新たな娯楽小説『ハマヴァラーン戦記』の序文。
経営調整のため、単独で一冊の本となった!
-------------------------
■第2巻
「どうしてこんなことに…」
普通のスメールの旅行学者だった者が不人気な課題を出され、遠い雷の国へ向かった…
海岸の国での冒険が、これより始まる!
海岸の国での冒険が、これより始まる!
-------------------------
■第3巻
「『使鬼』?
故郷の『鎮霊』とあまり変わらないだろ?」
故郷の『鎮霊』とあまり変わらないだろ?」
このような疑問を抱きながら、ハマワランは新しい旅の仲間と話した…
そして、予想外の旅がここで始まる。
そして、予想外の旅がここで始まる。
-------------------------
■第1巻
はじめに
出版社の新規作者の募集計画と、「この小説はすごい」コンテストの大人気ぶりもあって、この度異国の新鋭作家からも沢山寄稿を頂きました。
編集長として、各国作者の稲妻小説事業への支持と、勘定奉行柊慎介様が便宜を図って頂いたことに、深く感謝申し上げます。
おかげさまで、多くの良い作品を読者様にお届けすることができました。
編集長として、各国作者の稲妻小説事業への支持と、勘定奉行柊慎介様が便宜を図って頂いたことに、深く感謝申し上げます。
おかげさまで、多くの良い作品を読者様にお届けすることができました。
ご存知の通り、「鎖国令」が発表される前、稲妻で活躍する異国の剣豪たちがいました。
ハマヴァラーンもその一人です。
遠いスメールから来た彼は、稲妻の国で人助けをしていた。
その物語は一度大御所殿下の不変の治世に埋もれたけれど、この度新鋭作家である私の友人プルシナの手によって、再び語られることとなりました。
それでは、『ハマヴァラーン戦記』をどうぞご堪能ください。
-------------------------
■第2巻
「遠海の嵐より、卒業できないことのほうが怖いだろう……」
稲妻行きの船の上で、若いハマヴァラーンはそう思った。
よく知る声が船の外から聞こえた。
「うるさい、君は誰だ!」
「私か……それは重要なことかい?」
「そうだね、確かに重要ではない……」
「ちょっと――」
……
そうして、激しく揺れる嵐の中で、舷窓の外の小さな声と口論を続けた。
嵐への不安も、論文への恐怖も、どうでもよくなった。
嵐への不安も、論文への恐怖も、どうでもよくなった。
ただ…
…陸に上がるまで、あの舷窓越しの声は二度と現れなかった。
「遭難者の幽霊か何かだろう……」
ハマヴァラーンは自分に言い聞かせた。
幽霊とは、地脈の持つ死者の記憶だ。
過去と今の共振でしかない。
海に現れたのは少々不可解だが、まったく説明がつかないわけでもない。
「誰が幽霊だよ――!」
ハマヴァラーンが荷物を手にして、自分の妄想を解釈した時、あの声がまた聞こえた。
-------------------------
■第3巻
……
「それで、君は幽霊じゃないの?」
「違う!私は死んでないもん!」
「でも生きてもいないみたいだけど?」
「うっ、それもそうね……」
自分のことを「式神」というおしゃべりな少女は大きく口を開けて団子を呑み込んだ。
喉を詰まらせないか、ハマヴァラーンはひやひやしながら見ていた。
喉を詰まらせないか、ハマヴァラーンはひやひやしながら見ていた。
「しいていえば、私の場合、『使い魔』のほうが近いかな?」
「やっぱり霊の類じゃないか……」
「そういうのとは違うの!」
やいやい言い争っているうちに、ハマヴァラーンはようやく理解した。
そんなことを考えながら、ハマヴァラーンは神秘学を履修しなかったことを後悔した。
何故よりによって海洋生物研究なんて人気のない課程を選択したのだろう……
稲妻に行かないといけないし、生き地獄のような論文地獄が待っている……
この子はスメールで言う「鎮霊」に似た存在なのかもしれない。
真名で契約を交わし、真名で使役する。
世界の神秘術は皆本質的には似ているのだ。
もしかしたらそれこそ人間の最も根本的な恐怖の一つ、掌握される恐怖を体現しているのではないか。
真名で契約を交わし、真名で使役する。
世界の神秘術は皆本質的には似ているのだ。
もしかしたらそれこそ人間の最も根本的な恐怖の一つ、掌握される恐怖を体現しているのではないか。
そんなことを考えながら、ハマヴァラーンは神秘学を履修しなかったことを後悔した。
何故よりによって海洋生物研究なんて人気のない課程を選択したのだろう……
稲妻に行かないといけないし、生き地獄のような論文地獄が待っている……
にぎやかなやつが付いてきたのは、何かの転機なのかもしれないが……