サマータイムオデッセイ 其の二/ありし日の春庭

2.8 修正(画像/書体/吹出)


◆不思議な船(「古より伝わる大海賊船」)
◆リス(不思議な生物はここに)
◆楓原久通
◆楓原景春

島での初日は特に何も起こらなかった。
しかし、翌日の朝からは不思議なことが…
奇妙な光景に導かれてたどり着いた島で、あるはずのない盆栽を見つけるのだった…

…翌日(6時~24時)まで休む…

…パイモンと会話する…

誰かの話し声と、驚きながらも冷静を装うパイモンの声がかすかに聞こえた…

……!
おいってば!
早く起きろよ、蛍!

>(まだ起きたくない…)
>(でもパイモンを放っておくわけにはいかない。)

良かった、やっと目が覚めたか!
なあ、良い知らせと悪い知らせがあるけど、どっちを先に聞きたい?

>……

あああ!
オイラが悪かった!
謝るから起きてくれよ!

>早く言って、心の準備はできてる。

じゃあ、まず悪い知らせからな。
実は、この島でなにか事件が起こったみたいなんだ。
で、良い知らせは…
昨日の心配していたこととはほとんど関係ないようで、今は別の問題に直面しているんだ。

>どんな問題?

???
…おっ!
目が覚めたらしいぞ!
早く見に来い!

???
怖がらせるなよ。
こいつも他の連中と変わらないと思うぜ。
人間なんて脆いもんさ。

…やあ、気分はどうだ?
体調はいいのか?

ご覧の通り、船が喋るんだ。

>もうちょっと寝た方がいいかも…

逃げるなよ!

リス
哀れなやつだぜ。
オレたちが話すのを聞いただけでこんなにビビるなんてな…

不思議な船
ハハハッ、それもしょうがないこと。
人間は俺たちみたいなやつが喋るところを、普段は目にせんからな。

待てよ、おまえら元から喋れたのか?

そりゃもちろん。
喋れないと、同族とも会話できないじゃん。

つまり、オイラたちが突然理解できるようになったってことか?
変だぞ…

それか、急に賢くなったのかもな。
おめでとさん。

おや、起きたんですね?
もうお日様の光がギラギラしていますよ。

戻ってきたのか!

ふむ。
景色もきれいで、天気もよい。
旅のおかげで、気分が癒されたでござるよ。

すべてが順調でございますね。
島の一部おかしなところを除けばですが…

ふふ…
暗黒の眷属が降臨した。
これぞ幽夜浄土が世に帰還する前兆だわ。
皆の者、喜びなさい。

お嬢様は、こんなこと見たこともないし、こんな展開になるとは思ってもいなかった、とおっしゃっています。

そんな意味じゃなかっただろ!

ああっ、これは僭越でした。
今の発言は、私自身の感想として受け止めてくださいますよう。

>何があったの?

昨晩から、恐らく島のみに…
普段は見られない奇妙な光景が広がり始めたのでござる。

ええ。
水中を泳ぐ鳥に、空飛ぶリス、そして天には時を同じくして太陽と月が昇る…
そう言ったことがたくさん。
チラっと見える風景だけでも、何となく違和感があります。

島で奇妙な羽音が聞こえたのに、アタイの周りには空飛ぶ生き物なんていなかったんだ。

うむ、それに水音や草花の香りも。
この島にはたくさんの植物があるが、この香りはそのどれとも異なる。

多分、肉眼では見えない何かだと思う…

占ってみましたが、水占の盤は混沌としていて、とても解読できません。

なんだか嫌な予感がするぞ。
まさかオイラたち…
面倒事に巻き込まれたりしてないよな。

うぅ…
この地に幽夜浄土を喚ぶと決意したのに、こんなに奇妙な光景が広がるなんて…
まさか罪深き者がわたくしを阻んでいるの…?

なぁ、もしかして、この島を改造したやつらの仕業じゃないのか?

>……
>あり得なくはない。

でもこんなことする動機がないよな…

ははっ、見てよ兄貴、死ぬほど怖がってるみてぇだぞ!

そりゃそうだろう、誰でも奇妙な出来事に遭ったら驚くさ。
俺はいろんな海域を経験してきたベテランだ。
たくさんの船乗りに声をかけてみたが、誰も反応してくれなかった。

ウンウン、こんな環境じゃなかったら、人間がオレたちと言葉を交わすなんて、想像もできないよな。

こんな環境ってどんな環境だ?

環境…
もしかして、環境の変化が私の占い結果を左右した…?

>何だか…
>夢を見てるみたい。

うぅ…
そんなこと言われても…
夢が現実になるわけないだろ?
船とリスの言葉が急に分かるのもあり得…
あっ!

どうしたんだ?

あれ、あれを見ろ!

幻覚?
いや…
幻覚にしては、あまりにも真に迫りすぎていた。

一瞬で通り過ぎましたが、先ほどの奇妙な光景とまったく同じでした!

まさか…
本当に幽夜浄土がこの世に存在するなんて…

え?
しないのか?

あっ、コ、コホン!!
おほほ、戯言よ。
幽夜浄土はわたくしの予言通り降臨した。
諸君、これこそが新たな黙示録だわ!

その通りです。
皆様、奇跡を目の当たりにし、創造の瞬間に敬意を表するときが来ましたぞ!
万歳!

ふふふふ、幽夜浄土へようこそ。

あいつ、なんだか本当に嬉しそうだな。
水を差さないでおこうぜ…

まったく驚かないとは…
さすがは冒険者、色んなものを見てきたんですね…

これが幻覚でないのなら、行って調査すべきでござる。

一つ方法を思いついたぜ。
ちょっと刺激を与えてみて、痛かったら目が覚めるはずだろ。

ふむ?
一理あるかもしれぬ。

そうだろ?
さあ万葉、アタイの顔面に一発かませ。

えっ、そんな訳にはいかぬ。
辛炎殿…
拙者が一発受けよう。

でも、アタイのパンチは痛いぞ。

それよりもこうしようぜ!
オイラたちに任せるんだ!
おい旅人、オイラにパンチさせてくれるか?

>?
>バカなの?

ハハハハハ、お前たちは面白いな。
幻覚だと?
人間にとっては、俺たちの声が聞こえるというだけで幻覚なのか?

兄貴も知ってるはずだろ?
人間は大人になると色んなことを忘れ、色んな能力を失うらしいぜ。

そうか、それは勿体ないな。

今日のようなことで笑うなどと、艦隊で働いていた頃は想像もできなかった。
おいみんな、気になるところに行ってみたいとは思わないか?

もちろんだぞ!
でも、どうしたら行けるんだ?

ほら!
見ろ!

何をですか?

もちろん俺を!
おっと、自己紹介を忘れていたな。
俺はこの海域で最も賢く、最も器用な船だ。
名前は…
好きに呼んでいいぞ。

名前がないのか?

名前など、もう忘れてしまった。
覚えているのは、稲妻から来たということだけさ。

そうか。
じゃあおまえのことを「御肉丸」って呼んでもいいか!
稲妻の名前はなんとか丸が多いからな。

御肉丸?
ははっ、かまわんぞ。

御肉丸
俺に出会えたお前たちは運がいい。
俺はどんな嵐でも乗り越えられるし、どんな波も俺の相手じゃない、だから…
乗りな、行きたいところに連れて行ってやる!

やれやれ、兄貴はいいやつだな。
オレたちをここに放り込んだ風神とはまるで大違いだぜ!

>風神?

モンドの風神のことさ。
知らなかったのか?
この島々の中には、昔モンドの山頂だったやつがある。
当時、風神は地形を整えるために、山頂を切り落としてそいつを丸ごと海に投げ捨てたんだ。
オレのひいひいひい…
もう何代前か分からねぇじいちゃんは、山頂と一緒にここまで投げられたのさ。
あの風神め!

そんなことがあったなんて!

はは、それ以来オレたち一族は代々ここに住んでる。
幸い、他にもいくつかリスの巣が投げられて来てたから、オレたちはここで王国を築いたんだ。
メリットは天敵がいないから、島のナッツが全部オレたちのものになるコト。
デメリットは…
他のどこにも行けないコト。

まさか、幽夜浄土がリスの帝国だったなんてな。

無礼者!

パイモン殿、デタラメをおっしゃってはいけませんよ。
幽夜浄土は夜鴉の国、これは常識でございます。

おい、そこの稲妻のあんちゃん、俺たち同郷同士だろ。
稲妻の男なら、海に出る勇気がないといかん。
ついてくるか?

……
海に出るというのは…
故郷を遠く離れ、遥かな土地に向かうことでござるか。

そうだ。
ありったけの勇気と、ちょっとした決心が必要だ。
二度と帰れなくなるかもしれないが、旅立たねば世界はいつまでも己の心の中だけだ。

…ふむ。
御肉丸、お主の言うことはとても正しい。
それを聞いて着いていかねば、男がすたるでござる。

皆も来るか?
拙者は、先ほどの異常現象が起きた島に行くつもりであるが。
彼からは船の匂いがする。
古き木材、水を遮る漆…
まさに稲妻の匂いだ。
それゆえ、拙者は彼のことを信じる。

ほう、みんなはどう思いますか?

オズ、わたくしのために梯子を設置して。
断罪の皇女、出航よ!

一緒に行って、みんなで見識を広めようぜ。

ハハハ、面白い!
じゃあ早速出発だ!

くれぐれも気を付けて!

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よぉ、兄弟。
その顔、まだ驚きが覚めないみてぇだな。
おっと、そんな反応するなよな。
オレだって、アンタが現れたことに驚いてないだろ?
仲良くしようぜ。
美味しいナッツを探すなら、いつでもオレに聞けよ。
いいところを教えてやるから。
ああ…
モンドって、いったいどんなところなんだろう…

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…「御肉丸」に乗る…

皆の衆、いい根性ではないか。
勇気のある若者は嫌いじゃないぞ。
いつからここにいるのだ?
ほう、これが初めてではなかったのか?
ハハハ、それは興味深い。
もうすぐだ、荷物を準備しろ。
降りるときは足元に気を付けて。

見ろ、あそこになにかあるぞ。

あれは…
皆、近づいてみるぞ。

…奇妙な光景のある島へ行く…

……
なんと、この地で相まみえようとは。

これって盆栽だよな?
シブいお盆だけど、中身はあまり手入れされてなさそうだ。

これは…
我が一族に代々伝わる盆栽であった。
以前天領奉行の倉庫で見たが、それとは様子が違う。
その時は、とうの昔に枯れた植物だけが植わっていた。

もう枯れていたのに、どうしてお盆に残されていたんですか?

きっと、「盆栽の中に秘密がある」という暗示だったのであろう。
盆栽の底には、拙者の一族の古き秘密に関する手紙があったのでござる。
手紙を読み終えた後は、盆栽を倉庫に残していったのだが。
誰が植物を片づけ、そして何故ここに置いたのか…

つまり、ご先祖さまが残した骨董品なんだろ?
何もなしで置いてあるだけなんて、ちょっと勿体ないぜ。
うーん…
そうだ。
万葉、これで何か作ってみねーか?

うむ。
なぜここに現れたのかはまだ分からぬが、試してみる価値はある。

うわぁ!?
へへ…
やっぱりそう単純じゃないよな。

>万葉は?

えっ?
そういえば、みんないるのに万葉だけがいないのか?

おーい!
万葉!
大丈夫か?
どこにいるんだ!

返事がないみたいだな。
歩きながら探してみようぜ。

この配置、まるで豪邸のような感じですね…
もしかすると、ここは危険な迷宮ではなく、誰かの家なのかもしれません。

面白い。
ここの秘密、皇女の名において解き明かして見せるわ。

…周囲を調べる…

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筆跡の綺麗な手記
本日、古書を探していたところ、偶然にも父の古い手記を見つけた。
きっと父は気にしないであろうと思い、中身を読んだが、やはり、そのほとんどが鍛冶の技術や鉱石の扱い方に関するものであった。
最後の方には盆景の設計図が描かれていた…
この盆景に対する趣味も、代々伝わるものなのであろう。
拙者の息子も、今年で六つになる。
妻の願い通り、「万葉」と名付けた。
……
妻が逝ってしまったのは、息子が生まれてまだ間もない頃であった。
もう六年も経つのかと思うと…
もしまだ妻がここにいたら、きっと庭で父の手伝いをしていたのであろう。
父は幼い頃はよい暮らしをしていたそうだが、年をとった今になって、生活の質が落ちてしまった。
改善して差し上げられず、申し訳なく思っている。
だが父は己のことよりも、拙者たちのような若者の方が重要だと仰る。

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どうやらこれは、万葉の父ちゃんが書いた手紙みたいだな。
あいつの一族は、代々盆栽を育てる習慣があったんだ。
うーん…
それにしても、万葉の父ちゃんのノートが見られるなんてレアだよな。

…装置を操作し、詳しく調査する…

…廊下のさらに奥へ探索する…

…周囲を調べる…

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一通の手紙
父・楓原景春様へ:

楓原家が崩壊してからと云うもの、拙者は荷物をまとめて生家を離れ、世界中を旅し、多くのことを学び候。
今日は海沿いの山を通り、父上が手記に描いておられた風景画を思い出し、感慨深い気持ちで御座候。
行楽は我が一族の伝統行事にはあらぬが、花を見たり、雲を眺めたりすることはもはや習慣…
此れは、曾お祖父様の始めし事で候よし。
曾祖父様が最も愛されたのは小さな木を植える事で、強靭な木の枝を好んでおられたと父上から聞き候へども、お祖父様の趣味は石也。
幼少のみぎり、裏庭にはお祖父様の集めてきた珍しい石が多く在り、当時は宝物だらけと思ひ候へども、見識が広くなった今は確信致し居り候。
あれらはお祖父様が刀の鍛冶場から持ち帰った、ただの砥石也。
あの折、拙者はその方面に殆ど知識が無く、あのどれもが宝なのだとばかり思ひ候ひぬ。
しかれども、生きる中で、それほどの数の宝が存在するわけもなく…
…拙者は山の日陰で休みつつ、この文を書き候。
この後、この文を燃やし、渓流の水で残り火を消したく存じ候。
さすれば、この文もきっと父上の元に届くと願い候。
父上がいなくなってから、拙者は使用人を解雇し、一部の家具をも片づけ候。
ふところは豊かとは言えぬが、生きるには十分也。
されども、我が家の盆景はままならぬ最後を送るもの也。
曾祖父様が残した遺物以外の価値あるものはすべて、借金の弁済に当て候。
天領奉行に押収されたこともあったが…
あるいは、拙者の手に残るよりも、蔵にあった方がよかったのであろうかと思ひ候。

ここに来るのも久方ぶりのこと…
山々を吹き抜ける風は、父上が何年も前に初めて連れてきてくれたときと同じように、心地よいもので候。
また旅立つ時と相成り候。
これにて御免。

楓原万葉

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万葉が旅の途中で書いた手紙みてーだ。

とても、哀しい手紙でした…

…万葉殿…

…周りを調査し、扉を開ける方法を探す…

…供物を置く…

楓原久通
俗世に身を置きながら、山水に思いを馳せる。
我が楓原家はこうして代々受け継がれてきた。
この家もいずれ其方に託すのだ、万葉。
その時が来たら、初心を忘れるでないぞ。

誰か年寄りが、「我が楓原家は…」って言ってたぜ。

口ぶりからして、彼のおじいさんかもしれません。

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黄ばんだ古いノート
今日、面白いことがありましたので、筆を執り書き留めようと思います――
実は、若様がお酒に酔っ払いました。
そもそも、若様はまだお酒を飲める歳ではありません。
おそらく、お父上の盃に入っていたお酒を普段飲んでいるものと勘違いしたのでしょう。
私は遠くから、中庭で武術の練習をしている影を見て、それを若様だと思いました。
その予想は間違っていなかったのですが…
ただ、酷く酔っぱらっていたのです…
私に挨拶する姿は元気なものでした。
顔を真っ赤にしていなければ、普段通りだと勘違いしていたでしょう。
夏の夜に酔うのは優雅とは言えません。
しかし若様の年齢を考えると、黙って見ているわけにもいきません。
本当は最初、見て見ぬふりをしようかとも思いました。
恥をかかせないために、遠回りして裏庭へ荷物を運ぼうと思ったほどです。
抱えていた仕事を終えてから様子を見に行くと、若様は酔い潰れて階段のそばで横になっていました…
いつもは大人っぽい若様がこんな一面を見せるなんて、本当に珍しいことがあったものです。
私はもう一人の使用人と一緒にそっと若様を部屋まで運ぶと、お茶とお菓子を用意しました。
すると、若様の口から父と母のことを呼ぶ声が微かに二回聞こえてきました。
目を閉じてはいましたが、あのように幸せそうな顔をしていたのは、かつての幸福な出来事を夢で見ていたからなのでしょう。
親愛なる若様、あなたはまだお若い。
これから先、お酒を飲む機会はきっとたくさんありますよ。

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楓原久通
万葉、よく聞きなさい。
楓原家の刀は、人を傷つけるために造られたのではない。

楓原景春
父上、何を作っているのでござるか?

楓原久通
はは、これは異国の見聞を記録する築山だ。
後ほどこれを盆栽に入れておく。
ここ数年は責務で忙しく、孫の傍にいてやれる時間もなかった。
万葉は拙者の真似などせず、長じて後は己の目で世界を見ることにより時間をかけてくれればいいのだが。

もう一人の声は万葉殿のお父上でしょうか?

ほう?
なるほど…
すべては万葉殿の思い出ということね。

…万葉を探す…

ここにいたのか!

うむ?
皆こそ、今までいずこに?

ここは迷宮なんだ!
オイラたち全員この迷宮に閉じ込められてたんだけど、万葉だけいなかったんだぜ。

拙者はずっとこの部屋にいたが、出ることができなかったのでござる。
それにここは子供の頃住んでいた屋敷の寝室によく似ている。

ここはおまえの家だろ?
なのになんでおまえが閉じ込められるんだ?
もしかして、迷宮はおまえを中に入れたくないのか?

万葉に先程の出来事を話した…

……
どうやら、この迷宮全体はうちの屋敷をモチーフに作られたようでござる。
迷宮の声もすべて、父や祖父が拙者に話してくれた言葉。
拙者を中に入れてくれたくない…
ふむ、確かに探索に参加できないのは拙者のみであるな。

この不思議な建物は幻境のはずだと思いますよ。
今の万葉さんの話からすると、これは万葉さんの経験をもとに作られたものです。

何故、万葉殿だけが拒絶されたの?

…恐らく、この状況は拙者自身によるものかもしれぬ。
拙者にとって、過去などもう過ぎたこと。
天地万物にはそれぞれの法則がある。
人は…
過去の道を歩むことはできないのでござる。
このような考えを持つゆえに、幻境は拙者を入れてくれないのであろう。

何となく分かるぜ、前向きな考えだな。

考えは、相応の結果に結びつく。
とにかく拙者は気にしておらぬから、心配せずともよい。
ふむ…
先ほどは盆栽に触れたことでこの空間に入った、そうであったな?
ならば、もう一度触れてみれば…

出たぞ!

見ろよ、あの山!
丸ごと変わっちまったぜ。

…待ってくれ。
……
皆、一つ考えがあるのだが。
この幻境の変化は、盆栽と関連があるのではないだろうか。
この磁器のお盆は元々、曽祖父の収集品だったと父から聞いたことがある。
曽祖父は盆栽や盆景が好きで、よく庭で手入れをしていたと聞いた。
その後、例の一件が起き、祖父は一家を再興する方法を探して故郷を後にしたのだ。
ちょうどあの頃、曽祖父は大病を患った。
曽祖父は、祖父が盆栽に興味がないことを知っていた。
曽祖父は最期の時、丁寧に手入れした盆栽のほとんどを他人に譲り、この盆栽だけを残したのでござる。

それって、秘密の書かれたあの手紙を残すためだよな?

さよう。
それに、一種の記念でもあったのだろう。
祖父が駆けつけた時には、曽祖父は既に亡き人となっていた。
最期を見届けることすらできなかったのでござる。
それから、祖父はよく盆景の前で呆然と立ちすくんでいることが多くなった。
それをきっかけに、祖父も盆景を作るようになったのでござる。
しかし曽祖父とは違い、祖父が好んだのはお盆に草木ではなく、石を配置する盆景であった。
祖父の影響を受けてか、父もその趣味を受け継いだ。
当時、屋敷の庭には色々な盆景が置かれていたでござる。
この磁器のお盆も、家宝として拙者に受け継がれたもの。
それがここに現れ、さらに幻境の入り口となった――
偶然とは思えぬ。
まるで…
拙者に心残りを埋める機会を与えてくれているようでござる。

>心残り?

拙者は稲妻の出身で、拙者の家系「楓原家」は、世が世なら名門士族とも言える一族であった。
…しかし、雷電五箇伝の一件で楓原家は衰退の一途を辿った。
拙者の代にはもう、没落していたのでござる。
その後、指名手配された拙者は稲妻から逃げ出した。
誰もいなくなり、楓原家に残されたものはこの屋敷のみであったが…
この盆栽も、屋敷にあった他のものと共に幕府に押収されてしまった。
かなうなら拙者も先祖のように、家宝の器でこれまで巡ってきた名山勝川の盆景を作ってみたいと思っていた。

……

このお盆の上にあるものが幻境に影響を与えるのであれば、少し手細工をしてみたいのでござる。
ふむ…
曽祖父の好んだ植物の盆景にするか、それとも祖父や父が好きだった山石系の盆景にするか…
…やはり、山石の方が拙者に合っているようでござる。

盆景を作るためには、なにが必要なんだ?

ふむ…
道具と、装飾用に加工できるような石があるとよかろう。

分かった、一緒に探しに行こうぜ!

運に任せてやってみろよ。
盆景はここにあるんだし、それに関係するものだってそんなに離れたところにはないはずだ。

確かにそうね!
万葉殿、心ゆくまで探すといいわ。
わたくしも臣下を率いてあなたに同行し、失われた秘宝の探しに協力するから。

皆、かたじけない。

盆栽に触れると、一行は不思議な幻境に入った。
古びた屋敷、長年眠っていた家族の過去…
この場所は、楓原万葉と切っても切れない関係にある。

…周囲を探す…

築山原岩(左)
山から採った石。
あらゆる面において、盆景の左側に配置する石の彫刻材として適している。

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築山彫刻道具
モンド風の築山で使われる彫刻道具。
石を彫って築山を作るのに使えるかもしれない。

…山石を盆景に入れる…

わぁ、また違う空間だぞ!

前回と同じく、万葉殿だけがいませんな。

よし、ここはアタイたちに任せとけ。

…出口を探す…

…道に沿って進む…

楓原景春
…これでよし。
万葉、ちょうどいいところに来てくれた。
見ろ、この石をどう思う?

精巧で趣深いでござる。

ははは、これは本にあった山の景色なのだ。
異国には雲の中にそびえ立つような、名のある山がたくさんある。
機会があれば、外に出て見てみたいものだな。

父上にその気さえあれば、いつでもお行きになれよう。

そんなことを言ってはならぬ。
この父は楓原家の現当主だ。
今や楓原家は衰退したが、やるべきことは昔と一つも変わらぬのだ。
ただ…
そうだな。
このように父上の道を貫き、没落した家に全てを捧げることに、果たして意味はあるのであろうか?

父上、拙者には…
分かりませぬ。

…万葉、一つだけ覚えておいてくれ。
家族は大切なものであるが、ゆめゆめ縛られてはならぬ。
人のため、家はあるのだ。
己が楽しく暮らせねば、家族を幸せにすることもできまいよ。
過去の一件は家に大きな影響を与えたが、それは子孫にまで負わせねばならぬような重荷ではない。
…もしいつか、其方が退屈な人生に飽いたら、全てを置いて外に出なさい。
生活に縛られるな。

あい分かった。

…道場に入って相手を倒す…

???(来訪せし武士)
ご高名はかねがね。
今日は楓原殿にお会いするために参った。
お手合わせ願う!

楓原久通
お主のような武士と戦えるとは、万葉も光栄に思うことであろう。
万葉、しかと備えよ。

…装置を利用して新エリアに入る…

…出口を探す…

…道に沿って進む…


拙者には解せぬ!

楓原景春
万葉、約束を忘れたのか?

本当にすべてを諦めるのでござるか?
確かに今は大変な時ではあるが、父上には拙者がいるであろう。
拙者は何の役にも立たぬのか?
確かに父上ならば、拙者の歳にはすでにお祖父様のお力になっておられただろう。
拙者が無能なあまり、父上を失望させたのでござるか、それとも…

楓原景春
万葉!
…はぁ、其方にそのようなことで己を責めさせるとは、父として失格だ。
楓原家は、過去の過ちのためにあまりにも多くの代償を支払った。
そしてついに、其方の曽祖父様の代から今に至るまで、この翳りを抜け出せなかった。
刀鍛冶は我が一族の責務であるが、家業だけがお主の全てではないのだ。
それは忘れてくれるな。
ケガをした獣が罠から抜けようとすれば、挟まれた後ろ足を切り捨てる苦痛に耐えねばならぬ。
もしそれを損と思うならば罠を離れずともよいが、恐らくそれはより致命的な結果を招くであろう。
もうよいのだ、万葉。
当主でありながら一族を復興できず、其方に名門士族の若君としての暮らしを与えてやれなかった。
なのに、其方は拙者を責めぬ。
父はもう、それだけで充分なのだ。
何世代にも渡った苦痛は…
今日で終わりにしよう。
これからは、重荷を降ろして生きてゆくのだ。
家業を捨てる悪名は、この父が背負えばよい。

…父上…
やめてくれ。
当主としての能力がないなどという悪名を、父上が背負うべきではござらぬ。
それに、もしその日が本当に来たら、拙者も矢面に立つ。
しばし待たれよ。
楓原家はいずれ拙者が継ぐのでござろう。
その時になれば、拙者が片づければよい。

…道場に入って相手を倒す…

???(野伏衆)
おい、俺様と勝負しようぜ。
ん?
返事がねえな。
まさか、ビビってんのか!?

…お主らごときが、楓原家を相手どる資格はない。

…音を追う…

――楓原家は衰退してしまった……

万葉の声だ!

…「万葉」に近づく…

いや、違う。
見た目はそんなに違わないけど…
オイラたちの声が聞こえてないみたいだな。
こいつは多分ただの幻影で、オイラたちと一緒に来た万葉じゃないんだ。

…最後の部屋へ入る…

もし拙者がもっと優れた武芸を有していれば、きっと父上の力になれたであろうに…
はぁ…
ならぬな…
家のことで頭がいっぱいで、またうっかりやってしまった。
「春の野に霞たなびきうら悲し このタかげに鶯鳴くも」
できぬと知りながら為そうとされているが、それでも行き詰まっておられたことはない…
それが父上の領域でござる。

…未知の空間を通り抜ける…

やっぱり、またここに閉じ込められてたんだな。

はは、これも法則によるものかもしれぬな。

オイラたち、また幻境の迷宮に入ってしまってたんだ。
でも今回はなんだか、前回とちょっと違ったような気がするけど。

今回見聞きしたものを話した…

人気はすっかり減り、調度品も昔のような華麗さではなかったと…
ふむ、無理からぬことだ。
お主らが見たのは恐らく、衰退の一途を辿る楓原家でござろう。

でも、幻境の中の万葉はなんだか、まるで影みたいだった。
とにかく、今のおまえとはちょっと違うんだ。

それには、わたくしも同意するわ。

今の万葉殿と比べれば、あの幻影は多くの迷いを抱え、重い運命に悩んでおられるようでしたな。

確かに、重い運命を背負っていました。

それは今の拙者が成長したということ。
皆に未熟な己を見られようとは、恥じ入るばかりでござる。
稲妻を離れてから、拙者は長く各地を流浪していた。
しかしそれは悪いことばかりでもござらん。
そのおかげで成長できたのだ。
昔の自分に会えれば良かったのであるが。
今の拙者を見れば、あの頃の拙者にもきっと分かった。
――人生の道のりは長い。
それゆえ、拙者は旅に出るのでござる。
拙者の思っていた通り、幻境の鍵は盆景でござる。
それじゃ、築山探しを続けようぜ。

さらに探索を進めると、幻境はさらに奇妙な形態に変化した。
今にも崩れそうな景色は、おそらく万葉がこれまで見てきた光景なのだろう。
これらの困難は、彼の心の中にどのような「景色」を作るのだろうか。

…周囲を探す…

築山原岩(右)
山から採った石。
あらゆる面において、盆景の右側に配置する石の彫刻材として適している。

-------------------------

築山彫刻道具
稲妻風の築山で使われる彫刻道具。
石を彫って築山を作るのに使えるかもしれない。

…山石を盆景に入れる…

なんなんだよ、ここ!
めちゃくちゃだぞ…

没落した貴族の家は、こうなってしまうのね。

あちこち壊れている上、誰もいません。
すでに家は終焉を迎えたのでしょう。

行こうぜ。

…特殊空間の中を突き進む…

使用人
若様、私たちは最後の使用人なのですよ!
本当にみなを追い出されるのですか?
誰が…

心配せずとも、自分の世話くらいできる。

はぁ、まだお小さい頃に奥様が亡くなられ、今は旦那様まで…
残されたのは若様ただ御一人…
もう、これが最後になると思いますが。
若様、くれぐれもお体にはお気をつけて。

船乗り
さあ――!
出航しますよ!

さらば。
楓原家はついに、拙者の代で解体してしまった。
だが父上の言う通り、生活に縛られてはならぬ。
かような放浪の身が、拙者には合っているのやも。
「神の目」は、「神の視線」から来ているそうだ。

友人
ああ、俺も持っている。
だが、神の眼差しを向けられるのは、必ずしもいいことばかりじゃないよな?

…かもしれぬ。

幕府の足軽
目狩り令である!
神の目を持つ者は、大人しく渡せ!

友人
おい、こっちだ、急げ!

わけなど聞かずとも、目狩り令に抗う者たちの気持ちは分かる。
願いは、我々の心に隠された最も純粋な力。
失ってはならぬ。
やむを得ない時が来れば、ここを発つでござる。

幕府の足軽
将軍様は御前試合をされている。
関係者以外立ち入り禁止だ。
待て、こいつ、神の目を持っているぞ!?
こいつを捕まえろ!
逃すな!

…「目狩り令」を執行する兵士を倒す…

かつて自分に問うた。
前途多難な流浪の旅になると承知で――
それでも行くべきか?
何処へ、そして如何にして?

…特殊空間の中を突き進む…

…船の上にいる船夫と会話する…

船夫
お前が楓原か?
早く船に乗り込め、送ってやるよ!

お主…
どうして拙者を助ける?
拙者はお尋ね者でござるぞ。

船夫
それはもちろんしゃぶぎ…
コ、コホン!
お前を稲妻から無事に送り出すようにって、金を出した人がいるからさ。
ただ、周りがしてやれることには限りがあるから、後は自分で頑張ってもらわないとな。
祖父は生前璃月を観光し、父は本でモンドの景色を読んだ。
拙者は…
何処へ行くべきであろう?
…空が翳った。
降りそうでござるな。
この雨が止む時は来るのであろうか。

…特殊空間の中を突き進む…

幕府の足軽
おい、止まれ!
抵抗すると痛い目に遭うぞ!

…そうか。

海龍
おい、あんた!
大丈夫か!
こっちに避難するか?

海賊か?

海龍
ハ!
そう、海賊さ!
来るかどうかは自分で決めろ。

…「死兆星号」に乗る…

え?
「死兆星号」だぞ!

見ろ、万葉があそこにいるぜ!

万葉、見つけたぞ!

ちょうどいいところに来てくれた。
拙者は今までの人生を振り返ったところでござる。
楓原家の盆景をどう思う?

>長い年月を経た深みがあるね。

年月を重ねたものには、心残りがつきもの――
楓原家も同じでござる。
しかし構わぬ。
別れがあれば再会もある。
ここで会えねば、余所で会えることもござろう。

-------------------------

>完全とは言えないけど、恥じることはない。

そうでござるな。

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この幻境はとても興味深いですね。
演劇のようなシーンは、回数を重ねる度により特別なものになって、心に響きます。

占星術師は皆、見識が広いでござるな。
お主にそう言ってもらえるならば、この幻境にも存在する価値があろう。

ねえ、あなた…
ご機嫌いかが?

お嬢様は万葉殿に、あまり落ち込みすぎないようにとおっしゃっています。

こんな経験を振り返るのなんて、楽しいはずないよな。

はは、そうでござるな。
皆の気遣いに感謝する。
だが拙者にとってはどれも、過ぎたことでござるよ。
盆景を目にした瞬間、この可能性に思い至ったのだ…
拙者は、お主らを待っていたのだと。
だからこそ、拙者だけが終点に残されたのやもしれぬ。
あの磁器のお盆には、枯れた植物が植わっているはずであった。
しかし、ここのお盆に枯れた木はない。
…お主らのいない間に拙者は色々と考え、やっと気づいた。
ここは拙者の幻境でござる。
盆景に何もないということは、これは拙者の心境であるということ。
心が「浄」であれば、天地万物が皆「浄」なり。
心が「空」であれば、天地万物が皆「空」なり。
浄と空、それが拙者の今の心境なのでござるよ。
ただ、それが心残りであると言えぬわけでもない。
心にどこか穴が空いていることも、「空」と言えるのだ。
それゆえ、この盆景は拙者の幻想に現れ、願いを叶える機会を与えてくれたのでござる。
しかし拙者の心の底にも、自分だけの盆景を作りたいという願いがあったとは…
これで、楓原家の伝統を真に受け継いだと言えよう。

じゃあ万葉がやりたかったことは、全部できたんだよな?

ふむ、そう言えなくもない。
お主らは過去の拙者を見て、共に別れを告げてくれた。
そうして拙者にまつわる全てを見届けてくれたことで、ようやくそれは真実、歴史となったのだ。
人生で最も大切なのは、他者との絆。
決して自分を責めることではござらん。
過去に囚われる人には、未来はないのでござる。
拙者はここまで歩んできたから、この先も歩んでいける。
皆にも、そう信じてもらいたいのだ。
これからもよろしく頼む。

拙者は 雨の中を急ぐことが多く
雨水に視界を奪われては 前が見えなくなることが多々あった
…ある日 ついに山頂に辿り着いた
足元には雲があり 耳元では風が吹いていた
真に高き山 真に澄んだ心
無我 無恨 無念 無願
旅に出よう 拙者は風だ
いかに長き道にも 出会いはある
人生は続く 至る処に故郷はあるのだ

ふぁあ〜。
たくさん歩いて、なんだか眠くなってきた…

みんなも疲れたよな?
今日は早く寝たほうがいいぞ。

……

ん?
どうしました?
顔色が悪いですが。

何でもないわ、少し疲れを感じただけ。
今日の旅に疲れ果ててしまったのでしょう。

……
お嬢様、大丈夫ですか?

オズ、余計なことを言わないで。

失礼いたしました。

……?

あんたら、疲れたんならしばらく休めよ。
アタイは食料を探しに行くから、体力が残ってるヤツは一緒に来い。

拙者が行こう。

私も手伝えます。

みんなこんなに積極的なんだし、オイラたちも行こうぜ!

>私とも手伝う。

そんなに大人数はいらないぜ、それに…
皇女殿下が少し落ち込んでるみてーだ。
モナ、あんたは彼女のことをよく知ってるだろう。
散歩に付き合ってやったらどうだ?

気づいていましたか。
食べ物の準備をしながら、その話をしようと思っていたんです。
だったら、私に任せてください。

よし、それじゃ食べ物の準備はアタイたちに任せろ。

モナはこちらに目配せをすると、フィッシュルの傍に行った。
残りのみんなで、料理にできる食材を探した…


これだけあれば十分だな。
後で焼いて食べようぜ。
もし次に人のいねー拠点を見つけたら、鍋がないか探そうぜ。
鍋があればちゃんとした料理が作れるしな。

すごい心配りだぞ!
辛炎は料理人じゃないのに、人の世話をするのが得意なんだな。

へへ、アタイはできることをやっただけさ。
褒めすぎなんだよ。

辛炎殿は「死兆星号」の皆にも認められた、良い仲間でござる。

おう!
オイラたちにとっては、万葉も頼もしい仲間だぞ!

ハハハッ、その通りさ。

ふむ…
ならば、頼もしい仲間として、皆と話したいことがあるのだが。
お主らの話を聞いた限り、今日の不思議な幻境は「楓原万葉」のこれまでの人生をもとに作られたものであった。
…まるで、拙者の夢のように。

>もしかして、本当に「夢」なのかも。

万葉、あんたは…
ずっと自分だけの「盆景」を作りたかったんだろう

うむ…
そして、拙者の願いは叶ったか…
しかし、拙者がこのような状況になったということは、皆にもその可能性があるということではなかろうか?

>うん、私もそう思う。

アタイもだ。
ただ、次の場所が誰の幻境かは分からないけどな。
ハ、そう考えると、アタイもあんな夢を見てみたくなったぜ。

おまえ、あんな幻境が欲しいのか?

もしアタイにあんな領域があるなら、きっと音楽に関係するやつだろ。
ハハッ、そしたら腕を振るえるぜ!

もしかして、急に演奏を始めたりするんじゃないか!

それは当たり前だろ?
音楽をやるやつなら誰でも、この群島の美しい景色を見れば、音楽を奏でたいって思うに決まってる。

なんて楽観的でたくましい心なんだ。
オイラちょっと感服したぞ…

あ、そうだ!
旅人、崖に生えてる果物を食べたいんだけど、一緒に採りに行ってくれないか?

>(ん?もしかして…)
 ごめん、ちょっと二人で行ってくる。

…目立たない場所でウェンティに連絡する…

今日の変わった建物と、幻境の…
えっと…盆景?
とにかくあの変な出来事!
このこと、吟遊野郎に教えたほうがいいよな?

>やっぱりそのことか。
>彼に連絡しよう。

ドド通話機
ドドコ――ドドコ――
ドドコ――ドドコ――ドドコ――

返事がない…
おかしいな、なんで返事してくれないんだ?

>通じないはずないけど…

吟遊野郎のやつ、またボーっとしちゃってるのか?
それとも、演奏してる間は爆弾を持ち歩いてないのか?
もしかすると、酔っ払って木の下で居眠りしてたりして…
うぅ…
おかしいぞ。
でも仕方ない…
また明日、連絡してみようぜ。

旅人、それにパイモン、ここにいましたか。

モナだ!
フィッシュルとの話は終わったか?

あはは、まあ一応は…
彼女はちょっと憂鬱なんです。
多分…
今日見た幻境のせいかもしれません。
フィッシュルは今回の旅に積極的です。
でも、自分の幻境を見たくないんじゃないかなと思いますよ。

なんで?
あいつ、こういうことに憧れてるんじゃないのか?

…まだ結論は出せませんが、とにかく気にかけておきます。
私が言いたかったのは別のことです。
先ほど海辺でもう一度ここを占ってみました。
水占の盤は今回も濁っていましたが、前回と違って、何らかの力を感じられました。
位置までは分かりませんが、段々変化してきているような感じがします。

見えないのにどうやって感じるんだよ…

素人にどう説明すれば…
あっ!
たとえば部屋のどこかに隙間が空いていたとしましょう。
位置は分かりませんが、風がそこから入ってくるんです。
すると、部屋の温度もどんどん下がっていくでしょう。

おう!
そう言われると、なんとなく分かった気がするぞ。
その亀裂がどこにあるのか探したいんだな?

そうですね。
これからの方針を決めるには、まずその亀裂を見つけないといけません。

【レーナルトを知らない】
…まさか、こんなに綺麗な土地で、このような不思議を解決することになるとは思いませんでした。

>どうだった?

悪くありません。
もし力になってくれるなら、尚いいですが。

じゃあオイラたち、なにをすればいいんだ?

えっと…
えー…
うーん…
特にないんじゃないですか?

オ、オイラたちをなめてるのか!?

いえ、ただ先ほど気づいたんです。
あなたは口数の多い方ではありませんが、いつも物事を完璧にこなし、みんなのために色々と動いてくれる。
あなたのような人は、みんなに一番必要な仲間です。
あなたがいれば、心強いので。
勝手に期待されるのはプレッシャーかもしれませんが、私は…
占星術師は観察力を持つべきだと思っています。
他の人の長所を発見するのも、観察の一つなんです。

つまり、オイラたちを褒めたいだけってことか?

事実を述べただけで、褒めてはいません。

>へぇ、モナは認めたくないんだ…

褒めたんだろ、素直に認めろよ!

な、何を笑ってるんですか。
客観的な評価だって言いましたよね。
別に褒めてなんかいません!
褒めていませんから――!
とにかく、引き続き星を観測してみます。
旅人、これからもよろしくお願いしますよ。

【レーナルトを知っている】
モナ
…あなたと一緒にいると、いつもこんな状況になりますね。
占い、謎を解き、目標を特定して問題を解決する。
あなたは数多くの友人と秘密、そして運命に囲まれています。
本当に不思議な人ですね。

パイモン
そういえば、レーナルトの件も、モナとフィッシュルと一緒に解決したんだったな。

>占星術師にとってはいいことでしょ?

モナ
まあ、それはそうですが。
今回も手を組んで、早く問題を解決できるといいですね。

パイモン
手を組むって、おまえたち二人でか?
それともオイラたち三人で?

モナ
ぷっ…
はいはい、パイモンを仲間はずれにはしませんよ。
あなたは時々、独特で鋭い角度から問題を見てくれるので頼もしいです。

パイモン
本当か?
おまえのこと、なんだか好きになって来たぞ。
天才モナ!

モナ
そうでしょう?
私のように頭が切れて魅力に溢れる占星術師は、この世に二人と存在しませんから。
うふふふふ!

パイモン
なんでもいいけど、その…
フィッシュルみたいに笑わないでくれるか…

モナ
コホン!
すみません…
長く一緒にいすぎて、友人に影響されてしまいました…
はは…
とにかく、引き続き星を観測してみます。
旅人、これからもよろしくお願いしますよ。

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楓原万葉
「この身は秋の葉の如く、遠き山海へ揺れる。」
拙者はまだ旅の途中でござる。
ただ、かつて自ら書いた詩を思い出しても、もうあの頃と同じ心境にはならぬ。

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辛炎
万葉は心が広いよな。
それに皇女殿下にはモナがついてるから、心配ない。
そして旅人…
あんたはアタイと同じく、絶好調みたいじゃねーか!

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モナ
水占の盤が…
一体どういうことでしょう。
観測の方は専門家の私に任せてください。
何があったらすぐお知らせします。
うん、これからもよろしくお願いします。

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