流れゆく水に詩を紡いで・第三首/閑雅な泉の心

4.1 修正(吹出)

◆カリロエー
◆フィンチじいさん

落ち葉は往事を乗せて流れゆく…
物語の中の二人は、果たして遥か遠い感情を縫い合わせられるのだろうか…

…翌日の昼間まで待つ(8時~10時)…

パイモン
いっぱい休んだな!
さっそく会場に向かおうぜ!
他のみんなはどんな詩を書くんだろうな?
すっごく楽しみだぞ。

…イベント会場へ向かう…

パイモン
あれ、なんだか人が減ってる気がしないか?

重雲
二人とも、おはよう。
行秋は真剣に詩を書きたいとかで、少し遅れて来るそうだ。

ミカ
ノエル先輩も、今日は他の任務があるらしく、待たずに始めてよいとのことでした。

パイモン
しょうがないな…
じゃあ、カリロエーのやつは?
あいつも来てないのか?

ディオナ
あたしはけっこう早く来てたけど、見かけてないよ。

重雲
青い髪の女性だろう?
朝方修行していたとき、荻花洲に近い橋で見かけたんだ。
少し落ち込んでいるみたいだったから、声はかけられなかったんだが…

パイモン
落ち込んでる?
うーん…
どうしよう。
まさか昨日、オイラたちが間違ったことでも言っちゃったのかな?
ちょっと心配だぞ…

>一緒に探しに行こう。

ミカ
僕も賛成です。
もしカリロエーさんが何か困っているのでしたら、お役に立ちたいですから。

ディオナ
えっ?
みんな行くの?
じゃあ…
あたしも一緒に行く。

重雲
では、まず橋の近くから探そうか?
みんな早めに会場入りしたから、まだ少し時間があるはずだ。

パイモン
おう、さっさと済ませて、すぐ戻ろうぜ。

…カリロエーを探す…

ミカ
あれ?
ここは…
昨日、僕たちがカリロエーさんとお会いした場所です!
その時も、カリロエーさんは何か思い悩んでいらっしゃる様子でしたが…

パイモン
オイラたちが葉っぱを流したところも、こっからそう遠くないぜ…

ミカ
葉っぱ、ですか?

パイモン
そういえば、昨日は対句に夢中で言ってなかったな…

みんなに昨日、「采風」した時の出来事を説明した…

ミカ
そんなことがあったのですね…
その…
ふと思ったのですが、カリロエーさんが、その葉っぱを流したという可能性はありますでしょうか?

パイモン
え?
なんでだ?

ミカ
あっ、ごめんなさい。
とくに根拠はなくて、ただの憶測なんですが…
あの時のカリロエーさんの悲しげな様子が、その詩にある雰囲気に似ていたように感じて…

重雲
そうだな。
言われてみれば、ここも上流だ…

ディオナ
…うん?
あれ!
見て、あっちあっち!
また葉っぱだよ!

パイモン
…本当だ!
しかも、またまた字が書いてあるぞ!
早く追いかけようぜ!

…葉っぱを追う…

パイモン
ぐう…
なんて速さだ…

…葉っぱを追う…

ディオナ
パイモン、飛んで拾ってこれないの?

パイモン
ええっ?
で…でもオイラ泳げないし、うっかり水に落ちちゃったら…

…葉っぱを追う…

重雲
止まった!

パイモン
…いまだ!

…葉っぱを拾う…

パイモン
ふーう…
やっと追いついたぜ…

ミカ
字は読めそうですか?
滲んでしまっていませんか?

パイモン
まだ読めるぞ。
どれどれ…

落ち葉に書かれた詩
変わらぬ心も時に洗われ。
泉に佇む少年も、髪は白くなり、腰は曲がっていた。
渓流と夢想が同じ海へと流れ込んでようやく、
我々は尽きることのない詩篇の中で手を取り合える。

パイモン
あれ?
この内容…
昨日返事した詩と関係あるように見えないか?
きっと、オイラたちが流した葉っぱを拾ったんだ!
「泉」、「少年」…
むう、見た感じ、カリロエーが書いたってのも間違いじゃないかもな…

ディオナ
本当に、あの物語が気になってるのね。

パイモン
実を言うとさ…
最初にカリロエーを見た時から、思ってたんだけど…
あいつって、もしかして…

>まずは彼女を見つけることが最優先。

ミカ
水の流れに、風の影響を加味すると…
皆さん、僕について来てください!

…ミカについて行く…

ミカ
だいぶ上流に来ました。
手分けして探しましょう。

パイモン
カリロエー!カリロエー!

…カリロエーを探す…

パイモン
いたぞ、ヒルチャールに囲まれてる!
すぐにあいつを助けよう!

…魔物を追い払う…

…カリロエーと会話する…

パイモン
ふーう…
カリロエー、大丈夫か?
ひえっ…!
ななな、なんだ、これ!?

ディオナ
でっかい水の玉だにゃ!

重雲
こ、これは…
ぼくがあの日見た、「人ではない何か」じゃないか?

①…大きな水の…玉?
②…カリロエー?

???
…あれ?
どうして皆さん、私のことをそんな風に見つめるの?
…!
もしかして、私の姿が…

ミカ
この声は…
確かにカリロエーさんですね。

???
どうしてこんなことに…
ちょっと待ってて…

皆の注目を浴びたまま、水の玉が徐々にカリロエーの姿へと戻った…

カリロエー
うぅ…
思ったより速く消耗しちゃったのかな…

重雲
こ…これは一体どういうことだ?
ひょっとしてカリロエーさんは、仙人にまつわる何かなのか?

カリロエー
いいえ…
ずっと黙っていてごめんなさい。
私は…
遠い昔にフォンテーヌから流浪してきた、純水精霊…

重雲
純水精霊?

ミカ
あっ、大団長から聞いたことがあります。
フォンテーヌ先代水神の眷属であり、先代水神の逝去を受けてフォンテーヌを離れ、各国へと散って行ったという…

カリロエー
その通り…
でも正直なところ、私は自分がどうやってここに辿り着いたのかさえ、うろ覚えなの…
故郷の景色なら、おぼろげに脳裏に残っているけど、道中の光景はどうしてもあいまいで…
モンドについた当初のことも、力の大部分を失ったせいで、安定した実体すら維持できなかったことしか覚えていないわ…
最終的に、私は「清泉町」というところに留まり、少しずつ力を回復していくことにした…
そこは静かで綺麗なところで…
水も透き通っていて純粋だった。
あの場所に住んでいた人たちの、心と同じくらい。

ディオナ
あなたが清泉町の、「泉の精霊」だったわけ?

カリロエー
そうよ、ディオナ。
あなたのことを覚えてるわ。
小さい頃、夜中によく泉のそばまで来て、私に話しかけてたでしょう。

ディオナ
ほ、本当に?
あたしのこと、騙そうとしてにゃいよね?

ミカ
(ぼ、僕はてっきり、清泉町の伝説にすぎないとばかり…)

カリロエー
あなたのお気に入りだった、お魚の抱き枕…
「バブルス」っていう名前だったわね?

ディオナ
…そ、その通りにゃ!
(小さい頃のあれは、夢じゃなかったんだ!)

パイモン
ってことは…
葉っぱに書いてあったのって…

①月光は蜜の如き…
②泉に佇む少年も、髪は白くなり…

カリロエー
そういうことだったのね…
私が流した葉を拾ったのは、あなたたちだったの…
ええ…
『清泉の心』に書かれた泉の精霊とは、まさにこの私のこと。

パイモン
どうりで、あれだけ気にしてたわけだ!
じゃあ、物語の男の子って…

カリロエー
…フィンチのことよ。
昔からずっと、私は人々の夢の話を聞くのが好きだった。
美しいもの、悲しいもの…
それに、当時の私では理解できなかった感情に満ち溢れたもの…
ある夜に、とある男の子が泉に来てくれた。
その涙はどんな月光よりも儚く、どんな露の玉よりも純粋なものだった。
私は人間が好きで、彼らのことをもっと知りたいと思っていた。
それに、あの涙に秘められていた、私がまだ知らない感情の正体を知りたかったの…

>そしてあなたたちは友達になった。

カリロエー
ええ。
星空の下で会おうと約束を交わし、いつも互いに自分の物語を分かち合っていた。
時には勝負もしたわ。
どちらが先に、こずえで最初に鳴く鳥の声を聴けるか、夏の蝉が初めて鳴く音を聴き分けられるか、そんなことを夜通し…

パイモン
わあ、なんだかいいな。

カリロエー
でも…
その後のことは、本に書いてある通り。
当時、私はフィンチの目から、応えることのできない感情を読み取ったの…
純水精霊の運命は人間と異なると…
私はよく知っていた。
自分の鈍感さのせいで、フィンチに将来、後悔の物語を書かせてしまうのは嫌だったの…
だから、私は逃げた。
二度と彼の前に現れないように…

ディオナ
カリロエー…

カリロエー
私の力の回復が遅いから、何十年が過ぎた今になっても…
実体を維持できるのはほんのわずかな間…
かつては、フィンチが前へと進んで…
「夜空の星々がすべて消える時」、私と再会してくれることを望んだときもあった。
でも、これほど多くの物語を見た今、これほど多くの夢を見た今…
少しずつだけど、私はフィンチの気持ちが理解できるようになった…
この、彼に応えたいという気持ちが、胸に絶えずこみ上げてきて、もう抑えられそうにないの。
でも、私は同時に恐れてもいる。
いま彼に会ったとして、もたらせるのは失望と…
離れざるを得ないという苦痛だけなのではと…

パイモン
……

重雲
(本当に、難しい選択だよな…)

ミカ
……
どうか…
あの人に、会いに行ってくださいませんか!

カリロエー
えっ?

ミカ
僕は、フィンチおじいさんのことを知っています!
とても優しい人なんです!
測量のことを学んだばかりで困難続きだった僕を、よく励ましてくれました。
気を落とさずに、またやってみよう、もっと冒険してみようと言ってくれたんです!
それに、彼はよく昔話をしてくれましたが、残念そうな表情や悲しみ、後悔の類を、一度だって見せたことはありませんでした!
それに…
あれほど冒険好きなフィンチおじいさんが、今でも毎日水辺に佇んでいるんです。
まるで何かを待ち続けているように…
僕は信じています。
フィンチおじいさんが、カリロエーさんへの思いを大切にしていることを…
いつの日か、またあなたと再会できるのを待ち望んでいることを!
あなたも、フィンチおじいさんに会いたいと思ったのなら、もう迷うことなんてないじゃありませんか!

カリロエー
……

①ミカ…
②よく言った!

ミカ
…えっ?
あっ!
つ、つい興奮してしまって…
ただ、このことは絶対に言わないといけない気がしまして…

カリロエー
……
分かったわ…
そして、もう決めた。
帰って、フィンチに会ってみるわ。

ミカ
…本当ですか?
それは…
よかったです!

カリロエー
けれど…
皆さんに協力して欲しいことが…

パイモン
おう、なんでも言え!
どんなことでも大丈夫だぜ!

カリロエー
私と一緒に清泉町に行って、フィンチを私のところまで連れて来てくれる?
実体を維持できるのも、もう長くないから…
他の人に、さっきのような姿を見られてしまうのは…

ディオナ
任せて!
あたし、フィンチおじいちゃんとは昔から知り合いなんだから。

カリロエー
それと…
どうか私とフィンチのために、このことを秘密にして欲しい…
清泉町の水が騒がしくなってしまうのは、本望ではないから…

>安心して。

重雲
ああ、ぼくも秘密にすると誓う。

ミカ
カリロエーさん、僕も約束します。

カリロエー
ええ…
皆さん、本当にありがとう…
あっ…

パイモン
どうしたんだ?
もう、大きな水の玉に戻っちゃいそうなのか?

カリロエー
いいえ…
どうか私の迷いを許して。
決断はしたものの、心の内をうまく伝えられるかどうか考えたら、また…

①方法はある。
②彼のために詩を書こう…

カリロエー
詩…

①心の中に秘めた気持ちを伝える…
②言えなかった気持ちを伝える…

カリロエー
……
分かった。
フィンチのために詩を書くわ。
お題は…
そうね、「清泉の心」としましょう。

…清泉町に行く…

カリロエー
……!

ミカ
…大丈夫ですか?

カリロエー
…まだ大丈夫…
ただ…
今の状態を維持するのは、もう難しいかも。

ディオナ
じゃ…じゃあ、カリロエーはここで待ってて!
すぐフィンチおじいちゃんを連れて来るから!

カリロエー
…慌てないで、ディオナ…
フィンチだってもう年なんだから、あまり歩かせたら可哀そうよ…
私はまだ…
耐えられる…

ディオナ
わかった!
でも、もう少しの辛抱だから!

-------------------------

ミカ
…カリロエーさん、大丈夫ですか?
僕の手でよければ、いつでもお貸しできますから!

パイモン
オイラに寄りかかってもいいからな…

カリロエー
…皆さん、ありがとう。

-------------------------

…フィンチじいさんと会話する…

ディオナ
フィンチおじいちゃん!

フィンチじいさん
おっと、ディオナではないか?
今日は随分と早かったな。

ディオナ
今日はちょっと事情があって。
おじいちゃん、ちょっとあたしと来てくれる?

フィンチじいさん
おや?
どこへ行くのかね?

ディオナ
すぐそこ!
滝のあたりだよ。

フィンチじいさん
はっはっ…
ディオナ、狩りの成果でも見せてくれるのか?

ディオナ
もう!
ついてきてってば!
すっごく、すっごく大事なことなんだから!

フィンチじいさん
だが俺は、お前さんの父さんと先約があってな…

ディオナ
フィンチおじいちゃんってば!

フィンチじいさん
ああ、分かった分かった。
そう急かすんじゃない、ついて行ってやるから…

ディオナ
うん!
ほら、手を貸してあげる。

フィンチじいさん
(やれやれ、まさしくドゥラフの娘だな。
こうなると父親そっくりだ…)

…カリロエーと会話する…

カリロエー
……

ディオナ
こっちだよ、フィンチおじいちゃん。
ゆっくりでいいからね。

フィンチじいさん
おや?
これは一体…
みな、集まってどうしたんだ?
ミカまでいるのか?
ハハッ、最近どうだ?
仕事のほうはうまくいっているかい?
それに外国のお方もいるようだな?
俺はまだぼけてはいないつもりだが…
今日は俺の誕生日だったろうか?

重雲
フィンチおじいさん、はじめまして。
ぼくは重雲。
皆さんとは詩歌大会で知り合ったんだ…
そして、こちらは…

カリロエー
…フィンチ。

フィンチじいさん
…ッ!
この声は…
カリロエー?

カリロエー
…まさか、まだ覚えてくれていたの?

フィンチじいさん
…覚えてるさ、はははっ、覚えてるとも、忘れられるはずないだろう?
だが、あの時のお前さんとは、少々変わったように見えるな…
当時はまるで、おとぎ話から飛び出してきたような感じだったが…
おっと、何を言っておるんだ。
おとぎ話の精霊なら、どんな姿でもおかしくはないな…

カリロエー
はぁ…
こんなに時間が経ったのに…
相変わらずあなたは、私を笑顔にさせるのが上手だわ。

フィンチじいさん
お前さんが夜しか姿を現してくれなかったものだから…
俺は、全て夢だったんじゃないかと疑っていたんだぞ…

カリロエー
…とても長い間待たせて、ごめんなさい。
フィンチ。

フィンチじいさん
…長くない、長くないさ。
あっという間のことだったからな。

カリロエー
…フィンチ、あなたのために詩を書いたの。
聴いてくれる?

フィンチじいさん
詩?
お前さんが詩を書いたのかい?
もちろん聴こう…
お前さんの言葉なら、何でも喜んで聴くとも…

カリロエー
…では、これから読み聞かせるのは、泉の精霊の物語――

清泉の心
流れる水を眺める人々は、時が瞬く間に過ぎてゆくことを嘆く。
そして清泉が留まる村には、湖光のように澄んだ想いがある。

遥か彼方より来りし我は
山河を褥に 四季で粧う
拠り所となる花園探し
銀砂の月光 共に漂う
歩みを止めよ 風と清泉が囁いた
「休みましょう」
「あなたは旅路に疲れている」
「揺蕩いましょう」
「あなたに落花を飾ってあげる」
朝は渓流に石琴を奏で 夜は夢路に歌吹を聴く
少年の涙がさざ波となり
星のもと 如何なる歌声より甘美に響く
彼は過去と未来を万彩の花冠に織り
我はその褒賞に 夢の境界を融かず
「見よ その目から溢れ出でる愛慕を」
「応えよう 夢の覚めぬ間に」
猫とホタルが我を急かすも
人のしらべを解さぬ我が
いかにそれと調和できよう
渓流と夢想が海へと流れ
晶蝶が水面を突く須臾に
星河のもと 少年の髪筋は白くなる
我は蹌としつつも 人の一切を学び
もろい雲をつなげ柔らかな詩にした
種は土に憧れ 木々は太陽を追いかける
かつての曖昧だったしらべが心に流れる
聴けばそれは ずっとあなたの名を呼んでいたのだ
我が夢を あなたに
あなたの夜が清泉のように甘美であるように
我が心を あなたに
この遅れてきた約束を
どうか 受け取って


フィンチじいさん
……
そうだ…
これが、お前さんを初めて目にしたときの姿だ…
本当に…
本当に長い時間が過ぎたんだな…

カリロエー
…フィンチ、私は…

フィンチじいさん
ああ、わかっているよ。
お前さんの詩が、全て教えてくれた…

カリロエー
…ありがとう、フィンチ。
どうかこれを受け取って。

フィンチじいさん
とても綺麗だな…

カリロエー
私の力を凝縮した、一粒の雫よ。
…フィンチ、私は人間のように実体を持つことができないから、あなたの隣にはいてあげられない。
次に人間の体に変われるのが、いつになるのかも分からない…
でも、あなたがこの雫を持っている限り、私たちの心はずっと繋がっていられる。
たとえどれだけ距離があっても。
私は永遠に清泉と共にある。
これからも私を呼んでくれるのなら、夢でまた会いましょう。

>(まさに、「清泉の心」…)

パイモン
うぅ…!
こんなの、ロマンチックすぎるだろ!

>しーっ…!

フィンチじいさん
ハハハ…
お前さん、本当に色んなことを覚えたんだな。
まったく、子供たちがまだ見ているのに…

カリロエー
…気に入らなかった?

フィンチじいさん
気に入らないわけがないだろう。
これ以上、幸せなことなど存在しない…
むしろ、幸せすぎて怖くなってきたよ。
このまま眠りについたら、二度と目覚めないかもしれない…

カリロエー
えっ?
そ…そんな…

フィンチじいさん
ハハハッ、冗談さ。
お前さんはどうやら、まだまだ学ばなければならないものがいっぱいあるようだな。

カリロエー
そうなのかしら…

ディオナ
(えへへっ、フィンチおじいちゃんとカリロエー、すっごく嬉しそう、いいな…)

カリロエー
ディオナ、フィンチを連れて来てくれてありがとう。
あなたという友達のことを、永遠に覚えておくわ。

ディオナ
あたしたち、昔はけっこうお話をしたけど…
あたし、お邪魔じゃなかった?

カリロエー
そんなことないわ。
あなたはこの星空の下にいる、私の数少ない友達の一人だったから。
あなたにあげた贈り物も、きっとあなたと共に成長してゆくでしょう。

ディオナ
…え?

重雲
(ディオナが作る飲み物が、なんでもおいしくなるのは…
精霊による祝福だった…?)
(ぼくの純陽の体も、誰かから「授かった」んだろうか…?)

カリロエー
……
…この体は、もうじき消えてしまうわ。
フィンチ…

フィンチじいさん
どうしたんだい?

カリロエー
…あなたと出会ったこと、あの夜あなたに話しかけたこと…
一度たりとも後悔したことはないわ。
この長い時間の流れの中で、一度たりとも。

フィンチじいさん
…俺だって同じさ。

カリロエー
人々の言い伝えには、ひとつ間違いがあった。
あの夜、私はあなたに口付けをしなかったのだから…
だから今、誓約と愛を象徴するこの贈り物を、あなたにあげるわ…

①…パイモン!目を閉じて!

パイモン
えっ?

-------------------------

②…ディオナ!目を閉じて!

ディオナ
えっ?

-------------------------

礼儀正しく目を閉じた…

フィンチじいさん
ハハハ、もういいぞ…
彼女は行ってしまった…

パイモン
えっ、なんだよ?
カリロエーのやつ…
まださよならを言ってなかったのに。

ディオナ
フィンチおじいちゃん…

フィンチじいさん
大丈夫だ。
彼女は、少しも遠くへ行ってはいない…
言っていただろう、清泉と共にあるとな。
俺たちの周りに、夢の中に、彼女はいるんだ…

-------------------------

フィンチじいさん
子供たちよ…
もう少し、ここにいさせてくれ。

-------------------------

…イベント会場に戻る…

ウェンティ
おや?
帰ってきたね!
なんだか、憑き物が落ちたみたいだ。
胡堂主なら一足先に、詩集を出すんだって息巻いて行っちゃったよ。
いまごろ、「自由詩作」の原稿が届くのを待ってるんじゃないかな。
彼女曰く、これはサービスの「一本化」らしいよ。

行秋
どこに行ってたんだい?
ずいぶん待ったんだぞ!

ウェンティ
インスピレーションが足りなくて、急遽探しに行ったんだよね?
道中、素敵な詩に出会えた?

パイモン
吟遊野郎…
おまえ、まさか最初から…

①パイモン…!
②コホン、約束したから…

パイモン
っと、そうそう…!
オイラたちにおいしいご飯をご馳走してくれる約束だったもんな!

ウェンティ
あれ?
そうだっけ?

>これは奢りに値する。

ウェンティ
アハハッ、いいよ。
そこまで言われちゃったら、ちょっと逃れられそうにないね。
じゃあ、ディオナに美味しいドリンクを作ってもらおうかな?

ディオナ
ふん!
絶対イヤ!って…
普段なら言うんだけど。
今日は機嫌がいいから、特別!

行秋
むう…?
結局君たちは、一体何をしに行ったんだ?
なんだい、この僕だけ仲間はずれな空気は…

重雲
そうか?
気のせいだ。
深く考えすぎるなって。

ミカ
そ…そうですよ。
僕たちはその…
「采風」のために、少し遠いところに行っただけです。

行秋
ほう?
ミカさんまでそんな風に言うとは…
重雲、こっそり僕に教えておくれよ。
いま思い出したんだけど、君が興味を持ちそうなお化け屋敷があってさ…!
断言しよう…
今度こそ、君の「純陽の体」は通用しないぞ!

重雲
気持ちは嬉しいけど、今回は遠慮しとくよ。
僕は…
この「純陽の体」も、そんなに悪いものじゃないかもしれないと思い始めた…

行秋
えっ?
ど…どういうことだ?
間違いない…!
やっぱり何かあったんだ!

《任務完了》

-------------------------

紀芳
…あなた、本を出すんじゃなかったの?

胡桃
そだよ。

紀芳
…それで、その本はどこ?

胡桃
本はね…
詩が来てくれたらできるよ。

紀芳
…じゃあ、詩は?

胡桃
詩はね…
いまこっちに向かってるよ。

紀芳
…ちょっと、胡堂主?
詩ができてないのなら、商売の話なんてもっとできないじゃない。

胡桃
そこはさ…
ほら、まずオーナーにお伺いを立てるのが筋かなって。

紀芳
本の内容がわからないと、売れるのか、どう売るのか、なんにも決められないわ。

胡桃
おやおや…
内容なら、この堂主たる私がさっき見せてあげたよね?
たしかに数行だけだったけど、もう爆売れする未来の片鱗が見えてたでしょ!

紀芳
…爆売れ?
あの「キノシシ二十斤」が?

胡桃
それと「地に飯あり」もだよ!
あの見識広い鍾離客卿が褒めた、会心の作なんだから!
これを宣伝に使わない手はないでしょ?

紀芳
…堂主、万文集舎は小さなお店よ。
お金をかけて刷って、誰も買ってくれなかったら…
損するのは私なの。

胡桃
んもう、安心して。
この私が保証するから!
この詩集が出た暁には、天地が揺れて鬼神も涙しちゃうような、世に名を轟かせる一冊になるって!
なんならここに来る途中で、もう幽霊が涙してる声が聞こえたんだから!
…あ、信じてないでしょ?
今ここで再現してあげてもいいよ?

紀芳
…はあ、結構よ。

-------------------------


…お前か。
……
お前に言われた通り、詩を書いてみた…
感情を紙に写してみると、たしかに胸の内が落ち着く気がする…
彼らに…
果たして届くだろうか…