(あとのことは後世の者に任せよう…)

やあ、若いの。
この老いぼれの散歩に付き合ってくれるか?

①あなたは…

ははっ、ただの爺さんだよ。
天領奉行を引退してからは、毎日外でぶらぶらしながら、鳥の音を聞いたり、犬や猫に餌をやったり、風景を見たりしてる。
若い頃は毎日忙しくしていた。
稲妻の櫻がこんなに咲き誇っていたことも、小川が透き通っていたことも知らなかったほどだ。
時間が過ぎても、美しい風景は残る。
だから今は楽しく暮らして、余生を過ごしてるんだ。

 >毎日そうしていて飽きないの?

まあ、若いのたちには分からないか。
見慣れた風景でも、変わるものがあるんだ。
細かな味の変化も趣があるというものだ。
例えば以前、この近くで楓の赤い服を着た若者に会ったことがある。
年は若いが、風や雨に対する感覚はすごいものだった。
彼が教えてくれなかったら、屋外に干していた服も濡れてしまっただろう。
それに、お前さんのような外国人は見慣れない。
私が外で散歩していなければ、お前さんのような珍しい者には会えなかっただろう。
はははっ!

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②さようなら、気を付けて。

ああ、緑があればまた会おう。