吾輩はかつて天下を轟かせた妖狸五百蔵。
いつの日か必ず八畳の…
コホンッ、お前だったか。
どうやら吾輩と浅からぬ縁があるようだ。
何か聞きたいなら聞くがいい。
コホンッ、お前だったか。
どうやら吾輩と浅からぬ縁があるようだ。
何か聞きたいなら聞くがいい。
①鎮守の森について…
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②あなたについて…
我ら妖狸一族は遥か昔から鳴神の大地を渡り歩いていた。
何か問題でもあるのか?
今は石像になっているが、吾輩も昔は大御所様に官名を与えられたんだぞ。
人呼んで「隠神保生司正五百蔵」。
吾輩の責務は鎮守の森の守護。
ここの水と土、霊脈を守ること。
人呼んで「隠神保生司正五百蔵」。
吾輩の責務は鎮守の森の守護。
ここの水と土、霊脈を守ること。
どうだ、吾輩の守護で、この森も素晴らしいものになっているだろ。
❶最初はヒルチャールにやられてたのに…
ん?それは誤解だ。
ヒルチャールは吾輩にとって害はない。
石になったから、他の場所にも遊びに行けないだろ。
だから、ヒルチャールに遊んでもらっていたんだ。
お前は人間だから、最初は吾輩を懲らしめに来たのかと思って、あいつらにお前をやっつけるよう言ったんだ。
まあ、無事でよかったが。
言葉も通じず、頭も良くないが、石になったこの年月の中で、多かれ少なかれあいつらも吾輩にとって仲間になったわけだ。
変な話だが、昔は稲妻にヒルチャールなんて滅多にいなかった。
だがいつの日かかどこらか、どこにでもいるようになった。
ヒルチャールは吾輩にとって害はない。
石になったから、他の場所にも遊びに行けないだろ。
だから、ヒルチャールに遊んでもらっていたんだ。
お前は人間だから、最初は吾輩を懲らしめに来たのかと思って、あいつらにお前をやっつけるよう言ったんだ。
まあ、無事でよかったが。
言葉も通じず、頭も良くないが、石になったこの年月の中で、多かれ少なかれあいつらも吾輩にとって仲間になったわけだ。
変な話だが、昔は稲妻にヒルチャールなんて滅多にいなかった。
だがいつの日かかどこらか、どこにでもいるようになった。
❷「保生司正」?
吾輩は元々自由奔放な妖理だった。
名はそれほど知れ渡っていなかったが、本当に自由だった。
よくあのクソ狐と競争をしたり戦ったりしていたんだ。
ある日、あのクソ狐が賭けをしてきた。
吾輩が将軍様の御所から鳴草を盗めるかどうか。
吾輩は元々自由奔放な妖理だった。
名はそれほど知れ渡っていなかったが、本当に自由だった。
よくあのクソ狐と競争をしたり戦ったりしていたんだ。
ある日、あのクソ狐が賭けをしてきた。
吾輩が将軍様の御所から鳴草を盗めるかどうか。
もちろん吾輩は挑戦を受入れた。
危うく将軍様に斬られ、ヤシオリ島のようになるところだったがな。
最後は…
最後はあのクソ狐が吾輩の代わりに許しを請い、将軍様から慈悲を与えてもらった。
吾輩を見逃すどころか、「保生司正」という職まで授けてくれたんだ。
このようなことを、吾輩が忘れるわけがない。
吾輩はあのクソ狐に命を救われた借りがある…
最後はあのクソ狐が吾輩の代わりに許しを請い、将軍様から慈悲を与えてもらった。
吾輩を見逃すどころか、「保生司正」という職まで授けてくれたんだ。
このようなことを、吾輩が忘れるわけがない。
吾輩はあのクソ狐に命を救われた借りがある…
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我ら妖狸一族は遥か昔から鳴神の大地を渡り歩いていた。
何か問題でもあるのか?
❶どうやって封印されたの?
むむ、吾輩が知るわけ――
いや、たぶんあのクシを盗んだからだろう。
あのクシが「神櫻大福」を作るのに必要だったなんて知るわけないだろ!
あのクソ狐が吾輩にかくれんぼの挑戦をしてから、一度も姿を現したことがない。
あいつをおびき出すため、様々あいつは吾輩な方法を考えた。
あいつは吾輩と戦うのが好きだったから、あちこちで騒ぎを起こしたんだ。
紺田村のスミレウリをジャガイモにしたり、夕暮れの実を虎に変えたり。
以前はこのような状況が起きたら、あのクソ狐が吾輩を止めに来たんだが、今回は違った。
だから吾輩、ムカついてあいつの眷属の像を破壊したんだ。
それでその中からクシを見つけた。
「これを盗めば、クソ狐も焦って姿を現すだろう、くくっ。」
吾輩はそう思い、クシを盗んだ。
だが結局、クソ狐は現れず、代わりに人間の小僧がやって来た。
確かむかし影向天狗に法術を習っていた三人組の一人だったな。
なぜか力がとても強く、吾輩を子供のように石像に封印したんだ。
❷「勝負」について…
うむ、ひどいだろ?
あのクソ狐、かくれんぼで吾輩に挑戦しようとは。
「絶対に姿を現すな」とか、「もし何か起きたら、それは私がお前を懲らしめる法術だ」とか言ってたな、まったく今考えてもおかしいものだ。
あのクソ狐、かくれんぼで吾輩に挑戦しようとは。
「絶対に姿を現すな」とか、「もし何か起きたら、それは私がお前を懲らしめる法術だ」とか言ってたな、まったく今考えてもおかしいものだ。
だが吾輩は妖理、そして将軍様に「保生司正」を授けられし者。
鎮守の森でかくれんぼの挑戦など、受けるしかないと思った。
あいつを懲らしめてやるためにもな。
吾輩はいい場所を見つけ、オニカブトムシに変化し、あいつが吾輩を必死に探す醜態を見てやろうと思った!
だが結局、クソ狐は現れなったか。
この勝負は、今でも決着がつかないままだ。
吾輩はこのまま待ち続ける。
あのクソ狐が帰ってきて、吾輩に謝るまでな。
うむ、あいつが謝るべきことはこれだけじゃない、毎日どんな借りがあるかまとめてるぞ。
吾輩はいい場所を見つけ、オニカブトムシに変化し、あいつが吾輩を必死に探す醜態を見てやろうと思った!
だが結局、クソ狐は現れなったか。
この勝負は、今でも決着がつかないままだ。
吾輩はこのまま待ち続ける。
あのクソ狐が帰ってきて、吾輩に謝るまでな。
うむ、あいつが謝るべきことはこれだけじゃない、毎日どんな借りがあるかまとめてるぞ。
うむ、鎮守の森は元々この吾輩「隠神保生司正五百蔵」と同族の住む土地だった。
あの人間の小僧に石像にされるまではな。
もし狸の石像を見つけたら、おおかた封印された妖理だ。
だがこの頃になって、封印が緩んだものも出てきた。
例えば「吉法師」たちとかは、もう元通りになってる。
だから吾輩も希望がないわけではない。
うむ、小輩よ、一つ吾輩に約束してくれ。
もし外で吾輩の同族の小狸に会ったら、優しくしてあげてくれ。
あいつらは吾輩と同じように長い年月封印されてきた…
あいつらもきっと、外の世界を見たいだけなんだ。
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じゃあな、小輩よ。
あいつなら、こんな時は難しい詩でも読むんだろう。
時間があれば吾輩に会いに来るといい。
吾輩はいま石だから、時間はたっぷりある。
あいつなら、こんな時は難しい詩でも読むんだろう。
時間があれば吾輩に会いに来るといい。
吾輩はいま石だから、時間はたっぷりある。