アンバーが間違って取った寓話の本。
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世界に最初の風が吹いた時
空に羨望を抱いたスズメは翼があるにもかかわらず
飛ぶことができなかった
彼らは風神に問いかけた
どうすれば 大空を抱きしめられるのかと
一番大切なものがまだ見つかっていないから
そう風神は答えた
風は草原を撫で
蒲公英の種を彼方へと飛ばす
彼らは必死に翼を広げた
ただ草原の風はあまりにも優しく――
足をもつれさせるだけだった
そして 彼らは峡谷を訪れる
吹き荒れる狂風は彼らに自らの力を見せつけた
彼らは勇気を振り絞り谷から飛び降り
うなる風の中で翼を動かす
あの空を自由に飛べるようになるまで ただひたすらに
そして 彼らは嬉々として風神に言った
なるほど 風の強さが足りなかったんだと
風神は答えた
いや 大事なのは強き風ではなく勇気だ
それが君たちをこの世界で初めて飛ぶ鳥にしたと