トルクシーの不思議な冒険・下/奇跡の冠

4.2 修正(吹出)

◆「トルクシー」
◆デラロッシュ(フォンテーヌの漁師)
◆ジャラーカン(医者)
◆ジュリア・ドストレ
◆レスコー・ドストレ

幻想の冒険はもうすぐ最後の旅を迎える。
最後の目的地で、ジュリア夫人の子供は期待通り良くなるのだろうか?

…2日後まで待つ…

【?】ぱいもn

…フレミネの拠点に行く…

パイモン
おーい、フレミネ!
「トルクシー」!
来たぞ~!

フレミネ
こんにちは、パイモン、旅人。

「トルクシー」
-.. -... .-- -...?

パイモン
王冠はもう出来たのか?

フレミネ
うん、今ジュリア夫人を待ってる、まだ来てないから。

パイモン
じゃあもうちょっと待とう。
それか直接探しに行くか?
遠いわけじゃないし、ジュリア夫人の家は、あそこの丘の上だよな?

???
おーい、旅人!
パイモン!

パイモン
へへ、話してたらちょうど来たな。

デラロッシュ
やっと見つけた…
二人が無事で本当に良かった…

パイモン
え?
デラロッシュ、どうしたんだ?
オイラたちになんか用か?

デラロッシュ
なんか用?
って、トルクシーのことに決まってるじゃない!
あの恐ろしい水妖!
あの日、あなたたちに依頼した後、不安になったから水の中に入っていった子どもについてまた聞いてまわったんだ…

パイモン
その件ならもう調査してはっきりわかったぞ。
それはフレミネだ。
魚群もこいつのせいでびっくりして逃げちゃったんだよ。
安心しろよ、オイラたちが仕事を終わらせたら、魚群を戻すからさ。

フレミネ
ごめん、ぼくは潜水士なんだ…

デラロッシュ
え?
フレミネ?
潜水士?
いやいや、違うよ?
私が聞いたのはそうじゃない…
聞いたところ、一ヶ月くらい前に、ある子どもが身体中に重たい貝殻を巻き付けて、この水の中に入っていったんだって…
そして二度と戻らなかった…
これは絶対水妖が惑わしたせいだよ!

パイモン
ええっ?
な、なにか間違えてないか…?

デラロッシュ
本当の本当だって!
何人かの優秀な漁師にも聞いたんだよ。
その子は八歳で、名前はレスコー、レスコー・ドストレ。

フレミネ
待って、レスコー・ドストレ?

デラロッシュ
そう、その名前。
どうやら祖先がストレという地方から引っ越してきた一族みたい。
母親はちょっとばかり名の知れた画商で、父親は早くに亡くなったらしいよ。
はあ…
そんなことがあってから、母親はかなりのショックを受け、病気で起き上がれなくなったみたい。
今はもうフォンテーヌ廷を離れたらしく、どこへ行ったかは分からないんだ。

パイモン
まさか?
レスコー・ドストレ…
ジュリア・ドストレ…
そんな偶然があるわけないよな…

>ジュリア夫人の家に行ってみないとだね。

フレミネ
お姉さん、ごめんなさい!
ぼくたちは用があってもう行かなきゃいけないから!

デラロッシュ
ああうん、分かった…
ちょっと様子を見に来ただけだから、無事ならいいんだ。
じゃあ私も帰るね、くれぐれも安全に気をつけてね!

…ジュリア・ドストレ夫人の小屋に行く…

パイモン
おーい、誰かいるか?
ここはジュリア夫人の家か?

部屋から聞こえる男の声
誰だ?
部屋には静養中の患者がいる。
用がなければ帰ってくれ。

>病人って誰?

しばらく沈黙した後に扉は開かれた。
一人の男性が歩いてきて、その目は疑惑で満ちていた。

ジャラーカン
ここはジュリア・ドストレの家だ。
私はそのかかりつけ医のジャラーカン。
さっきの質問はどういう意味だ?
他に誰が病気だというのだ?

パイモン
ジュリア夫人の子どもだろ?
ジュリア夫人が自分で言ったんだ、子どもが孤独病を患ったって…

ジャラーカン
間違ってはない。
レスコー坊っちゃんも確かに孤独病を患ったことがある。
しかし…
まあいい、とにかく坊っちゃんはもういない。
今、孤独病は奥様の身を蝕んでいる。
あなたたちは…
奥様の友人か?

しばらく黙り込んだあと、ここ数日間の出来事を話した…

ジャラーカン
なるほど、気晴らしがしたいと言っていたこの数日間は、あなたたちと一緒だったんだな。

フレミネ
つまり…
本当に制御不能型幻想に陥っていたのはジュリア夫人自身だったってこと?
だから子どもはまだ生きてると?

ジャラーカン
そうだ。
坊っちゃんが亡くなった日、奥様はちょうど画展の準備をしていた。
それは坊っちゃんのために用意していたのだが、準備のせいで、奥様は坊っちゃんの最後の姿を見ることができなかったんだ。
それが心のわだかまりとなったのか、あるいは旦那様が急逝したとき、孤独病の種がこの家系に埋められたのか…
まずは坊っちゃん、次に奥様と…

パイモン
そんな…
でも、ジュリア夫人はなにもかも良さそうに見えたぞ。
すごく楽しそうに笑ってたし、ポジティブでいるようにって、オイラたちに…

ジャラーカン
それがまさに、幻想と現実を混同させている症状だ。

パイモン
じゃあオイラたちに話してくれた、子どもについてのことは…
全部ウソだったのか?

ジャラーカン
いや、本当のことだろう。
ただ、それは坊っちゃんが亡くなる前の出来事で、奥様の時間はずっとそこで止まっているということだ。

フレミネ
だからその後、子どもがまだ生きてる幻想の世界を作り出して、一生懸命子どもの病を治そうと、ぼくたちを訪ねてきた…

>夫人のいまの様子は?

ジャラーカン
ここ最近は気分が良いようで、気晴らしをして帰ってきたときにはいつも鼻歌を歌ってる。
それに、幻想を導き孤独病を緩和させる方法について、私と積極的に話し合ったりしてたんだ、昨晩までは…
奥様は坊っちゃんの遺品を一晩中眺めていた。
遺言が刻まれた貝殻を見つけてから…
再び打ちのめされてしまった。
奥様に鎮静剤を出したから、今は休んでいる。

パイモン
じゃあ、どうしたらいいんだ?
なにか手伝えることはあるか?
はやくジュリア夫人を助けてやろうぜ…

フレミネ
焦らないで、パイモン…
これは確かに悲しい知らせだけど、今は冷静にならないと。
(どうしよう…
早く方法を考えないと…
昔の壁炉の家のことを思い出してみよう…
子どもたちや…
患者さんたち…
そしてお医者さん…
あっ!
そうだ!)
ジャラーカンさん、絵本を見ませんでしたか?
ジュリア夫人が持って帰ってきたはずです。

ジャラーカン
坊主…
奥様が言っていた幻想を導く方法を試すのか?
分かった、すぐに取ってくる。

医者はすぐに絵本を取ってきて、フレミネに渡した。

フレミネ
間違いない、これだ。

>絵本と冒険の続きを完成させるつもり?

フレミネ
そう…
ジャラーカンさんの話によれば、ぼくたちの冒険はきっと夫人の役に立つはずだ。
だからこれを完成させるべきだと思う。
ジュリア夫人に見せてあげないと…
お子さんがあの世界でハッピーエンドを迎えたことを。

パイモン
でも…
これじゃあもっと現実を受け入れられなくなるんじゃないか?

ジャラーカン
現実を受け入れる前に、まず現実と向き合わなければならない。
奥様は絶望的な感情に押しつぶされ、現実を見る勇気がないんだ。
まずはこの状態から抜け出す手助けをするべきだ。

フレミネ
うん。
今日まで『トルクシーの不思議な冒険』はジュリア夫人のお子さんを助けるためだと思っていたけど、ジュリア夫人自身を救うためのものだったんだと、今では思うよ。
これを完成させたら、ジュリア夫人にとっての慰めと励ましになるだろう。
そうすれば、多少は現実を直視する勇気が出てくるかもしれない。

>試してみるしかない。

フレミネ
善は急げ…
今すぐ出発しよう。

…水妖王国に行く…

パイモン
またここまで来たな。
もう「トルクシー」の旅の最終章だ。
でも、一番肝心な人がいない…

「トルクシー」
-. -... -. -... ---

フレミネ
みんな、そう重くならないで。
ジュリア夫人も言っていた、ぼくたちが落ち込んでいたら、患者さんも滅入っちゃうって。

パイモン
そうだ、オイラも笑わないと!
ジュリア夫人には笑ってほしいからな!
笑顔でこの冒険を完成させないとだな!
そうすれば、ジュリア夫人もきっと良くなるよな?

>きっと。

フレミネ
うん、きっと良くなる。

…「トルクシー」の王冠を取り戻す…

【?】ぱいもん

…水妖王国を離れる…

ジュリア・ドストレ
ごめんなさい…
そろそろ行かなければいけないわ。
友だちと約束しているのに、もう随分と遅刻しているの。

ジャラーカン
奥様、お身体が…

ジュリア・ドストレ
私を止めないで!
今日はトルクシーを治療する一番大事な日!
幻想を導く方法を使うの、あなたも効果があると思うでしょう?
そうよね?

ジャラーカン
奥様、あなたを止めているわけではありません。
ただ…
坊っちゃんのお名前は…?

ジュリア・ドストレ
ジャラーカン先生、患者の名前を忘れるなんて!
名前はトルクシーよ!
水妖王国の王子よ!
今日その王冠を取り戻して、戴冠式を行ってあげるんだから!

ジャラーカン
奥様…
安心してください、大丈夫ですよ。
あなたの友人たちはすでに出発しています…
待って、ほら!
もう帰ってきましたよ!

パイモン
ジュリア夫人!ジュリア夫人!
オイラたち、王冠を取り戻してきたぞ!

ジュリア・ドストレ
パイモン…
みんな…
それは本当?

フレミネ
はい。
王子の戴冠式はまだ出来ていませんが…
夫人、あなたが行うべきだと思います…

ジュリア・ドストレ
よかった、よかった!
トルクシー…
かわいい子…
私の子…
聞こえる?
全部戻ってくるわ、もう孤独にならなくて済むのよ…

「トルクシー」
-.- ..-. ..- -... .--- -. ..-. -. -... -. -... ---

フレミネ
そして絵本の最後の一ページも、夫人。
あなたが完成させるべきことです。

ジュリア・ドストレ
そう、絵本、絵本も…
でも私、絵本の最後に何を描いたらいいか分からない…

パイモン
トルクシーとオイラたちがわかってるぞ。
早く準備しろよ、オイラたちが話すから、夫人が描いてくれ!

ジュリア・ドストレ
ええ…ええ!

パイモン
コホン…
ついに、「トルクシー」と勇者の仲間たちは力を合わせて、魔物たちをかっこよく撃退し、見事な勝利を手に入れたあと、王冠を奪い返した。

フレミネ
故郷に帰った水妖たちは、歓声を上げながら王子を迎え入れた。
みんなは再び貴重な貝殻を取り出して、かつての虹の架け橋を作り上げた。
王子はこの光景を見て「おお、なんて素晴らしいんだ」と心の中で呟いた。

パイモン
王子は感動しながら虹の架け橋の上を歩き、一緒にここまで来てくれた仲間たちを見つめる…
旅人や女神パイモン、フレミネ、そして…
あれ?
もう一人は?
と王子は四方八方を見回したが、その姿は見つからなかった。
すると突如、その人が橋の向こう側に現れる。
彼女は微笑みながら歩いてきて、その仮面を外した。

フレミネ
王子は思わず涙を流した。
なぜなら、一緒に付き添ってくれたこの謎の人物は、自分のお母さんだと分かったからだ。
ジュリア夫人は歩み寄り、王冠を王子の頭に被せた。
そして微笑みながら、こう語りかけた。
我が子よ、我が国王よ。
もう永遠に孤独を感じる必要はないのよ、と。

パイモン
ジュリア夫人、これが最後の物語だ。

ジュリア・ドストレ
ありがとう…
ありがとう、みんな…
かわいい子…
どうかお母さんに謝らせて。
お母さんはもっと一緒にいてあげるべきだったわ。
聞こえる?
もう孤独を感じる必要はないのよ…

「トルクシー」
-.- ..-. ..- -... .--- -. ..-. -. -... -. -... ---
-.- ..-. ..- -... .--- -. ..-. -. -... -. -... ---

ジュリア・ドストレ
ええ!
お母さんも!

パイモン
ど、どういうことだ?
ジュリア夫人は「トルクシー」と話してるのか?

>「トルクシー」はなんて言ってる?

フレミネ
はやくぼくの潜水用ヘルメットを被って。
その中には「トルクシー」の信号コードを翻訳するモジュールが搭載されてるから、それで「トルクシー」の話を理解できるはずだ。

【?】へるめっと

「トルクシー」
-.- ..-. ..- -... .--- -. ..-. -. -... -. -... ---
-.- ..-. ..- -... .--- -. ..-. -. -... -. -... ---
お母さん、愛してるよ!

>これが「トルクシー」の言葉だったんだ。

ジュリア・ドストレ
お母さん…
お母さんもあなたを愛しているわ…

レスコー・ドストレ
僕のほうがもっと愛してるよ、お母さん!

>待って、これは…?

フレミネ
どうしたの?
何が見えたの?

レスコー・ドストレ
お母さん、僕はすこし眠いよ。
もう寝る時間だから、また子守唄を歌ってくれる?

ジュリア・ドストレ
いい子ね…
もちろんよ。
聞きたければ、ずっとずっと歌ってあげるわ。
~♪♫♪

レスコー・ドストレ
ありがとう、お母さん。
僕、お母さんの子守唄が一番好きなんだ。
これで夢の中に、水妖王国に安心して戻れるよ。

ジュリア・ドストレ
この子ったら。
忘れないで、お母さんはずっとあなたを愛しているわ。
そうね…
ここから水妖王国までの距離くらい。

レスコードストレ
忘れないよ。
お母さんも覚えていて、僕がお母さんのこと大好きだってこと。
ここから、水妖王国に行って帰ってくるくらい!
お母さん、おやすみなさい!

【?】がぞう

…フレミネの拠点に行く…

三日後、フレミネの拠点にて…

フレミネ
旅人、パイモン、来てくれたんだね…

パイモン
フレミネ!
こんな急いでオイラたちを呼ぶってことは、なにかジュリア夫人に関する知らせがあったのか?
良い知らせじゃないと、オイラは聞かないぞ!

フレミネ
安心して、良い知らせだよ。
さっきお医者さんの付き添いのもと、夫人が来てくれたんだ。
顔色も良くて、元気そうだったよ。
街に帰って、画展の続きをするつもりらしい。
今回は、お医者さんと協力して、孤独病に関する絵本を展示するそうだ。
もちろん『トルクシーの不思議な冒険』と幻想を導く療法のことも含まれてる。
自分の経験をもとに、もっと多くの人を助けたいんだって。

パイモン
それはよかった、本当に良い知らせだな!

フレミネ
うん、そしてこの絵本を受け取って。
夫人からあなたたちに。
もし、今後誰かが同じような境遇にいたら、これを使って困難を乗り越えてほしいって。

パイモン
え?
でもこれは夫人の子どもの物語じゃないか、オイラたちに渡していいのかよ?

フレミネ
複写本だよ。
原本はジュリア夫人のところにある。
それは夫人にとって、とても意義のあるものだからね。

パイモン
ならよかった、へへっ。
その意義の中には、オイラたちの努力も含まれてそうだな。
今回の幻想冒険が本当に役立つとは思わなかったぜ。
幻想は所詮幻想なんじゃないかって心配してたけど…

フレミネ
パイモン、夫人がなんて言っていたか知ってる?
夫人はね。
トルクシーに王冠を被せたとき、素敵なこと――
つまり、お子さんが本当に帰ってきて、愛しているよって言ってくれたのが見えたって、そう言っていたよ。
そして、その瞬間に子どもとお別れができて、自分も癒やされたかのように、身体中に勇気がみなぎるようになったって。

パイモン
ええ!?
ほんとか?
でも、それは夫人の幻想の一部なんだよな?

フレミネ
でも、幻想が幻想でしかなくて、幻想の世界が全て偽りだとしたら、どうして人に力を与えられるんだろう?

>だから、幻想は単なる幻想ではない。

パイモン
じゃあ、なんなんだ?

フレミネ
童話の世界が現実に降りてきたんだ。
その瞬間、美しい童話はほんの僅かな間だけ真実となって、現実に影響を及ぼした。
きっとそうだ…
あなたもそれを見たよね?

パイモン
そんなわけがないだろ?
ありえないぞ。
もしそれが本当だとしたら、奇跡じゃないのか?

フレミネ
そう…
奇跡が起きたってことなんだ。
ぼくは、窮地に陥った人に、美しいものや奇跡を目にして欲しいんだ。

《任務完了》