人は立場によって心を変えるが、時には風向きに応じて舵を取るのも、一種の知恵…
解明者よ、教え給え――
真に騙されし者を。

密輸者
おい、交換する「ブツ」を持ってきたか?

宝盗団「鴉」
ああ、あんたは持ってきてくれたのか?

密輸者
うむ。
ほら、こいつに見せてやれ!

宝盗団「鴉」
どれどれ…
一、二、三…
確かに光るモノが十個。

密輸者の手下
気を付けろ、みんな偽物だ!

宝盗団「鴉」
この光るモノ…
思ったより光が弱いな…

密輸者
モノを手にしながら渡すのを渋るまいな?
取り決めは守れよ。

宝盗団「鴉」
フン、渡すだって?
あんたは信用できないと見抜いてたさ。
持ってきてないね…

宝盗団「呱」
いや、「ブツ」は持ってきたよ。
俺が持ってる。

宝盗団「鴉」
どういうことだ?
まさか…
あんた、「彼ら」の者か!

宝盗団「呱」
ふっ、すまないね。
「ブツ」を持って来るのには苦労したよ…
さあ、「ブツ」を持っていけ。

宝盗団「鴉」
日曜円す宝盗団「呱」
密輸者
では親分、「ブツ」をどうぞ。

宝盗団「呱」
な、なに?
お前ら、「彼ら」の者じゃなかったのか?

宝盗団「鴉」
俺と戦おうなんざ、百年早い!
あんたを誘い出すため、一芝居打った甲斐があったぜ。

質問者
解明者よ、見つけたか?
真に騙されし者を。

(宝盗団「呱」)

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腐敗物を啄む鴉も時に魔が差し、己に属さぬものを欲張って喰う…
解明者よ、教え給え――
貪食に支配されし者を。

料理人
しでかしたなお前たち!
ここにあったのは姫様のためのケーキだぞ!
業務上横領罪だ!

無力な守衛
長官、私は甘い物に目がありませんから疑われても仕方ありません。

横暴な守衛
俺なら正々堂々と奪って食うから、盗みなんかしないぜ。

偏食の守衛
もし僕が盗み食いするなら、クリームしか食べないよ。

職務に忠実な守衛
昨日は当番じゃないので、盗んでません!

異食症の守衛
長官。
ご存じの通り、もし私なら棚のほうを食べてましたよ。

守衛長官
呆れた物言いだな。
どいつもこいつも、弁の立つ!

質問者
解明者よ、見つけたか?
貪食に支配されし者を。

(職務に忠実な守衛)

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仕事においては、休息も大事だが、怠けてばかりはいられない…
解明者よ、教え給え――
無精で怠惰な者を。

注意深い守衛
ふむ――
この中にサボり続けた者がいる!

冷静な守衛
確かに、仕事がなかなか進まない。
海辺へ行った人はいる?

暗い顔の守衛
そういえば、赤いマフラーの鴉が海辺のほうへ行くのを見た…

気短な守衛
ああ?
そんな姿なのは俺たち二人だけだ。
俺がサボったとでも言うのか!?

暗い顔の守衛
そうは言ってない。

注意深い守衛
まあまあ…
それを話し合おう…
ちなみに、姫様に誓うが私じゃないぞ。

冷静な守衛
だったら一体誰が…

気短な守衛
こいつは誰も見ていないのに、俺を陥れようとしてるんだ!

暗い顔の守衛
ふん、おれは嘘をつかない。

質問者
解明者よ、見つけたか?
怠惰な無精者を。

(冷静な守衛)

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他人を欺く者は、えてして他人に騙される…
解明者よ、教え給え――
最後に宝を手に入れし者を。

商人
バレないようにちゃんと埋めろよ!

子分
あまり深く埋めると見失うよ…
兄貴、アレで本当にみんなを誤魔化せるの?

商人
ふん、本物を埋めてしまえば、偽物だとは誰も気付くまい!
ほら早く、偽の「光る物」を陳列しろ!

賊「敏捷」
見ろよ、ここを掘ったら光るモノが出てきたんだ。
本物か…?

賊「利発」
まさか。
へへっ、でも本物に似てるな。
あの本物とすり替えられるんじゃないか…?

商人
らっしゃいらっしゃい。
今日の商品はレアものですよ!
後ほど競りにかけますから…
是非覗いてください!
お宝は誰の手に?

賊「敏捷」
よし、すり替えた!

賊「利発」
へへ、ずらかれ!

守衛
君たち、何してる!
あっ、その光るモノはなんだ!?

賊「利発」
やべっ、バレた!
しょうがねぇ、モノを捨てて逃げろ!

守衛
ん?
これは…
本物のキラキラするものじゃないか?
賊に偽物にすり替えられるところでしたよ!

商人
白昼堂々盗人とは恐ろしい。
早く陳列台のと取り換えてくれ!

守衛
商品を陳列して、これで良し。
だが…
こっちはどうすれば?

商人
…ふん、玩具にでもすればいい。

質問者
解明者よ、見つけたか?
最後に宝を手に入れし者を。

(守衛)

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世に生まれし者は、いずれ重荷や責務を背負う…
解明者よ、教え給え――
ここで責任を負うべし者を。

気楽な鴉
天気晴朗、休憩にはもってこいの日だ…

交代した守衛
はぁ…
ずっと見張りしてたら、足が棒になっちゃった…
あっ、そこの人、ちょっと代わりに見張っててくれない?

気楽な鴉
えっ?
…ああ、なんか可哀想だし、代わってやるよ!

交代した守衛
君、僕に見張りを押し付けといて、自分はここで休憩?

サボる守衛
も…元々今日の当番は俺じゃない。

交代した守衛
そんなわけないだろ?
僕が来た時、見張ってたじゃないか。

サボる守衛
俺もたまたま通りかかって、代わってくれって頼まれたんだよ…
そしたら見張りのそいつは、パラソルの下へ休みに行った…

交代した守衛
パラソルの下…?

質問者
解明者よ、見つけたか?
責任を負うべし者を。

(気楽な鴉)

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人生は舞台、逆もまた然り。
自分は役者か観客か?
時に見失う…
解明者よ、教え給え――
すべての運命を書き記す者を。

「賊」
「でたらめ言うなよ、この光るモノは偶然拾ったんだ!」

「守衛」
「へぇ、見せろよ…
 昨日、姫様が失くしたやつにそっくりだな!?」

「賊」
「えっ、でも偶然見つけたんだぞ。
 まさか誰かの策略か?」

「守衛」
「お前を陥れようとしてか?
 ひょっとして…」
…はぁ、またセリフが飛んじゃった。

監督
しっかりしろよ、大して多くないだろ?
脚本家、次のセリフは?

「賊」
「ひょっとして、お前にそれを盗まれた賊?」だ。
横暴な感じでな。

「守衛」
「ひょっとして、お前にそれを盗まれた賊?」
…うん、覚えた。
もう一回だ!

監督
よし、じゃ最初からやるぞ!

質問者
解明者よ、見つけたか?
すべての運命を書き記す者を。

(「賊」)