(物語を聞きたいかい?よし、こっちに来て座るといい…)

やあ、若者よ。

①あなたは…?

ハハッ…
村のガキたちには鬼じぃと呼ばれてるよ。
怪談を話すのは得意だからね。
なに?
お前さんも聞きたいのかい?
ちゃんと心の準備をして、腰を抜かさないようにな!

 ❶分かった。

冥ちゃんというお嬢さんがいてな、とても可愛らしいが、運がよくなくてな、病気でなくなったんだ。
その母君はショックのあまり、毎日泣いて泣いて、家にこもるようになったんだ。
しかしある日、ノックの音が聞こえてな…
ドン、ドン、ドン…
母君はビクビクしながら、ドアを開けてみたんだ…
そこには熱々のスープと一皿の肉が置いてあって、しかし人の姿が全くないんだ…
冥ちゃんの母君は困惑しながら、匂いを辿って探したんだ…
気付いたら母君はヒルチャールの集落にいた!
ヒルチャールたちはすぐさま彼女を包囲して、彼女は思わず目を閉じてしまったんだ…
しばらくし、「タタッ…タタッ…」という音が聞こえた…
母君がゆっくりと目を開けると、そこにいたのは…
冥ちゃんが生前最も好きなダンスを踊っているヒルチャールたちだ!
その時、彼女の背中は何かに優しくぶつけられたが、そこには誰もいなくて、ただ甘く、懐かしい匂いがしたんだ…
母君の目から涙が落ちた。
死んだ冥ちゃんはひとりぼっちじゃない、友達がたくさんいるんだ…

  ❶温かい話だった…

何バカなことを言ってるんだい。
冥ちゃんは幽霊だぞ、怖くないのかい?
全く、お前さんの考えが分からないよ…

  ❷ビックリした。

へへっ…
わしの一番得意な怪談だ、失敗したことはないぞ!
何よりもすごいのは…
この話、嘘じゃないからな…
へへへっ…

 ❷やめておく…

ハッ…
お前さんなら村のガキたちよりは度胸があると思ったけどな…
まあよい…

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②さようなら。

ああ、怪談が聞きたくなったらまた来てくれ。