(足りないモラはどうすればいいのだろうか…)
(あの娘のためだ…)

ワーグナーの剣は高いな…

①あなたは…

俺?
いやいや、違うぞ、人違いだ。
俺は買い物をしている普通の父親だ。
な?
普通だろ?

 ❶別に探してない…

ああ、誤解したようだ。
すまない、また俺の話を聞いたやつが俺を探してると思った。
ああ。冒険者ヘルマンの伝説とか聞いたら信じるなよ。
たとえそれが真実だとしても…
信じるな!
あれはもう俺じゃないんだ。
俺の目には星と深淵はもう映らない、映るのは妻と娘だけなんだ。
彼女たちがいる限り、俺には命がけで冒険する権利はないんだ。

 ⁂あの人は?

もしかして…
冒険者ヘルマンを知らないのか?
…いや、その手には乗らないぞ。
俺を復帰させようとしてるんだな、分かってるぞ!
残念だが、今の俺は君たち後輩に俺の経験を教えることしかできない。
もう冒険には行けないんだ…

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②なにしてるの?

ああ、俺の娘エリンはそろそろ騎士団選抜に参加できる歳になる。
騎士団に入るのがあの子の夢なんだ。
あの子の今年の誕生日に剣をプレゼントしようと思ったが、値段がな…
冒険に行かない俺は何もできないのか…
あの時嫌々ながら「冷刃」を売って得た金も全部使ってしまったんだ…

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③さようなら。

さようなら。
何か金を稼げる方法があったら紹介してくれ、命を懸けないやつがいい。

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■魔人任務【序章 第一幕・風を捕まえる異邦人】完了後

①龍災について…

龍災?
まさか俺に…
…だ、だめだ、復帰は絶対にしない!
俺には妻と娘がいる。
冒険者ヘルマンはもう俺とは関係がないんだ!
俺の命はもう俺だけのものじゃない。
彼女たちのためにも、もう冒険はできないんだ…