「サーチェンが残した文書」

3.6

◆ヴァスデーヴァ
◆フヴィシュカ
◆ウィカス
◆スヘイブ

この前、ドリーから得られた情報は何かを暗示していたようだ。
彼女にもっと情報を聞いてみよう。

…ドリーに情報を聞く…

ドリー
あ~らら、蛍とパイモン、またお会いましたわね。
ここに学院祭の最新情報があるんですが、いかがです?

パイモン
モラがいるのか…?

ドリー
なんとこれが無料ですの!
サングマハベイ様ったら本当に気前がいいですわ!
サーチェンのこと、まだ覚えていらっしゃいますか?

パイモン
学院祭を協賛した人だろ?
賞金も才識の冠も、その人が提供したって聞いたぞ。

ドリー
大正解ですわ!
実はこの前、砂漠で商売をしていた時、ある年老いた商人に会いましたの。
そこで何を買ったと思いますか?
なんと行商の記録ですの!
これさえあれば、砂漠の危険なエリアを避けて、色んな場所に行けますわ!
もちろん何より重要なのは、記録の中になんと…
サーチェンのことが書いてあったんですの!
どうやらサーチェンは砂漠で人や風土について研究していて、旅商人とも友好的に交流したことがあるらしいですわね!
はっきりと読めない文字も多いですけど、これは学院祭を裏で支えたスポンサーに関する貴重な資料ですのよ!
見てみたくありませんか?

パイモン
そうなのか…
それなら見てみるか!

古びたメモ
「砂嵐がひどい…
キャラバンの資金繰りは困難に陥った…」
「サーチェンと名乗る学者と出会った。
彼はキャラバンを助けてもいいと言ったが、その条件は…」
「あれは人間性に関するジレンマだった…
裏切り…奪い合い…」
「…する方法はなかった…に耐えられる人はいなかった。」
「できることなら、あの金をなかったことにしたい。
そうすれば彼らは死なずに済んだし、私もこんな風に生きた心地のしない生活をしなくて済んだ…」
「…人間はこの世で最も恐ろしい生き物だ。」

パイモン
うーん…
よくわからなかったぞ!
ドリー、これがどういう意味かわかるか?

ドリー
どういう意味か、ですって?
残念。
分析つきの場合、追加料金として百万モラを頂いておりますの!

パイモン
ふん、じゃあいいぞ!

ドリー
はー、どうやらお金を支払っていただけないみたいですから、ドリーの特別情報は以上ですわ。
でも、もう少しだけヒントを差し上げますの!
試合会場には、学院祭に何回も参加したことがある人がいるはずですの。
彼らと話してみれば、新たな手がかりが得られるかもしれませんわね。

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ドリー
うーん…
もう少し考えてみたほうがいいですわ。
サーチェンが学院祭に賞金を提供したのは、一体何のためですの?

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ドリーは、試合会場に行き誰かに話を聞いてみるよう提案した。
何か知っている人がいるかどうか、確認しに行こう。

…試合会場で話し相手を探す…

ヴァスデーヴァ
はぁ、若い子たちを見ていると、昔のことを思い出してしまうのう。
学院トーナメントはいつの時代も、若き天才たちの舞台じゃ。
じゃが残念なのは、すべての天才がその才能を成就させられるわけではないこと…

>どうして?

ヴァスデーヴァ
天才の多くは意固地で冷たく、他人の苦しみが分からない。
じゃが一方、共感できる者は、往々にして自己懐疑の末に落ち込んでしまう傾向にある。
固い意志がない者は前へ進まず、それがある者も誤った道に踏み入って戻らなくなる。
この中には沢山の試練があるからのう…

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ヴァスデーヴァ
若さとはいいものだ…

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…試合会場で話し相手を探す…

フヴィシュカ
今年の学院トーナメント、俺が一番有望だと思っているのはセノだ。
大マハマトラとしての手腕はもちろんのこと、過去のトーナメントから見ても、素論派の優勝回数は最多だからな。
素論派からは、天才が多く輩出されると言われている。
ジュライセン、ルジカ、リサ、セノ…
とはいえ天才が輝かしいほど、試合への期待が薄れるのも早い。
最も激しかったのは、やはり二十年前のあれだったな。
当時、俺の友人も大会に出ていたんだ。
わざわざ会場まで行って応援してやったな。
最後の試合はアビディアの森で行われていたんだが、激しすぎて誰も近づけず、森の奥で一体何が起きたのかは誰にもわからないままだった…
その試合は結局教令院に止められた。
それから、学院トーナメントはサバイバルに関連する競技の多くを削除したんだ。
試合中に「死闘」をしてほしくない、とな。

>友達はどんな人だった?

フヴィシュカ
そうだな。
あいつは…
まっすぐで優しくて、同時にか弱くて繊細だったんだ。
番重要なのは、あいつが俺たち友人のことをとても大切にしてくれたことだ。
一緒に酒を飲んだときは、みんないつも笑っていた。
だが、過ぎた時間はもう戻らない。
残念だ。
当時一緒に飲んていた友人たちは、亡くなったやつもいれば、失踪、隠居したやつもいる…
諸行無常というのは、本当のことだったんだな。

パイモン
どうやら二十年前、本当になにかがあったみたいだな…
そうだ、ウィカスのやつ言ってたよな?
質問があれば、いつでも訪ねていいって。
いまは時間があるし、あいつに聞いてみたらどうだ?

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フヴィシュカ
時間は人ひとりの存在の痕跡など、容易に消し去る。
学生時代に聞いた笑い話の多くは、もう忘れてしまった。
今となっては何を懐かしむべきかもわからないが…
ただ、年を取ったと認めたくないだけかもな…

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どうやら二十年前の学院トーナメントでは、確かに何かが起きたようだ。
企画委員会のメンバーであるウィカスなら、何か知っているかもしれない…

…教令院に行ってウィカスを探す…

ウィカス
…二十年前の出来事ですか?
どうして急に?
何か情報を聞いたのですか?

パイモン
二十年前、冠を無くしたことあるってのは聞いたぞ。
それに、参加者に性格が豹変しちゃったやつもいたらしいって…

ウィカス
色々とご存知のようですね。

パイモン
ウィカス、なにかオイラたちに隠してないか?

ウィカス
隠しているわけでは…
二十年前の私はまだ五歳ですよ。
何か知っているわけがないじゃないですか?
ただ、誰にも言っていないことは確かにあります。
私が学院祭の企画委員会に入ったのは、ある先輩の影響を受けたからなんです。
先輩と知り合ったのはとある旅の途中でした。
彼は…
少し臆病な人でして、何かあったらまずは隠れてしまうんです。
四年前のある日、私は学院祭がもうすぐ始まるから、教令院に行ってくると彼に言いました。

パイモン
それで?

ウィカス
学院祭と聞いた途端、彼は驚いたように、自分のせいじゃない、とつぶやきました。
その夜、別れの挨拶をしようとしたら、彼は一緒に酒を飲んでくれとせがんできました。
そしてある程度飲んだところで、変なことを言い始めたんです。
当時の私も結構飲んでいましたから、ぼんやりしていて、はっきりと聞いていたわけではなかったのですが…
おぼろげに覚えているのは、才識の冠を一時無くしたことがあるということでした。
彼は当時冠の配置と回収を担当していたため、ショックで死にそうなほどだったそうですが…
幸い、最終的に木のうろでそれを見つけたらしいんです。

パイモン
オイラたちがこの前見たのと同じだな…

ウィカス
彼が言うには、才識の冠は非常に貴重な宝物で、多くの書籍にその名を記載されているということです。
名高い職人によって作られたもので、知られざる秘密があるという噂ですよ。
何せサーチェンが教令院に任せたのは、冠をただ保管することですから…
もし彼の手で無くしてしまったのなら、全財産を支払ってても弁償できませんからね。
一時的な紛失でも、決して誰かに知られてはいけないわけです。
でなければ、職務怠慢で教令院から重い処罰を受けてしまいますから。

パイモン
だから、そのことを隠したのか?

ウィカス
ええ。
当時は問い合わせに来る人も多かったらしいです。
子供までいたとか。
それでも彼は、冠は無くなっていない、と貫き通しました。
しかしやはり怖くなって、ほとぼりが冷めてすぐ、仕事を辞めて教令院を離れたんです。
あの夜、私も酔いつぶれてしまって…
次の日に起きたとき、彼はもういませんでした。
今になって思い返せば、彼のような人は、遅かれ早かれ学院祭を大変なことにしていたでしょう。
当時は仕事もなかったので、ちょうど学院祭の企画委員会に参加しました。
内部からあの時のことを調べようとしましたが、特に収穫はなかったのです。
無くした冠は見つかり、性格が豹変したと噂されていた人もこの世を去ってしまいましたから、調べようがありませんでした。
二十年はあまりにも長すぎて、当時のことを覚えている人も、気にする人も、もうどこにもいません。
私が知っているのはこれがすべてです。
気になるようでしたら、引き続き調べてみるといいでしょう。
いつかは真相が分かるかもしれません…

パイモン
簡単に言ってくれるぜ。
オイラたちだってこれ以上手がかりがないんだぞ。
本当にもうなんも情報はないのか?
例えば、その先輩が普段よくいたところとか。

ウィカス
あの先輩の情報はもう何も。
その後、私も砂漠へ行って彼を探そうとしましたが…
砂の海はあまりに広いですから、ばったり会うことができるはずもなく。
代わりに、サーチェンに関する情報ならありますが、聞きますか?

パイモン
うーん…
まあいいや。
聞いてやるぞ。

ウィカス
外で旅をしていた頃、ある傭兵団の団長に同行したことがあります。
話していると、彼は教令院の学者が書いた文書を持っていると言ったんです。
彼はそれを宝物か何かのように扱って、簡単には見せてくれませんでした。
何度もお願いしてようやく一目見られたのです。
内容までは確認できませんでしたが、署名にはサーチェンとありました。
あの時はサーチェンが誰か知らなかったので、気にも留めませんでした。
学院祭の企画委員会に入ってから、彼が学院祭を支援した因論派の有名人だと初めて知ったのです。
興味がおありでしたら、砂漠に行ってみるといいでしょう。
彼は普段ダーリの谷にいます。

パイモン
サーチェンに関する手がかりだな?
いいぜ。
行ってみよう。

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ウィカス
どうです、何か情報を手に入れられましたか?

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ウィカスがとある傭兵の住所を教えてくれた。
その傭兵は、サーチェンが書いた文書を持っているらしい…

…傭兵にサーチェンが書いた文書について聞く…

スヘイブ
何か用か?

パイモン
うわ…
この人、顔が怖いぞ…!

スヘイブ
用あるならさっさと言え。
なければ帰れ。
おれは忙しいんだ。

パイモン
実は、サーチェンが書いた文書を持ってるって聞いたんだけど…
それ、見てみたいなあと思って…

スヘイブ…
おれのことをバカにしてんのか?

パイモン
そんなことないぞ!
どうしてそうなるんだよ!?

スヘイブ
本当に何も知らないのか。
この間、その文書を鑑定させたんだが…
ただの感想が述べられた旅行記みたいなもんだとわかった。
大した価値はないってな。
そのサーチェンっていうやつは、おれのおやじをボディーガードとして雇ったんだ。
彼は歩きながらしきりに質問をして、何かを書いてはぶつぶつと言ってたそうだ。
ある時、サーチェンの原稿が風に飛ばされてな。
彼は執着しなかったが、おやじは、学のある人間が書いたものならきっといい値がすると踏んだんだ。
だから夜になっても、松明をつけてあちこち探し回った。
うちは誰も字が読めない。
それでもおやじはそれを大切な宝物だと思って、おれに残してくれた。
それがまさか、全く金にならないとはな。

パイモン
ちょっとかわいそうだな…
その文書はまだ取っておいてるか?

スヘイブ
あるぞ。
読んでみたいか?
好きにしろ。
金にならないし、おれまでこれを宝物にする必要はないからな。

ぼやけたメモ
神々が強大だった昔、万物は神につきまとい、苦しむ者は耐え忍んでいた。
神々が身を引いた今、人々は知恵を開花させたが、苦しむ者は変わらず苦しみの中にあった。
……
璃月には「人生逆旅の如し」、稲妻では「はかなき世をも、うつつとは見ず」という言葉があり、見る度に心を痛めるものだ。
そのわけを究明したいと思い、スメールの歴史を見渡してみたものの、変わらないのは人間の本性だけだと分かった。
砂漠に来てから計六十四回実験を行い、七年余りを費やした。
……
人間は囚人のごとく、また囚われの獣のごとく、どちらかが永遠の苦しみに落ちるまで、互いの快楽を餌食にし続ける。
おれゆえに利益を得るものがいれば、必ず損なうものもいる。
楽があれば必ず苦があり、誰もが被害者となり得、誰もが被害者となり得、誰もが加害者となり得るのだ。
人間の本性は貪欲と無関心だ。
貪欲ゆえに悪を働き、無関心ゆえに他人の悪を見て見ぬふりする。
……
こんな世の中に、何の意味があるだろう?
「現在」にとっての「未来」は、まるで「過去」にとっての「現在」のようだ。
争いは永遠に続き、安寧の日々などどこにもない。
争いこそが真理なのだ。
一切万物――
私の知識、私の知恵、私の人生――
すべては虚無である。

パイモン
これがサーチェンの書いた文書なのか?
えっと…
あんまりよくわかんないな。
でも…
このぼんやりした字…
なんだか、ちょっと悲しそうに見えないか?
とりあえず、読み終わったぞ。
ありがとな!

スヘイブ
気にするな。
金にはならなかったが、取っておくさ。
こんなんでも、おやじが残してくれたもんだからな。
もう一度読みたくなったらまた来てくれ。

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スヘイブ
もう一度読むか?

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