イディア

3.8 修正(吹出)

「みんな…
ようこそ『ヴェルーリヤ・ミラージュ』へ!
どうかここで旅の疲れを忘れて、ゆっくり休んでくださいね!」
本来なら、初めて会った時にこういう歓迎のセリフを言うべきだったんです。
なのに…
はぁ、まさかこんなに沢山のことが起こるなんて。
すべてが元通りに戻ったところで、改めてこの始まりのセリフを言わせてもらいますよ…
どうです?
いい感じでしょ!

①先成図について…

イディア
えっ、原理を説明して欲しいのですか?
実は私もよく分かってないですよ。
とにかく、先成図はどちらかと言いますと、考え方のひとつで…
例えば、植物がどのように成長するかは最初から種の中に書き込まれていて、鳥の羽がどのように広がっていくのかが卵の中にいた時から決まっていたように。
物事は道理に沿って、いま目に映るすべてになっているのです。
そして実は最初から、万物の設計図とは決まっていたりするのかもしれませんね。
先成図がその設計図となります。
ビンの中の光に照らされると、それが広がってヴェルーリヤ・ミラージュとなるのです。
あっ、これはこの魔瓶の中でしか実現できない芸当になります。

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②純水精霊について…

えっと、どうして私がフォンテーヌから逃げ出したのかってことですか?
思い返してみると、それはまるで前世の記憶のようですね…
逃げ出した理由を挙げるのなら、それは「水」のせいです。
フォンテーヌの水は変わりました。
純水精霊にとって、あそこの水は今…
苦しみと憎しみに満ちていると言ったところでしょうか?
私たちにとって、生き延びるためには故郷から逃げるのが最善の選択肢でした。
あっ、ちょうどその時に慌てて逃げたせいで、私は砂漠に倒れてしまったのですが…
私から言わせると、この砂漠は広すぎるんですよ!

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③ローデシアについて…

ふ〜ん、ローデシアお姉さんのことですか?
あれ、もう会ったことがあるんです?
どうやら、彼女も自分の居場所を見つけたみたいですね…
軽策荘ということは、璃月ですか?
それはまた、遠い場所まで行きましたね、ローデシアお姉さん…

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④頑張って!

はい、頑張り…ます!
あなたたちもどうかこの潤った環境を楽しんでください。
砂漠の中で、こんな場所はめったにありませんからね!

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罪を償う者が残した手紙
「ヴェルーリヤ・ミラージュ」の中で見つけた一通の手紙。
きちんとたたまれており、折り目のしわが黄ばんでいるところから察するに、ずいぶんと昔、誰かが蜃境の中に残したのだろう。

【きちんと畳まれた手紙。
折り目は黄ばんでおり、紙自体も残した手紙ボロボロになっている。
中には次の文が記されていた】

…今でも、あの悪夢に魘される。
夢の中では目の前の全てが、あの戦場に戻ったかのようである。
炎に照らされた空、捻じ曲がった影のような魔物、散り散りになり本来の姿さえわからぬようになった身体、喉から出づる暇もなく、静かに闇へと堕ちた悲鳴。
そして…
嗚呼、漆黒の獣の牙から、私をれ助けてくれた友人。
戦場で、力を失った掌から弓と刀が落ち、彼の身体は穢れた泥沼の中へと沈んでいった。
口を半開きにしたその顔は私を、私のほうを見つめていた…

…あの戦場から生きて帰って来られたことを私は幸いだと思っていた。
しかし、一体何が幸いだと言うのだ?
私は自信を喪失した末に十文字槍を手放し、共に災厄と強敵に抗ってきた雑兵を見捨て、気が狂ったかのように戦場から逃げ出した。
これは、将軍様の信頼に恥じる行いであり、先祖代々受け継がれてきた名誉を裏切る行いだ…
今も尚、ヤシオリに帰ったところで合わせる顔などない。
私は戦場から逃げ出したのだ。
しかし、本当に逃げ切れたのであろうか?
あれ以来、日ごとにあの凄惨な戦場が夢の中で蘇る。
血の気を失った蒼白な面々、漆黒の泥沼の中へと消える寸前に我が名を呼ぶ友人の、糸のようなかそけき声…
ともすれば、「蜃楼玉匣」の中の蜃気が作り出す虚影に縋ってやっと、刹那の安らぎを得るほかないのである。

…滑稽なことに、この「蜃楼玉匣」は私がヤシオリ守りとして命を受けて遠征に出る前に、戦場での痛みが和らぐようにと、母上が朦雲神社にて授かってきてくださったものだ。
当時私は「『喜多院』の名を受け継ぐ者として、痛みが怖くてこんな物を使うなどとは、恥だ。」と言った。
思い返せば、穴があったら入りたいような気になる。
もし嘗て巫女だった母上に、今の私の姿を見られたら…

…亡命生活など、もうたくさんだ。
苦痛の日々はもううんざりだ。
ついに今日、やっとここに戻って来ることができた。
嗚呼、数え切れぬほど悪夢に現れ、そこから逃げたいと切実に願いながらも、一方でそこに還りたいと心から願った場所。
嗚呼…
私の腕はもはや若かりし頃のように、思うがままに槍を振りまわすことはできぬ。
しかし今度こそ、きっと友人を助けることができる。
きっと…
穢れを取り除き、今度こそ必ずや将軍様に…
最後まで、最後まで着いてゆくのだ。

――喜多院秀家

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イディア
おや?
お二人ともどうかしましたか?
何やら聞きたいことがあるご様子ですね。
もし「ヴェルーリヤ・ミラージュ」について何か聞きたいのなら、私に聞くのが大正解ですよ。
私にとって「ヴェルーリヤ・ミラージュ」は、手のひらの水の模様のように詳しいことですから…

①み、水の模様ってシワ?

イディア
ただの比喩ですよ!
私にシワなんかできるわけないじゃないですか!

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②本当に?見せて!

イディア
た、ただの比喩ですから。
あなたの手相と同じで、何も面白くなんてないですよ。

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パイモン
それよりも、オイラたち楽園でこんな手紙を拾ったんだ!
イディアならきっと、これがどこから来たものか知ってるよな?

イディア
そりゃあもちろん、そのような手紙は一目で…
あれ、こんな手紙は初めてですね…

パイモン
手のひらの水の模様が、すごくボヤけてるみたいだな…

イディア
こ、これは明らかに私の隙を狙って、誰かがこっそり埋めたものです。
見たことがないのも仕方ありません。
それに内容を読む限り、手紙というよりも遺書や記録のように思えますね。
一体誰のものでしょうか…
手紙のこの雰囲気、どこかで覚えがあるような気が…

>「蜃楼玉匣」と関係してる?

イディア
あっ!
そう言われると確かにそうですね。
これは「蜃楼玉匣」を持ち込んだおじいさんが残したものです…
あれは、まだ私が瓶の中に来て間もない頃のことでした。
あのおじいさんは稲妻の人で、ここに来てすぐ「ここは願いが叶う場所か?」と聞いてきたのです。
そして、彼は自分を昔の戦場に送り返して欲しいと言ってきました…
なんとか説明しようとしたのですが…
彼は秘境に入ってきた時点で身体がかなり悪かったようです。
ここまでの道のりも長かったことで、精神もかなりすり減らしてるようでした…
彼はただひたすらに「お願いだ、俺をあの日に戻してくれ…」、
「俺をあの戦争の中に送り返してくれ…」みたいなことを言い続けていましたよ。
だから、私は瓶の中の蜃境を使って…
彼が想像する戦場を模倣しました。

パイモン
ああ、それで手紙には「やっとここへ戻れた」って書いてあったのか…

イディア
それは蜃境だったはずの場所が、ぼんやりしている間にいきなり記憶の中の戦場になったせいかもしれませんね。
戦場は恐ろしいものでしたけど、彼はすごく楽しそうに笑ってました。
死の間際にそんな恐ろしい光景を見たい人がいるなんて不思議ですよね…

①彼からすると他に意味があるのかも…
②そのほうが刺激的かも。

イディア
私にはよく分かりません。
でも彼は最後まですごく満足そうにしてましたよ。
もしあのシチュエーションで叶えたい願いがあったのなら、それを抱き続けてきた時間はきっと大変なものだったでしょうね。
コアホイールが再び回るようにした時、「蜃楼玉匣」にはかなり助けられました。
この秀家さんには感謝しないといけませんね。