

>(ヌヴィレットなら泳いだほうが早そう。)

パイモン
それで、胡桃は道を教えてやったのか?

胡桃
もちろん。
この堂主は一応「案内人」の端くれだからね。
方向感覚はバツグンだよ。
でも、あなたたちの友人だけど…

パイモン
えっ、どうかしたのか?

胡桃
彼ってあんまり、人付き合いが得意じゃないんじゃない?

>あっ…うん。

胡桃
あ~、どうりで。
背筋をピンッと伸ばした歩き方と、あの几帳面な言葉遣い…
とても休暇で来てるとは思えなかったもん。

フリーナ
往復の移動を含めて半日だけだろう?
彼以外、誰も休暇だとは思っていないだろうね…

鍾離
ふむ、どうやらその紳士は日頃からかなり多忙なようだな?

胡桃
明らかにそうでしょ。
鍾離さんは見てないけど、休暇だっていうのにあの人、会議に出席する責任者みたいな服装だったんだから。

鍾離
そうだったのか。

パイモン
えっ?
鍾離はヌヴィレットに会わなかったのか?

鍾離
あいにくな。
ちょうどその時、堂主とフリーナ殿の打ち合せがはかどっていた。
業務のこととなると長引くと考え、二人のために茶を取りに行っていたのだ。

胡桃
残念だね。
あの紳士、言葉遣いは堅かったけど、鍾離さんと気が合いそうな感じだったよ?

鍾離
ふむ、そうか?

>(鍾離先生がそうして離れたことと…
 ヌヴィレットの正体のことを考えると…)
 (もしかして、わざと避けたんじゃ?)

鍾離
どうした?

>(なるほど、やっぱり。)

①そうだね。
②実に残念。

鍾離
ハハッ、フリーナ殿の言葉を借りれば、これもある種の運命なのだろう。

フリーナ
大丈夫さ。
旅人がいれば、いつかは知り合うことになるだろうしね?

パイモン
それもそうだな。
こいつは誰よりも友達が多いし!

①私、みんなにモテモテだね。
②私、社交性の塊だね。

フリーナ
ああ、まさにその通りだろう!
あ、そうだ。
もし機会があったら、キミからヌヴィレットに言ってあげてよ。
彼が数日いなくたって、パレ・メルモニアは通常通り稼働する。
ずっと室内に閉じこもってる必要はないんだってね。
水の中の貝だって、たまに殻を開けて新しい水を入れないといけないんだからさ。
ルールのことが心配なら、自分で休暇申請を書いて自分で審査を通せばいいじゃないか。

>一理あるね。

胡桃
もしかして、ヌヴィレットさんってお偉いさんなの?

①清廉で公正な最高審判官様だよ。

胡桃
ひゃ~、堅苦しそうな人。

-------------------------

②フォンテーヌの全ての書類を司る悪魔だよ。

胡桃
え~?
そんなつまんない悪魔いないでしょ?

-------------------------

胡桃
この堂主の経験から言うと、上に立つ者にとって大事なことは二つ――
物事を自分の思うように進められることと、軽重緩急を正しく見極められることだと思うんだ。
だからその友人には、まだまだ伸びしろがあるってことだね。

フリーナ
(伸びしろ…
僕の覚え間違いじゃなければ、ヌヴィレットは少なくとも千歳を超えてるんだけど…)
ああ、そうだね。
胡桃の言う通りだ!

鍾離
おや?
旅人、フリーナ殿、あちらの二人は知り合いなのではないか?

パイモン
あっ、ナヴィアとクロリンデだ!
お~い、こっちこっち!

ナヴィア
みんな話が盛り上がってるみたいね。
あたしたちも混ぜてちょうだい。

クロリンデ
お邪魔ではないだろうか。

胡桃
おやおや、このお姉さんずいぶんと礼儀正しいね。
でも遠慮はいらないよ。
旅人とフリーナの知り合いなら、きっと私とも気が合うだろうからね。

ナヴィア
ふふっ、その単純明快さ、気に入った!

旅人を中心に、初対面の何人かがお互いに簡単な自己紹介を始めた。
クロリンデの職業を聞いた途端、胡桃が目を光らせた。
だが、フリーナとナヴィアがしばらく説明した後、堂主は余計な考えを捨てたようだ。

ナヴィア
時間が経つのって早いね…
暗くなる前に船に乗って帰るなら、そろそろ出発しないと。

クロリンデ
ああ。
では…
フリーナ様。

フリーナ
うん…うぇっ!
僕のことかい?

クロリンデ
はい。
お帰りのご予定は?
ついでにお送りいたしましょうか?

フリーナそ、そんな…
面倒を掛けるだろ…?
それに、キミはもう僕の部下じゃなくなったわけだし…

クロリンデ
いえ、そういう意味ではありません。
外で友達と偶然会ったら、共に家に帰らないかと誘うのは、普通のことではないでしょうか。

ナヴィア
ここはほとんど山道だし、暗くなったら余計分かりづらくなっちゃうでしょ?

胡桃
そうそう、まるで怪奇小説に書いてあるみたいに…
廃れた山道迷路のよう、ぽつんとある小屋ひとおらず…
門前立つは赤蝋燭、風がないのに揺らいでる…

フリーナ
――ひィいいいッ!!
親愛なる淑女…レディ…
友よッ!
ぜ、ぜひこの僕も一緒に連れてってくれ!

クロリンデ
もちろんです。

>フ、フリーナ…

胡桃
ぷぷぷっ、フリーナってばホント面白い子だね。
そういえばさっきの話だと、クロリンデって昔、フリーナの部下だったんだ?
もしかしてフリーナも元々、お偉いさんだったり?

フリーナ
あっ…うっ…
それは…
もう昔のことだから…
上に立つのはつらいよ。
僕には向いてない。
僕は今のように気ままに行動して、自由という名の新鮮な空気を吸ってるほうが好きなんだ。

鍾離
なるほど、翹英荘は確かに休息に適した場所だ。

>そういえば、みんな楽しめた?

フリーナ
ああ、もちろん楽しかったとも!
それに勉強にもなった!
胡桃と鍾離先生にはとても感謝しているよ。

胡桃
もぉー、何回お礼を言えば気が済むの?
そんなに気を遣わなくていいって。
そうだ!
今度来たときに、街で早茶を奢ってあげる!

フリーナ
早茶って…
お茶会みたいなものかい?

胡桃
ん~、だいたいそんな感じかな?
お茶があって、点心があって、みんなで卓を囲いながら気が済むまでおしゃべりするの。

フリーナ
へぇ、いいねそれ。
楽しそうじゃないか!

パイモン
冬蓉酥とハスの花パイは絶対に注文したほうがいいぜ!
いい匂いがするし甘いから、フリーナもきっと気に入るはずだぞ!

フリーナ
うん。
じゃあ、次に会うのを楽しみにしているよ。

パイモン
ところで…
おまえたち、旅行に来たっていうのになんで手ぶらなんだ?

>お土産を持って帰らないの?

ナヴィア
もちろん、持って帰るに決まってるでしょ?
面白い小物をたくさん買ったんだ!
凧に紙の傘、それから飛び跳ねる鉄のカエル、あと小さな猊獣のぬいぐるみ…
クロリンデはあんまり買わなかったけど。

パイモン
まさか茶葉しか買ってないのか?

クロリンデ
いや、あとお茶味のキャンディを――
シグウィンさんへのお返しだ。

ナヴィア
クロリンデはいつもこうなの。
物欲があんまなくって。

クロリンデ
ああ、ナヴィアと差し引いたらちょうどチャラになる。

ナヴィア
先に言っておくけど、あたし別に無駄遣いはしてないからね。
今日のショッピングだって、ちゃんと予算内に抑えてるし。

>フリーナは無駄遣いしなかった?

フリーナ
僕?
えっと…
茶葉は当然買うべきだろ?
あと『スチームバード新聞』に載ってたおすすめも全部試しておくべきだし…
あとはあれとこれ、それから…
ふふん、どれも使えそうなものだ!
…だろ?

>まんまと商人の罠にかかってる。

パイモン
あれ…
そうなると余計わかんないんだけどさ…
買ったものはどこにいったんだ?
まさかリネのマジックポケットを使ったとか?

フリーナ
ああ、それは…

クロリンデ
すべてヌヴィレット様が持ち帰った。

パイモン
あっ、なるほど、そういうことだったのか…
…って、なんでだよ!?
どうしてあいつが持って帰ったんだ。
宝物でも集めてんのか?

ナヴィア
ぷっ、パイモンってば想像力が豊かだね。
ヌヴィレットさんはあたしたちの荷物が多くて不便そうなのを見て、フォンテーヌ延まで持ち帰るって言ってくれたの。
最初はちょっと申し訳なかったけど…
だ、だって結構たくさん買っちゃったし…

クロリンデ
仕事が終わったら、お土産をメロピデ要塞まで届けるのを手伝うともおっしゃってくれた。
ヌヴィレット様は約束を守るお方だ。
そうおっしゃったのなら、最後まで責任をもってやり遂げるだろう。

ナヴィア
ほら、クロリンデもこう言ってる。
彼の頼もしい部下がここまで言うんだから、あたしもついでに頼むことにしたの。

胡桃
へぇ、まさかそんなに優しい人だったなんてね。
見た目ほどお堅いわけじゃないんだ。
はぁ、うちの往生堂にもそんな風に責任感があって、用意周到で積極的に動いてくれる人がいたらいいのになぁ~
ねえ、鍾離さん?

鍾離
ああ、確かにな。

パイモン
そういえば、クロリンデがこう言ってたよな――
ヌヴィレットが仕事を終わらせた後、お土産を公爵のところまで届けてくれるって。
あとでメロピデ要塞の入り口に行ったら、お土産を届けるヌヴィレットに会えるんじゃないか?
うーん、でもあいつがいつ行くかはわかんないけど…

-------------------------

胡桃
そういえば、もうすぐ新しい一年の仕事が始まるよね。
鍾離さん、何かあったら必ず、隠さずにこの堂主に言ってよ。

鍾離
何故そのようなことを?

胡桃
今日はちょっと上の空だったでしょ?
口数も少なかったし、ずっと「そうか」とか、「確かに」って言って誤魔化してたから。
まさか中年に近づいて、悩み事でもできたの?

鍾離
そうか?

胡桃
……

鍾離
ハハッ、冗談だ。
翹英荘は都心部から離れ、生活の流れもゆったりとしている。
ここに来ると、つい気が緩んでしまうのだ。
堂主に心配を掛けてしまったようで、すまない。

胡桃
ふーん、なるほど…
親友はどう思う?
あなたもここに来ると気が緩むと思う?

①「遠ざけるは俗世のしがらみ…」
②「…とんと触れれば散り散りに?」

胡桃
おぉ!
素晴らしい詩だね!

鍾離
確かに。

-------------------------

ナヴィア
帰る前に、忘れ物がないか確認しときましょ。
もしまだ何か買いたいものがあれば、急いでちょうだいね。

クロリンデ
承知した。
頼もしい会長様。

ナヴィア
…ちょっと、何言ってるのよ?

フリーナ
確かにクロリンデは何も間違ってないね。
会長様は本当に頼もしいと思うよ!

ナヴィア
はぁ…
フリーナ…
あたしが引っかかってるのは「頼もしい」云々じゃなくて、その態度のほうよ態度!

フリーナ
そういえば、クロリンデがプライベートではこんなに話しやすい人だとは思ってなかったよ!
仕事中はあんまり言葉を発しないから、人と関わるのが嫌いなのかと思ってた。

クロリンデ
仕事とプライベートは別ですから。
場を弁えるように気をつけているんです。

ナヴィア
相棒もパイモンも道中気をつけてね。

>心配しないで、あなたの相棒は強いから。

ナヴィア
なんで急にかっこつけてるの?
ふふっ、まぁ確かにかっこいいけどね!

クロリンデ
強いのは事実だ。

フリーナ
ハハッ、キミたちとおしゃべりするのは楽しいよ。
翹英荘に来て本当に正解だった。
今度、また一緒に旅をしてもいいかな?

-------------------------

…ヌヴィレットを探す…

パイモン
見ろ、ヌヴィレットだ!
やっぱりいたな!

ヌヴィレット
君たちか、久しいな。
ここは人通りが少なく、とても静かだ。
仕事が早く終わったゆえ、ここを散歩していた。

パイモン
早く終わったって…
ヌヴィレット、おまえいつもこんな遅くまで働いてんのか?

ヌヴィレット
正確に答えるとなると、日々のスケジュールにもよるが…
私には時間がたっぷりとある。
早くとも遅くとも大差はない。

パイモン
本当か?
じゃあ時間がたっぷりあるってんなら、なんで翹英荘にはたった半日しかいなかったんだよ?

ヌヴィレット
ふむ…
まず、時間がたっぷりとあるというのは、命の長さから見たものだ。
次に…
翹英荘に行ったことを君たちは知っているのか?

今日の出来事をヌヴィレットにかいつまんで伝えた…

ヌヴィレット
なるほど、説明に感謝する。

>それで、お土産は届けられた?

ヌヴィレット
ああ、もう届けたから安心してくれ。

リオセスリ
我らが決闘代理人は本当に大したもんだな。
あんたをここまで来させたのが、ただの配達のためだったとは。

ヌヴィレット
ただのついでだ。
気にすることはない。

リオセスリ
ならよかった。
クロリンデさんがわざわざ購入してくれた茶葉とキャンディは、メロピデ要塞が確かに受領した。

ヌヴィレット
口頭で確認が必要なことだろうか?
些細なことゆえ、そうかしこまることない。

リオセスリ
そうかい。
それにしてもこの茶葉の山…
彼女の手土産ってどれもこんな感じなのか?
ちょっと多すぎて受け取るのに気が引けるな。

ヌヴィレット
ああ、それは…
すまない、一部は私が買いすぎてしまったものだ。

リオセスリ
ん?
どういうことだ?

ヌヴィレット
十缶で半額だったのでな。

リオセスリ
ははっ、そういうことか。
なら任せてくれ。
なるべく早く飲み切ろう。

ヌヴィレット
ああ、感謝する。
それともう一つ、君に渡すものがある。

リオセスリ
これは…
…模様の刻まれた…
石板?

ヌヴィレット
その言い方も間違いではないが、より正確に言うとこれは法典だ。

リオセスリ
…ほう、法典…
ふむ…

ヌヴィレット
紙とペンがなかった時代、人々は石板に刻むことですべてを記録していた。
法律も例外ではない。

リオセスリ
なるほど…

ヌヴィレット
古来より、人々は審判の公正と公平を象徴するものとして天秤を使ってきた。
ゆえに私も文字の代わりに、この模様をあしらってみたのだ。
最初の法典を模倣したこの工芸品は、ある種のオマージュと言える。
此度の出先において、路上で陶芸体験の屋台を見かけたため、試しに少しやってみたのだ…
前にクロリンデと冗談を言い合っていたとき、君に法典を贈るという話をしていただろう?
それがこれだ。

リオセスリ
ああ、あの冗談か。

ヌヴィレット
ああ、まさか君も覚えていたとはな。
この贈り物はなかなかウィットに富んでいるだろう?

リオセスリ
ああ、そうだな。
それに、さすが我らが最高審判官って言ったところか?
お気に入りの冗談も法に関係するものだとは…
まったく感服する。
それほど深い意味を持つ代物だ、メロピデ要塞の保管庫でも真ん中に飾るべきだろう。

ヌヴィレット
いや、そこまでする必要は…

リオセスリ
冗談だ。
俺は保管庫なんか持っちゃいないさ。
まぁ物置ならあるがな…
これは看護師長がコレクションしてるマシナリーのパーツの横に置いておこう。

ヌヴィレット
ああ、そうしてくれ。

パイモン
じゃあ翹英荘に行ったのは、それを作るためだったのか!?

ヌヴィレット
うむ、その通りだ。
もちろん、それだけでなく現地の山の泉水を飲むためでもあったがな。
あの後味は、以前フォンテーヌに送られたものより純粋なものであった。
従って長距離の運輸は、道中にある「他の想い」を水に混入させてしまう恐れがあるということだ…
本来の味を楽しむためには…
ふむ…
確かに休暇を取って、様々なところを渡り歩く必要がある。

>「適度に休めば、万事うまく行く。」

ヌヴィレット
君までそう言うのであれば、どうやら私のこの考え方は間違っていないようだ。

パイモン
ったく、自分を休ませるためにわざわざ理由を作らなきゃいけないやつなんて初めて見たぞ…
時間がたっぷりあるんだから、なにしたっていいんじゃないか?

ヌヴィレット
ああ、君の言う通りだ。
だが、私は何をしたいのかこれまで特に考えたことがなかった。
しかし、先日璃月の佳節に関する記事をいくつか読んだ折、この目でその光景を見てみたいという考えが脳裏に浮かんだ…
そして今朝、ちょうど仕事の予定が入っていなかったゆえ、行動に移したのだ。

>どうだった?

ヌヴィレット
新鮮の一言に尽きる。
ふと思い至っての行動ではあったが、多くのことを考えるきっかけとなった。
例えば陶芸品について――
土は元々形のないものだが、水を適量加えれば柔らかくしっとりとし、形を整えやすくなる…
水や料理をよそう容器がどう生まれたのかを考えたこともなかったが、こうして自ら体験ができた。
どうだろうか…
これも今日私が作ったものなのだが。


>わぁ、でっかい…スプーン?

パイモン
スプーンだったのか?
首の長い海獣かと思ったぞ!

ヌヴィレット
確かにそのような芸術的な意図も込めてある。

①精巧だね。
②色もヌヴィレットらしい。

ヌヴィレット
本当だろうか?
これを良い品と?
正直に言うと、今日まさか君たちに会うと思っていなかったのだ。
ゆえに何も用意をしていなかった。
璃月の住節にあたり、人間社会のマナーでは新年を祝うためのプレゼントを用意すべきだという…
もしよければ、これを受け取ってくれないだろうか?

①本当にいいの?
②ヌヴィレットがせっかく作ったのに?

ヌヴィレット
だからこそだ。
受け取ってくれたら幸甚だ。

①じゃあ、遠慮なく受け取るね。
②ありがとう!

ヌヴィレット
ああ、どういたしまして――
海灯祭を祝して。

>そうだ、一つ言っておきたかったことが…

ヌヴィレットに休暇のアドバイスをした…

ヌヴィレット
自分の休暇申請を自分で通すか…
自堕落の渦に陥ってしまいそうで、かえってルールに背いてしまいそうだ。
だが…
うむ、承知した。
これまでプライベートで出かけたことはあまりなかった。
仕事のスケジュールが理由の一つではあるが、それだけでなく元々人間社会に関わろうと思っていなかったのだ…
しかし、人間の世界は確かに興味深いところだと…
今はそう思えるようになった。

>だから言ったでしょ。

特別な調度品の贈り物
海灯祭期間中に獲得した独特な贈り物。
洞天に置くのに持ってこい…

「悠々たる海獣の杓」
ヌヴィレットが海灯祭で旅人に贈ったレードルスプーン。
「ふと思い至っての行動で」「考え付いた多くのこと」に基づいて、手作りで仕上げた陶芸品であり、特別な価値がある。
最高審判官の休暇中の作であるためか、想像上の海獣をモチーフにしたスプーンも、珍しくのんびりとした雰囲気を纏っている。
もしかしたら、これを使って水を飲めば、いつもと違ったひらめきがあるかもしれない…

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ヌヴィレット
海灯祭は…
璃月の新しい一年の始まりを意味する。
さて…
この新たな一年が暖かな海流のように前へと進み、諸事がつつがなく流れることを祈っている。

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《任務完了》