「豊富」な予算

3.6

◆ハジャナド

「ボイルドミクスチャー」実験の進捗はなかなか順調だ。
そろそろハジャナドに状況を報告しよう…

パイモン
よし!
ここ最近のテストで、「ボイルド装置」の記録データも十分溜まったな。
さっそくハジャナドのところに行って、使用感を教えてやろうぜ!

…ハジャナドと会話する…

パイモン
ハジャナド、うまくいったぞ。
良い知らせを持ってきてやったぜ!

ハジャナド
あっ、ちょっと待ってね。
あなたたちから出ている「ボイルド「装置」の信号を、この身で感じさせて。

あ~、この熱き余韻と磁力に満ちたエコー、まるで錬金薬が烈火の中で奏でるセッションみたい。
興奮で震えが止まらないわ…
うん、非の打ちどころがないわね!
あなたたちが提供してくれたデータを使えば、きっと完璧なレポートが書けるわ!

パイモン
ホントかよ?
オイラは特になにも感じないけど?

ハジャナド
「白色高知能浮遊アシスタントユニット」、あなたはもっと…
教令院学生の深夜語録を読むべきよ。
言語機能の多様性を高めないと!
そうすれば、あなたも色んな素敵な比喩表現を理解できるようになるわ。
それだけでなく、ユーモアとプレッシャー耐性も身につくこと間違いなしよ。

パイモン
いやいや、いいって!
さっきからなに言ってるのかさっぱりだぞ。
オイラにプレッシャーなんてないし。
そもそも、蛍はオイラに変な研究をさせたりしないぞ!
話を戻すぞ。
約束通り、おまえの装置をテストしてきたぜ。
さあ、こっからは報酬をもらう楽しい時間だな!

ハジャナド
ええ、もちろんよ。
はい、どうぞ!
まさか、私のことを信用してなかったの?

パイモン
あ…あれ?
これが五十人分の給料か?
なんか想像してたのとちょっと違うような…
えっと…
別に少ないって思ってるわけじゃないけど…

①「多額のモラ」ではない。
②期待したものと違った。

ハジャナド
えっ?
私が半年も貯めたモラでも足りないと言うの?
もしかして、傭兵の稼ぎを甘く見てた?
傭兵たちへ支給するつもりだった日給は、指導教員が私に支給してくれた資金と同じ額なんだけど!
しかも、私の新しい指導教員は羽振りが良いのよ。
この先、彼女について行けば豪華なご馳走を――
シャワマルサンド一人前を毎日食べられる。
さらに、それでもまだ資金に余裕があるんだから!
もしお店で小麦粉を買って、野外でザイトゥン桃を少し摘み、川の水でドロドロのスープにして煮込めば…
一日の資金で二週間は暮らせるのよ!
そうすれば、節約したお金を全部「ボイルドミクスチャー」の研究に使える。
今回の傭兵を雇う予算もこうやって作ったの!

①食べ物に対する要求が低すぎる…
②危険な生活水準。

パイモン
ハジャナド、一体どうやって今日まで生きてこられたんだよ…
そんな生活キツすぎるだろ。
もっと自分を大事にしろよ!
豪華なご馳走っていうのは、せめてシャワマルサンドをお腹いっぱいになるまで食べられることだろ。
一人前なんてぜんぜん豪華じゃないぞ!
それに、毎日そんなスープを飲んでたら体が壊れちゃうって!

ハジャナド
分かってる分かってる。
でも、もう十分良い暮らしをしているのよ!
学生の中には、自分でモラを出して研究を終わらせる人もいるんだから。
まさに昔の私と同じで、食事なんて気にしている余裕がないんでしょうね。
それに引き換え、私は指導教員から承認を得た予算のお陰で、毎日お腹いっぱいになるまで食事ができてる。
もう既に超幸せなんだから!

>全然分かってない…

パイモン
そうだ!
ハジャナドに豪華な食事を食べさせてやろうぜ。
それで生活を見直してもらえば、毎日適当な食事で済ますことがなくなるはずだ!

ハジャナド
ダメダメ、そんなの!
どこに雇用者に奢らせる雇用主がいるのよ!
私を心配してくれる気持ちはありがたいけど、本当に心配しないで大丈夫!
学術的な成果で私の能力を証明できれば、いつか出世できるはずだもの!
毎日豪華な食事をいただくのは、今の私がするべきことじゃないわ。
さて、あまり時間を無駄にできないから、さっそく帰ってレポートを書かせてもらうわね!

パイモン
なら、せめて果物と野菜を持ち帰って栄養補給をしてくれ。
夕暮れの実とキャベツなら、そこら中で見つかるからたくさん持ってるんだ!

ハジャナド
うふふ…くくっ…
あはははは…
今からもう指導教員が顎を外して驚く姿が想像できるわ!

ハジャナドはパイモンの言葉にまったく耳を傾けず、ニヤニヤしながらふらふらと離れていった…

パイモン
はぁ、こっちの話をまったく聞いてくれなかったな。
このままだと、ハジャナドがいつか栄養不足で倒れちゃいそうな気がするぞ。

①彼女の指導教員が気にかけてくれるはず。
②あの研究マニアが倒れないことを祈ろう。

パイモン
ああ…
ハジャナドの話を聞く限り、あいつの指導教員は彼女を大事にしてくれてるみたいだからな。
研究がうまくいって、いっぱいモラを稼いで、普通の生活を送れるようになるのを祈るしかないな…
もしかしたら、今度またハジャナドに会ったら、もっとたくさん報酬を貰えて、栄養不足を心配しなくて済むかもな!

《任務完了》