幕夜劇団団長の手稿

『極夜幻想劇・剣を持つ王女!』の台本。
乱雑な筆跡は団長の注釈と思われるが、中には過激なものもあり、きっと採用されないだろう。
『極夜幻想劇・剣を持つ王女!』の台本。
乱雑な筆跡は団長の注釈と思われるが、中には過激なものもあり、きっと採用されないだろう。
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幕夜劇団団長の手稿
プロローグ
プロローグ
(とても煌びやかな王宮。
すごく豪華なセット。
偉大なる国王陛下、勇敢な姫、そして忠実な侍従が台上でスタンバイしている。)
傍白:人の夢は黄金に値する。
そう聞いた悪龍が夢を食い尽くすため王国にやってきた。
傍白:夕餉は青物か肉か?
ちょうど王と姫は言い争っていた。
傍白:両方とも召し上がればいいのにと、姫の最も忠実な侍従は考える。
傍白:しかし所詮、無名の者。
誰も彼の考えなど気にしない。
すごく豪華なセット。
偉大なる国王陛下、勇敢な姫、そして忠実な侍従が台上でスタンバイしている。)
傍白:人の夢は黄金に値する。
そう聞いた悪龍が夢を食い尽くすため王国にやってきた。
傍白:夕餉は青物か肉か?
ちょうど王と姫は言い争っていた。
傍白:両方とも召し上がればいいのにと、姫の最も忠実な侍従は考える。
傍白:しかし所詮、無名の者。
誰も彼の考えなど気にしない。
(悪龍は登場する前に、上空で三回ほど旋回して火を噴く。
舞台セットや観衆に火がつかないよう、注意!)
悪龍:黄金の夢…
一体どんな味がするんじゃ?
舞台セットや観衆に火がつかないよう、注意!)
悪龍:黄金の夢…
一体どんな味がするんじゃ?
(悪龍が降下してくると、舞台が揺れる。
迫力とインパクトが必要!
ただし、揺れすぎるとセットが崩れてしまうかもしれないので要注意。)
悪龍:おっと。
王宮の地面は凸凹じゃ、危うく着地に失敗するところじゃった。
悪龍:おお…
よいぞ!
たまらん!
小さき人に、大きな夢!
満腹の予感じゃ!
迫力とインパクトが必要!
ただし、揺れすぎるとセットが崩れてしまうかもしれないので要注意。)
悪龍:おっと。
王宮の地面は凸凹じゃ、危うく着地に失敗するところじゃった。
悪龍:おお…
よいぞ!
たまらん!
小さき人に、大きな夢!
満腹の予感じゃ!
(国王が前に出て、悪龍と対面する。
堂々とした振る舞い。)
国王:悪龍!
なにゆえこの地へ!?
悪龍:悪龍?
礼儀がなっとらんな。
(悪龍が翼を広げ、舞台上のライトを半分以上遮る。)
悪龍:ワシのように先見の明を持つ龍は、「善龍」と呼ぶべし!
悪龍:同族は財宝にがないが、それよりも価値あるものを見つけた。
すなわち、人の夢じゃ!
悪龍:空腹だろうとなかろうと、人は心に夢を作り続ける。
実に不思議じゃ。
悪龍:夢は黄金よりも価値あるものだと、人は言う。
悪龍:(貪欲に)
「黄金よりも価値あるもの」がワシを満腹にできるかどうか、一日かけて見極めよう。
悪龍:(強欲に)
空腹のせいで、目つきが悪くなる。
はよ食わせい。
悪龍:小さき王、汝と家族の命が惜しくば、定刻通りに犠牲を捧げよ!
国王:凶星の如きその目は、腰抜けと勇士も見分けられぬ、飾り玉か?
国王:気高さと夢は余が一生をかけて追求するもの。
これしきの脅威のためには捨てぬ。
国王:去れ、悪龍よ!
渡すものなど微塵もないわ!
悪龍:なかなかの勇気じゃが、よく考えてから発言したほうがよいぞ。
悪龍:犠牲と滅亡を天秤にかけて、また決断を下すがよい。
悪龍:ふぁ〜、ワシは郊外で眠るとしよう。
日没までに佳き肴を捧げよ。
悪龍:なければ、直々にゆく。
ただしその時、正殿は石窯となり、王宮は食堂となる!
(悪龍が耳をつんざくような咆哮を上げる。
この迫力を表現するため、舞台も揺らす。
こちらもやりすぎに注意するか、背景をロープなどで固定したほうがいいかも。
悪龍が舞台を去る際については、火を噴く必要なし。
経費はこの後の大きなシーンで使うべき。)
渡すものなど微塵もないわ!
悪龍:なかなかの勇気じゃが、よく考えてから発言したほうがよいぞ。
悪龍:犠牲と滅亡を天秤にかけて、また決断を下すがよい。
悪龍:ふぁ〜、ワシは郊外で眠るとしよう。
日没までに佳き肴を捧げよ。
悪龍:なければ、直々にゆく。
ただしその時、正殿は石窯となり、王宮は食堂となる!
(悪龍が耳をつんざくような咆哮を上げる。
この迫力を表現するため、舞台も揺らす。
こちらもやりすぎに注意するか、背景をロープなどで固定したほうがいいかも。
悪龍が舞台を去る際については、火を噴く必要なし。
経費はこの後の大きなシーンで使うべき。)
傍白:悪龍は王宮を去った。
郊外で一休みしながら、王の晩餐を待つのだ。
傍白:威厳ある王は屈することなく、部隊を作り悪龍を倒そうとしていた。
姫:(姫様が登場するとき、必ずスポットライトを当てること!)
王国を守るため、夢喰いの悪龍を私が打ち砕きます。
国王:娘よ!
己の身分を弁えなさい!
国王:姫なのだぞ、わがままは通らぬ。
国王:戦場はぬしの居場所ではない、王宮の寝室にいよ。
姫:陛下の教えなのに――
気高さと夢を諦めぬことを忘れたのですか!
姫:私は姫であり、戦士でもある。
王国の民と苦楽を分かち合わねば!
姫:悪龍が迫る中、高みの見物をしていられませぬ。
国王:戦士である前に、姫であろう。
国王:娘を危険なに遭わせる父親はどこにもおらぬ。
国王:それにほんの数年前まで、ぬしはまだ…
姫:私は姫であり、戦士でもある。
王国の民と苦楽を分かち合わねば!
姫:悪龍が迫る中、高みの見物をしていられませぬ。
国王:戦士である前に、姫であろう。
国王:娘を危険なに遭わせる父親はどこにもおらぬ。
国王:それにほんの数年前まで、ぬしはまだ…
忠実な侍従:(スポットライトは必要なし)
コホン!
陛下、ご安心を!
必ず姫様を守り抜いて見せます!
国王:功績も名声もないぬしの言に、どうして安心できようか?
(国王がレオンを下がらせる)
国王:仕方ない、王国の名高き勇者たちを姫に同行させるとしよう。
コホン!
陛下、ご安心を!
必ず姫様を守り抜いて見せます!
国王:功績も名声もないぬしの言に、どうして安心できようか?
(国王がレオンを下がらせる)
国王:仕方ない、王国の名高き勇者たちを姫に同行させるとしよう。
傍白:王国の名高き勇者は、三名とも腕利きで武勇に優れていた。
傍白:彼らは城外で、順番に殿上の時を待っていた。
(三人の勇者が登場するシーンでは、全員にスポットライトを当てること。
一緒に鳥の羽根を舞わせてもいいかもしれない。)
傍白:偉業の作り手、武勇に名高き英傑――
勇者甲。
傍白:数ある功績と、冒険譚は万人に謳われている。
傍白:ろう者を除けば、王国に彼の名を知らぬ者はいない。
(勇者甲が剣を持って歩を進め、観衆の方を向く。
声量は、他の登場人物よりも三割以上大きくすること。)
勇者甲:友よ!
俺の功績を知らない?
じゃ、耳を澄ましてよく聞けよ!
傍白:ろう者を除けば、王国に彼の名を知らぬ者はいない。
(勇者甲が剣を持って歩を進め、観衆の方を向く。
声量は、他の登場人物よりも三割以上大きくすること。)
勇者甲:友よ!
俺の功績を知らない?
じゃ、耳を澄ましてよく聞けよ!
傍白:優柔不断で慎重すぎる策士――
勇者乙。
傍白:しかし彼は、幾度も危難を乗り越えてきた。
傍白:及び腰との批判もあれば、思慮深いとの賞賛もある。
(勇者乙が前に出て、同じように観衆の方を向く。)
勇者乙:さ…策略で勝てるなら、正攻法など無駄。
良計は、一朝一夕には成せない…
勇者乙:お…恐れているだと?
わ、私だって、百戦錬磨の勇者なんだぞ!
傍白:しかし彼は、幾度も危難を乗り越えてきた。
傍白:及び腰との批判もあれば、思慮深いとの賞賛もある。
(勇者乙が前に出て、同じように観衆の方を向く。)
勇者乙:さ…策略で勝てるなら、正攻法など無駄。
良計は、一朝一夕には成せない…
勇者乙:お…恐れているだと?
わ、私だって、百戦錬磨の勇者なんだぞ!
傍白:経験豊富な龍殺しの宗匠――
勇者丙。
傍白:「龍殺しなんか野菜を切るより簡単だよな…
って、俺だけ?」
傍白:「龍殺しなんか野菜を切るより簡単だよな…
って、俺だけ?」
傍白:彼は過去の戦利品を並べながら、その伝説を詳しく語る。
(勇者丙が前に出て、箱からマントを取り出し、観衆に見せつける。)
勇者:見ろ、この貴重なマントには長い物語がある…
(勇者丙が前に出て、箱からマントを取り出し、観衆に見せつける。)
勇者:見ろ、この貴重なマントには長い物語がある…
傍白:勇者たちはみな、闘志満々の様子である。
姫:凝った肩書きね。
一体どんなこだわりなのかしら?
忠実な侍従:最近は、本の中の肩書きで名を彩るのが流行りのようです。
姫:へえ、知らなかったわ!
私の見識不足ね。
国王:よく来たな、勇者たちよ!
困難と危険に満ちた旅になるが、武運を祈る!
(勇者全員にスポットライトを当て、観衆に姿を見せる。)
勇者甲:過去の勝利に誓って、今日も必ず、成功を姫様に捧げよう!
勇者甲:俺がいれば心配いらない。
悪龍ごとき、朝飯前だ!
勇者乙:…あ、悪龍など恐るるに足らず!
勇者乙:策を立てれば、悪龍は長居を恐れてすぐ立ち去るでしょう。
勇者丙:どっちも一理あるけど、お手並み拝見のチャンスはないかもな。
勇者丙:俺が無数の龍を殺してきたのは有名だろ。
悪龍も、恐れてとっくに逃げたんじゃないか。
傍白:こうして姫は忠実な侍従を連れて…
傍白:三人の武勇名高き勇者と共に、すぐさま悪龍討伐に赴いた。
悪龍も、恐れてとっくに逃げたんじゃないか。
傍白:こうして姫は忠実な侍従を連れて…
傍白:三人の武勇名高き勇者と共に、すぐさま悪龍討伐に赴いた。
(全員退場。
その際、明るい未来を暗示して、ライトで役者たちの進む方向を照らすのもいいかもしれない。
ただし、観衆にライトが当たらないよう気をつけること。
クレームが来てしまったら困るので。)
その際、明るい未来を暗示して、ライトで役者たちの進む方向を照らすのもいいかもしれない。
ただし、観衆にライトが当たらないよう気をつけること。
クレームが来てしまったら困るので。)
インタールード・其の一
(郊外、湖畔の森。
遠くの丘に城が見える。
木々のセットはリアルに。
事前に舞台上に落ち葉などを敷いて、悪龍が上空を飛ぶときに巻き上がるようにすれば、よりリアルさを強調できる!)
傍白:郊外にあるとっておきの湖畔。
そよ風と緑の前には、心まで爽やかになる。
傍白:悪龍はここへ降り立ち、一休みすることにした。
(悪龍が遠くから飛んで来て、舞台の周りを三周飛ぶ。
それ以上飛んでも問題はないが、セットを燃やさないためにも火は噴かないこと。)
木々のセットはリアルに。
事前に舞台上に落ち葉などを敷いて、悪龍が上空を飛ぶときに巻き上がるようにすれば、よりリアルさを強調できる!)
傍白:郊外にあるとっておきの湖畔。
そよ風と緑の前には、心まで爽やかになる。
傍白:悪龍はここへ降り立ち、一休みすることにした。
(悪龍が遠くから飛んで来て、舞台の周りを三周飛ぶ。
それ以上飛んでも問題はないが、セットを燃やさないためにも火は噴かないこと。)
小人は晩餐を用意してくれたじゃろうか?
悪龍:真昼の地面は熱すぎる。
日陰に移ったほうが良さそうじゃの。
(悪龍が木の陰に降り立ち、体を丸めて休む。
その際、背景劇剣を持つ王女!
を倒さないよう、しっぽに注意すること)
悪龍:(疲れた感じで)
美食のためにはるばるやってきたが、用事を言いつけたら腹が減ってしまったわい。
悪龍:もしやつが応じなければ、堪忍袋の緒も切れてしまうやもしれんな。
傍白:こうして木陰で休んでいると、向こうから商人のような男が慌ただしくやってきた。
(商人登場。
早歩きで悪龍のそばを通り過ぎる。)
商人:(怒りながら)
クソッ、騒がしいやつのせいで、大して商売しないうちに店じまいだ!
商人:行商人とはいえ、長い道のりを生きてきたんだ。
なのに、あれがこの国のおもてなしってわけか?
商人:あの大声のやつ、とんでもないぜ。
長年商売をやってきて、あんな理不尽な買い手は初めて見た。
商人:値段が高けりゃ涙ながらに「たかられた」値段を安くすりゃ「商品の品質が悪い」ときた。
商人:どこかの利きかと思って値切ってやったが、結局弄ばれただけじゃないか!
商人:物を買う気なんか最初からなくて、買い物って「挑戦」にただ負けたくなかったんだ!
(商人登場。
早歩きで悪龍のそばを通り過ぎる。)
商人:(怒りながら)
クソッ、騒がしいやつのせいで、大して商売しないうちに店じまいだ!
商人:行商人とはいえ、長い道のりを生きてきたんだ。
なのに、あれがこの国のおもてなしってわけか?
商人:あの大声のやつ、とんでもないぜ。
長年商売をやってきて、あんな理不尽な買い手は初めて見た。
商人:値段が高けりゃ涙ながらに「たかられた」値段を安くすりゃ「商品の品質が悪い」ときた。
商人:どこかの利きかと思って値切ってやったが、結局弄ばれただけじゃないか!
商人:物を買う気なんか最初からなくて、買い物って「挑戦」にただ負けたくなかったんだ!
傍白:商人が毒突いていると、またご立腹の人がやってきた。
(冒険者登場。
商人とすれ違う。)
冒険者:ツイてない!
悪龍を追いかけなきゃなのに、訳の分からんやつの相手をする暇はないんだ。
冒険者:冒険者として悪龍を放っておけない。
あいつ…
思い出しただけで腹が立つ!
冒険者:やつの肩書きを知らないと言ったら、大きな過ちかのようにしつこく言ってきて。
冒険者:その上、悪龍を追っても無駄だ、勝ちたいだけかなんて言って、僕を侮辱したんだ。
勇者甲:(舞台裏)
悪龍、出てこい!
無意味な抵抗はやめろ!
商人:この声!
やつだ!
冒険者:きっとやつだ!
(商人と冒険者がいきり立ちながら周囲を見回し、勇者甲の姿を探す。
ここで幕が下りる。
心情をよりリアルに表すため、舞台に上がる前に、役者たちには彼らの夕食が勇者甲に盗まれたと想像してもらおう。)
商人とすれ違う。)
冒険者:ツイてない!
悪龍を追いかけなきゃなのに、訳の分からんやつの相手をする暇はないんだ。
冒険者:冒険者として悪龍を放っておけない。
あいつ…
思い出しただけで腹が立つ!
冒険者:やつの肩書きを知らないと言ったら、大きな過ちかのようにしつこく言ってきて。
冒険者:その上、悪龍を追っても無駄だ、勝ちたいだけかなんて言って、僕を侮辱したんだ。
勇者甲:(舞台裏)
悪龍、出てこい!
無意味な抵抗はやめろ!
商人:この声!
やつだ!
冒険者:きっとやつだ!
(商人と冒険者がいきり立ちながら周囲を見回し、勇者甲の姿を探す。
ここで幕が下りる。
心情をよりリアルに表すため、舞台に上がる前に、役者たちには彼らの夕食が勇者甲に盗まれたと想像してもらおう。)
悪龍:騒がしい小人じゃ。
姿も見んうちに、気分を害されるとはの。
傍白:猛暑にも負けぬ勢いで悪龍を追いかけてきたのは、武勇に名高き英傑であった。
(勇者甲が剣を持って登場。
意気揚々と、得意げな感じ。
スポットライトを彼に当てること。)
勇者甲:ハッ!
俺は随分有名みたいだ。
悪龍でさえ、怯んで魂が抜けたらしい。
悪龍:小人のくせに大口を叩きおる。
善龍も放っておけんのう。
勇者甲:やっと現れたな悪龍!
探す手間が省けたぜ!
(勇者甲が剣を抜いて悪龍に立ち向かい、攻撃しようとする。)
悪龍:意気揚々じゃが、汝の夢はいかなるものか、垣間見てやろう。
悪龍:ふむ――
(勇者甲を観察し、感慨深い表情を浮かべる。)
勇者甲:悪龍、なぜ黙る?
さては、俺の夢が偉大すぎて、呑み込めないんだな。
(勇者甲を観察し、感慨深い表情を浮かべる。)
勇者甲:悪龍、なぜ黙る?
さては、俺の夢が偉大すぎて、呑み込めないんだな。
傍白:名高き英傑と悪龍が対峙していると、心配した姫様一行がようやく辿り着いた。
傍白:無名の侍従も戦場にを光らせ、英傑の言葉に闘志を掻き立てられていた。
(レオン登場。
勇者甲を見ながら、セリフを言う。
忠実な侍従:恐れなどないようで、羨ましい。
私にも勇気を示せる機会があれば…
勇者甲:おい、悪龍!
話すのも怖いのか?
この期に及んで怖気付いたか!
悪龍:この夢は大きく見えるが空虚じゃ。
心配せずとも、悪…
善龍であるワシは、食すかどうか迷っておるだけじゃ。
テム勇者甲:口さがないやつめ!
敵に回っただけで、よくも俺を貶してくれたな!
勇者甲:尊敬できる相手だと思っていたのに、こんなに陰険な策に出るとは。
勇者甲:英傑である俺は、決してお前の奸智に屈しない。
悪龍よ、恥を知れ!
(勇者甲が前に進み、悪龍と交戦しようとする。
悪龍は疲れたようにあくびをする。)
傍白:彼の熱弁に、姫も今まで押し殺してきた心の炎を抑えられなくなった。
(勇敢な姫様が登場!
このシーンでは彼女の輝かしい印象を強調していないが、それでもスポットライトは必要。
また、「心の炎を抑えられない」というのはあくまでも比喩なので、実際に舞台を燃やさないように。
ところで、ライトの色を団長の手稿赤にする方法はないだろうか?
ふむ、ヴァルベリーの果汁を塗ってみるか…)
姫:平和な寝室にはとうに飽いた。
いつになれば、最前線で共に戦えるの?
心配せずとも、悪…
善龍であるワシは、食すかどうか迷っておるだけじゃ。
テム勇者甲:口さがないやつめ!
敵に回っただけで、よくも俺を貶してくれたな!
勇者甲:尊敬できる相手だと思っていたのに、こんなに陰険な策に出るとは。
勇者甲:英傑である俺は、決してお前の奸智に屈しない。
悪龍よ、恥を知れ!
(勇者甲が前に進み、悪龍と交戦しようとする。
悪龍は疲れたようにあくびをする。)
傍白:彼の熱弁に、姫も今まで押し殺してきた心の炎を抑えられなくなった。
(勇敢な姫様が登場!
このシーンでは彼女の輝かしい印象を強調していないが、それでもスポットライトは必要。
また、「心の炎を抑えられない」というのはあくまでも比喩なので、実際に舞台を燃やさないように。
ところで、ライトの色を団長の手稿赤にする方法はないだろうか?
ふむ、ヴァルベリーの果汁を塗ってみるか…)
姫:平和な寝室にはとうに飽いた。
いつになれば、最前線で共に戦えるの?
悪龍:反論が面倒だっただけじゃが、善龍たるワシは追い詰められんとしている。
悪龍:前菜を食べ過ぎると食欲が減るが、こだわらずともよいじゃろう。
傍白:そう言って悪龍は英傑の夢を丸呑みにし、みなを驚愕させた。
(漆黒の光が勇者甲の鎧から放たれる。
悪龍は翼を高く広げて身をかがめ、黒の光を喰らいつくす!
勇者甲は地面に倒れ、宝剣を投げ捨てて呆然とする。
倒れるとき、動作はなるべく軽く、背景を倒さないように――
何しろ、勇者甲は鎧を着ているため。)
悪龍:思った通り、サクサクとして、食感だけは最高じゃ。
(悪龍は満足げに唇を舐め、場外へ飛んでいく。)
姫:英傑があっさり倒されるなんて。
彼は本物でなく、ただ演説に秀でた者だったのね。
忠実な侍従:名声に見合う実力を持っていなかったようです。
(悪龍は満足げに唇を舐め、場外へ飛んでいく。)
姫:英傑があっさり倒されるなんて。
彼は本物でなく、ただ演説に秀でた者だったのね。
忠実な侍従:名声に見合う実力を持っていなかったようです。
虚勢を張れば、いずれ辛酸を舐める。
傍白:悪龍の腹は満たされず――
傍白:悪龍の腹は満たされず――
一行はただ彼の飛び去って行く姿を見送った。
(ここで幕を下ろす。
観衆に姫様の勇姿を見せるため、幕が完全に下りるまで、姫は舞台の中央に立ち続けること!)
(ここで幕を下ろす。
観衆に姫様の勇姿を見せるため、幕が完全に下りるまで、姫は舞台の中央に立ち続けること!)
インタールード・其の二
(王城。
城門のところ、旗が風にはためいて音を鳴らし、威厳と壮大さを醸し出す。
悪龍は窓から劇場に飛び入り、城門の前に着地して周囲を見渡す。
城門のところ、旗が風にはためいて音を鳴らし、威厳と壮大さを醸し出す。
悪龍は窓から劇場に飛び入り、城門の前に着地して周囲を見渡す。
城壁に着地したほうがよりいい表現になるが、舞台セットが悪龍の重さに耐えきれないかもしれないので、やはり城門の前に着地で!)
傍白:飛び去った悪龍は、城門近くで休むことにした。
悪龍:昼間なのに、守衛がおらん。
死を恐れたんじゃろうか。
傍白:飛び去った悪龍は、城門近くで休むことにした。
悪龍:昼間なのに、守衛がおらん。
死を恐れたんじゃろうか。
傍白:悪龍が堂々とここで休んでいると、すぐに姫様一行が追いついてきた。
傍白:最初に悪龍を見つけたのは、最前列で道を切り開く忠実な騎士だ。
(レオンが登場し、セリフを観客に向かって発する。)
忠実な侍従:(決意)
なんて傲慢な悪龍だ。
姫様に近づけないと、私は陛下に約束した!
忠実な侍従:(やや心配)
旅立ちの時、自信満々だった策士なら、良い手があるかもしれない。
傍白:最初に悪龍を見つけたのは、最前列で道を切り開く忠実な騎士だ。
(レオンが登場し、セリフを観客に向かって発する。)
忠実な侍従:(決意)
なんて傲慢な悪龍だ。
姫様に近づけないと、私は陛下に約束した!
忠実な侍従:(やや心配)
旅立ちの時、自信満々だった策士なら、良い手があるかもしれない。
忠実な侍従:何せ、どんな困難や危機も、無事に乗り超えてきたらしい。
忠実な侍従:無謀な者は無謀ゆえに損失を受けた。
お考えの深い策士こそ、知恵を持つはずだ。
忠実な侍従:万全な策がないまま、悪龍に挑むべきじゃない。
傍白:忠実な侍従は気を抜かず、見た情報を他の者に囁いた。
忠実な侍従:無謀な者は無謀ゆえに損失を受けた。
お考えの深い策士こそ、知恵を持つはずだ。
忠実な侍従:万全な策がないまま、悪龍に挑むべきじゃない。
傍白:忠実な侍従は気を抜かず、見た情報を他の者に囁いた。
傍白:「悪龍が休んでいるうちに、じっくり策を練りましょう」。
傍白:すると、姫は悪龍を起こさないよう、そっと近づいた。
傍白:すると、姫は悪龍を起こさないよう、そっと近づいた。
(姫登場。
レオンの前に立ち、観客の方へセリフ。)
レオンの前に立ち、観客の方へセリフ。)
姫:策士の言はもっともね。
無謀な戦いをしてはいけない。
姫:あなたが悪龍に気づいたおかげで、主導権を握れるわ。
忠実な侍従:もったいないお言葉です。
責務を全うしただけですから。
姫:いいえ、賞罰を公平に与えるのは当然のこと。
名誉を謙遜する必要はないわ。
姫:策士が着いてきませんね。
よろよろと歩いて、何か困りごとかしら?
忠実な侍従:悪龍の災いを鎮める、いい案があるそうです。
良策が多すぎて迷っているのやも。
忠実な侍従:もったいないお言葉です。
責務を全うしただけですから。
姫:いいえ、賞罰を公平に与えるのは当然のこと。
名誉を謙遜する必要はないわ。
姫:策士が着いてきませんね。
よろよろと歩いて、何か困りごとかしら?
忠実な侍従:悪龍の災いを鎮める、いい案があるそうです。
良策が多すぎて迷っているのやも。
傍白:しかし何を言っても慎重な策士は無言のままで、冴えない表情をしていた。
(勇者乙が登場。
怖がっており、緊張している。)
勇者乙:……
忠実な侍従:勇者さま、悪龍はすぐそこ。
どうか妙策をご教示ください。
どうか妙策をご教示ください。
勇者乙:…み、妙策?
よ、予想した状況とかけ離れていて、策の修正に時間がかかりそうだ…
悪龍:ははっ!
構やせん、夕方まで、策を練るには十分な時間じゃろう。
(城門の前で匍匐していた悪龍が突然頭を上げて、空に向かって火を噴く!
ただし、旗を燃やさないように注意。
舞台セットに耐火性はないから、本当に燃えてしまったら面倒だ。)
よ、予想した状況とかけ離れていて、策の修正に時間がかかりそうだ…
悪龍:ははっ!
構やせん、夕方まで、策を練るには十分な時間じゃろう。
(城門の前で匍匐していた悪龍が突然頭を上げて、空に向かって火を噴く!
ただし、旗を燃やさないように注意。
舞台セットに耐火性はないから、本当に燃えてしまったら面倒だ。)
姫:悪龍が喋った?
狸寝入りで、私たちが引っかかるのを待っていたのね!
勇者乙:あっ!
(勇者乙が真っ青になって舞台から逃げ出す。
人々は呆然とした表情。)
傍白:勇者乙はすっかり怯えて、慈悲を乞うように地面に突っ伏した。
傍白:そして「ごめんなさい」と呟くと、躊躇なく城門へと団団長の手稿逃げて行った。
傍白:姫と忠実な侍従は慌てて後を追い、残された悪龍は失笑してしまった。
悪龍:(さげすむ)
国王ときたら、散々抵抗しおると思ったが、なんとも愉快で腹いっぱいじゃ。
傍白:姫と忠実な侍従は慌てて後を追い、残された悪龍は失笑してしまった。
悪龍:(さげすむ)
国王ときたら、散々抵抗しおると思ったが、なんとも愉快で腹いっぱいじゃ。
傍白:忠実な侍従に逃げた策士を探させ、姫は悪龍の監視に戻った。
(セリフはないが、姫にスポットライトを当てる。)
姫:(観客の方を向いて独白する)
まさか策士は口だけで、役立つ策なんて出せないの?
ならどうやって国の平和を守れば…
姫:奇襲で討伐できたはずが、今はあちらが鋭気を養って待ち伏せている。
姫:策士が逃げたせいで、私の侍従も後を追っているわ。
姫:守衛のいない城の門は開け放たれて、無防備な姿を晒している。
傍白:遅れて来た老練な守衛は酔っていたが、足取りはしっかりしていた。
(老練な守衛が登場する)
老練な守衛:…ヒック。
酒池肉林に女、平和な時代は実に良かった。
老練な守衛:裕福な家の偉いやつらは、俺たち小者の苦労な剣を持つ女!
んざ知る由もない。
老練な守衛:何が悪龍で策士だ、でたらめに過ぎんさ。
老練な守衛:も耳も衰えて、手は震えるし腰も痛い。
絶対に俺の出る幕じゃないよな?
傍白:若い守衛が小さな「教え」を受けたが、王国を守りたい気持ちは変わらなかった。
(若い守衛が登場する。)
若い守衛:姫様のために!
あの悪龍を許さない!
若い守衛:策士は尻尾を巻いて逃げ出すし、酔っぱらいの先輩も信用できない。
僕しかいない!
若い守衛:前線に立って、危機に瀕した王国を救い出し、貪欲な悪龍を駆除するんだ!
若い守衛:(剣を抜いて前に立つ)
悪龍よ!
遺言があるなら、今のうちだぞ?
悪龍:(愉快な)
よいぞ!
その腕、善龍たるワシに見せてみよ!
(悪龍が再び空に舞い上がり、若い守衛を見下ろす。
守衛は一瞬の躊躇いもなく弓矢を手に取り、空に浮かぶ悪龍に向かって射る。
ただ、本当に矢を放つのは危険であるため、人に当たらないよう、動きだけ真似するように!)
あの悪龍を許さない!
若い守衛:策士は尻尾を巻いて逃げ出すし、酔っぱらいの先輩も信用できない。
僕しかいない!
若い守衛:前線に立って、危機に瀕した王国を救い出し、貪欲な悪龍を駆除するんだ!
若い守衛:(剣を抜いて前に立つ)
悪龍よ!
遺言があるなら、今のうちだぞ?
悪龍:(愉快な)
よいぞ!
その腕、善龍たるワシに見せてみよ!
(悪龍が再び空に舞い上がり、若い守衛を見下ろす。
守衛は一瞬の躊躇いもなく弓矢を手に取り、空に浮かぶ悪龍に向かって射る。
ただ、本当に矢を放つのは危険であるため、人に当たらないよう、動きだけ真似するように!)
傍白:激戦の幕が切られたところに、忠実な侍従がやっと戻って来た。
(レオンがさっと登場する。
この時、観客たちには若い守衛と悪龍に注してもらうため、一応スポットライトを当てておこう。)
忠実な侍従:策士が見つからず…
血気盛んな若者が不覚をとっていませんように。
忠実な侍従:あっ、一歩遅かった!
私は姫様を守らねばならないのに!
傍白:嘆いても遅い。
すでに悪龍は彼に興味を持ってしまっていた。
(悪龍は疾風迅雷の勢いで若い守衛に向かって急降下する。
守衛は慌てて弓を捨て、剣を抜いて応戦するが、激しい競り合いの末、若い守衛はとうてい悪龍には敵わず、吹き飛ばされてしまう。
悪龍がそれを追いかけ、勝ちに乗じて守衛の鎧から溢れ出す黒い光を満足気に飲み込む。
この戦闘には凄いエフェクトを使う!
例えば、守衛の刃と悪龍の鋭い爪がぶつかった時、悪龍にこっそり火を噴かせて火花が散るような効果とか…)
この時、観客たちには若い守衛と悪龍に注してもらうため、一応スポットライトを当てておこう。)
忠実な侍従:策士が見つからず…
血気盛んな若者が不覚をとっていませんように。
忠実な侍従:あっ、一歩遅かった!
私は姫様を守らねばならないのに!
傍白:嘆いても遅い。
すでに悪龍は彼に興味を持ってしまっていた。
(悪龍は疾風迅雷の勢いで若い守衛に向かって急降下する。
守衛は慌てて弓を捨て、剣を抜いて応戦するが、激しい競り合いの末、若い守衛はとうてい悪龍には敵わず、吹き飛ばされてしまう。
悪龍がそれを追いかけ、勝ちに乗じて守衛の鎧から溢れ出す黒い光を満足気に飲み込む。
この戦闘には凄いエフェクトを使う!
例えば、守衛の刃と悪龍の鋭い爪がぶつかった時、悪龍にこっそり火を噴かせて火花が散るような効果とか…)
傍白:無謀な行動に出た守衛の夢を、悪龍はいとも簡単に呑み込んだ。
若い守衛:うぅ…
普段から自分の力を見極めていれば、こんな結果には…
悪龍:腹を満たすほどではないが、満足できる前菜じゃ。
悪龍:量は寂しいが、味は称賛に値する。
悪龍:食前の楽しみがこれほどあれば、晩餐はさらに美味になるじゃろう。
傍白:悪龍はみなの叫びに耳も貸さず、舌鼓を打って城門から飛び去っていく。
(悪龍が舞台を飛び去っていく。
人々は呆然と悪龍の消えていった姿を眺める。
閉幕。)
インタールード・其の三
(郊外、村。
開幕前に舞台裏で薪を燃やせば、煙で雰囲気を作っておけそうだ。)
開幕前に舞台裏で薪を燃やせば、煙で雰囲気を作っておけそうだ。)
傍白:姫様一行は悪龍の追討を誓い、郊外にやってきた。
傍白:忠実な侍従が先頭で、文句も言わず宗匠の荷物を運ぶ。
傍白:自称百戦錬磨の「龍殺しの宗匠」は彼を見下すが、侍従はそれを受け流す。
(レオンは華麗に飾り立てられた重い宝箱を担ぎ上げ、苦労して舞台に上がる。)
忠実な侍従:無数の龍を殺めてきた彼に対し、私は無名の侍従。
荷運びくらいしかできません。
忠実な侍従:石の中のこの剣は秘宝中の秘宝。
選ばれし英雄にしか操れません。
忠実な侍従:百戦錬磨の龍殺しの宗匠が、剣で悪龍をどう裁くのか、実に見物です。
(悪龍は遠方から飛んできて、咆哮しながら炎を噴く。
舞台上にある装飾用の日暮れセットを燃やす。
日暮れの隣に防火パネルが設置してあるかどうか、事前に確認すること。
事故防止のため、また観客からの苦情を避けるため、防火パネルが設置していなかった場合、日暮れを省略する必要あり。)
舞台上にある装飾用の日暮れセットを燃やす。
日暮れの隣に防火パネルが設置してあるかどうか、事前に確認すること。
事故防止のため、また観客からの苦情を避けるため、防火パネルが設置していなかった場合、日暮れを省略する必要あり。)
傍白:その時、村で一休みしようと悪龍が舞い降りて来た。
悪龍:どれどれ、黄金の夢はどこじゃろうな?
悪龍:どれどれ、黄金の夢はどこじゃろうな?
(勇者が登場。
レオンの後ろを手ぶらでついてくる。)
勇者丙:悪龍よ。
俺の肩書きを知るならば、さっさと去るがいい!
悪龍:使い古された決まり文句じゃの、笑ってしまうわ。
勇者:俺は見識があるから、大目に見てやる。
だが、気を付けろ。
勇者丙:俺が真の力を見せた時、後悔しても遅いからな。
悪龍:ははっ、実力もないくせに、大口を叩きおる。
悪龍:真の実力があるならば、善龍たるワシに見せてみよ。
勇者:俺は見識があるから、大目に見てやる。
だが、気を付けろ。
勇者丙:俺が真の力を見せた時、後悔しても遅いからな。
悪龍:ははっ、実力もないくせに、大口を叩きおる。
悪龍:真の実力があるならば、善龍たるワシに見せてみよ。
傍白:そこへ、尊いお方も足跡を辿ってやってきた。
(スポットライトが舞台を端から一周なぞり、最後に姫を照らす。
勇敢なる姫様の再登場だ!)
姫:悪龍を王国から追い出すのは、私の役。
勇者丙:尊い姫様よ、悪龍に挑む許可をくれ。
勇者丙:幾度も戦い、宝を手にしてきた俺にとっちゃ、お安いご用だ。
(スポットライトが舞台を端から一周なぞり、最後に姫を照らす。
勇敢なる姫様の再登場だ!)
姫:悪龍を王国から追い出すのは、私の役。
勇者丙:尊い姫様よ、悪龍に挑む許可をくれ。
勇者丙:幾度も戦い、宝を手にしてきた俺にとっちゃ、お安いご用だ。
姫:許します。
凶暴ですから、どうか気を付けて。
勇者:谷に潜む毒龍を倒したときの財宝から、一番貴重な団長の手稿のを選んできた。
(マントをなびかせる)
勇者丙:このマントがあれば、誰にも俺が見えまい。
(観客がマントに注した瞬間、勇者丙が突然姿をくらます!)
(マントをなびかせる)
勇者丙:このマントがあれば、誰にも俺が見えまい。
(観客がマントに注した瞬間、勇者丙が突然姿をくらます!)
勇者丙:人混みの中から、奇襲されようとしてるとは思わねぇだろ!
悪龍:強いのかと思いきや、無意味な潜伏とは。
悪龍:もしやこれは茶番か?
臆病者が逃げようとしておるだけやもしれん。
悪龍:もしやこれは茶番か?
臆病者が逃げようとしておるだけやもしれん。
傍白:透明マントで隠れた彼を――
誰が慧眼で見つけられるのか?
勇者丙:よくも俺の名声を汚してくれた。
熟練者に、恐れるものなし!
勇者丙:よくも俺の名声を汚してくれた。
熟練者に、恐れるものなし!
勇者:立ち去るよう促したのに、好意を無にするとは…
流石悪龍だ。
勇者丙:奥の手を使わせて、後悔しても遅いぞ。
悪龍:無駄に頭を絞らずとも、見せるものがあるならばさっさと見せろ。
勇者丙:こ、ここじゃ不便だ。
向こうでな!
傍白:悪龍は何も言わず、笑ったのか、笑わないのか――
流石悪龍だ。
勇者丙:奥の手を使わせて、後悔しても遅いぞ。
悪龍:無駄に頭を絞らずとも、見せるものがあるならばさっさと見せろ。
勇者丙:こ、ここじゃ不便だ。
向こうでな!
傍白:悪龍は何も言わず、笑ったのか、笑わないのか――
ともかく、彼に同意した。
(閉幕。
幕が下りてから、舞台のセットを少し変える。
日暮れセットの火を消すのを忘れないで!)
(閉幕。
幕が下りてから、舞台のセットを少し変える。
日暮れセットの火を消すのを忘れないで!)
傍白:悪龍はすぐに、宗匠が指定した場所へ降り立つ。
傍白:姫様とその忠実な侍従も、小走りで後を駆けてきた。
傍白:宗匠は逡巡する…
何か、策を練っているらしい。
何か、策を練っているらしい。
(勇者登場。
石に刺さった剣の周囲をうろうろするが、剣を抜こうとはしない。)
勇者丙:…悪龍よ、見せてやろう。
龍殺しのやり方を!
勇者丙:氷原を越え、山を登り、秘境に潜り、強欲な龍を討ち…
勇者丙:俺は、真の英雄にしか握れない唯一の宝剣を手に入れた。
勇者丙:察するならばこの場を去れ。
さもないと、鋭利な宝剣は龍の鱗をも貫くぞ。
悪龍:ははははっ、小賢しい真似を。
小人よ、無駄な努力はやめい。
悪龍:ワシは躱さんし避けんぞ。
剣を抜いて、思う存分斬ればよい。
勇者丙:察するならばこの場を去れ。
さもないと、鋭利な宝剣は龍の鱗をも貫くぞ。
悪龍:ははははっ、小賢しい真似を。
小人よ、無駄な努力はやめい。
悪龍:ワシは躱さんし避けんぞ。
剣を抜いて、思う存分斬ればよい。
傍白:野次馬の村人たちは珍しがった。
腕が鳴り、正体を確団長の手稿かめんとする者もいた。
傍白:立ち向かう農民――
腕が鳴り、正体を確団長の手稿かめんとする者もいた。
傍白:立ち向かう農民――
農具に慣れた手は、果たして剣の柄を握れるだろうか?
(農夫登場。
農具を投げ捨てて、剣の傍に。)
農夫:体力と気力なら、王宮のやつらに必ずしも劣らない。
(農夫は渾身の力で剣を抜こうとするが、びくともしない。)
(農夫登場。
農具を投げ捨てて、剣の傍に。)
農夫:体力と気力なら、王宮のやつらに必ずしも劣らない。
(農夫は渾身の力で剣を抜こうとするが、びくともしない。)
農夫:はっ!
ダメだ、力には自信があったが、こいつは無理だ。
傍白:渾身の力を込めても、石の中の剣は微動だにしなかった。
傍白:姫様と忠実な侍従はそれぞれの理由で、挑戦を見送った。
傍白:黙って見てきた悪龍も、遂に我慢の限界に達す。
悪龍:(退屈そうに)
はぁ、口争いにはもう飽いた。
いつになれば、真の腕を見せてくれるんじゃ?
ダメだ、力には自信があったが、こいつは無理だ。
傍白:渾身の力を込めても、石の中の剣は微動だにしなかった。
傍白:姫様と忠実な侍従はそれぞれの理由で、挑戦を見送った。
傍白:黙って見てきた悪龍も、遂に我慢の限界に達す。
悪龍:(退屈そうに)
はぁ、口争いにはもう飽いた。
いつになれば、真の腕を見せてくれるんじゃ?
悪龍:先延ばしせずに、今すぐ剣を抜くがよい!
勇者:りゅ…龍殺しの宗匠は、言いなりになどならない。
悪龍:熟練の龍殺しなんぞ、どこにおる?
口だけは確かに他より回るがの。
悪龍:宗匠などと笑わせおって。
そこな子供に聞けばよい。
汝のことを見抜いておるわ。
勇者:りゅ…龍殺しの宗匠は、言いなりになどならない。
悪龍:熟練の龍殺しなんぞ、どこにおる?
口だけは確かに他より回るがの。
悪龍:宗匠などと笑わせおって。
そこな子供に聞けばよい。
汝のことを見抜いておるわ。
傍白:悪龍の言う通り、小人の小人も、鎧の下の本心を見抜くのだろうか?
(子供登場。
悪龍を見て、勇者丙を眺める。)
子供:歌の中の悪龍だ!
思ったより大きい!
…でも怖くないよ!
子供:ピカピカの鎧、なんで震えてるの?
そんなに口を開けてるのに、何も話さないの?
悪龍:間食は本意ではないが、せっかく届いた菓子に手を付けん道理はないのう。
傍白:悪龍は大口を開けて、龍殺しの宗匠の夢を呑み込んだ。
(勇者はその場に立ちつくす。
恐怖のあまり身動きができない。
悪龍は高く舞い上がり、少なくとも50メートルほど行ったところで急降下し、舞台を揺るがすほどの大きな咆哮を上げ、勇者の鎧から漏れる黒い光を呑み込む。
勇者丙はじっと動かず、石の中の剣は彼自身の手によって投げ捨てられてしまっている。
投げるときには舞台道具を傷つけなものもあり、きっと採用されなないよう、そっと投げるように。)
悪龍:チッ、思った通り、腐り果てた夢は理想的な食べ物とは言えぬ。
悪龍:こやつの夢は腐ったリンゴ、喰うても歯が浮くだけじゃ。
(勇者はその場に立ちつくす。
恐怖のあまり身動きができない。
悪龍は高く舞い上がり、少なくとも50メートルほど行ったところで急降下し、舞台を揺るがすほどの大きな咆哮を上げ、勇者の鎧から漏れる黒い光を呑み込む。
勇者丙はじっと動かず、石の中の剣は彼自身の手によって投げ捨てられてしまっている。
投げるときには舞台道具を傷つけなものもあり、きっと採用されなないよう、そっと投げるように。)
悪龍:チッ、思った通り、腐り果てた夢は理想的な食べ物とは言えぬ。
悪龍:こやつの夢は腐ったリンゴ、喰うても歯が浮くだけじゃ。
(悪龍は少し嫌そうな顔で牙を綺麗にし、村を飛び去っていく。
忠実な侍従と観衆は唖然とし、姫は軽くため息をつく。)
忠実な侍従:あっ!
宗匠が負けてしまいました。
姫:戦いの話はただの自慢だったのね。
饒舌は彼を救わなかった。
傍白:夢を失った、無力な「龍殺しの宗匠」だけを残して、悪龍は飛び去った。
(幕が閉じる。
観客の注意が姫に向かわないよう、悪龍が去るのを待ってから幕を閉じるように。)
フィナーレ(王都の郊外。
姫と忠実な侍従が悪龍の眠る洞窟にやってくる。)
姫:西に太陽が沈み、東に弦月が昇ろうとしている。
姫:期限が迫る中、私はまだ旅の的をなし終えていない。
姫:名高き勇者たちは、ついに現状を変えることはできなかった。
姫:出発前、私は自ら悪龍を討伐すると誓った…
姫:なのに今になって、この誓いが人に笑われないか心配している…
忠実な侍従:姫様が役に悩んでおられる。
忠実な侍従として、悩みを分かち合わねば。
忠実な侍従:私は肩書きすらありません。
王宮にいられたのは、姫様の重用のおかげです。
忠実な侍従:勇者についてはともかく、姫様のお人柄や勤勉さはよく存じ上げています。
忠実な侍従:姫様、どうかご自分を軽蔑しないでください。
これを機に、「勇者」たちの過ちを考えましょう。
姫:その言葉、一理あるわ。
彼らの言動を思い出してみましょう。
姫:名高き勇者たちは、ついに現状を変えることはできなかった。
姫:出発前、私は自ら悪龍を討伐すると誓った…
姫:なのに今になって、この誓いが人に笑われないか心配している…
忠実な侍従:姫様が役に悩んでおられる。
忠実な侍従として、悩みを分かち合わねば。
忠実な侍従:私は肩書きすらありません。
王宮にいられたのは、姫様の重用のおかげです。
忠実な侍従:勇者についてはともかく、姫様のお人柄や勤勉さはよく存じ上げています。
忠実な侍従:姫様、どうかご自分を軽蔑しないでください。
これを機に、「勇者」たちの過ちを考えましょう。
姫:その言葉、一理あるわ。
彼らの言動を思い出してみましょう。
傍白:中身のない身の程知らず…
口ばかりで結果も出せなかった者…
姫は思い出した。
(勇者甲登場。
気落ちし、肩を落として観客の方を向く。
スポットライトが彼に当たる。)
勇者甲:俺は英傑を自称していたが、実はただの身の程知らずで――
それを見抜かれた。
勇者甲:強敵に対峙できる実力などない。
だが、脆い沽券も捨てがたかった。
勇者甲:口が悪い?
ただ、他人に舐められるのを怖がっていただけだ。
(スポットライトが姫にあたる。)
姫:悪龍の言う通り、英傑の夢は見掛け倒しだったわ。
姫:度胸はあったけれど、見合う実力を持たなかった。
勇者甲:強敵に対峙できる実力などない。
だが、脆い沽券も捨てがたかった。
勇者甲:口が悪い?
ただ、他人に舐められるのを怖がっていただけだ。
(スポットライトが姫にあたる。)
姫:悪龍の言う通り、英傑の夢は見掛け倒しだったわ。
姫:度胸はあったけれど、見合う実力を持たなかった。
姫:度胸はあったけれど、見合う実力を持たなかった。
劇団団長の手稿傍白:万全の策があると誓っておきながら、戦いで逃げたしたのは誰か?
姫は思い出した。
(勇者乙登場。
怯えた様子で観客と向き合う。
スポットライトが彼に当たる。)
勇者乙:保身のために役目を他人に投げ、逃げることしか考えてなかった。
勇者乙:妙策が思い付くと思ったが、「どうやったら逃げら劇剣を持つ王女
れるか」しか考えられなかった。
勇者乙:危機を乗り越えてきた?
…毎回、恥知らずにも仲間を見捨ててきたことをみな知らなかっただけだ。
(ここでもスポットライト!)
姫:策士の彼に、策は一つもなかったわ。
危機を前に、責任を全うできなかった。
姫:慎重さは大切だけど、責務を放棄し、危ない橋は他人に渡らせるなんて…
言葉にできないわ。
傍白:大口は叩くが現実を恐れ、過去の栄光を披露するばかりであったのは誰か?
姫は思い出した。
姫は思い出した。
(勇者丙登場。
恥ずかしそうに観客の方を向く。
スポットライトが彼に当たる。)
勇者丙:歴戦の収穫は、俺が本物だと証明してくれる。
実力差の大きいやつと戦いたくなかっただけだ。
勇者丙:リスクを避けて利をとるのは本能だろ。
もう功績は上げたし、国に命を捧げる理由なんかない。
いだろう。
(スポットライトが姫にあたり、勇者三名退場。)
姫:彼の経歴が本物かどうかはさておき、過去の栄光に縋るのは褒められないわ。
姫:彼の精神はとうに腐り…
気高さと夢を忘れてしまった。
さらに彼はその忘失さえも誇った。
さらに彼はその忘失さえも誇った。
(姫は、手にした細身の剣をそっと撫でながら、顔を上げて遠くの空を眺める。)
姫:ああっ、彼らは使命を果たせなかったかもしれないけど、私こそ…
姫:ああっ、彼らは使命を果たせなかったかもしれないけど、私こそ…
姫:決心とこの細剣のみで、どうやって悪龍に立ち向かうと言うのでしょう?
(レオンは姫の方へ歩いていく。
決心を見せるため、かすかに頷く。)
忠実な侍従:私は、姫様のお傍にいた傍観者に過ぎませんが。
(レオンは姫の方へ歩いていく。
決心を見せるため、かすかに頷く。)
忠実な侍従:私は、姫様のお傍にいた傍観者に過ぎませんが。
忠実な侍従:高みの見物を決め込む、志だけのお方ではない。
忠実な侍従:仲間を危機にさらす、薄情者でもありません。
忠実な侍従:姫様の前向きさと勤勉さ、そして黄金の夢は、私にもはっきり見えます。
忠実な侍従:仲間を危機にさらす、薄情者でもありません。
忠実な侍従:姫様の前向きさと勤勉さ、そして黄金の夢は、私にもはっきり見えます。
忠実な侍従:私の尊い姫よ、どうかご自分を軽蔑なさらないで。
自分を、自分の夢を信じましょう。
忠実な侍従:あなたならきっと、悪龍を討ち倒せます!
(幕を下ろす。
再び幕が上がると、悪龍は動揺した様子で洞窟に佇んでいる。
悪龍が登場するとき、くれぐれも幕を切り裂かせないように注意!)
自分を、自分の夢を信じましょう。
忠実な侍従:あなたならきっと、悪龍を討ち倒せます!
(幕を下ろす。
再び幕が上がると、悪龍は動揺した様子で洞窟に佇んでいる。
悪龍が登場するとき、くれぐれも幕を切り裂かせないように注意!)
傍白:約束の時間はもうすぐだ。
悪龍は待ちきれず、「餓龍」と成り果てていた。
悪龍:昼間に「間食」をたくさんしたが、正餐の代わりにはならぬ。
悪龍:おやつはあくまでもおやつ。
味が違おうとも、腹をひととき満たせるに過ぎん。
悪龍:それに、美味いとも言えんかった――
むしろ吐くくらいのもんじゃ。
悪龍:もう黄金の夢しか、ワシを満たすことはできんじゃろう。
悪龍:もう黄金の夢しか、ワシを満たすことはできんじゃろう。
(レオンは足音を立てないようそっと舞台に戻る。
悪龍は腹を撫でており、気付かない。)
傍白:侍従は悪龍を観察するため、そっと近づいた。
敬愛するお方のためなら、恐れることなどない。
忠実な侍従:これは王様との約束のためだけじゃない…
忠実な侍従:ただ彼女の夢が叶うことを祈っているから。
今の状況では難しいかもしれないが…
悪龍は腹を撫でており、気付かない。)
傍白:侍従は悪龍を観察するため、そっと近づいた。
敬愛するお方のためなら、恐れることなどない。
忠実な侍従:これは王様との約束のためだけじゃない…
忠実な侍従:ただ彼女の夢が叶うことを祈っているから。
今の状況では難しいかもしれないが…
忠実な侍従:あれ?
悪龍の様子がおかしい。
胸を塞いで何かを呟いている?
どれどれ…
悪龍:(独り言)
食欲に抗うべきじゃった。
それに、小人を侮りすぎた…
悪龍:胃の中が狂ったようにもたれて、小人に構う余裕などありはせん。
傍白:忠実な侍従は、大喜びでその情報を姫に伝えた。
悪龍の様子がおかしい。
胸を塞いで何かを呟いている?
どれどれ…
悪龍:(独り言)
食欲に抗うべきじゃった。
それに、小人を侮りすぎた…
悪龍:胃の中が狂ったようにもたれて、小人に構う余裕などありはせん。
傍白:忠実な侍従は、大喜びでその情報を姫に伝えた。
(続いて剣を持った姫が登場。
スポットライトは姫にあたり、姫は剣を突き付けて悪龍と向き合う。)
スポットライトは姫にあたり、姫は剣を突き付けて悪龍と向き合う。)
姫:今、心は勇気に満ち溢れ、誇りを持って細剣を振り上げられるわ。
忠実な侍従:(悪龍の胸元を指しながら)
胸元です!
硬い皮のない、唯一の弱点があります!
忠実な侍従:この機を逃さず、弱った今こそ討つべきです!
姫:悪龍よ!
王国の平和のため、あなたに挑戦を挑む!
はっ!
(姫は高く跳躍し、悪龍の心臓にとどめの一突きを見舞う。
悪龍は立ち上がり、翼を広げて防ごうとするが、姫は悪龍の巨体を飛び越え、悪龍の心臓に剣が命中する!)
悪龍:くっ…!
卑怯な小人め!
硬い皮のない、唯一の弱点があります!
忠実な侍従:この機を逃さず、弱った今こそ討つべきです!
姫:悪龍よ!
王国の平和のため、あなたに挑戦を挑む!
はっ!
(姫は高く跳躍し、悪龍の心臓にとどめの一突きを見舞う。
悪龍は立ち上がり、翼を広げて防ごうとするが、姫は悪龍の巨体を飛び越え、悪龍の心臓に剣が命中する!)
悪龍:くっ…!
卑怯な小人め!
傍白:こうして姫様の渾身の一撃は、悪龍を討った。
(悪龍はバタンと倒れる。
「バタン」は効果音だけでよし!
本当にバタンと倒れたら、舞台が崩壊するので!)
(悪龍はバタンと倒れる。
「バタン」は効果音だけでよし!
本当にバタンと倒れたら、舞台が崩壊するので!)
姫:気高さと夢を諦めない限り、世界の扉は開いてくれる。
姫:忠実な侍従よ、今まで着いてきてくれてありがとう。
あなたは決して、無名の人ではないわ。
姫:最近の流行に合わせ、このような称号が相応しいでしょう。
(姫が忠実な侍従を指差すと、侍従は漆黒の光を放つ。
舞台上から沢山の羽根が舞い降りてきて、侍従は幕が閉じるとともに、ゆっくりと旋回しながら空へ飛んでいく。)
傍白:「絶望も砕け散る漆黒の翼、聖なる裁きを下す侍従」――
無名の者はついに名を手に入れた。
傍白:このように、姫は自らの手で悪龍を退治し、王国の平和を守り切ったのであった。
傍白:めでたし、めでたし。
傍白:このように、姫は自らの手で悪龍を退治し、王国の平和を守り切ったのであった。
傍白:めでたし、めでたし。
