◆「伯爵」(演-ブラウド)
◆「アイリス」(演-神里綾華)
◆「チューリップ」(演-シュヴルーズ)
◆ルテリエ
◆バティスト
夜の暗い霧に包まれた孤島が静かに現れた。
この島は、一体どこへ通じているのだろうか…
…翌日の朝まで待つ(8時~10時)…
パイモン
こっからはまた映影の撮影だな!
ここ数日はスケジュールがびっしりだ!
色んなところを回らなきゃいけないぞ。
早く出発しよう、 約束した集合場所に行こうぜ!
こっからはまた映影の撮影だな!
ここ数日はスケジュールがびっしりだ!
色んなところを回らなきゃいけないぞ。
早く出発しよう、 約束した集合場所に行こうぜ!
映画の撮影と事件の調査は着々と進み、そうして数日の時が流れた…
…映影の撮影を始める…
フリーナ
みんなご苦労だった!
今日は二人の主人公のクランクアップだ。
成功の日はもう近いよ。
みんなご苦労だった!
今日は二人の主人公のクランクアップだ。
成功の日はもう近いよ。
パイモン
「クランクアップ」ってなんだ?
「クランクアップ」ってなんだ?
①撮影終了って意味だよ。
②フィルムをもう回さないって意味だよ。
②フィルムをもう回さないって意味だよ。
パイモン
おお!
物知りだなぁ!
おお!
物知りだなぁ!
フリーナ
ここは銃を持った二人と伯爵が最後に対峙するシーンだから、アクションが多い。
みんな練習の通りに演じてくれ。
それじゃあ行くよ、3、2、1、キュー!
「伯爵」
今日は美しい夜だと思わないか?
十年前のあの夜のことを思い出す。
ふむ、ハーブティーの香りまで漂ってくるかのようだ。
十年前のあの夜のことを思い出す。
ふむ、ハーブティーの香りまで漂ってくるかのようだ。
「アイリス」
黙りなさい、お母様を殺した悪党め。
黙りなさい、お母様を殺した悪党め。
「伯爵」
愛しいアイリスよ、私に向かって何だその口の聞き方は?
私はお前の「父親」なのだぞ。
「チューリップ」
たとえこの牙が一つ残らず抜かれたとしても、その二文字を私が口にすることは期待しないほうがいい。
「伯爵」
…我が娘たちよ。
そうやって頑迷で譲らないところは、お前たちの愚かな母親にそっくりだ。
この社会では、金と地位があれば絶対的な力を手にできる。
あの女は、娘を口実に私をゆすれると思ってたのだろう?
やれやれ、まったく考えが甘すぎる。
そうやって頑迷で譲らないところは、お前たちの愚かな母親にそっくりだ。
この社会では、金と地位があれば絶対的な力を手にできる。
あの女は、娘を口実に私をゆすれると思ってたのだろう?
やれやれ、まったく考えが甘すぎる。
「アイリス」
お母様はお前に何も要求したことはない。
ただ私たちに、他の人たちと同じように平穏な一生を送ってほしいと願っただけ。
「チューリップ」
お前たちが自らの手で作り出した「偏見」という名の毒薬が、お母様を殺したのだ。
その毒薬に比べれば、お前が食らうことになる二発の銃弾は甘いに違いない。
「伯爵」
ははは!
だからお前たちはあの女と一緒で考えが隙だらけなのだよ。
そんな二つの銃で勝てるとでも思ったのか?
ならば「金や地位」とお前たちが持つ「銃」、どちらが強いのか試してみようではないか。
ははは!
だからお前たちはあの女と一緒で考えが隙だらけなのだよ。
そんな二つの銃で勝てるとでも思ったのか?
ならば「金や地位」とお前たちが持つ「銃」、どちらが強いのか試してみようではないか。
…敵を倒し、復讐のシーンを撮影する…
「伯爵」
ものども、かかれ!
「アイリス」
姉さん、数が多すぎるわ!
「チューリップ」
大丈夫だ!
アイリス、互いに助け合えば…!
アイリス、互いに助け合えば…!
お母様も…
きっと私たちを守ってくれる。
きっと私たちを守ってくれる。
…映影の撮影を始める…
「チューリップ」
お前の負けだ。
「伯爵」
くっ…
お前らごとき小娘に…
お前らごとき小娘に…
「アイリス」
私たちはお前の娘じゃないし、あの場所も私たちの家じゃない。
私たちはお前の娘じゃないし、あの場所も私たちの家じゃない。
「伯爵」
ふん…
教えてくれ。
何のためにこんなことをする?
母親を失い、父親を殺し…
ふん…
教えてくれ。
何のためにこんなことをする?
母親を失い、父親を殺し…
罪名以外に何が残るというのだ?
「チューリップ」
それは…
「正義」だ。
(ダァンッ――!)
…終わったな。
それは…
「正義」だ。
(ダァンッ――!)
…終わったな。
「アイリス」
…ようやく、終わったのね。
姉さんは、これからどこに向かうの?
…ようやく、終わったのね。
姉さんは、これからどこに向かうの?
「チューリップ」
分からないよ、アイリス。
花がたくさん咲く場所にでも行こうかな、昔お母様がよく言っていたように。
お前は?
分からないよ、アイリス。
花がたくさん咲く場所にでも行こうかな、昔お母様がよく言っていたように。
お前は?
「アイリス」
まずは、お母様のお墓にお参りに行きたいわ。
まずは、お母様のお墓にお参りに行きたいわ。
「チューリップ」
ああ、悪くない考えだ…
ああ、悪くない考えだ…
「アイリス」
…!
姉さん、見て!
姉さん、見て!
「チューリップ」
どうした?
どうした?
「アイリス」
お母様の大好きだったレインボーローズが、咲いたわ。
お母様の大好きだったレインボーローズが、咲いたわ。
フリーナ
(パチパチパチ――)
素晴らしい、素晴らしすぎるっ!
撮影がこんなにも順調に進んでとんとん拍子に撮り終えるなんて、思いもしなかったよ。
さあ、二人の主人公の撮影はこれにてクランクアップだ!
(パチパチパチ――)
素晴らしい、素晴らしすぎるっ!
撮影がこんなにも順調に進んでとんとん拍子に撮り終えるなんて、思いもしなかったよ。
さあ、二人の主人公の撮影はこれにてクランクアップだ!
パイモン
綾華!
シュヴルーズ!
おつかれさまだぜ!
綾華!
シュヴルーズ!
おつかれさまだぜ!
①素晴らしい演技だった。
②クランクアップおつかれさま。
②クランクアップおつかれさま。
神里綾華
ありがとうございます。
私とシュヴルーズのシーンがこんなにも早く撮り終わるとは思いませんでした。
少々、名残惜しい気もしますね。
ありがとうございます。
私とシュヴルーズのシーンがこんなにも早く撮り終わるとは思いませんでした。
少々、名残惜しい気もしますね。
パイモン
わかるぞ!
あと少しでカチンコが叩けなくなるなんて残念だ!
映影を撮るのってすごく楽しいもんな!
シュヴルーズも良かったぞ!
あの「それは…正義だ」ってセリフ、オイラしびれちゃったぜ!
わかるぞ!
あと少しでカチンコが叩けなくなるなんて残念だ!
映影を撮るのってすごく楽しいもんな!
シュヴルーズも良かったぞ!
あの「それは…正義だ」ってセリフ、オイラしびれちゃったぜ!
シュヴルーズ
ああ、あれは私も小説の中で一番好きなセリフだ。
以前読んだとき、よく自分の部屋で真似をしていた。
ああ、あれは私も小説の中で一番好きなセリフだ。
以前読んだとき、よく自分の部屋で真似をしていた。
パイモン
シュヴルーズにもそんな一面があるんだな、意外だぞ。
シュヴルーズにもそんな一面があるんだな、意外だぞ。
シュヴルーズ
悪人は裁かれ、正義が悪に勝つ。
こういう結末を好まない者はいないだろう?
忘れないでくれ、私はフォンテーヌ特巡隊の隊長だということをな。
悪人は裁かれ、正義が悪に勝つ。
こういう結末を好まない者はいないだろう?
忘れないでくれ、私はフォンテーヌ特巡隊の隊長だということをな。
ルテリエ
失礼します!
隊長、急ぎ報告することが。
失礼します!
隊長、急ぎ報告することが。
シュヴルーズ
…すまない、皆。
私は先に失礼する。
…すまない、皆。
私は先に失礼する。
パイモン
おう、こっちのことは気にせず行ってこい!
フリーナ
もう呼ばれて行ってしまったのかい?
もっと称賛したかったのに。
もう呼ばれて行ってしまったのかい?
もっと称賛したかったのに。
神里綾華
きっと緊急の公務が入ったのでしょう。
きっと緊急の公務が入ったのでしょう。
フリーナ
そうか、なら今日中にキミたちのシーンを撮れてよかったよ。
撮影スケジュールを調整するのは大変だからね。
そうだ、今日はもう解散して構わないよ。
早く帰ってゆっくり休むといい。
それから綾華、キミの演技は相変わらず素晴らしかった。
本当にプロの女優になるつもりはないのかい?
ちょうど優秀な劇団がヒロインを募集してたよ。
そうか、なら今日中にキミたちのシーンを撮れてよかったよ。
撮影スケジュールを調整するのは大変だからね。
そうだ、今日はもう解散して構わないよ。
早く帰ってゆっくり休むといい。
それから綾華、キミの演技は相変わらず素晴らしかった。
本当にプロの女優になるつもりはないのかい?
ちょうど優秀な劇団がヒロインを募集してたよ。
神里綾華
フリーナ監督に認めていただき大変光栄ではあるのですが、稲妻の社奉行にはまだまだやるべきことが多くあります。
ですから、フォンテーヌに長期間滞在して女優業に携わるというのは難しいのです。
此度の協力の経験を宝物として、大事に心に留めておきます。
フリーナ監督に認めていただき大変光栄ではあるのですが、稲妻の社奉行にはまだまだやるべきことが多くあります。
ですから、フォンテーヌに長期間滞在して女優業に携わるというのは難しいのです。
此度の協力の経験を宝物として、大事に心に留めておきます。
フリーナ
そうか、残念だ。
もし考えが変わったらいつでも僕のところに来てくれていいからね。
そうか、残念だ。
もし考えが変わったらいつでも僕のところに来てくれていいからね。
神里綾華
では、私もそろそろお暇いたします。
私の出演シーンは撮り終わりましたが、もうしばらくは現場で色々とお手伝いをいたしますので。
旅人さん、パイモンさん。
また明日お会いしましょう。
では、私もそろそろお暇いたします。
私の出演シーンは撮り終わりましたが、もうしばらくは現場で色々とお手伝いをいたしますので。
旅人さん、パイモンさん。
また明日お会いしましょう。
パイモン
おう!
また明日な!
で、これからどうするんだ?
今日もシュヴルーズと一緒に調査するのか?
おう!
また明日な!
で、これからどうするんだ?
今日もシュヴルーズと一緒に調査するのか?
シュヴルーズ
旅人、パイモン。
一緒に来てくれ。
旅人、パイモン。
一緒に来てくれ。
パイモン
えっ?
ど…どこにだよ?
えっ?
ど…どこにだよ?
シュヴルーズ
私たちの船が、ついに「孤島」にぶつかったようだ。
…シュヴルーズと一緒に手がかりを探す…
うぅ…
疲れたぜ。
撮影が終わった後にこんな離れたところまで来るなんて。
シュヴルーズ、オイラたちをここに連れてきてどうしたんだ?
>何か手がかりでも見つかった?
シュヴルーズ
ああ。
決定的な証拠ではないが、重要な進展があった。
お前たちは、エミリエという名を聞いたことはあるか?
ああ。
決定的な証拠ではないが、重要な進展があった。
お前たちは、エミリエという名を聞いたことはあるか?
パイモン
ああ、あの有名な調香師だろ?
ああ、あの有名な調香師だろ?
シュヴルーズ
彼女とは交友があってな。
たまに難解な事件の捜査に力を貸してもらってるんだ。
少し前に、事件現場に残されていたレインボーローズを彼女に送ってみた。
彼女は毎日、花の相手をしてるからな。
彼女とは交友があってな。
たまに難解な事件の捜査に力を貸してもらってるんだ。
少し前に、事件現場に残されていたレインボーローズを彼女に送ってみた。
彼女は毎日、花の相手をしてるからな。
パイモン
で、どうだったんだ?
で、どうだったんだ?
シュヴルーズ
花には何も痕跡は残されておらず、そこに付着していた土にも特に変わった点はなかった。
しかしエミリエは、犯行現場に残されていたレインボーローズが、かなり希少な品種だということに気づいた。
花には何も痕跡は残されておらず、そこに付着していた土にも特に変わった点はなかった。
しかしエミリエは、犯行現場に残されていたレインボーローズが、かなり希少な品種だということに気づいた。
パイモン
レインボーローズにも品種があるのか?
フォンテーヌの野外だったら、そこかしこに咲いてるだろ?
レインボーローズにも品種があるのか?
フォンテーヌの野外だったら、そこかしこに咲いてるだろ?
シュヴルーズ
どんな花であっても、人工的に栽培したものと自然環境で育ったものとでは、多少の違いが生まれる。
私たちも事件現場にあったものは人工栽培された品種だと前から気づいていた。
だが、プロであるエミリエはその専門知識を活かして、さらに範囲を絞り込んでくれたんだ。
どんな花であっても、人工的に栽培したものと自然環境で育ったものとでは、多少の違いが生まれる。
私たちも事件現場にあったものは人工栽培された品種だと前から気づいていた。
だが、プロであるエミリエはその専門知識を活かして、さらに範囲を絞り込んでくれたんだ。
パイモン
おお!
つまり誰の家でこの品種が育てられてるのかわかれば、そいつが犯人の可能性が高いってことだな!
おお!
つまり誰の家でこの品種が育てられてるのかわかれば、そいつが犯人の可能性が高いってことだな!
シュヴルーズ
そうだ。
そして購入記録を見比べた結果、この品種のレインボーローズを栽培している者はフォンテーヌにただ一人だということを突き止めた。
そうだ。
そして購入記録を見比べた結果、この品種のレインボーローズを栽培している者はフォンテーヌにただ一人だということを突き止めた。
パイモン
ほんとか?
誰なんだ?
ほんとか?
誰なんだ?
シュヴルーズ
例の「著者」だよ。
例の「著者」だよ。
パイモン
えっ?
でも前は…
シュヴルーズ
今も私の考えは同じだ。
彼が人を殺めたとは思えない。
しかしそれは、犯人が彼の家に行っていないことや、彼が自分の育てたローズを犯人に売っていないことを意味するものではない。
いずれにせよ、尋問は避けられないだろう。
パイモン
じゃあ、オイラたちがこれから向かう場所は…
じゃあ、オイラたちがこれから向かう場所は…
シュヴルーズ
「著者」の自宅だ。
「著者」の自宅だ。
…シュヴルーズが言っていた場所に行く…
シュヴルーズ
あの家がそうだ。パイモン
家の周りが警備ロボだらけだぞ。
普通の人の家ってこうじゃないよな?
シュヴルーズ
前回、彼と会ったときに聞いた話によると、これは邪魔されたくないからだそうだ。
前回、彼と会ったときに聞いた話によると、これは邪魔されたくないからだそうだ。
パイモン
庭にたくさん花が植えてあるな。
う~ん…
こいつらを避けて摘むとなると、さすがに難しいんじゃないか。
庭にたくさん花が植えてあるな。
う~ん…
こいつらを避けて摘むとなると、さすがに難しいんじゃないか。
シュヴルーズ
ゆえに、彼と犯人の関係は単純なものではないと私は見ている。
ゆえに、彼と犯人の関係は単純なものではないと私は見ている。
パイモン
ドアをノックするか?
ドアをノックするか?
シュヴルーズ
念のため、一部の警備ロボを処理してからにしよう。
念のため、一部の警備ロボを処理してからにしよう。
パイモン
えっ、でもこんな遠くからどうやって処理するんだよ?
えっ、でもこんな遠くからどうやって処理するんだよ?
シュヴルーズ
忘れたのか、パイモン。
私はまごうことなき「銃士」だってことをな。
忘れたのか、パイモン。
私はまごうことなき「銃士」だってことをな。
…シュヴルーズと会話する…
片付いたな、行くぞ。
パイモン
ちょ、ちょっと待った。
あの中に犯人がいると思ったらなんだか緊張してきたぞ。
このあとどうしたらいいんだ。
もう一度教えてくれ。
ちょ、ちょっと待った。
あの中に犯人がいると思ったらなんだか緊張してきたぞ。
このあとどうしたらいいんだ。
もう一度教えてくれ。
シュヴルーズ
私が先にドアをノックし、室内の安全を確認する。
ついでにいくつか質問のため、警察隊への同行に応じてもらえないか尋ねるつもりだ。
私が先にドアをノックし、室内の安全を確認する。
ついでにいくつか質問のため、警察隊への同行に応じてもらえないか尋ねるつもりだ。
パイモン
この場ですぐに捕まえられないのか?
この場ですぐに捕まえられないのか?
シュヴルーズ
私たちはまだ彼が犯人である、またはその協力者であるという十分な証拠をつかんでいない。
ただ、私がドアをノックして対応してる間、お前たちにはこの家のレインボーローズを一輪採ってきてほしい。
それを持ち帰り、マレショーセ・ファントムで証拠と比較できるようにな。
私たちはまだ彼が犯人である、またはその協力者であるという十分な証拠をつかんでいない。
ただ、私がドアをノックして対応してる間、お前たちにはこの家のレインボーローズを一輪採ってきてほしい。
それを持ち帰り、マレショーセ・ファントムで証拠と比較できるようにな。
パイモン
おう、任せろ!
シュヴルーズも気をつけろよな!
おう、任せろ!
シュヴルーズも気をつけろよな!
…作者の家に行く…
バティストさん、いるだろうか?
バティスト
こんな遅くに…
ああ、シュヴルーズさんか。
シュヴルーズ
バティストさん、これから私と共に署まで同行願えないだろうか?
事件について、少し聞きたいことがある。
バティストさん、これから私と共に署まで同行願えないだろうか?
事件について、少し聞きたいことがある。
バティスト
やはり、例の銃殺事件のことですかね?
やはり、例の銃殺事件のことですかね?
シュヴルーズ
…今は言えない。
…今は言えない。
バティスト
じゃあ、間違いありませんね。
じゃあ、間違いありませんね。
シュヴルーズ
バティストさん、返答を聞かせてもらえるか?
バティストさん、返答を聞かせてもらえるか?
バティスト
ああ…
シュヴルーズさん、少し手間を省きましょう。
それからそちらのお二人も、花を摘むなんて手間は不要です。
それらの花のつぼみは、まだ開花の時を迎えていない。
ああ…
シュヴルーズさん、少し手間を省きましょう。
それからそちらのお二人も、花を摘むなんて手間は不要です。
それらの花のつぼみは、まだ開花の時を迎えていない。
パイモン
えっと…
えっと…
シュヴルーズ
その「手間を省く」とは…
その「手間を省く」とは…
バティスト
僕が殺しました。
僕が殺しました。
シュヴルーズ
……!
パイモン
じ…自白したぞ!
バティスト
そう緊張なさらないでください。
武器なんて持っていません。
銃は裏庭に埋めましたから。
そう緊張なさらないでください。
武器なんて持っていません。
銃は裏庭に埋めましたから。
シュヴルーズ
…バティストさん、私には伝える義務がある――
…バティストさん、私には伝える義務がある――
いま話してる一言一句は、すべて法廷での重要な証拠となる。
バティスト
もちろん、分かっています。
もちろん、分かっています。
シュヴルーズ
…こういう感じは、あまり好きではないな。
…こういう感じは、あまり好きではないな。
バティスト
僕が罪を認めたから?
それとも、自分が間違えていたからですか?
僕が罪を認めたから?
それとも、自分が間違えていたからですか?
シュヴルーズ
どちらもだ。
どちらもだ。
①被害者は…
②どうしてあんなことを…
②どうしてあんなことを…
バティスト
僕が小説で書いた理由と同じ――
僕が小説で書いた理由と同じ――
仇討ちのためですよ。
シュヴルーズ
……
バティスト
あなたたちが僕と彼の関係まで突き止められなかったのは知っています。
でなきゃ、とっくに警察隊に連行されていたでしょうからね。
でも、僕は永遠に彼の顔を忘れない。
母を殺したのですから。
シュヴルーズ
…あなたの母上は今も健在のはずだ。
バティスト
僕が養子だったことは知っているでしょう?
僕が言っているのは産みの母のことですよ。
シュヴルーズ
それは孤児院の記録には書かれていなかったが…
バティスト
母が目の前で死んだのだから、六歳の子供が嘘で自分を守るすべを覚えるのも無理はないでしょう?
パイモン
じゃあ…
小説に書かれてたことって全部…
本当のことなのか?
じゃあ…
小説に書かれてたことって全部…
本当のことなのか?
バティスト
いいえ、それは違いますよ。
小説は芸術的な加工がされていますから。
でも…
僕が裕福な人間の私生児で、そいつが僕の母を殺したというのは真実です。
いいえ、それは違いますよ。
小説は芸術的な加工がされていますから。
でも…
僕が裕福な人間の私生児で、そいつが僕の母を殺したというのは真実です。
シュヴルーズ
だが、バティストさんが殺した相手は貧民だったはずだ。
だが、バティストさんが殺した相手は貧民だったはずだ。
バティスト
彼は金で雇われた殺し屋で、モラのために丸腰の母を手にかけた、ケダモノですよ。
彼は金で雇われた殺し屋で、モラのために丸腰の母を手にかけた、ケダモノですよ。
シュヴルーズ
もし本当にそうなら、私たちにそれを教えるべきではなかったのではないか?
真の黒幕をまだ始末していないのだろう?
もし本当にそうなら、私たちにそれを教えるべきではなかったのではないか?
真の黒幕をまだ始末していないのだろう?
バティスト
…はは。
まさか特巡隊隊長の口からそんな言葉が聞けるなんて。
…はは。
まさか特巡隊隊長の口からそんな言葉が聞けるなんて。
シュヴルーズ
私は、一連の動機について疑いを持ってる。
私は、一連の動機について疑いを持ってる。
バティスト
簡単です、疲れたんですよ。
すべてを背負うのが嫌になったんです。
あなたは、僕が銃で人を殺せるような人間だとは思わなかったのでしょう?
実際、その通りでしたよ。
撃った後の苦しみは、計り知れないものでしたから。
簡単です、疲れたんですよ。
すべてを背負うのが嫌になったんです。
あなたは、僕が銃で人を殺せるような人間だとは思わなかったのでしょう?
実際、その通りでしたよ。
撃った後の苦しみは、計り知れないものでしたから。
シュヴルーズ
このまま仇討ちを諦めるつもりなのか?
このまま仇討ちを諦めるつもりなのか?
バティスト
あの男が持つ権力と金は強大です。
僕一人では成し遂げられないことなど、とうに分かっていました。
あの男が持つ権力と金は強大です。
僕一人では成し遂げられないことなど、とうに分かっていました。
シュヴルーズ
だから何だという?
お前の本には、そうは書かれていなかったぞ。
だから何だという?
お前の本には、そうは書かれていなかったぞ。
バティスト
僕とあなたとでは犯罪者は僕のほうだというのに…
まるでこのまま犯罪に手を染めるよう、あなたはそそのかしているかのようだ、警察隊員さん。
僕とあなたとでは犯罪者は僕のほうだというのに…
まるでこのまま犯罪に手を染めるよう、あなたはそそのかしているかのようだ、警察隊員さん。
シュヴルーズ
その金持ちの男の名は?
これまでの証言が真実だと証明する方法はあるのか?
その金持ちの男の名は?
これまでの証言が真実だと証明する方法はあるのか?
バティスト
…あなたと二人で話がしたい。
シュヴルーズ
ならば署に行って話そう。
バティスト
いえ、他の人に聞かれない場所はここしかありませんから。
シュヴルーズ
…分かった。
話してくれ。
…分かった。
話してくれ。
バティスト
僕の言う「他の人」は、あなた以外の全員ですよ。
…あなたにしか話しません。
①……
僕の言う「他の人」は、あなた以外の全員ですよ。
…あなたにしか話しません。
①……
②席を外すよ。
シュヴルーズ
…ああ、頼む。
パイモン
シュヴルーズ、き…気をつけろよな。
シュヴルーズ
さあ、話してくれ。
バティスト
…本当に僕のことを信じるんですか?
シュヴルーズ
話を聞いてからでないと判断はできない。
話を聞いてからでないと判断はできない。
バティスト
はは…
分かりました。
ではよく聞いてください…
はは…
分かりました。
ではよく聞いてください…
シュヴルーズ
……
……
すべてが繋がったな。
バティスト
僕のことを信じてくれたようですね。
僕のことを信じてくれたようですね。
シュヴルーズ
事件の真相を公にしてほしいのか?
事件の真相を公にしてほしいのか?
バティスト
いえ、そうではありません。
少なくとも今じゃない…
いえ、そうではありません。
少なくとも今じゃない…
シュヴルーズ
ならば、どうして私に教えたのだ?
ならば、どうして私に教えたのだ?
バティスト
僕の小説を読んだあなたは、どう思いますか?
僕の小説を読んだあなたは、どう思いますか?
シュヴルーズ
……
……
バティスト
仮に今この情報を新聞社に流しても、当事者は否認するだけでしょうね。
時間が経ちすぎた…
もうすぐ二十年ですよ。
証拠はとっくに消えているし、かつては海上に「孤島」が浮かんでいたとしても、今では深い海の底に沈んでしまっています。
「正義」が、彼に辿り着くことなど永遠にない…
仮に今この情報を新聞社に流しても、当事者は否認するだけでしょうね。
時間が経ちすぎた…
もうすぐ二十年ですよ。
証拠はとっくに消えているし、かつては海上に「孤島」が浮かんでいたとしても、今では深い海の底に沈んでしまっています。
「正義」が、彼に辿り着くことなど永遠にない…
シュヴルーズ
試しもせずにどうして断言できる?
試しもせずにどうして断言できる?
バティスト
あなたが特巡隊隊長として、「正義」を為す立場にいることは知っています。
でも…
彼を平穏な牢獄に送ることが、本当に「正義」だと思っていますか?
賭けてもいい、きっとやつはメロピデ要塞でも快適に暮らせます。
あなたが特巡隊隊長として、「正義」を為す立場にいることは知っています。
でも…
彼を平穏な牢獄に送ることが、本当に「正義」だと思っていますか?
賭けてもいい、きっとやつはメロピデ要塞でも快適に暮らせます。
シュヴルーズ
何が言いたい?
何が言いたい?
バティスト
僕は撮影現場に足を運んだことがあるんです。
あなたの演じる銃士は、とても格好よかった。
悪人に対して正義の引き金をひく。
それこそ彼に下されるべき審判だと思いませんか?
僕は撮影現場に足を運んだことがあるんです。
あなたの演じる銃士は、とても格好よかった。
悪人に対して正義の引き金をひく。
それこそ彼に下されるべき審判だと思いませんか?
シュヴルーズ
…お前の仇討ちを成就させるため、今すぐ解放してほしいと?
バティスト
いえ、シュヴルーズさん。
それが不可能なことは分かっています。
僕の代わりに、あなたに仇を討ってほしいんです。
いえ、シュヴルーズさん。
それが不可能なことは分かっています。
僕の代わりに、あなたに仇を討ってほしいんです。
同時刻、その付近にて――
パイモン
うぅ…
シュヴルーズのやつ遅いな。
なに話してるんだ?
心配になってきたぞ。
危険な目に遭ってるんじゃないよな?
うぅ…
シュヴルーズのやつ遅いな。
なに話してるんだ?
心配になってきたぞ。
危険な目に遭ってるんじゃないよな?
①シュヴルーズの腕を信じよう。
②危険な目に遭う可能性があるのは彼のほう。
②危険な目に遭う可能性があるのは彼のほう。
パイモン
それは…
オイラもわかってるけどさ。
なあ、黒幕は誰だと思う?
あの作家はなんでオイラたちを遠ざけたんだ?
それは…
オイラもわかってるけどさ。
なあ、黒幕は誰だと思う?
あの作家はなんでオイラたちを遠ざけたんだ?
シュヴルーズ
旅人、パイモン。
待たせたな。
旅人、パイモン。
待たせたな。
パイモン
シュヴルーズ!
話はどうなったんだ?
①例の金持ちが誰だか分かった?
②これからどうする?
②これからどうする?
シュヴルーズ
バティストさんを署まで護送し、尋問を受けさせるよう手配した。
裏庭には彼の言っていたとおり、犯行に使われた銃が隠されていた。
バティストさんを署まで護送し、尋問を受けさせるよう手配した。
裏庭には彼の言っていたとおり、犯行に使われた銃が隠されていた。
パイモン
じゃあ、黒幕の名前は?
じゃあ、黒幕の名前は?
シュヴルーズ
ちゃんと話してくれたさ。
だが、今は特巡隊に戻って色々とすべきことがある。
ちゃんと話してくれたさ。
だが、今は特巡隊に戻って色々とすべきことがある。
>(どうしたんだろう?シュヴルーズが何かを隠してる気がする。)
シュヴルーズ
これから数日は事件のことで忙しくなるから、撮影現場には顔を出せないだろう。
これから数日は事件のことで忙しくなるから、撮影現場には顔を出せないだろう。
パイモン
そっか、きっと話しづらいことなんだよな。
なら『スチームバード新聞』をチェックするようにしとくぜ!
そっか、きっと話しづらいことなんだよな。
なら『スチームバード新聞』をチェックするようにしとくぜ!
シュヴルーズ
…実は、二人にもう一つ頼みたいことがある。
>≪薔薇は何処に咲き誇る≫
